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【本】『傲慢と善良』
『傲慢と善良』辻村深月 朝日文庫
日本で結婚をする年齢は以前に比べて上がっているそうです
1980年:男性28歳女性25歳 ⇒ 2000年:男性29歳女性28歳⇒ 2020年男性31歳女性29歳
主人公の架(かける)は20代はまで女性にもてて30代まで付き合っていた元彼女から結婚を求められても引いてしまい、面倒くさがって、結局は振られてしまう。
その後、30代後半に入り周りが結婚をしていく中で一人で生きていく事が怖くなり、マッチングアプリで出会った真実と婚約をし、結婚式の準備をしてる中で、真実が突然失踪してしまう。
真実とは、彼女が群馬から東京に出てきた直後に出会っていたが、真美の親から群馬時代に結婚相談所で婚活をしていて10人以上の相手と会っていて、何度も断っていたという話を聞く。
架(かける)は結婚相談所の社長-小野里に会いに行った時に、このような言葉を聞く。
P134小野里「現代において結婚がうまくできない理由は傲慢さと善良さにあるような気がするんです」「現代の日本は、目に見える身分差別はないですけれど、一人一人が自分の価値観に重きを置きすぎていて、皆さん傲慢です。その一方で、善良に生きている人ほど、親の言いつけを守り、誰かに決めてもらう事が多すぎて”自分がない”ということになってしまう。傲慢さと善良さが、矛盾なく同じ人の中に沿存在してしまう、不思議な時代なのだと思います。」
P136小野里「婚活の中にあるピンとこない、というのの正体はその人が自分につけている値段です。言い方が悪ければ点数と言い換えてもいいかもしれません。その人が無意識に自分はいくら、何点とつけた点数に見合う相手が来なければ、人はピンとこないと言います。私の価値はこんなに低くない。もっと高い相手でなければ私の値段とは釣り合わない。」
500ページほどある長編小説ですが、人の心の模写が卓越していて、1日で読み切りました。
善良の中で生きてきた中で、親のエゴや思い込みを心配という言葉で押し付けられ、それでも人にはどこか傲慢さがあり、それでも人は生きていく。
特に後半の場面が変わった所での物語がまた印象的でした。
このドラマは2024年9月27日に映画として公開され、藤ヶ谷太輔さん主演だったのですね、いつか観てみたいと思います
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内田
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2025年9月20日
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本
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