レビュー『走ることについて語るときに僕の語ること』村上春樹
- 内田
- 2016年1月23日
- 本
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『走ることについて語るときに僕の語ること』 村上春樹 文春文庫
村上春樹さんがランニングをすることは知っていて、この本の存在も知っていましたが
今回初めてこの本をじっくり読んでみました。
.村上さんは1982年頃、『羊をめぐる冒険』を書きあげた後から本格的に走るように
なったそうです。専業小説家になった村上さんにとって最初に直面した問題が体力
の維持。
息長く小説を書き続けていくためには健全な肉体と免疫システムが必要とのことです。
村上さんは素晴らしい作品を世に送り出しておりますが、小説について多くを道路を
走ることから学んできたと書いていらっしゃいます。
どこまで自分を追い込んで厳しく追い込んでいけばよいのか、どれくらいの休養が
妥当なのか、どれくらい自分の能力を確信すればよいのか。
村上さんは小説家になったとき、長距離を走り始めていなかったら作品も違うもの
になっていなかったのではとも書いております。
毎年フルマラソンに出走し北海道サロマ湖の100kmマラソンも完走された村上さん。
次の言葉が印象に残りました。
「同じ十年でも、ぼんやりと生きる十年よりは、しっかりと目的を持って、生き生きと
生きる十年の方が当然のことながら遥かに好ましいし、走ることは確実にそれを
助けてくれると僕は考えている。」(本書123頁より)