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レビュー『数値化の鬼』
『数値化の鬼』 安藤広大 ダイヤモンド社
「仕事ができる人(評価者からの評価を得られる人)」「急成長する人」には、ある共通点があります。それは、物事を「数字で考えられる」ということです。足りない部分を数字で認識して、正しく埋めようとする、つまり「数値化」の思考がものをいう。数字に向き合わずに成長できる人は、誰一人としていません。数値化はお互いの誤解をなくしてくれるものです。
ステップ1「行動量を増やす」(数をこなすことから始める)
ホームランを打ちたければ誰よりも多くバットを振る回数を増やすしかありません。上司は、行動すべき事を分解して何が「P(目標)」で、何が「D(行動)」なのかを伝えられると、部下は動けます。
心理的な問題で行動量が減ってしまうのには3つの理由があります。①何をすればいいかが明確ではない②失敗したくない。③上司やリーダーの言う事が納得できない。
総務や製造など数値化が全てではないような職種でも例えば次のような数字で測れる部分を見つけて、できるだけ数値化しましょう。「ミスの回数は何回だったか」「業務改善数は何回あったか」「期限遵守率は何%だったか」
ステップ2「確率のワナに気をつける」(あなたの動きを止めるもの)
年齢が上がるにつれて部下から失敗している事を見られたくない気持ちが強くなり、行動量でなく成功確率だけにフォーカスする「働かないおじさん」にならないようにしましょう。メンバー全員が成長を目指し、働かないおじさんを1人でも生み出さないためには「マイナス評価」を取り入れて給料にも反映させる事です。ゼロという評価は無く、マイナス評価をつけて「このままではマズい」ことを認識してもらいます。その人の人格や人間性がマイナスなわけではありません。この先の成長を信じているからこそマイナス評価を与えられます。マイナスの人の給料を下げる分、貢献してくれた人にはプラスの給料を与える事ができ、組織として健全です。
ステップ3「変数を見つける」(やるべきこと、やらなくていいこと)
見極め、変えられることを変えようと努力し、変えられないことは早々に見切りをつけること。仕事において最も重要な能力。
例えば、店舗スタッフとして「1ヶ月で100万円を売り上げる」という目標があるとします。結果80万円だったとします。
ここで売上が足りなかった理由はいくつも考えられるはずです。「1ヶ月のうち10日も雨が降った」「アルバイトの学生が2人も辞めてしまった」「新商品が期待ほど売れなかった」「リピーターが獲得できなかった」
これらの理由のうち、まずは変えられないこと(定数)」を考えます。「雨が降ること」はどうしようもありません。またアルバイトが辞めたことと新商品が売れなかった事は要望クレームに対処するなどある程度の改善は必要かもしれません。ただそれは不確定要素もあるため、「リピーターの獲得」を変数に設定しましょう。
そのために「顔と名前を覚えて口にして接客する」「ポイントカードの回収率を割り出す」「新商品説明により次回来店で試してもらえる確率を上げる」という変数への対処を進めます。
ステップ4「真の変数に絞る」(過去の成功を捨て続ける)
やる事を10個あげた後に、その中で上位の3つを「今すぐやるべきこと」とし、残りの7つを「やらないこと」にします。そうすることによって、最重要事項に集中できます。変数を減らす方法は2つ、1つ目が「他に変数がないかを考え、前例を手放すこと」。2つ目が上司から「それは変数でない、と指示をすること」。
成果を出せなかったとしたら変数を見直さないといけません。目標を達成している場合も、現状維持を許さず、つねに成長させる機会を与えます。つねに危機意識を持たせ、「変数を見直さざる得ない」という環境を作り出します。数値化によって意識を上げてもらう事が心理的安全性を生み出します。
ステップ5「長い期間から逆算する」(遠くの自分から逆算する)
ビジネスでは、短期的に損をしているように見えても、長期的にトクをすることがよく起こります。短期的な決断でもつねに「5年後、10年後はどうなっていくだろう」ということをセットで考えましょう。5年後になっているべき姿になるため、まず1年後にどんな目標があり、この1週間に何をやるべきで、今日1日はどう過ごすべきなのか。最後の姿のために逆算が必要です。
目の前の部下が成果が出なくて落ち込んでいるとき、つい数字の話を横に置いて優しい言葉だけを掛けてしまうのが人間でしょう。しかし、そこで上司は「リーダーの仮面」を被り、部下は「数値化の鬼」として振る舞えた時こそ、彼らは成長できるのです。
- 内田
- 2024年3月9日
- 本
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