レビュー『従業員持株会の導入の手引』
- 内田
- 2020年3月7日
- 本
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『従業員持株会 導入の手引』三菱UFJリサーチ&コンサルティング
上場会社のうち約9割もの会社が従業員持株制度を取り入れている。
そして、非上場会社の経営者にとっては、無縁のものと考えられていたこともあったようです。
しかし、実際には非上場会社でも従業員持株制度を導入する会社が増えています。
<メリット>
会社側:①従業員福利厚生策の柱となる②従業員に経営参加意識を持たせることができる(→経営の活性化)③株式の社外流出を防止できる④株主からの買取要請に対処しやすい⑤オーナーの相続税対策に役立つ(オーナーの持株を従業員持株会へ譲渡。従業員持株会へ第三者割当増資等)
従業員側:①財産形成に役立つ(配当金と奨励金で高利回り。一般に中途退会でも元本回収でき、会社が倒産しない限りキャピタルロスなし。)
<デメリット>
会社側:①従業員の資本参加の度合いによっては、オーナーの会社支配権がゆらぎかねない②公正に運営が行われないと従業員から不満の声がでる③退会等による換金の申し込みが集中すると株式の転売の対応が難しくなる④既存の従業員株主を持株会に吸収できないと株式管理に問題が残る⑤高配当が維持できないと社員の不信感、不満が表面化し制度運営が難しくなる。
従業員側:①倒産の場合に資産も失うことになる
<内容>
法人格を持たない民法上の組合として設立される場合が多く、毎月の給与等から株式購入資金を準備する定時積立方式が多いが、会社から奨励金を支給する場合もある(税務上の給与所得として源泉税が必要だが、社保労保上は含めないでよい。)
株式の供給方法としては、大株主の分譲により供給する場合には、配当還元価額によっていれば贈与税がかかる心配はないが、第三者割当によって株式を供給する場合は、時価のおおむね10%以上のプレミアムがあると給与所得課税のおそれがある。
オーナー一族で最低保有株式数50%以上、できれば株主総会の特別決議に必要な持株数の3分の2(66.67%)以上が望ましい。
<設立手続き>
担当者選出→原案検討→実施日程検討→規約・細則案作成→発起人(=持株会役員 理事長・理事・監事)の内定→役員会報告、了承→募集資料準備
→「発起人会兼設立総会開催(発起人会兼設立総会議事録・設立契約書調印)」
→理事長印、従業員持株会印、ゴム印 作成→契約書調印(会社と従業員持株会)→入会手続き開始、加入対象者への説明→給与控除準備→従業員持株会預金口座開設→入会手続き締め切り→入会者名簿作成→拠出明細連絡票提出→給与天引き開始、送金