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【本】レビュー『地方の小さな会社が入社したい企業全国9位になった理由』
『地方の小さな会社が入社したい企業全国9位になった理由』 鈴木一輝 あさ出版
なぜテルズ&クイーンはここまで、学生に支持されるのか。
その理由は、会社で働いている社員の姿にあります。
一人ひとりが目標に向かって成長意欲を高める姿を見て、この人たちと一緒に働いて成長したいと思うのです。
テルズ&クイーンは毎年10名以上、東北北陸エリアの中小企業において、これだけ多くの新卒を採用するのは異例のことかもしれません。
私は「新卒採用に力を入れなければ、中小企業は生き残れない」「中小企業こそ、苦しいときこそ、新卒採用に力を入れるべき」と確信しています。
2021年の採用コストは4000万円でした。「新卒を採用してもどうせすぐに辞めていく」という前提ですも無駄なコストと感じるかもしれませんが、私は新卒採用費は投資と位置付けています。
「新卒社員が辞めずに頑張って、楽しんで、やりがいを持って仕事をしてくれたら、何倍にもなって返ってくる」からです。
既存の社員や中途採用だけでは業務改善が進みません。
組織にとって大切なのは、「社員の価値を揃える事」です。価値観が揃っているとは、「社員が社長(上司)の指示通り(会社の方針通り)に動く状態」「社長と社員が同じ判断基準で行動する状態」のことです。
価値観が揃っていると「社長や上司の決定、指示が即時に実行できる」「チームワークが強くなる」「誰が対応しても一定レベルのサービスを提供できる」ため組織力が高まります。このために必要なのが文化や改革を受け入れられる「新卒」なのです。
合同企業説明会は若手社員と内定者が担当しています。
なぜならば、ベテラン社員だけだと就活生が萎縮して話しにくく、若手社員だと具体的なアドバイスができるからです。
合同企業説明会は知名度の劣る中小企業が自社の存在に気づいてもらうために、学生を振り向かせる好機です。
当社の一次&二次面接では、責任者と就活生が1対1での面接で就活生の本音をあぶりだし、最終面接では10分間スピーチをしてもらい社長も参加してウソをついていないか=サービス業としての誠実さ、この会社に入りたい、自分をさらけだせるか、の整合性を見ます。
内定者段階での教育を充実させる事で、内定辞退を防げます。
内定者はときに不安を感じ、気持ちは揺れる。放っておくと、内定辞退に発展しかねません。
内定者研修を行うと、「内定辞退率」と「新卒離職率」を四つの理由から下げる事ができます。
①入社前と入社後のギャップがなくなる②基礎的なスキルが身につく③先輩社員や内定者同士のコミュニケーションが取れる④ストレス耐性を高める事ができる。
学生のストレス耐性は分析ツールからも明らかなように年々弱くなっています。
今の内定者は「命令されること」「失敗して恥をかくこと」「他人と競争すること」「他人にチェックされること」にストレスを感じやすい傾向にあります。
「ストレスに弱い人を採用して、少しずつストレス耐性を強くしていく」のが今の時代の新人教育です。
- 内田
- 2024年11月16日
- 本
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【本】レビュー『ビジョナリーカンパニー』
『ビジョナリーカンパニー』 ジム・コリンズ 日経BP
1995年発刊。「マネジメント」で有名なドラッカーの教え子で後継者と言われる世界的経営学者の最も有名な著作。
●建築家のような方法-時計をつくる
ビジョナリーカンパニー(業界で卓越し尊敬されCEOが変わりながら長く続く企業)の経営者は当初は組織志向が強かったが、時を告げる人でなく時計をつくる人であった。会社を築き経営する仕事に携わっているのであれば、カリスマ的指導者になろうと考える時間を減らし、サービスや製品についてすばらしいビジョンを考えたり、組織についてのビジョンを考え、自分たちやすべての未来の指導者が従うべき憲法をつくる時間をつくるべきである。
●基本理念を維持し、進歩を促す
世界は変化している。この難題に組織が対応するには、企業として前進しながら信念以外の組織のすべて(ルール・製品ライン・目標・能力・業務方針・組織構造・報酬体系ほか)を変える覚悟で臨まなければならない。組織にとっての聖域は、その基礎となる基本理念だけだと考えるべきである。「顧客の期待以上のことをする」というウォルマートの基本理念(文化・戦略・戦術・計画)はずっと変わらないが、入り口に挨拶係が立っているのは理念ではなく「慣行」であり変わることもある。基本理念以外を変えるという進歩の意欲は、探求し、創造し、発見し、達成し、変化し、向上しようとする人間の奥深い衝動から生まれる。この意欲を持っていない人間は入社させるべきではない。
●社運を賭けた大胆な目標-進歩を促す強力な仕組み
本物の目標は明確で説得力があり、集団の力を結集するものになっている(ex.1960年迄に月に人間を着陸させる)。退屈な経営理念は終始聞かされているが月旅行のような明快な目標、聞いただけでわくわくさせられるよう大胆な目標は持っていないだろうか。「業界で最も利益額の大きい会社となる」「日本の製品は品質は悪いという外国での評判を変える」のような大胆な目標に何度も取り組むことを検討すべきである。
●働く意欲を高め会社への忠誠心のある文化
ビジョナリーとは、やさしさではなく、自由奔放を許すことでもなく、全く逆でありビジョナリーカンパニーは自分たちの性格、存在意義、達成すべきことをはっきりさせているので、自社の厳しい基準に合わない社員や合わせようとしない社員が働ける余地が少なくなる傾向がある。カルト的な理念への熱狂、教化への努力、同質性の追求、エリート主義を持っている。入社後には顧客サービスの英雄の物語が話され、壁には標語を貼り、宣言を何度も唱えるよう教え、拍手と喝采で英雄を讃え、徹底した強化を続けていく。同質性を追求しその会社の流儀に合った社員は、給料・資格・表彰などで次々に励ましを受け、合っていない社員は取り残され罰を受け減点され、次々に嫌な思いをする。
●生え抜きの経営陣
ビジョナリーカンパニーは、社内の人材を育成し、昇進させ、経営者としての資質を持った人材を注意深く選択している。後継者の育成を、基本理念を維持する努力の柱にしている。社外から経営者を招いていては、先見性が際立つ企業になることも、その座を守ることも、きわめて難しいと言える。経営幹部育成のための制度を設け、長期的な後継計画をつくって、ひとつの世代から次の世代への移行が円滑に進むようにすべきだ。企業内で先見的な事業部門、グループをつくっているのであれば、スケールは小さくなるが、やはり幹部の育成と後継計画を考えることができる。最後に、自分にぴったり合っているビジョナリーカンパニーに勤めているのであれば、転職よりも、その企業の中で自分の能力を伸ばすことを考えてみるべきではないだろうか。ビジョナリーカンパニーを築くという観点に立つならば、問題はいまの世代で会社をどこまですばらしいものにするかだけでなく、決定的な点は次の世代で会社がどうなるか、その次の世代でどうなるか、そのまた次の世代でどうなるかである。
- 内田
- 2024年11月9日
- 本
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【本】レビュー『会社をつぶさない社長の選択』
『会社をつぶさない社長の選択』松岡靖浩 かんき出版
弊社-税理士法人TAPのスタッフは、社長様から経営での選択についての相談を受けることが多く、こちらの書籍の著者も税理士として多くの相談を受けるそうです。
社長様からは「右に行こうか左に行こうか・・・私は右に行こうと思っているけど松岡さんはどちらがいいと思いますか」というどちらが自分会社にとってメリットがあるのか、会計事務所の目から判断を仰ぎたいというものです。
経営者はあらゆる局面で「どちらにするか」という「選択」を迫られます。ほとんどの方は、心の中でどちらを選ぶか決めていますが、それが本当に正しいのか、背中を押してほしいのです。もし私が反対の事をすすめるのであればその理由を知り、自社にとってメリットの多い選択をしたいのです。本書は多くの経営者とお話をしてきた中から、ご相談の多かった53の「選択」をピックアップしております。
●会計事務所に丸投げするvs会計ソフトを使う
最近は様々なクラウド会計ソフトが出てきていて、非常に使いやすくなってきているので、会計事務所に丸投げするのではなく会社が自ら行うケースも増えてきています。但し、事業規模が大きくなれば経理は必要になりますが、現状そこまででなければ経理人材を雇うより会計事務所へ丸投げした方がメリットが大きいです。なぜなら融資相談にも必要な試算表を定期的に作成してくれて、今はほとんどオンラインでデータを送れますので、経営者としての時間が制限され利益が下がってしまっては本末転倒ですので、経理が雇えるまでは、会計事務所に丸投げしましょう。
●客単価を上げるvs客数を増やす
お店が広くない場合、限られたキャパの中でお客様が増えてもそれほど売上は上がりません。したがって、客数よりもまずは客単価を上げていくところから手をつけるべきなのです。値上げ以外で客単価を上げる方法も3つあります。松竹梅の3つの価格帯を作り真ん中を選んでいただく「松竹梅戦法」。お客様が購入する際に、おすすめ商品・上級商品を組合せて買ってもらう「クロスセル、アップセル」。滞在時間延長時やカラオケ使用時に課金をする「掛け算思考」。
●高利益率高単価vs薄利多売
お客様から相談される際、私は「高単価でしっかりと利益を取っていきましょう」とアドバイスするケースが多いです。なぜなら、薄利多売で商売をする場合、資本力がないと厳しいからです。一般的に仕入が先に出る事が多くある程度資金に余裕がないと商売として回すことがかなり厳しくなります。また薄利多売になると、単純に取引の数が増えることになります。つまり、取引の手間が増えるということです薄利多売をするとしても一つの入り口ステップとすることが良く、最初は無料だったり安くして、次から高利益率とすると効果的です。
●既存顧客を大事にするvs新規顧客を取りにいく
近年、企業はLTV(LifeTimeValue)といく新規顧客が取引終了までどれだけの利益をもたらすかを大切にするようになってきていますが、このとき既存顧客への注力が必要です。ではどの位の割合で新規顧客とのバランスを考えるかですが、私の顧問先ではおおよそ8割程度のリソースを既存顧客に注ぐのがいいというのが印象です。広告を打ちながら8割を新規に注ぐ会社もありますが、(新規獲得は既存引き止めより圧倒的に労力が掛かるため)コストパフォーマンスが非常に悪いです。既存顧客とは接触回数が増えれば増えるほど印象や好感度が高まるため(=ザイオンス効果)、接触回数を増やして提案を行う準備をしていくことは必要です。
●グレー経費をのせるvsグレー経費をのせる
税務調査をやると如実にわかるのですが、税務署は完全に黒と判断できるものしか指摘しません。黒でなくグレーな部分があれば裁判をやると勝てないので否認が出来ません。ただ、だからと言ってなんでも大丈夫というわけではありません。例えばハワイ旅行に行って経費には簡単には出来ず、特に1番ダメな例として挙げられるのは明細に「子ども1」などと書いてあるケースです。(夫婦両方役員でも子ども分は外しておくべき)。税務調査官も訓練をされているので嘘はつかない方が良く、費用計上するのであればしっかり事業使用の写真を撮るなど対策はとっておく必要があるのです。
●借入金を一括で繰上げ返済するvs借入金を残しておく
会社を経営するうえで借入金の一括繰上げ返済は、禁じ手に近い愚行です。何がマズいのかと言うと、銀行の売上がなくなってしまうことが問題なのです。銀行は会社に融資をする際に返済期間を設けて、利息と共に返済してもらうことで利益を出すビジネスモデルになっているのです。ですから、繰上げ返済をするということは、銀行の売上をすべて消してしまうということ。「この会社はいきなり何をしてくれるんだ」となるのです。もし仮に銀行に一括返済をして、その後業績が悪くなって銀行に改めて「融資をお願いします」と言っても、下手をすると貸してもらえないかもしれません。借入金の一括返済はNGなのです。
●税金を支払うvs家賃を支払う
まず大前提として知っておくべきなのは、税金を滞納すると融資は確実に断れるということです。そのため、資金繰りが厳しくなっているものの銀行から少しでも借りられる可能性がある場合には、税金の支払いはどの支払いよりも優先するようにしてください。
●税金を分納するvs税金を滞納する
分納も滞納も納税証明書を取りに行けば「未納」と記載されるので、会社の状況はあまり変わりません。しかし、税務署と話し合い換価の猶予申請をして計画書通りに分納とすれば、税務署が差し押さえ手続きをしてこない点が大きく異なります。業績が回復した場合の話ですが、税務署からこの分納の許可が出ていると、銀行がプロパー融資の対応をしてくれることもあります。これは融資したお金が税務署に差し押さえられないという前提があるため、銀行も融資ができるわけです。もし計画書通りに支払えなくなった場合には、すぐに税務署に連絡し「今月は支払えないので5万円だけ支払います」と事情を説明して、一部でも支払いをするようにしてください。必ずではないですが「誠意をもって対応する」ことで、払う意思があるとみなしてもらい、多めに見てくれることが多いです。
●ポテンシャルの高い人間を採用vsヘッドハンティング
これは私見も入ってしまうのですが、私の経験上、ヘッドハンティングされてやってきた人の中で、会社にとって本当に有益になる人を一度も見たことがありません。基本的に、ヘッドハンティングで来る方のほとんどはお金が目当てです。もちろん、普通の転職でもそういう方はいますが、ヘッドハンティング経由だと、これが非常に顕著です。お金目当ての人はお金で動きますので、もっと条件のいいところを紹介されると、居着くことなく次の職場へすぐに移ってしまうのです。ヘッドハンターは年収の一定割合の報酬形態のため、年収が高い人が優先的に紹介され退職リスクの高い人が持って来られます。最近はSNSを利用した採用などもありますから、ヘッドハンターからの照会一辺倒になるのではなく、自社でしっかりと力を発揮する人材を育てるということも意識しながら人材採用をしていってください。
- 内田
- 2024年11月2日
- 本
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