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レビュー『資金繰りなるほどQ &A』
『資金繰りなるほどQ &A~4つのステップで社長の悩みを解消!~』中央経済社 増山 英和
決算書(財務諸表)が大切なのは言うまでもないですが、会社の血流である資金をいかにまわすか、という「資金繰り」も同じくらい大切です。
資金繰りのわかりやすい本なので読んでみました。
●第1章学ぶ編
・2020年版「中小企業白書」には新型コロナウイルス経営相談には何と2020年3月末までだけで30万件もの相談があり、ほぼ全て「資金繰り」関連で、中小企業の脆弱性が露呈した。
・資金は事業活動を維持するのに必要不可欠。資金のうごきが今後どのように変化するかを確認するために資金繰り表を作成して、打ち手(資産売却や新たな借入)を考え実行しましょう。
・以下の予兆が出たら資金繰りが悪化して倒産に繋がるので即改善。「販売不振」「放漫経営(だらしない経営姿勢)」「連鎖倒産」「過少資本」「設備投資過大」「在庫状態悪化」
●第2章気づく編
・短期的、長期的な視点から資金繰りの安全性をチェックしましょう。短期的には、一時点で支払いに必要な資金が確保されているか、売上収入で仕入等経費をまかなえるか。長期的には、財務構造が安定しているか、特に赤字続きと債務超過は危険極まりない。
・取引先への支払能力のチェック項目は、流動比率(=流動資産÷流動負債)が150%以上、当座比率(=当座資産÷流動負債)が100%以上。
・長期的な財務構造の安全性のチェック項目は、自己資本比率(=自己資本÷総資本)が40%以上、固定長期適合率(=固定資産÷自己資本と固定負債)が100%以下。
・自社の資金繰りのチェックポイントは手元資金の増減理由と、経常収支比率が100パーセントを下回っていないか。
●第3章動く編
・正常運転資金についての借入は手形貸付(約束手形1年以内返済)や当座貸越(当座融資枠)で調達し、短期継続融資として続けていけば、借入金の返済は不要となるので、苦しい時の資金繰りが改善できる。
・経営者保証に関するガイドラインでは次の5点のような会社には人的保証を求めないと書かれてあるので、それを目指す。①法人と経営者個人の資産、経理が明確に区分されている(中小企業会計指針等)②法人と経営者の間の資金のやりとりが社会通念上適切な範囲を超えない(役員貸付金等)③法人の資産・収益力で借入返済が可能と判断しうる(債務償還年数等)④法人から適時適切に財務情報等が提供されている(月次会計等)⑤経営者等から十分な物的担保の提供がある(個人資産も持っている等)
・金融機関には従来のような担保や保証に依存することなく、下記の4点のような事業性評価が求められてきているため、それを目指す。①経営者への着目(経営手腕・地域経済界での立場。経営理念や想い。後継者の有無。)②事業自体への着目(商流。技術力、販売力。取引先数、分散度。IT能力、イノベーション状況。)③環境・関係者への着目(顧客リピート率。従業員定着率、勤続年数、平均給与、年齢構成。金融機関との対話状況。)④内部管理体制への着目(同族企業ではないか。経営目標の有無と共有状況。人材育成方法、システム。社内会議の実施、コンプライアンス。)
・預貸率(=預金÷借入金)を100%超とし、また各金融機関ごとに実質金利(預金を差し引いた利率)をもとに金融機関と利率の交渉をするとよい。そして手元資金は月商の3か月分は置いておくべき。
●第4章続ける編
・資金繰りの改善は一朝一夕ではできませんので、日々、現場で小さな改善を積み重ね、PDCAサイクルを確実に回し「続ける」ことが大切です。また毎期、経営計画や利益計画、資金繰り予定表を作成し続け実行し、その結果を月次試算表と資金繰り表でチェックし、さらなる改善に取り組みましょう。
・社内を活性化させることも社長の仕事の1つです。目標を明確に設定し、経営理念を具現化するために全社目標を拠点別、そして各人別に細分化し浸透させ動機づける必要があります。目標達成に向けた一体感を会社内に作るために腹落ちするまでわかりやすく伝え、同時に社員満足度を高める工夫をしましょう。
・PDCAサイクルを徹底的にまわします(Plan計画、Do実行、Check評価検証、Action継続的改善)。計画を策定したことで安心しきって行動しないという会社がよくありますが、計画は目的ではなく手段にすぎません。計画し実践し、チェックし改善対策を打つ、この経営管理サイクルを徹底的に回せるように社内体制を整備する必要があります。
- 内田
- 2021年10月2日
- 本
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