レビュー『社長って何だ!』
- 内田
- 2020年3月14日
- 本
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『社長って何だ!』 丹羽宇一郎 講談社現代新書
丹羽宇一郎さんは、1939年生まれ、1962年伊藤忠商事に入社し、98年4月より社長として不良債権を一括処理し、収益をV字回復させた後、会長、相談役を経て、2010年6月から12年12月まで駐中国日本大使まで務めた方です。
すべてのリーダーに贈る渾身のメッセージとして2019年12月に発刊された本書はまさに丹羽さんにとっての集大成と言えるものです。
最初に書かれている「企業の経営者は大きな夢や目標に挑む意欲や気力を失って小さな安逸に埋没している。~社長の器は小さくなるばかり。そんな社長は早く辞めなさい」という言葉は胸に突き刺さります。
・孤独と覚悟
攻めと守りを同時に行う。自分を完全に捨ててから、まずは「ここに投資したい」という「攻め」の対象を決めて、それから資産を売るという「守り」に入ることです。
社長は孤独です、助言を請う相手はいません、いくら外から情報を仕入れても、いざというときは役に立たないでしょうか。もっとも頼りになるのが世間の常識です。社員の信頼を得るために、情報を共有する。
・資質と能力
社長は二重人格でなければならない。組織には優等生もいれば劣等生もいるので、それぞれの声に耳を傾け、尊重する姿勢がっ求められるわけです。
理想のリーダーは愛され、かつ恐れられる存在であるべきで、温情と冷酷さの同居が必要である。
嘘をついて近道をしようとせず、誠実に仕事に取り組むことです。
・報酬と使命
社長で稼ごうとは思わないこと。役員と従業員の報酬格差を縮め、世間並みの自宅と大衆車で十分。
会社経営で最も大切なことは、時世にベストな対応をし、会社経営を次に引き継ぐこと、引き継げるような経営をすること。
売り手よし、買い手よし、世間よし、の近江商人の三方よしの理念の方向へ進んでいくべき。
・自戒と犠牲
ビジネスは義理人情で動く。国内外を問わず、人間の心情、心向きはそう変わりません。
やっぱり日頃の付き合いがものを言うし、縁やよしみを大切にします。
社長になれば、とりわけそうした義理人情が大事になります。