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【TAPの仕事】業務管理体制

 

 

 

 

 

 

 

 

 

TAX CONNECTION』業務管理体制とその強化戦略 TAX CONNECTION㈱

業務管理体制こそが会計事務所の要、以前に視察に行かせていただきましたベンチャー税理士法人様の業務管理体制を学ばせていただきました。

事務所としての管理業務は、コストではなく、品質・信頼・成長を生む投資である。

決算以外の申告業務で問題なのが「届出関係」。これを担当者のみに任せる事務所もあるが、たとえば紙一枚を「出した、出していない」といった違いで、事務所としては大きな損害につながることがあるため、担当者だけで完結させず、他のメンバーもきちんと目視で確認できる体制が必要なのです。

業務内容の品質向上のため、誤りを見つけるため、正しい試算表・決算書を提供するために、「検算制度」があります。
これは単にチェック者欄に押印する事でなく、「疑似税務踏査」を強く意識したもので実際の税務調査では申告書だけでなく、会計資料や総勘定元帳が確認されることがほとんどですから、検算制度でも申告書の表面的な整合性だけでなく、会計ソフトの仕訳単位で確認し、実務に即した検算を行います。
すなわち、税務調査で「ここを見られたらどう答えるか」といった論点を先回りして潰していくイメージで、理論武装を含めた準備をします。例えば、総勘定元帳の摘要欄についても、調査官が注視するポイントのひとつですから、空欄や曖昧な記載がある仕訳には、裏付けとなる証憑資料の確認を促したり、取引内容が一目でわかるような記載を指導したりします。

確かにひと手間はかかりますが、最近ではAPI連携やAI機能のある自動仕訳ツールを使えば、一度入力した摘要内容を学習してくれるので、繰り返しの手間はそれほど重くありません。また、必要な記載があれば調査もスムーズに進みますし、調査官とのやり取りが煩雑になるリスクを減らすことができます。
そして(他の税理士事務所ではあまりやらないと思いますが)会計ソフトの中身だけでなく、原資証憑を閉じた請求書・領収書・売上伝票など会計ファイル類実物をチェックして違和感のある書類がないかを目視で探していきます。
この点、最近では証憑は会計ソフト上にアップロードしてあり、紙に印刷してファイリングすることは減りました。数年前までは全て紙で管理していたので、クラウド会計の進化が影響しています。

1次検算(入力担当者:会計・税額の一次チェック)、2次検算(チェック担当者:申告書内容・整合性の確認)までで2人の目を通して、最後の3人目が送信エラーが無いかをチェックする形で3次検算をして終えていきます。複数人の検算体制によって、多角的な視点からミスや抜け漏れを防ぎ、品質を担保します。そして申告のタイミングでキャッシュフローや今後の事業展開に関する自然と出てくるため、事業承継・保険などのキャッシュポイントに繋がっていきます。

次に、顧客対応の記録について。
ベンチャーサポート税理士法人では毎月のお客様との面談記録を「関与記録」として残しています。面談前に話すテーマを洗い出し、面談後に、その内容を記録として肉付けしながら反映していくことで、月次の面談内容がすべて履歴として残るようにしています。さらに、期末に決算書を作成する際は、社内で3段階の検算プロセスを踏んで、最終的な書類の正確性をチェックし、検算の中で出てきた指摘事項や留意点については、税務調査を想定した上でのリスク分析や懸念事項を含めて、お客様に対してフィードバックする「税務監査報告書」としてお渡しします。
この「関与記録」には業務の正確性を高めるだけでなく、顧客満足度を向上させるための大きな役割があり、平均担当先数36件の中で過去のやり取りや個別のエピソードまですべてを記憶しておくのは難しく、関与記録に日々の面談ややり取りを記録蓄積して「この社長はこう言う事を大事にしているな」とか、「前回こういう話題で盛り上がったな」といった人間関係や背景情報も含めた文脈を、次回面談に活かすことができるようになります。

これはいわば「税務版カルテ」のようなもので、単なる税務処理の履歴ではなく、顧問先のパーソナリティやニーズを把握するための基盤資料としても活用されています。また、税理士法の観点からも、適切な報・連・相を行っている証拠としての役割を果たしており、万が一のリスク対応や品質保証の面でも重要な記録です。特に中小企業の経営者である社長は多忙を極めており、発言した内容を忘れてしまう事もよくあります。そうした中で、こちらが関与記録を見返しながら、「前回このような話がありましたが、その後いかがでしょうか?」といった具合に会話の文脈を接続できると、お客様からの信頼感は非常に高まります。次回の監査報告や訪問時に事前に読み返してから臨むことで、前回の話の続きを自然にできるようになり、「よく覚えてくれているな」と感じてもらえます。

話の流れを把握できることで、お客様にとってのリマインダー機能にもなっており「そういえばまだ手を付けていなかったな」と思い出してもらえる場面も少なくありません。実務面だけでなく、経営者のタスク管理を支援する効果もあります。関与記録は、顧客対応の質を高めるだけでなく、万が一クレームやトラブルに発展した場合にも、大きな役割をはたします。過去の面談記録を確認することで、トラブルが起きた経緯や背景を正確に把握でき、当時の会話ややり取りを明確なエビデンスとして機能します。社内で活用している各種ツールのログと照らし合わせながら、相手方の主張の裏付けにもつながるため、迅速かつ的確な対応が可能になります。

 

 

  • user 内田
  • time 2025年9月13日
  • tag TAPの仕事
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