mv-icon
税理士法人
TAPブログ

mv

Latest Posts

レビュー『論語の活学』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

論語の活学』 安岡正篤 プレジデント社

非常にわかりやすく論語の考え方を書いた名著。
印象的だった内容を抜粋させていただきます。

●君子の条件-誠実(内的規範)と礼(外的規範)
「子曰く、質、文に勝てば則ち野。文、質に勝てば則ち史。(雍也第六)」
人間も木と同じ。少し財産だの、地位だの、名誉だの、というようなものが出来て社会的存在が聞こえてくると、懐の蒸れといっしょで、いい気になって、心理を聞かなくなる。道を学ばなくなる。つまり風通しや日当りが悪くなるわけです。したがって人間はやはり、真理を学び、道を行ずることがどうしても必要であり、これを忘れると駄目になる。

●政治の要諦-率先して骨折ることに倦むことなかれ
「子曰く、之に先んじ之を労す。益を請う。曰く、倦むこと無かれ。(子路第十三)」
政治家というものは、何よりもまず民衆の先頭に立って骨を折らなければいけない。そうして彼らをねぎらうことを忘れてはならない。倦むことなかれ=途中で嫌になってはいかんぞ ということ。人間というものは、自分の思うようにならぬと、つい嫌になりがちであります。これは政治家に限らず、およそ人に長たる者の常に注意しなければならずことであります。

●怒りを移さず、過ちを繰り返さない
「孔子答えて曰く、顔回なる者あり、学を好み、怒りを移さず、過ちをふたたびせず。(雍也第六)」
怒りを移さず、過ちを繰り返さない、なかなかできないこと。たいていは腹立ちまぎれに他に当たってしまう。ああ、自分が不忠であったと反省する人は意外と少なく、小事にその人間がよく現れるといいますが、そのとおりで、何でもない些細なことにその人の性格がよく出るものであります。

●人の世の本質-共に立ち難く、共に権るべからず
「子曰く、共に学ぶべし、未だ共に道をゆくべからず。(子穿第九)」
人間が生活するに当たって一番大事なことは何かと言うと、まず道をつけること。道がなければ歩けない。一堂に会して共に学ぶという事は、志さえあれば誰でもできることです。複雑な世の中に処して共に権ってゆく段階となると、夫婦の考え方や為さんとするところが違って、いろいろと問題が起こる。しっくりと呼吸が合うようにやってゆくには、双方がよほど修養しないといけない。

●傲慢でケチな人間は論ずるに足りない
「子曰く、もし周公の才の美有るも、驕且つ稟ならしめば、その余は観るに足らざるのみ。(泰伯第八)」
周公のような人間の理想、革命・建設の大いなる手腕を備えた偉大な人間であっても、驕且つ稟ならしめば駄目になってしまう。例えばスターリンや毛沢東は、ある意味才の美を具えておる、偉大である。しかし、驕且つ稟であり仁の反対、徳がない。それでは他の事がいくらよくできても、論ずるに足りない。

●燃えている人間は理想像を抱く
「甚だしいかな、吾が衰えたるや。久しきかな、吾れ復夢に周公を見ざるなり。(術而第七)」
人間は熱烈な理想に燃えておれば、自ずから理想像を抱くようになるものでありまして、これは実に人間らしい尊いことである。

●悪にいかに対応すべきか
悪は非常に強いものである。悪は、何事によらず攻撃的で、人を責める。いかに対応すべきか、泣き寝入りをするのは全くお話にならぬ意気地ない態度です。偽善的で立派な理由をつけてその意気地なさをごまかそうとするのも良くない。
神武型、人間の道を重んずるがゆえに、悪を憎んで断固としてこれを封ずる態度がふさわしい。人を憎むと言っても人間をにくむのではなく、その人間の行う悪をにくむのである。その人間を憐れんで、悪から解放してやるのです。

●慈悲・仁愛の心
人が万物と生を同じうするところより生じる共感を愛と申します。知を頭脳の論理とすれば愛は心腹の論理である。万物と共に生き万物と一体となって、天地の大徳である「生」を育てようとする徳を「仁」と申します。
人間は必ずしも知の人でなくてよろしい。才の人でなくてもよろしい。しかし、どこまでも情の人・愛の人でなくてはなりません。

  • user 内田
  • time 2023年10月28日
  • tag
  • comment 0

レビュー『経営者の条件』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

経営者の条件』P.F.ドラッカー ダイヤモンド社

ドラッカー名著集の最初に出てくる有名な書籍です。

まえがきに書かれております通り、経営者は自分自身をマネジメントできないといけません。自らをマネジメントできない者が、部下や同僚をマネジメントできるはずがないからです。すなわち、マネジメントとは、模範となることによって行うものであるという言葉は重みがあります。

本編の最初に「八つの習慣」という言葉があります。スティーブン・コヴィー氏の7つの習慣のような内容です。
その中でも特に印象的な習慣は第二の習慣「組織のことを考える」です。
株主、従業員、役員のためによいことは何かを考えるのではなく、そもそも組織としての会社にとって良いことでない限り、他のいかなる関係者にとってもよいこととはなりえない。
この第二の習慣は、特に同族企業の人事において重要であり、同族企業が繁栄するには、同族のうち明らかに同族外の者より仕事ぶりの勝る者のみを昇進させなければならない。

第三章にあるように成果をあげるには、自らの果たすべき貢献を考えなければならない。手元の仕事から顔を上げ目標に目を向ける。組織の成果に影響を与える貢献は何かを問う。そして責任を中心に据える。
ところがほとんどの人が下に向かって焦点を合わせ、成果ではなく努力に焦点を合わせる。組織や上司が自分にしてくれるべきことを気にする。その結果、本当の成果をあげられない。

人材の育成」においても大きな成果が必要である。
組織は個としての生身の限界を乗り越える手段である。今日、明日のマネジメントにあたるべき人間を準備しなければならない。人的資源を更新していかなければならず、確実に高度化していかなければならない。そして次の世代は、現在の世代が刻苦と献身によって達成したものを当然のこととし、さらにその次の世代にとって当然となるべき新しい記録を作っていかなければならない。ビジョンや能力や業績において、今日の水準を維持しているだけの組織は適応の能力を失ったというべきである。人間社会において唯一確実なものは変化である。自らを変革できない組織は明日の変化に生き残ることはできない。

コミュニケーション」は、現代組織におけるその必要性と欠如に気がついた頃と同じように貧困なままである。ようやく今日、コミュニケーションに関わる膨大な努力がなぜ成果を生み出せないかが明らかになり始めたところである。これまで研究されてきたのは、経営管理者から従業員へ、上司から部下へという、下方へのコミュニケーションだった。だが、コミュニケーションは下方への関係において行われる限り事実上不可能である。このことは、知覚についての研究が明らかにしたところである。上司が部下に何かを言おうと努力するほど、かえって部下が聞き違える危険は大きくなる。部下は、上司がいうことではなく、自分が聞きたいことを聞き取る。

貢献」を生み出すためには、「組織、および上司である私は、あなたに対しどのような貢献の責任を期待すべきか」「あなたに期待すべきことは何か」「あなたの知識や能力を最もよく活用できる道は何か」を聞き、初めてコミュニケーションが可能となり容易になる。その結果、まず部下が「自分はどのような貢献を期待されるべきか」を考えるようになる。そこで初めて、上司の側に、部下の考える貢献についてその有効性を判断する権限と責任が生じる。

  • user 内田
  • time 2023年10月21日
  • tag
  • comment 0

レビュー『ひとり3000万円稼ぐ会計事務所の作り方』

 

 

 

 

 

ひとり3000万円稼ぐ会計事務所の作り方』㈱実務経営サービス 税理士法人コスモス 鈴木成美

税理士法人コスモス(本店名古屋)は、他人の稼ぎに頼るような職員はひとりもおらず、資格の有無に関係なく、全員が自分の売上を伸ばすという強い意識を持っています。その結果、2019年度は売上は11.5億円(正社員換算38名)、一人当たり売上3000万円という生産性を実現しました。

組織の生産性を高めるためには、経営理念の確立、人材育成、新規開拓・開発、業務改善など、多角的な取り組みが必要ですが、税理士1人が頑張るような状況ではだめで、所長の右腕を育て、職員が経営者になり、主体的に仕事ができれば生産性も上がっていきます。

この仕事は地域の名だたる経営者からお話を伺い、その人生観や価値観に触れられ、大変な刺激になります。だから、コスモスの職員は、少なくとも1日に2社、週に10社は顧問先を訪問し、必ずお客様に会う決まりになっています。経験の浅い職員にとっては、経営者と踏み込んだ会話をするのは簡単なことではありません。しかし、数をこなしていけば会話のレベルも上がり、頼られるようになります。何十人もの部下を従える会社のトップから頼りにされて嬉しくない人はまずいませんし、それを誇りに思うはずです。誇りが持てれば、おのずと仕事に愛着も生まれます。自分の仕事に愛着が持てて初めて、人は全力を尽くせるのではないでしょうか。会計事務所のトップは、職員がお客様と会って何をしたかを聞いて、きちんと評価することが大切です。

職員の成長を促すには、まずは仕事を増やすことです。職員はそこで今までのやり方では仕事がこなせなくなります。働き方を見直し、やり方を工夫する必要がありますが、それが成長の機会になります。人が辞めてもすぐに増やさないようにしましょう。
つまり残った職員がカバーをして、また成長のチャンスになります。仕事を増やすと同時に、職場に適度な厳しさを持たせることも必要です。所長が厳しいことを言うように心がけ、さらに厳しいことを言えるリーダーを育てます。これは厳しいことを言わなければ本質が伝わらないからです。当たり障りの無いことばかりを言っていて、そのような職場で働いている職員が、事業承継の案件で経営者に厳しいことを言えるでしょうか。企業経営は本質的に厳しいものです。そのお客様を相手にしている私たちが、馴れ合い体質で甘いことを言っていたら相手にしてもらえません。

職員に意識改革を促すにあたり、所長にはまず「自分だけが主役の事務所」から「職員も主役の事務所」に変えるという覚悟を決めて、4つの問いと向き合います。
①事務所を永続させる強い意志があるか(顧問先にとって、職員にとって未来永久に拠り所となれるか
②職員に高い給料を払う気があるか(せっかく職員が成果を上げたのに懐が潤うのは所長だけでは一生懸命働きたくありません。)
権限を委譲する気持ちがあるか(職員が何かを判断する度に所長の許可を得ているようでは業務が滞り成長もしません。)
経営をオープンにできるか(成果給の計算の仕組み・各人別売上・経常利益をオープンに)

所長は改革を含めたビジョン、目的を職員に何度も伝えるべきです。人に思いを伝えるのは、池に雪を積もらせるようなもので、話した端からその効果は消えていきます。しかし、何日も降り続く雪がいつの間にか池を覆い隠すように、話し続けていれば、いつかは人の心に刻み込まれます。日本や会計事務所を取り巻く厳しい状況。その中で自分たちの事務所が力を付けて、地域とお客様に貢献して、職員全員が豊かに暮らしていけるように何をしなければいけないかを話しましょう。プロとしての誇りを持てる、成果を上げた人が報われる仕組みなのだということを前向きに伝えましょう。これらと並行して、リーダーにする職員の目星を付けておきます。ここでいうリーダーとは、単なる部下のまとめ役ではなく、意識改革や人材育成、事務所の成長を先導する「所長の右腕」です。リーダーには所長に近い権限が与えられ、部下が付き、役職手当も支給されます。グループリーダーであるグループ長の手当は月額3万〜15万円、それはリーダーがそれだけ特別な役割を担っているからで、役職手当で報酬をある程度保証することで、組織のために時間を割いても損をささないようにしています。

人材育成の中では、顧問先企業の発展を願い、仲間と共に道を切り開いていこうとする心(人間性)が最も大切です。そのために所長は、職業人としての考え方や、生き方を示すことが大切です。なぜなら、会計事務所においては所長は大黒柱であり、職員は皆、その姿をある種の指針として働いているからです。所長が仕事に対する姿勢をはっきりと打ち出せば、職員の意識をひとつの方向に束ねていけます。所長はまず、ひとりでもよいのでリーダーを育てます。対象となる職員と話す機会を意識して設け、会計人として働くことの意味について伝えます。お客様である中小企業経営者の置かれた厳しい状況や、会計業界の現状など、所長が悩み考えていることを率直に伝えるとよいと思います。所長とリーダーが想いを共有することは、事務所を発展させていくうえで極めて重要です。こうした意思疎通が、全職員に対する人間教育にもつながっていきます

2008年にコスモスと統合した三好税理士事務所の三好税理士。
「コスモスは日本で一番ハードな、激務の事務所だと聞いていました。そんなところと一緒になって大丈夫かと周りから心配されましたが、私は逆に考えていました。私がコスモスのように丁寧に事務所を見て人を育て成果に報いる取り組みをしていれば、優秀な人が辞めることはなかったのです。仕事ができる人は独立しようと思えばできますが、コスモスは定着率が高くほとんど人が辞めません。給与もとてもよいですが、お金だけではない何かがあると感じたことも、コスモスと経営統合を選んだ理由です。」

最後に人を動かすのは「やりがい」です。人はお金だけで動くわけではないもいう当たり前のことです。具体的には仕事を通じて、人や社会の役に立っていると実感できることです。お客様の会社の発展・存続に貢献することができた、事務所の発展に貢献できた、地域経済に貢献できた、だから自分は役に立っている。そう感じられるのがやりがいです。少子高齢化が進展するなか、中小企業はその数を急速に減らしています。このままでは、日本の将来が危うい状況です。しかし、私たちコスモスはさまざまな方法で経営者を支援し、中小企業の減少にブレーキをかけることができます。担当者として経営者を直接支援するのも大切なことですが、日本全体のことを考えると、一社でも多くの中小企業を支援しなければなりません。

  • user 内田
  • time 2023年10月7日
  • tag
  • comment 0