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【本】レビュー『世界の一流は休日に何をしているのか』
『世界の一流は休日に何をしているのか』越川慎司 クロスメディアパブリッシング
仕事を行っていく中で、休日に何をしているのかはとても重要に感じます。
学生時代に休みの前の日は夜更かしをして休日はお昼過ぎまで寝るだけ、などよくありました。
マイクロソフト出身の筆者が書いたこちらの書籍が、最近のベストセラーということもあり読んでみました。
●ここが違う!世界の休日と日本の休日
日本のビジネスパーソンは、休日を休息の時間と考えて、平日の疲れを癒すことを優先しがちですが、彼らにとっては、休日こそが主役であり、平日の仕事は大事な休日のためにある・・・と考えているのです。
フランス人は「最も大切にしているのが家庭で、その次がバカンス」といわれるほど、休みを重要視する国民性で知られており、どんなに多忙なビジネスパーソンであっても、毎年必ず長期休暇を取得するのが一般的です。
日本人は疲れてから休みますが、世界の一流は疲れる前に休みます。日本のビジネスパーソンは、体力を削るように仕事をしていますから、週末が近づくにつれてグッタリとしてきて土日の休みを疲労回復のための休息の時間と考えがちですが、世界の一流は週末にスポーツや趣味、家族とのキャンプやバーベキューを楽しむなど、アウトドアでアクティブな休日を過ごしていたのです。
●ワーク・ライフ・ハーモニー
マイクロソフトには300人のバイスプレジデントがありますが、彼らには2つの共通点があり、一つは土日の休日を、次の1週間を成功に導くための準備期間と考えて「自己再生」(本来の自分を取り戻す)を意識していること、もう一つはスポーツや趣味、家族や友人とのバーベキューやキャンプなどを楽しむことで、身体と心、脳のリフレッシュを図り次の1週間に向けて、エネルギーを「チャージ」(充電)していることです。
頑張って仕事をするとプライベートが犠牲になりがち、プライベートを優先すると仕事がおろそかになりがち。そうではなくて両者を切り離して考えるのではなく上手に統合して調和させることがワーク・ライフ・ハーモニーです。日本のビジネスパーソンは、仕事と私生活を「対立構造」と考えがちですが、マイクロソフトのエグゼクティブは、仕事が個人の成長を促し、個人の生活が仕事のパフォーマンス向上に役立つという、調和を図る役割を果たすのが「休日」であり、彼らは休日を、ワーク・ライフ・ハーモニーの「原点」と考えています。
●世界の一流の働き方
マイクロソフトのエグゼクティブが「休むために仕事をしている」と言い切れる背景には、仕事の生産性を高めるためのいい働き方があります。仕事のムダを省いて、最大限の成果を生み出す工夫をしているから、きちんと休みを取ることができるのです。
日本企業ではなぜか出社時間が遅いことを重役出勤といいますが、マイクロソフトのエグゼクティブは例外なく早朝から仕事をしています。朝5時くらいから自宅で仕事をしたり午前7時には出社して働き始めています。仕事を終えるのはほとんどが夕方5時前後で、早い人は夕方4時には会社を出て自宅で家族と過ごしています。
欧米人は家族愛を大事にして家族と一緒に過ごす時間を少しでも多くすることを心掛けています。アマゾンCEOのジェフ・ベゾスや、METAのマイク・ザッカーバーグも仕事から離れて家族との長期休暇を過ごすリラックスタイムをSNSにアップして、世界中を笑顔にしています。
長期休暇で世界の一流パーソンは教養を深める機会と考えさらなる成長を目指し、「読書」を楽しみながら創造性やストレス耐性を高め自分を癒してくれるエンターテイメントにしているのです。ビル・ゲイツは読書家として知られており、離婚したという事情もあるのでしょうが、長期休暇は読書三昧の日々を送っております。世界の一流は、ほぼ例外なく、読書を自己啓発の柱に据えております。
●趣味ができると仕事の効率性が格段にアップする
仕事ができる人に共通する特徴は、「週末にテニスをしたいから、効率的に仕事を進める」など、趣味を楽しむために仕事のスケジュールを逆算して、業務効率を高めていることです。彼らは、先に休む日を決めて、それに向かって計画的に仕事を進めることで「締め切り効果」をフル活用しているのです。締め切り効果が起こると「集中力が高まる」⇒「業務効率がアップする」⇒「早く仕事の成果が出る」⇒「確実に休暇が取得できる」⇒「趣味を楽しめる」⇒「ストレスを解消できる」⇒「次のタスクに前向きに取り組める」・・・という正のサイクルを回すことができます。世界の一流が休日に自分の趣味を楽しんでいるのは、休日を通して「自己効力感」を高めようと考えていることに理由があります。自己効力感とは、カナダの心理学者アルバート・バンデューラが提唱した概念で「自分なら必ずできる」とか「きっとうまくいく」と思える感情や自信のような感覚を指します。
●世界の一流の読書
世界の一流は、休日に知識を蓄えて自己効力感を高めるために読書を重視しています。
ビル・ゲイツ(毎週1冊のペースで本を読んでいる)
その大半がノンフィクションで公衆衛生やエンジニアリング、疾病や価額など、ジャンルは多岐にわたります。ゲイツは毎年11月末になると「今年読んだ最高の本」を紹介しており、掲載されるとすぐに全米でベストセラーになります。
イーロン・マスク(歴史や哲学の本で広範な知識を得ている)
9歳の時にブリタニカ百科事典の全巻を読破したと伝えられています。現在はロケット関連の本を中心に、休日には歴史や哲学、科学の本を読んで広範な知識を得ているそうです。
マーク・ザッカーバーグ(読書を通じて異なる文化や歴史を学ぶ)
2週間に最低1冊の本を読むことを習慣にしている。ザッカーバーグは「本を読むことで、我われは一つのテーマを十分に追求し、深く没頭することができる。今のどのメディアもかなわない」と話しております。
ウォーレン・バフェット(読書で得た知識を投資に活用する)
1日5~6時間は読書の時間を作り、週末のほとんどを読書に費やすことで知られています。投資に活かす前提で盆栽の本を読むなど、投資とは無関係な本を大量に読むことで、洞察に基づく投資判断に活用しているのです。
●休日のリラックスタイムに将来のことを考える
世界の一流のビジネスパーソンは、休日を利用して自分自身と向き合い、この先の事を冷静に考える機会を作っています。平日は目の前のタスクに追われがちですが、休日のリラックスタイムであれば、肉体的にも精神的にも、今後の展望に目を向ける余裕があります。自分が進むべき方向性が明確になると、モチベーションが高まり、自己効力感を引き出す原動力となります。五つの視点が大切です。
①価値観と目標の明確化
自分が進むべき方向を確認することによって、自分の行動や人生の優先順位を見極めることができます。
②自己認識と自己管理
彼らは、自分の肉体的、精神的なコンディションを注意深く観察し、身体が疲れているならば、趣味を楽しむことよりも休息を優先します。
③精神的な成長と内省
多くの一流の人が瞑想や読書から価値観を見つめ直すきっかけを作ります。
④中長期的なビジョンの見直し
仕事と人生の両方で成功するため「エネルギーの配分は間違っていないか」など戦略を練ります。
⑤人間関係の構築と維持
家族や友人、知人と質の高い時間を過ごすことで、仕事のストレスを和らげ、新たな発想やインスピレーションを得るきっかけを作ります。
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内田
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2025年5月24日
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本
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