mv-icon
税理士法人
TAPブログ

レビュー『論語の活学』

  • user 内田
  • time 2023年10月28日
  • tag
  • comment 0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

論語の活学』 安岡正篤 プレジデント社

非常にわかりやすく論語の考え方を書いた名著。
印象的だった内容を抜粋させていただきます。

●君子の条件-誠実(内的規範)と礼(外的規範)
「子曰く、質、文に勝てば則ち野。文、質に勝てば則ち史。(雍也第六)」
人間も木と同じ。少し財産だの、地位だの、名誉だの、というようなものが出来て社会的存在が聞こえてくると、懐の蒸れといっしょで、いい気になって、心理を聞かなくなる。道を学ばなくなる。つまり風通しや日当りが悪くなるわけです。したがって人間はやはり、真理を学び、道を行ずることがどうしても必要であり、これを忘れると駄目になる。

●政治の要諦-率先して骨折ることに倦むことなかれ
「子曰く、之に先んじ之を労す。益を請う。曰く、倦むこと無かれ。(子路第十三)」
政治家というものは、何よりもまず民衆の先頭に立って骨を折らなければいけない。そうして彼らをねぎらうことを忘れてはならない。倦むことなかれ=途中で嫌になってはいかんぞ ということ。人間というものは、自分の思うようにならぬと、つい嫌になりがちであります。これは政治家に限らず、およそ人に長たる者の常に注意しなければならずことであります。

●怒りを移さず、過ちを繰り返さない
「孔子答えて曰く、顔回なる者あり、学を好み、怒りを移さず、過ちをふたたびせず。(雍也第六)」
怒りを移さず、過ちを繰り返さない、なかなかできないこと。たいていは腹立ちまぎれに他に当たってしまう。ああ、自分が不忠であったと反省する人は意外と少なく、小事にその人間がよく現れるといいますが、そのとおりで、何でもない些細なことにその人の性格がよく出るものであります。

●人の世の本質-共に立ち難く、共に権るべからず
「子曰く、共に学ぶべし、未だ共に道をゆくべからず。(子穿第九)」
人間が生活するに当たって一番大事なことは何かと言うと、まず道をつけること。道がなければ歩けない。一堂に会して共に学ぶという事は、志さえあれば誰でもできることです。複雑な世の中に処して共に権ってゆく段階となると、夫婦の考え方や為さんとするところが違って、いろいろと問題が起こる。しっくりと呼吸が合うようにやってゆくには、双方がよほど修養しないといけない。

●傲慢でケチな人間は論ずるに足りない
「子曰く、もし周公の才の美有るも、驕且つ稟ならしめば、その余は観るに足らざるのみ。(泰伯第八)」
周公のような人間の理想、革命・建設の大いなる手腕を備えた偉大な人間であっても、驕且つ稟ならしめば駄目になってしまう。例えばスターリンや毛沢東は、ある意味才の美を具えておる、偉大である。しかし、驕且つ稟であり仁の反対、徳がない。それでは他の事がいくらよくできても、論ずるに足りない。

●燃えている人間は理想像を抱く
「甚だしいかな、吾が衰えたるや。久しきかな、吾れ復夢に周公を見ざるなり。(術而第七)」
人間は熱烈な理想に燃えておれば、自ずから理想像を抱くようになるものでありまして、これは実に人間らしい尊いことである。

●悪にいかに対応すべきか
悪は非常に強いものである。悪は、何事によらず攻撃的で、人を責める。いかに対応すべきか、泣き寝入りをするのは全くお話にならぬ意気地ない態度です。偽善的で立派な理由をつけてその意気地なさをごまかそうとするのも良くない。
神武型、人間の道を重んずるがゆえに、悪を憎んで断固としてこれを封ずる態度がふさわしい。人を憎むと言っても人間をにくむのではなく、その人間の行う悪をにくむのである。その人間を憐れんで、悪から解放してやるのです。

●慈悲・仁愛の心
人が万物と生を同じうするところより生じる共感を愛と申します。知を頭脳の論理とすれば愛は心腹の論理である。万物と共に生き万物と一体となって、天地の大徳である「生」を育てようとする徳を「仁」と申します。
人間は必ずしも知の人でなくてよろしい。才の人でなくてもよろしい。しかし、どこまでも情の人・愛の人でなくてはなりません。

Leave a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です