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【本】『感情的にならず相手を「すぐやる人」にする34のコツ』
『感情的にならず相手を「すぐやる人」にする34のコツ』大平信孝 かんき出版
突然ですが、アサガオの種をまいた翌日に、芽が出ない、花が咲かないと怒っている人がいたらあなたはどう思いますか?「栄養豊富な土を用意したのだから、すぐに芽が出るはず」と思い込んでいるのです。「さすがにそれは無理でしょう」と思いませんか?しかし、これが人だとどうでしょう。朝起きれないわが子に、毎日「早く起きなさい」と言い続けたり、期限を守れなかったりギリギリになる部下に「なんで期限を守れないのだ」と注意をする。こんなふうになってしまうのは、あなたが相手に対して勝手な期待をかけているからで、実はあなたの指摘が相手に「自分事」にならない限り、一方的な期待で終わってしまうのです。
「相手が動いてくれない」と悩んでいる方は、この両者のギャップを考えずにアプローチしていることが多いのです。言う事を聞いてくれるためには、アドラー心理学の「課題の分離」=自分の課題と他人の課題を区別したあとに「共同の課題」にして一緒に問題解決ことが大切です。そして感情的にならないように、「自分ができること」と「相手にしかできない」ことをしっかりと切り離すことで気持ちが楽になり、感情と行動を切り離し、しっかりと人を動かせることができます。少し言い方を変えるだけ、少し考え方を変えるだけです。
P24-01:相手を否定しない、どんなときでもまず「認める」
相手を否定しまう事は、相手の行動力を奪い、先延ばしにする最強の方法です。そうならないように簡単にできることは「否定の相槌」ではなく、「工程の相槌」を使く事です。「えーっ!」「だから言ったでしょ」と言った言葉が否定の相槌です。
P28-02:「自分2:相手8」の割合で話すと相手の行動スイッチが入る
相手を否定しない、どんなときでもまず「認める」を先延ばし人間にするもう一つの方法が「自分が一方的に話す」です。動いてほしいから一方的に長時間話してしまう、これが相手の行動力を奪います。相手に話させることは「放させること」、話しているうちに自分の考えが明確になったり、整理されたり、気持ちを切り替えることができるのです。逆に自分が興味ないことを長時間聞かされても、モヤモヤやストレスが溜まり、行動に繋がらないどころか、動く気が無くなってしまう事もあります。
P36-04:相手そのものではなく「相手の興味関心」に関心を持つ
相手を凝視すると相手は心を開いてくれません。相手の世界観・興味関心に関心を持つことの大切さを知り実践すると、苦手だと思っていた相手や部下に対しても、普通に対応できるようになります。苦手なAさんそのものではく、「〇〇に興味があるAさん」の〇〇に興味を持って接すれば、相手を受け入れやすくなり、お互いのストレスも緩和されるのです。
P54-06:「いつだったらできそう?」を付け加える
こちら一方的にお願いすると「高圧的」「無理強い」と受け取られて、かえって反発されてしまうことがあります。自分がやってほしいことを一方的にお願いしても、頼まれたほうは、自分のペースを乱されて、イライラ・モヤモヤしてしまい、「はい、今すぐやります!」とはなりません。しかし、言いっぱなしで終わらせずに、「いつだったらできそう?」と相手の状況やペースに配慮するだけで、「やらされ感」が薄まり、相手に主体性が芽生えてきます。これによって相手に「行動の主導権」を渡していきましょう。
P76-10:指示を出すときは「一度に一つ」を意識する
相手の行動力を奪い先延ばし人間にする方法として「あれもこれもやりなさい」と指示・命令してキャパシティーオーバーにしてしまうマルチタスク指示があります。上司の立場からすれば、これいくらいのことは「できて当たり前」「簡単」なことなのだから「一度にできて当然」と思うかもしれませんが、実は相手にしてみたら、出社して息つく暇もなく、指示・命令と確認の嵐となれば逃げだしたくなってしまいます。厳密に考えれば人は「一度に1つ」のことしか考えるこてゃ出来ません。だから、とくに経験の浅い相手に対しては、キャパシティーオーバーにならないように「一度に1つ」を厳守し、相手に一つ毎の達成感を味わせてください。
P78-12:思う通りに動いてくれない人には「完成図」を共有する
「ダメ出し」対応をしてしまうと「そんなにこだわりがあるなら、自分でやればいい」と反発されてしまい、また「何かやるとかえって人に迷惑をかけてしまう」と自信を失い自ら行動できなくなってしまいます。伝え方のポイントは「イメージ」を共有することで、実は私たちの脳は「言葉」では動きません。「完成図」というイメージを共有することが重要で、人数や目的、実際に1部作ってみて「これと同じようにやってください」と言うのもありです。相手が映像としてイメージできるくらい具体性を持たせるか、実際に目の前でやってみる。
P112-18:悩んでいる相手には、解決策より「どこでつまずいていたか?」を探る
入口作戦、「どうしたら解決できるか?」ではなく「いつから」「どんなことがきっかけ」で、うまくいかなくなったのかを一緒に分析するのです。ヒアリングする際は、まず不調になったのは「いつ」からなのかを確認しましょう。次に、その時期に人間関係のトラブルやいつもと違うネガティブな出来事、体調の変化などがなかったかを聞いてみます。「時期」と「出来事」の2つを確認すれば、多くの場合、不調のきっかけを突き止めることができます。
P124-21:口先だけでは動かない人には「メリット」を提示する
行動できない要因は、メリットが小さすぎて欲しいという欲求のスイッチが入らない場合と、うまくいかなかったときのリスクが大きすぎて「不快回避」のスイッチが入ってしまい動けない場合の2種類があるということです。ですから、メリットとデメリットを明確にしたうえで、デメリットを最小化するサポートをしましょう。なぜ動けないのでしょうか、原因は、メリットが具体的でないのでほしいという欲求スイッチが入らないことです。ですから、その仕事をすることで得られるスキル、経験、人脈などメリットを具体化するサポートをすれば、挑戦できるようになります。
P154-26:いい行動を継続してほしいなら褒めるのではなく勇気づける
実は褒めることにはデメリットがあります。1つは行動基準が褒められることになり、誰かが見ている時や褒めてもらえる環境でしか動かなくなり、結果的に相手の自主性を奪ってしまう事です。もう1つは、目標達成で部下を褒めるだけだとまた目標達成しないといけないと過度なプレッシャーとなり、数字に引っ張られ仕事が嫌いになってしまうこともあります。褒めるのではなく、「困難を乗り越えていくための活力を行為=勇気づける」ことがポイントです。単純に褒めるだけでなく「ありがとう、あなたが〇〇してくれたから田中さんがとても喜んでいたよ」「チームが元気を取り戻せたよ」など共同体への好影響や貢献」を指摘することが勇気づけ(場への貢献)にあたります。これにより共同体に好影響を与えたい、貢献したいという意識が芽生え、何度も働きかけなくても自ら動いてくれるようになることが多いのです。
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内田
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2025年11月8日
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本
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【本】99.7%の巨大市場に臨む中小企業向けセールス
『99.7%の巨大市場に臨む中小企業向けセールス』船井総合研究所 総合法令出版
私たちTAPが拠点を置く、北海道の十勝と札幌、お客様のほとんどが世の中の99.7%(従業員数でも8割、売上規模6割)を占める、まさに日本経済の根幹を支える中小企業様です。近年、大企業市場の飽和や意思決定の長期化、競合の激化といった営業における課題が年々深刻化し、日本市場が成熟期に入った中でゼロからのマーケット創出が難しい中で現実的かつ戦略的な成長選択肢として、今改めて注目されているのが中小企業市場なのです。
中小企業の多くは、DX、業務効率化、採用、人材定着育成、財務改善など、構造的かつ継続的な経営課題を抱えており、この解決策を”ソリューション”として提供することができれば、1社ごとの単価は大きくなくとも中小企業現場ニーズへの未対応、成功事例の横展開の再現性と拡張性の高いビジネスモデルを構築できます。多くの中小企業が依然として非効率で属人的な運営に悩みを抱えており、そこへのプロダクト・サービスは、高い受容性と継続性を持って受け入れられます。特にクラウド(SaaS)ツールを展開する多くの企業が近年大企業向けから中小企業へと明確にシフトし、SalesforceやSAPのようなグローバル企業でさえ中小企業向けへ注力しています。
中小企業の社長は自分に意思決定権があり「良い話であれば即断即決する」意思決定のスピード感がある。だからこそ、中小企業経営者に対しては「結論から伝える」「シンプルに伝える」「余計な手間をかけさせない」ことが鉄則なります。社長には3つの口癖があります。「要は何なの?」「いくらかかるの?」「いつ成果が出るの?」彼らのニーズ、何を悩み、何に困っているのかを徹底して考える。そして社長が人間性を重んじ、わかりやすい言葉を求めていることを知り、伝わる表現で丁寧に説明する意識を持つ。地方の中小企業では、長い付き合いに基づき構築した人間関係をベースにした商流が強く残っている世界であり、「何を売るか」よりも「誰が売るか」という人間性や礼儀が問われます。礼儀、相手の作法に合わせた態度、時間帯への配慮、業界慣習への理解など、人として信頼できる対応が何よりも重視されるのです。経営者は「相談できる相手」を探していて、外部の支援者に対しても「本音を話せる相手」「自分の考えを整理で出来る場」としての役割が求められております。
中小企業市場の営業を成功させるためには、最初の一歩である「リード獲得」の段階から、大企業向けセールスとは全く異なる設計思想が求められ、今の困りごとにすぐ効きそうなメッセージでなければ、反応は得られません。そして中小企業においては「自社の課題が明確になっていない」「顕在化していないニーズ」が多くあるため、課題認識を喚起する情報発信や今この瞬間の経営課題を解決するストーリー設計かつ営業側があらかじめ用意したパターンオーダー型のソリューションが必要です。そして、「(商品サービスではなく)この課題ならこのサービス」と伝わる単品特化型の価値訴求が効果的です。例えば「売上を上げる」「LTV(ライフタイムバリュー)が上がる」「コストを下げる」「離職率が下がる」「事業承継を含めた人材育成が進む」「代行サービス(ストレスが減る)」など。
中小企業向け営業においては、受注目標から逆算して「必要な行動数」と「必要な母集団数」を導き出す発想が欠かせません。例えば、1件の受注につながるまでのプロセスを「経営相談1件の受注に必要な商談数:20件」「商談20件を得るために必要な接触数200件」など。このように200件の接触のために今週〇件〇〇をする、などの具体的行動KPIまで落とし込みます。このプロセスをタスク管理ソフト等で管理し、相手先のレスポンス率、セミナー集客数、受注率などを元に営業活動をPDCAで四半期ごとに検証改善していきます。成功事例や成果の高いコンテンツの共有も、再現性のある営業活動の確立につながるのです。特にサービス開始から1~3年目の拡大フェーズではランニングコスト比で赤字にならない範囲で拡大費用を行うことが基本方針です。
売上目標=①既存売上見込み+②新規契約数×③契約単価
①既存売上見込み=既存契約数×継続率(見込み)×ランニング売上
②新規契約数=商談数×契約誘導率(商談数=接触数×商談誘導率)
③契約単価=導入費用+ランニング売上×平均継続月数(期末まで)
大企業依存では立ち行かない時代。企業が”持続的な成長”を実現するには、この広大な中小企業市場とどう向き合うかが決定的に重要になっているのです。今後の中小企業市場は、単一商材で勝負する時代から、「複数の価値提供を束ねてLTV(顧客生涯価値)」を最大化する時代」へ移行していきます。例えば、集客支援×業務効率化ツール×人材定着支援、あるいは、補助金活用×クラウド会計×伴奏による導入支援体制。選ばれるソリューションになるためには、まず1点突破の強みを持つこと。そしてのその後、掛け算でラインナップを拡張し、「選ばれ続けるパートナー」になることが重要です。
DX、業務自動化、採用力強化、価格転嫁、サブスクモデルの導入など、これまで保守的と思われていた中小企業が、時代に応じて自ら変化しようとする動きが急速に広がっています。その中心にあるのが、「自分たちにもできるんだ」と気づかせてくれる成功事例の存在です。中小企業市場は”伴走力”が問われる市場です。だからこそ、「誰のどんな悩みに寄り添うのか」を明確にし、ひとつずつ信頼を積み重ねていってください。その積み重ねが、やがて多くの企業の未来を、そして日本経済そのものを支える力になると信じています。
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内田
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2025年11月1日
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本
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【本】知らない人を採ってはいけない
『知らない人を採ってはいけない 新しい世界基準「リファラル採用」の教科書』白潟敏朗 KADOKAWA
リファラル採用とは、「社員の紹介・推薦による採用活動」のことで、会社の魅力が向上し、永遠に採用に困らない会社になる採用手法です。縁故採用とまったく同じではなく、最初の接点は縁故採用に近いかもしれませんが、社員の紹介だからといって無条件で入社できない点が異なり、しっかり面接や試験のうえ採用の可否を決定します。
・リファラル採用のメリット
採用コストの大幅な削減:会食費やインセンティブくらい。
社長と会社に合う人材の採用:類は友を呼ぶ。会社を好きな社長と社員だけが採用活動。
入社後の社員の定着率の向上:自社の課題についても包み隠さず伝える。
会社の魅力と課題の見える化:社長と会社を好きな社員が集まって実施。
会社の魅力の継続的向上:リファラル採用のため社長が耳の痛い課題を聴き早期解決。
幹部と社員が経営者目線を持つ:究極の人材育成
みんなの心が1つになる:リファラル採用を3年程続けると会社を好きな人が5割~9割に。
・リファラル採用のデメリット
採用できるまでに時間が掛かる:3か月~6か月掛かって1名~4名程度。
1年以内の大量採用には向かない:6人以上の採用には、求人広告・人材紹介の併用がおすすめ。
活動してくれる社員に負荷が掛かる:ex.7回のMTGに21時間、6回の知人アタックに12時間。
採用を間違えた場合にやめさせづらい:社員の友人・知人なので当然。
今いる社員以上のレベルの人材は採りにくい:想いはマッチしても実力は・・・。
・リファラル採用のリスク
友人知人不採用による社員と友人知人の関係悪化:そうならないために選考に手間をかけ知人に最大限配慮。
同一職場での仕事による社員と友人知人の関係悪化:そのため部門を別にしたり先に状況を伝えるなどの配慮。
友人知人退職時の社員のモチベーション低下:芋蔓式に退職しないよう慎重に選び、紹介した社員のケア。
社員紹介の報奨金欲しさで会社に合わない友人知人紹介:1人2万円程度を支給する制度でリスク低減。
よくない派閥の形成:会社を好きでない社員と行い採用すると、社内に良くない派閥形成。
・リファラル採用の王道プロセス
①きっかけづくりプロセス
友人知人を棚卸し、選定し、会いに行くまでの仕組み。友人知人の棚卸を紙等に書き出すワークシート、欲しい人材像(こんな人と働きたい、こんな人はイヤだ、最低限必要なスキル)ができていれば、選定する仕組みになります。あとはファーストコンタクトマニュアル、これは初回の友人知人へのアタックでどのような話をすれば良いかポイントをまとめたものです。特に重要なのは②口説きの成功プロセスに進んでもらうためのセリフです。
②口説きの成功プロセス
イベント・勉強会・飲み会・会議・部活サークル・すごい人/社長に会う、などの友人知人を呼び込む受け皿をつくり込みます。プロジェクトメンバー自身が楽しめる良いイベントができれば会社の活性化の効果が期待できますし、良い勉強会ができれば社員の能力開発の仕組みとしての効果が期待できます。「今度うちの会社のイベントに来てみない?」「うちの社長と今度飲まない?」「うちの会社で勉強会あるんだけど興味あったりする?」
③リファラル選考プロセス
社内で最も社員が信頼できる魅力ある人(多くは社長)を1次面接官に設定して、最も価値ある場とする。万が一不合格となった場合のキャリア提案を伝えられる仕組みをつくる。不採用という言葉を使わないフィードバックの場を設けて、「いまのウチの会社では、〇〇さんが最高に成長できる環境をよういできないかもしれない・・・と考えています。」「〇〇さんの強みを考えると〇〇業界のほうが成功できるように思う」など。そして、出来る限り簡略化した選考プロセスにしていく。
④クロージングの成功プロセス
内定を出したにもかかわらず時間を掛けて検討したいと言われてしまった人、あるいは辞退されてしまった人を口説き落とすための仕組みを用意します。例えば、面接の最後に「意思決定するために、こんな人にも会ってみたいというのはありますか?」と聞き、そこで出てきた人に順繰りに会ってもらうようなことです。不安の払しょくという点では、実際に仕事の1日体験をしてもらう、入社予定部門の飲み会に参加してもらうというのも効果的です。長期間接触では、2か月に1回飲むのを12回続ける、つまり2年間口説き続けるというくらいの今期が必要です。
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内田
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2025年10月11日
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【本】『DIE WITH ZERO』
『DIE WITH ZERO』ダイヤモンド社 ビル・パーキンス
「死ぬときに資産をゼロにする」という考え方。多くの人が老後の不安からお金を貯め込み、結果として使わないまま人生を終えてしまう。死後に多額のお金が残るということは、その分、生きている間にできたはずの経験や喜びを逃したことになるということ。これは、お金を稼ぐことや貯めることばかりに囚われがちな現代人への強い警鐘でもあります。
人生は経験の合計だ。あなたが誰であるかは、毎日、毎週、毎月、毎年、さらには一生に一度の経験の合計によって決まる。だからこそ、この人生でどんな経験をしたいのかを真剣に考え、それを実現させるために計画を立てるべきだ。そうしなければ、社会が敷いたレールの上をただ進むだけ、死にたどり着いても自分自身で選び取ったものではない。残念ながら、そんな人生を生きている人が多い。彼らは人生という名の井戸から毎日ポンプで水を汲んでいるが、小さなコップでしか受けていない。コップはすぐにいっぱいになり、水が溢れてしまう。こうして喉の渇きを十分に潤せないまま時は過ぎ、人生の終わりを迎えるのだ。なんともったいないことだろうか。
「人生でしなければならない一番大切な仕事は、思い出づくりです。最後に残るのは、結局それだけなのですから」
現代の社会では、勤勉に働き、喜びを先送りすることを美徳とする生き方の価値が持ち上げられすぎているということだ。アリとキリギリスのうち、キリギリスはもう少し節約すべきだし、アリはもう少し今を楽しむべきだ。その中間にある最適なバランスをみつけるべきだ。
投資によって人生にリターンをもたらす経験はさまざまだ。何かを学ぶ、スキーをする、子どもたちの成長を見守る、旅行をする、友人と美味しい食事を楽しむ、世の中を変えるための活動をする、コンサートを鑑賞する―私たちはそのような経験をするために金を稼ぐ。その経験に金を使えば、記憶の配当によって、金融商品への投資と同じようにリターンが得られる。多くの人は、何のために稼ぎ、金を貯め、投資するのかを忘れているように見える。何のために貯金しているのかと尋ねると、多くの人は「老後のため」と答える。もちろん、それは正しい、私たちは将来のために老後資金を貯め、それを増やすために投資すべきだ。老後にひもじい思いはしたくないし、子どもたちに金銭的なサポートもさせたくもない。だが、年を取れば取るほど、行動に移せる経験の種類は減っていく事もまた事実だ。だが、老後で何より価値が高まるのは思い出だ。だからあなたには出来るだけ早く経験に十分な投資をしてほしいと考えている。
でも、仕事が好きだから問題。仕事を愛し、仕事そのものを充実した人生の経験とみなす人がおり、それは本当に素晴らしい。だが、仕事に情熱を捧げる人であっても「財産ゼロで死ぬ」を目指すべきであることに変わりない。たとえばダンスが生きがいの人でも、四六時中踊り続けるわけにはいかない。それに20代、30代の頃はまだしも、40代、50代、60代になれば、ダンスに捧げる時間の割合も減っていくことが考えられる。もちろん年を取ってもダンスに費やす時間を変えず、ずっとその愛する仕事で金を稼ぎ続けたいと考える人もいるだろう。だがその場合でも、稼いだ金を使うことをおろそかにすべきではなく、ダンサーとして稼いだ金を使って、贅沢な旅行をしたり、パーティーを開いたり、ライブを観たりすればいい。どれだけ仕事を楽しんだとしても、稼いだ金を使わないのなら、それはやはり無駄になる。スーパーマリオに例えれば、せっかくライフを獲得したのに、そのライフをわざわざ捨ててしまうようなものだ。
中年期にはお金で時間を買うべきです。バランスの取れた充実した生活を送るために、お金で時間を買う事も大切である。これは特に、ある程度の収入はあるが、時間は足りていない中年期の人たちにとって効果が高い。その典型例は掃除や洗濯など家事がある。私は、収入が少なかった20代の頃から、アウトソーシングを積極的に利用してきたため、土曜日の朝はアパートの部屋を掃除するのではなく、セントラルパークでローラーブレードをして遊んだり、ブランチを楽しんだりすることができた。今ではそんなふうに金を使った自分に感謝している。生涯消えることのない、楽しい週末の思い出をたくさんつくれたからだ。資金に余裕があるほど、このアプローチを採用すべきであり、時間は金よりもはるかに希少で有限だ。私自身、常に金を時間に換える方法を模索している。1日は24時間しかない。だが、工夫次第で自由な時間を最大限増やすことができる。お金を払って面倒な雑事から自分を解放するということは、マイナスの人生経験を減らし、プラスの人生経験を増やすことになる。これで、幸福感が増さないはずがない。
オーストラリア人のブロニー・ウェアは、長年、緩和ケアの介護者として数多くの患者を看取ってきた。彼女は、余命数週間の患者たちに人生で後悔していることについて聞いていた。そのなかで聞いた最大の後悔は「勇気を出して、もっと自分に忠実に生きればよかった」であった。他人が望む人生ではなく、自分の心の赴くままに夢を追い求めればよかった、と。人々は、自分の夢を実現できなかったことを後悔していた。自分の心の声に耳を傾けず、誰かに用意された人生を生きていると、人生の最後に大きな後悔を抱くのかもしれない。ウェアが2番目に多かったのは、「働きすぎなければよかった」だ。さらに働きすぎは後悔しても、一生懸命に子育てを後悔する人はいなかった。多くの人は、働きすぎた結果、子どもやパートナーと一緒に時間を過ごせなかったことを後悔していたのだ。自分が死ぬ時の事を考える、人は終わりを意識すると、その時間を最大限に活用しようとする意欲が高まり、人の幸福度が高まる。
タイムバケットというツールを使おう。まず、現在をスタート地点にして、予測される人生最後の日を70歳などゴール地点にする。そこまでを、5年または10年の間隔で区切り、これがやりたいことを入れるタイムバケット(時間のバケツ)となる。次に重要な経験、すなわちあなたが死ぬまでに実現させたいと思っていること(活動やイベント)について考える。私たちは誰でも夢を持って生きている。だが、単に頭で考えているだけでなく、実際にそれをすべて書き出すことが大切だ。「死ぬまでにやりたいことリスト」に期間を設定すると見えてくるのは、物事にはそれを行うための相応しい時期がある、という事実だ。また、期間を明確にすることで、同じ期間での両立が難しい「やりたいこと」があることに気づくかもしれない。具体的な計画を立てなければ、いつまでたっても実現しないものがあることもわかるだろう。
45~60歳に資産を取り崩し始めよう。資産は人生の終わりにゼロ付近まで低下し、その前のいずれかの時点でピークに達する。そして最適な資産のピークは45~60歳の間となる。収入のピークが資産のピークに大きく影響する。多ければピークの時期は早くなるし、少なければ遅くなる。
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内田
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2025年10月4日
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【本】レビュー『TKC会計人 業務の未来設計』
『TKC会計人 業務の未来設計』TKC全国会 TKC出版
2025年7月発刊、TKCから届きましたので読んでみました。(一部、TAPの用語への変更があります。)
〇巡回監査での大きな負担を避けるための10の心得
1.業務上の境界線を引く
営業担当者は関与先への親切心から、先方がやるべき業務を、そうであると知りつつも受けてしまう傾向にあります。これが営業担当者を追い込み疲弊させてしまうのです。この業務上の限界線を、関与する最初の段階で、相手方に良く理解してもらう必要があります。オーバーサービスをやっている営業担当者から業務を引き継ぐスタッフは、全くやりきれない思いでため息をつくことになります。既存のお客様については、根気よく、時間をかけて説得しなければなりません。
2.FXクラウドシリーズによる自計化
お客様の経理担当者を一定の枠の中にがっちり入れてしまうこと。TKCのFXクラウドシリーズで自計化し、お客様の経理を徹底的に合理化してしまい営業担当者の負担が減ります。お客様は、期せずして従業員の教育訓練が実施されるのですから、内心喜ぶでしょうし、そのために経営者にしっかりと説明し、自計化に対する理解を得なければなりません。システム導入をためらう経営者は、FXクラウドシリーズによる自計化がもたらす経営改善の価値をいまだ十分に理解しておりません。費用増加よりも導入による経営改善の効果の方がはるかに大きいのは間違いないので、顧問契約には導入を条件としましょう。
3.関与先の内部けん制により不正を起きないようにする
例えば、同一人が起票し現預金出納するというのをやめさせて出納責任者と起票者を別人にする、現金売上はその日のうちに銀行に預ける、小口現金を廃止してクレカ決済とする、などITを有効活用しながら複数の眼が入るように、関与先に内部けん制の仕組みを導入します。これによって関与先は、従業員の着服行為を防ぐことができますし、不明金を防ぐことにより営業担当者の悩みも減少されます。
4.証憑保存機能の積極活用
TKC会計人は監査の容易性を確保するため、関与先に対して証憑書類と伝票に共通の一連番号を入れるよう積極的に指導してきましたが、直近では電子帳簿保存法の施行に伴いクラウド会計システムの導入により証憑書類と伝票の対応を実現するよう指導して、関与先内部の自己監査の効果を上げ、営業担当者の手続省略の大きな手助けとなります。
5.経理の初期指導/継続指導を実施して関与先の経理担当者を育てる
関与先の経理担当者に正規の簿記の原則を叩き込むこと。いまだ関与先の簿記会計の無知に付け込んだ会計事務所による起票(入力)代行業務は大きなマーケットのようです。しかし、この業務が関与先の会計帳簿の記帳力を低減させ、会計で会社を強くする機会を関与先から奪うことになっていることは間違いありません。関与先の経理担当者を育てながら、営業担当者の過重労働を避ける工夫をして、TKC会計人の本来業務を実践するための知識とスキルを身につけていきましょう。
6.事前確認・巡回監査のための所要時間の標準化
標準時間で終わらせるため関与先を指導し改革していくこと。3時間で完結する会社、1日みっちりやる会社など、標準時間を決めてその範囲内で終わるよう段取りを立て、関与先をそれに順応させます。この点で、私たちは自己の勇気と信念とを磨くべきです。関与先との接触の中で、密かに自分の指導力や説得力に磨きをかける楽しさを知りましょう。改善点を伝えた時に「いや、そのためにおたくを頼んでいるのだ」と答える経営者には、税務会計の専門的サービスを頼むことと、初歩的な単純事務を頼むこととは別であることを、分かりやすく理解させなければなりません。
7.補助管理・部門別管理を積極的に導入
売上や仕入その他あらゆる勘定科目について、その関与先の業種・規模等に応じた有用な経営情報を引き出すために得意先別管理・口座別管理・部門別管理を検討し、設定次第で推移グラフ、前年比較などさまざまな経営情報を提供することができます。経営者はこうした情報を求めており、FXクラウドシリーズを手放せなくなるのです。こうしたシステム設計の工夫が、巡回監査における異常点の効率的な発見に有効な手段となり、業務品質を維持しながら過重労働を防ぐことになります。
8.関与先ごとの正しい監査手続きを選び異常点監査を行う
仕訳全部、証憑全部などすべて漏れなく監査することは時間も人手もかかりすぎて過重労働になりうるので、関与先の内部けん制制度の活用と、経理担当者の能力、FXクラウドシリーズによるレベルによって適切な巡回監査の手続きを選択しましょう。①事前確認などによる全体把握・証憑突合・異常点の抽出②重点項目を効率よく監査するための準備③現場に赴いて最終的な事実確認④必要に応じた関与先の指導、を行っていきましょう。
9.経理の自動化(訂正加除仕訳の低減)
FXクラウドシリーズの銀行信販データ受信機能、仕訳辞書、仕訳連動、証憑保存機能等さまざまな経理の自動化を推進する機能を使いこなしましょう。「1日数分間ですから、この手順でやってみてください」と経理の仕組化・自動化を推し進めていきましょう。こうしたことの積み重ねが訂正加除仕訳の低減を実現しましょう。
10.タイムマネジメント(時間管理)の実践
計画実施の不断の吟味。そもそも時間分析と計画立案が、世界的水準の会計事務所では、各監査担当者の重要業務となっています。日報作成と時間分析。不断の工夫を行う事で自身の成長を実現できます。具体的には①個別の関与先の状況を十分に分析して巡回監査計画を立てる。②スケジュールに監査日を登録する。③業務日報で日報を作成する。④時間管理システムで時間分析を行う。という4つです。
私たちはこれから、人口減少経済の中で、専門家にふさわしいスタッフの熟練とそれに見合う高い給与を実現し、新しい働き方にも挑戦することになります。ときに不良関与先の契約解除も必要になるでしょう。世界第一級の会計事務所をつくり、スタッフが世界水準の営業担当者に育つため、今まさに、過重労働に対しての本音の改革を実施するときなのです。
〇事務所方針の決定と周知、具体的実践まで
1.事務所代表の決意
事務所の命運を決めるのはスタッフでもなければお客様でもなく、代表者自身です。自ら熟慮を重ねて事務所の方針を決定して、計画の徹底実施を決意する。そしてスタッフが共鳴するよう説得してお客様にも周知を図るのです。所内での脱落者が出ないように、一つ一つの項目を数カ月ずつの期間に分けて計画、実施します。導入するお客様の優先順位を決めて、誰でも実施できるようスタッフの意見も聞きながら手順を決めていきます。
2.スタッフの理解を得る
全てを代表者一人で独断するのは危険ですが、事務所の命運を分けるような事の決断は代表者しかできませんし、スタッフの理解がないと空回りするばかりです。スタッフとの協議はガッチリやらねばなりませんし、方向を決定したら断固としてやるという決意で臨みます。
一方で具体的なやり方についてはスタッフの意見を大いに取り入れて実施します。目標・目的は代表が決定し、実現するための具体的な手法はスタッフの意見を考慮して計画するのです。この際、口頭による指示だけでは失敗します。理屈よりも過去の習慣に人は縛られる傾向があるからです。ぶれない運動・行動にしていくためには、事務所の方針/方向性は文書化して、全員に共有配布します。また思考省略や手抜きを防止するためにも監査計画書やチェックリストを作成して活用し、巡回監査で月次決算が完結する仕組みを習慣化しましょう。
3.お客様への導入
お客様への指導ですが、御用聞きスタイルを取ると上手くいきません。お客様の意向は現状維持だったり、想定外の要望だったりします。お客様の健全な成長発展を望み、税務会計の分野で最良の選択を提案できるのは、我われ会計事務所であるとの信念を持ち、間髪入れずに指導しましょう。お客様を不安にさせないように「新しい仕組みを導入しますがご安心ください。便利になりますよ。社長、奥様、部長様、いつでも業績が分かるようになりますよ」と声をかけ、具体的な導入は、無理なく、分かりやすく、便利になったなぁ、と実感できるよう工夫しましょう。
〇所内の体制づくり
1.職員研修・OJT
時代変化に対応した情報やさまざまな知識の習得を目的とした体系的・継続的な研修を、職員に受講してもらうための環境整備は、事務所にとって最も重要であるものの一つです。体系的・継続的な研修として「職員研修プログラム」を開発し提供しましょう。事務所の付加価値業務を行うためには、職員の養成が必然です。
また監査担当職員の巡回監査の現場実践力強化の手段としてOJTが有効で、ロールプレイングなど、現場実践力を強化できることが期待できます。
2.所内会議の進め方
所内会議を月初に行っている事務所は多いかと思います。今月の決算申告予定の確認、システムバージョンアップ、企業防衛推進会議(生命保険加入推進)、研修予定の確認などさまざまありますが、クラウド推進、Peppol推進、巡回監査率、継続MASや書面添付の推進状況なを会議に入れることで、経営革新の進捗状況と今後の対策を練ることができます。成功例や失敗例を話し合えば工夫が生まれるでしょう。また、会議の進行や書記などをスタッフが行えば、ファシリテーション(会議進行力)の技術も身につけることができます。
3.人事評価制度
時代に対応した巡回監査を基礎に、税理士の4大業務を実践し、高付加価値が達成できれば、1社1社の報酬単価を上げることも可能になり、スタッフの待遇改善につながりますし、そこで人事評価制度の整備が求められます。給与・手当や賞与、昇給とどう関連付けるかは事務所によって異なりますが、人事評価の指標に事務所方針を落とし込めば、組織とスタッフに方向性を与えることができます。「事務所方針」⇒「具体的な行動と目標」⇒「人事評価の指標」⇒「自己評価・客観評価」⇒「処遇」の連動が、組織とスタッフの行動と事務所の未来を具体的につなぐことにもなるのです。
事務所の現状と経営方針に合致した人事評価シートを作成して、定期的にスタッフと個別面談することで、自己評価と客観的評価の差異を確認すると同時に、各自が抱える課題や悩みなども共有して、今後の業務に活かします。人事評価の指標は、人材育成や組織の方針をよく吟味し、普遍的な指標と短期的な戦略的指標をバランスよく選びましょう。
〇経営者と「顔の見える関係」を築くこと
「TKC会報」2024年1月号で、坂本TKC全国会会長は、10年後の巡回監査や中小企業支援の在り方を、以下のように示されています。
「これから1~3年くらいだとあまり違いを感じないかもしれませんが、10年のスパンで考えたら、業務形態が劇的に変わっているはずです。たぶん巡回監査日の前日までにはAI等で形式的なチェックは終わっていて、今まで3時間掛かっていたものが1時間で終わる。そうなると残りの2時間をどう有意義に活用できるかという話になってくるわけです。デジタル化で人との関りがどんどん希薄になっていく中で、経営計画策定会議や金融機関との決算報告会などを含めて、経営者との対面に多くの時間をかけることによって生じる”顔の見える関係”がここでも非常に大事になってきます。そうなのであれば、TKCシステムを完全導入しながら、できるだけ早くそのような業務形態に舵を切るべきなのではないでしょうか。」
経営助言の本質は、税理士事務所が経営者と適時・正確な記帳により作成された会計帳簿、月次試算表、決算書等の数字に基づき、対話をする事です。経営者の言葉に傾聴し、課題や戦略を整理する。親身の相談相手となり、時には説得をする。AIには決してできない、人間だけができる仕事なのです。
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内田
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2025年9月27日
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本
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【本】『傲慢と善良』
『傲慢と善良』辻村深月 朝日文庫
日本で結婚をする年齢は以前に比べて上がっているそうです
1980年:男性28歳女性25歳 ⇒ 2000年:男性29歳女性28歳⇒ 2020年男性31歳女性29歳
主人公の架(かける)は20代はまで女性にもてて30代まで付き合っていた元彼女から結婚を求められても引いてしまい、面倒くさがって、結局は振られてしまう。
その後、30代後半に入り周りが結婚をしていく中で一人で生きていく事が怖くなり、マッチングアプリで出会った真実と婚約をし、結婚式の準備をしてる中で、真実が突然失踪してしまう。
真実とは、彼女が群馬から東京に出てきた直後に出会っていたが、真美の親から群馬時代に結婚相談所で婚活をしていて10人以上の相手と会っていて、何度も断っていたという話を聞く。
架(かける)は結婚相談所の社長-小野里に会いに行った時に、このような言葉を聞く。
P134小野里「現代において結婚がうまくできない理由は傲慢さと善良さにあるような気がするんです」「現代の日本は、目に見える身分差別はないですけれど、一人一人が自分の価値観に重きを置きすぎていて、皆さん傲慢です。その一方で、善良に生きている人ほど、親の言いつけを守り、誰かに決めてもらう事が多すぎて”自分がない”ということになってしまう。傲慢さと善良さが、矛盾なく同じ人の中に沿存在してしまう、不思議な時代なのだと思います。」
P136小野里「婚活の中にあるピンとこない、というのの正体はその人が自分につけている値段です。言い方が悪ければ点数と言い換えてもいいかもしれません。その人が無意識に自分はいくら、何点とつけた点数に見合う相手が来なければ、人はピンとこないと言います。私の価値はこんなに低くない。もっと高い相手でなければ私の値段とは釣り合わない。」
500ページほどある長編小説ですが、人の心の模写が卓越していて、1日で読み切りました。
善良の中で生きてきた中で、親のエゴや思い込みを心配という言葉で押し付けられ、それでも人にはどこか傲慢さがあり、それでも人は生きていく。
特に後半の場面が変わった所での物語がまた印象的でした。
このドラマは2024年9月27日に映画として公開され、藤ヶ谷太輔さん主演だったのですね、いつか観てみたいと思います
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内田
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2025年9月20日
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本
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【本】「治る」歯科医療と「治らない」歯科医療
『「治る」歯科医療と「治らない」歯科医療』高橋浩司 万代宝書房
友人の歯医者さんが書籍を令和7年7月7日に出して拝受しましたので読ませていただきました。
(かつて毎月一緒に焼肉を食べに行きましたが、その時に聞いたお話も盛りだくさんの書籍でした。)
・むし歯も歯周病も身体の病気
口腔と全身の関係は密接で、全国を見ると何十年も前からそこに気づき、全身を歯科診療をしている先生たちが多くいるという事実がある。過去の私(高橋浩司歯科医師)は病気を何も治していなかった、やっていたのは歯の修理でした、「医師」とは程遠い、「修理士」だったのです。虫歯は身体の中で一番硬い組織である歯が溶けるほど身体の異常がある状態、歯周病とは歯茎の中の骨が破壊される病気。特に歯周病は一生懸命歯磨きをして表面的な炎症を抑えるだけでは治りませんし、むし歯も含めて全身の病気の一つの症状が口の中に現れたに過ぎないのです。
・歯を残すための予防歯科は家で行うもの
むし歯や歯周病は「生活習慣病」の一つです。まず第一に、その生活習慣を気を付けましょうという事自体、生物として崩壊していると気づかなくてはいけません。歯科医師があなたと生活を共にするわけではなりません。お家に行って監視するわけでもありません。ですから、普段からあなたが何を食べてどんな風に身体を動かして、ちゃんと休息をとっているか。歯の神経は治癒力を持ち重要であるため、神経を残す「歯髄保存処置」ができる歯科医に見てもらい、生活習慣を伝えなくてはいけません。それを行うためには土台の身体の状態がポイントでむし歯になるような身体は歯髄保存療法がうまくいかないため同時に身体の改善が必要なのです。
・むし歯のメカニズム
歯の血流と滲み出る液体がむし歯に影響し、そのため歯磨きをしなくてもむし歯にならない。歯の表面に出てくる液体が歯を防御する役割を果たしています。この防御には健全な血流があるというのが前提で、血流が不良な状態ではその歯表面には液体が出てこれず、表面や細い管を通して酸や異物が内部の侵入を許しむし歯や知覚過敏を起こす事になります。このため全身の血管、血液、自律神経、心臓が健全でなくてはいけないということになります。このような慢性的な血流障害だけでなく瞬間的な血糖スパイクとストレス(過度の緊張)にも注意で、むし歯に甘いものが影響するのは細菌が酸を産みだすだけなく、血糖値の乱高下がとても影響するのです。
・砂糖を避ければ健康でむし歯も防げるのか
健康志向の人で「白いものが悪いから白砂糖を避けている」と聞くことがあります。このような精製物は血糖値を上げる代表格なので避けることには賛成です。しかし白砂糖の代用としてはちまつ、オリゴ糖、合成甘味料などでも血糖値に関係なく、薬物中毒者のように甘味を求める行動が脳に作用する危険な行動なのです。私は「健康」は「健幸」であるべきと考え、身体が穏やかなだけでなく、心が康らかで幸せを感じていなくては真の健康と言えないと考えます。脅迫的な観念で自分を納得させて不自由な生活を送るような志向では到底健康にはなれませんし、「健幸」とは程遠いと思います。
・生活習慣の改善の考え方
一般的に、「食事、運動、睡眠」が生活習慣改善につながると思います、3つとも大切なのは間違いないと思います。ただ、あなたの身体は食べたものからできていますので、どんな身体が出来上がるかは食事がやはり基本といえます。運動については気を付けるべきで、私の場合は「運動をしましょう」ではなく「生活動作増やしましょう」「全自動の洗濯機を2層式に換えましょう」などと言い換えて指導します。また健康のために運動をする事も多いと思いますが、ジムのように室内の汚れた空気の人工的空間ではなく、外で新鮮な空気、自然界の音に包まれた中で、身体を動かす方がはるかに意味があります。
・FOOD-LIFE セラピー&内海式精神構造分析
私のクリニックの根本療法として提案をしている3か月間の実践プログラムをご紹介します。FOOD-LIFEセラピーはその名のとおり、食事を中心とした生活習慣改善をするプラグラムで、SKY10-Ⅲ(宇宙飛行も使った全世界の医療機関で使われて機械)などによる全身状態の確認を行ったとあとに、偏らない食事のニュートラルを3か月かけて学び実践してマスターし、「こーじーのおすすめオンラインショップ」でも販売する健康補助食品も使いながら、好きなものを好きなだけ食べる食事指導で生活習慣病を改善します。内海式精神構造分析では問題や悩みは自分自身に原因がありダメな自分が望んで起こしたの視点のもと、変わるきっかけ掴めるかが鍵になります。
・治すのは自分です
歯を削れば良い、金属を詰めれば良いような「対症療法」で応急処置をしてもらったら自分で治しましょう。重要なのは原因ですからそこへの「根本療法」を理解をしながら自分で決断して行いましょう。せっかく口の中からサインを出している程度の軽傷なのに、自分は身体全体健康だと言い張って、聞く耳持たず動かず、学びも実践せず、そのサインを重症になるまで無視続けるのは良くない事です。私の経験上「素直」で「前向き」な人は圧倒的に治ります。歯ブラシを持たない身体も強い先住民族にほとんどむし歯がありません。虫歯は口の中にいる細菌(この塊がプラーク=歯垢)が食べ物の残りかす(特に砂糖や炭水化物)をエサにして酸を作り出し、その酸によって歯が溶かされることで発生します。現代は、砂糖や精製された穀物を多く含む食事をとるためプラークが形成されやすく、その結果として虫歯になりやすい環境にあるのです。
<参考:高橋浩司先生が院長を務める おびひろ清流歯科クリニックさんのHP>
⇒おびひろ清流歯科クリニック
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内田
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2025年9月6日
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本
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