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【本】レビュー『パーカーを着た税理士たちが、DXで世界を変える!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パーカーを着た税理士たちが、DXで世界を変える!』青春出版社 朝倉歩

サン共同税理士法人の代表-朝倉歩さんによる著書。

10年後、税理士という仕事は無くなるのか。いま変われば最高にカッコイイ仕事になる。私たちの事務所では、机の並べて電卓をはじき、紙の書類を扱うといったような従来の税理士事務所のイメージとはかけ離れた仕事の仕方をしています。そのキーワードは「DX」。僕たちは、従来の税理士事務所ではあり得ない新しい仕事の在り方の実現に挑戦しています。

パートスタッフも含めた総数約120名のうち、約半数が在宅スタッフで構成されています。既存の業界慣習にとらわれず、朝礼なし、服装自由、成果重視の仕組みを導入し、それでいて残業ゼロへの取り組みを徹底。テレワーク、フレックスタイム制、時短勤務など、柔軟な働き方を推進しています。

税理士資格の受験者数は近年、減少の一途をたどっていました(2021年からわずかに増加に転じています。)僕たちの事務所だけでなく、税理士業界全体が永続的に成長していくためには、若い優秀な人材にとって、魅力的な職業に見えることが必要不可欠です。この仕事のやりがい、未来、可能性をどれだけ感じてもらえるか?だからこそ、競争相手は同業の税理士事務所ではありません。ライバルは一般企業です。今現在の僕は「すべての企業がIT企業のようになっていく」と考えています。それまでアナログで提供されていたサービスがデジタル化されていくことを意味していますが、それ以上に、集客や採用、教育などがデジタル化されていくことを意味しています。だからこそ僕は「デジタルの力を最大限に活用すればするほど、強い組織になれる」と考えています。

サン共同税理士法人では、システムエンジニアなどITに強い技術者を積極的に採用し、自社独自のシステムを開発しています。また、自動入力の分野では業界に先駆けてRPAやAPI連携などの技術を活用しています。2023年には、ChatGPTやメタバースなどの最新のテクノロジの活用をすでに始めています。こうした変化と進化を支えているものは、企業文化にほかなりません。「新しいものは、取り入れて当たり前」だという考えは、僕だけでなく、サン共同税理士法人全体のカルチャーとなっています。税理士事務所は、ほかにはない多くの顧客情報などの情報資産を有しています。お客様の売上、従業員数、業種などはもちろん、社長のキャリア・趣味嗜好・思考法などは税理士事務所しか有していない情報だと思います。こうした情報資産をどのように活用していくか。僕たちが社内で独自システムを開発している狙いの一つには、そうした独自の情報を活用していこうという考えがあります。税理士事務所のビジネスの弱点、課題、手の届いていないところ。そうしたものを全部ひも解いて分析し、解決策を生み出しながら、お客様に提案をしていく。そうした試行錯誤を繰り返すことで、新しい税理士事務所のビジネスモデルが見つかるのではないかと僕は考えております。

僕たちがやるべきことは仕事の「生産性の向上」と「付加価値の向上」の2つです。テクノロジーを駆使して業務を効率化し生産性を向上させ、顧客の期待を超える付加価値の付いたサービスを提供すること。一方でどうやって付加価値を上げるのか?そのカギとなるものは、コンサルティング能力だと僕は考えています。税理士事務所という仕事は、形のある商品を提供する仕事ではありません。付加価値は、クライアントの期待を超える仕事をしたときに生まれるものです。僕は将来的に、サン共同税理士法人を税務会計の知識をバックボーンにしたコンサルティング集団にしていきたいと考えています。具体的には、税務や経営に直結するITの知識を持ち、クラウド会計の導入などクライアントに有益なITツールの導入提案を行えること。また経理業務の自計化など、クライアントの業務改善提案までできる事務所になることです。

サン共同税理士法人ではテレワークを活用した事務所運営に力を入れています。IT業界などではテレワークを中心にした働き方が進んでいます。にもかかわらず税理士事務所ではテレワークができないとなれば、新卒採用などにも影響し、業界の魅力が失われてしまいます。僕たちはフルリモートでも仕事ができる環境を構築しておくことが重要で、そのうえでリアルで出社した時は、リアルでしかできないことを行う事が重要だと思っています。徹底しているのは業務効率化であり、目指しているのは生産性の高い働き方の実現です。「残業ゼロ」「有給未消化ゼロ」「離職率ゼロ」、僕はこの3つのゼロを本気で達成したいと思っています。働いている様子を見ていても、閑散期であれば18時過ぎには、ほとんどのスタッフが仕事を終えています。繁忙期でも19時頃には仕事を終えています。遅くまで仕事をしている日でも20時を過ぎる日は年間で数日程度です。

安くて高品質なサービスが提供出来たら、顧客満足度は上がっていくと思うので、それを目標に企業努力をしていこうと考えています。例えば年間50~80万円で提供されている税務顧問サービスを、DXでコストカットし、相場の半値程度で提供できるようにするイメージです。私がイメージしているのは「ユニクロ」です。ユニクロは「高品質で低価格」だから売れていて、お客様に愛されるブランドになっています。僕たち買い手からすれば、安い上に品質が良いから購入しているのではなく、品質が良い上に安いから購入しているのだと思います。その意味で、優先すべきは低価格ではなく、品質です。

税理士事務所のスタッフには、勉強好きな性格を持った人が多くなっています。僕は税理士事務所という組織を率いているからこそ、スタッフに対して学びの機械や成長の機会を提供し続けることを大事にしなくてはならないと思っています。事務所規模が大きくなり、そろそろ限界に近づいてきてはいますが、僕は全員の日報を毎日目を通すことにしており、気になった内容のスタッフにはチャットを送ったりしています。日報の書き方からは、各スタッフの性格や仕事のやり方が垣間見えますので、そこからたくさんの情報を得ています。サン共同税理士法人の評価制度は、インセンティブ重視(手当)ではなく、プロモーション重視(昇格)になっています。仕事ができる人に手当で還元するのではなく、昇格で還元し、高い職位となってやりがいをもって仕事をしてもらいたい。管理職を育てるうえで、僕はこうした考え方を重視しています。

 

 

  • user 内田
  • time 2024年10月19日
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