レビュー『成功者の告白』
- 内田
- 2022年10月22日
- 本
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『成功者の告白』 講談社α文庫 神田昌典
サラリーマンをしていた主人公タクが、起業家として成功していく過程をマイナスの部分を包み隠さず書かれていて、
ストーリー仕立てで興味深い本でした。
仕事熱心な成功者のプライベートな部分に焦点を合わせれば、英雄像は色褪せて、親子断絶・家庭内離婚・愛人騒動・家庭内暴力・不登校・引きこもり・うつ病等、機能不全に陥っている家庭は珍しくない。
根底に流れるテーマは、ビジネスと家庭とのバランスを取りながら、いかに会社をスムーズに成長させるか、ということである。
起業をしてうまくいっていても、仕事のために家庭があるのではない、家庭が幸せになるために、仕事がある。
そこを履き違えてはいけない。
妻の方も夫の成功を喜ばなければいけないとわかってはいても、感情は複雑で、夫だけが社会で認められ置いていかれることの不安もある。
あなたが思う以上に、仕事と家庭は密接に関連をしている。
人間が集まると感情の場をつくる。それは家庭でも職場でも同じ。
ポジティブになるグループがあると、その動きとバランスを取るようにネガティブなグループができる。
社長がプラス思考で前向きになりすぎると、そのスピードの出しすぎを抑えるかのように、マイナス思考の人間が出てくる。
急成長企業は創業四年もすると八割方マネジメントの問題に直面し、社員が病欠しがち、遅刻しがち、社員が居つかない、配送上の問題、品質の低下、モラルダウン、社員が社長の悪口を言い出す、などなど。
この時期は会社の第二創業期で、家業から企業への生まれ変わる契機。
お客様のクレームの質が変ってきており、怒りを受けた社員がその怒りを家庭に持ち帰り、自分に向けてしまう社員は病欠や退職をすることになる。
経営では、そこに集う人間が感情の場を形成してその動きを推し進めるため、社員や顧客の感情を大切にできるようソフト面のシステム化の必要がある。
「働く場」自体を向上させていかないと問題が繰り返す。
能力がないからさっさとクビを切るという文化は、相手から奪うという文化でありそれは作らない方が良い。
これからの時代は、発想力を導く仏の経営が良いが、ただ優しさだけではだめで規律と厳しさも併せ持つべき。
子育てと同じで母親の愛という土台(相手を承認すること)の上に父親の規律(会社の憲法であるクレドを決めて繰り返し伝える)を持ってこないと、チーム体制の組み立てはできない。
クレドについては、自分の意見を言ってもらい価値観や行動様式を実際に応用するために、考える人間を作っていく。
会社で新しい試みを実行していくにあたって、反発が出た場合は、一対一で話し合う機会を持って、相手の怒っている理由に徹底的に耳を傾け、お互いにわだかまりを解消しておく必要がある。