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レビュー『経営者の条件』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

経営者の条件』P.F.ドラッカー ダイヤモンド社

ドラッカー名著集の最初に出てくる有名な書籍です。

まえがきに書かれております通り、経営者は自分自身をマネジメントできないといけません。自らをマネジメントできない者が、部下や同僚をマネジメントできるはずがないからです。すなわち、マネジメントとは、模範となることによって行うものであるという言葉は重みがあります。

本編の最初に「八つの習慣」という言葉があります。スティーブン・コヴィー氏の7つの習慣のような内容です。
その中でも特に印象的な習慣は第二の習慣「組織のことを考える」です。
株主、従業員、役員のためによいことは何かを考えるのではなく、そもそも組織としての会社にとって良いことでない限り、他のいかなる関係者にとってもよいこととはなりえない。
この第二の習慣は、特に同族企業の人事において重要であり、同族企業が繁栄するには、同族のうち明らかに同族外の者より仕事ぶりの勝る者のみを昇進させなければならない。

第三章にあるように成果をあげるには、自らの果たすべき貢献を考えなければならない。手元の仕事から顔を上げ目標に目を向ける。組織の成果に影響を与える貢献は何かを問う。そして責任を中心に据える。
ところがほとんどの人が下に向かって焦点を合わせ、成果ではなく努力に焦点を合わせる。組織や上司が自分にしてくれるべきことを気にする。その結果、本当の成果をあげられない。

人材の育成」においても大きな成果が必要である。
組織は個としての生身の限界を乗り越える手段である。今日、明日のマネジメントにあたるべき人間を準備しなければならない。人的資源を更新していかなければならず、確実に高度化していかなければならない。そして次の世代は、現在の世代が刻苦と献身によって達成したものを当然のこととし、さらにその次の世代にとって当然となるべき新しい記録を作っていかなければならない。ビジョンや能力や業績において、今日の水準を維持しているだけの組織は適応の能力を失ったというべきである。人間社会において唯一確実なものは変化である。自らを変革できない組織は明日の変化に生き残ることはできない。

コミュニケーション」は、現代組織におけるその必要性と欠如に気がついた頃と同じように貧困なままである。ようやく今日、コミュニケーションに関わる膨大な努力がなぜ成果を生み出せないかが明らかになり始めたところである。これまで研究されてきたのは、経営管理者から従業員へ、上司から部下へという、下方へのコミュニケーションだった。だが、コミュニケーションは下方への関係において行われる限り事実上不可能である。このことは、知覚についての研究が明らかにしたところである。上司が部下に何かを言おうと努力するほど、かえって部下が聞き違える危険は大きくなる。部下は、上司がいうことではなく、自分が聞きたいことを聞き取る。

貢献」を生み出すためには、「組織、および上司である私は、あなたに対しどのような貢献の責任を期待すべきか」「あなたに期待すべきことは何か」「あなたの知識や能力を最もよく活用できる道は何か」を聞き、初めてコミュニケーションが可能となり容易になる。その結果、まず部下が「自分はどのような貢献を期待されるべきか」を考えるようになる。そこで初めて、上司の側に、部下の考える貢献についてその有効性を判断する権限と責任が生じる。

  • user 内田
  • time 2023年10月21日
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