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レビュー『働く人の資本主義』
『働く人の資本主義』 出光佐三 春秋社
かの有名な出光興産(いでみつこうさん)の創業者、出光佐三さんの著書です。
出光佐三さんは百田尚樹さんの『海賊とよばれた男』のモチーフにもなった方ですね。
本書は、出光興産が進めてきた「お互いが自発的に自由に働いて能率をあげる人間の和の姿を実現した経営」について書かれています。
・戦後、世界は交通の発達によって時間的に狭くなった。もはや権利思想や個人主義では絶対にうまくいくはずがない。お互いに譲りお互いに助ける互譲互助、和のあり方でなければならない。日本人が、この和の姿を実際につくって、対立闘争で行き詰っている世界に平和と福祉のあり方を教えるのが、今日の日本人の姿である。
・出光は創業のときから言語に絶するような苦難と圧迫にあいながら、それらと敢然と戦って克服してきていますが、その原動力は人の力、仲よくする力であったということです。仲よくするためには搾取があってはならず、無私でない場合はすべて搾取になります。精神的な搾取もあってはならず、自発的に自由に働いてなにをやったって叱られない、心理的に安心して働けるというのは精神的搾取がないからです。
・年功序列給か能力給か、それは人を重んじるか、金を重んじるかという事です。人間を金で評価するやり方は私はとらず人のあり方というものを大事にしている。どういうことかと言うと、経験のある、年とった人を尊敬してお互いに仲よく一致していく。お前は年をとったから駄目だ、若い者のほうが良いという、肉体的な働きばかり見ていてはならない。
・私がいつも社員に言って聞かせたことは、一生懸命やっておればいいのであって、結果にこだわらなくて宜しいということです。善意でしくじったときは、本人が必ずあとで反省し、自問自答しますから、これくらいよい教訓になるものはない。本人は偉大なる体験者となり、人間として活きてくる。
・自発的に自由に働く人は愛情と鍛錬によって育つ。愛情をもって育てる、自分のために使うのではなく自分の子供を育てるような気持、それが根本です。愛情をもって育てようという気持と先頭に立って身をもって率いた。私は給料や賞与で刺激して、従業員を働かせたことは絶対にありません。
- 内田
- 2020年5月2日
- 本
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