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【本】99.7%の巨大市場に臨む中小企業向けセールス
『99.7%の巨大市場に臨む中小企業向けセールス』船井総合研究所 総合法令出版
私たちTAPが拠点を置く、北海道の十勝と札幌、お客様のほとんどが世の中の99.7%(従業員数でも8割、売上規模6割)を占める、まさに日本経済の根幹を支える中小企業様です。近年、大企業市場の飽和や意思決定の長期化、競合の激化といった営業における課題が年々深刻化し、日本市場が成熟期に入った中でゼロからのマーケット創出が難しい中で現実的かつ戦略的な成長選択肢として、今改めて注目されているのが中小企業市場なのです。
中小企業の多くは、DX、業務効率化、採用、人材定着育成、財務改善など、構造的かつ継続的な経営課題を抱えており、この解決策を”ソリューション”として提供することができれば、1社ごとの単価は大きくなくとも中小企業現場ニーズへの未対応、成功事例の横展開の再現性と拡張性の高いビジネスモデルを構築できます。多くの中小企業が依然として非効率で属人的な運営に悩みを抱えており、そこへのプロダクト・サービスは、高い受容性と継続性を持って受け入れられます。特にクラウド(SaaS)ツールを展開する多くの企業が近年大企業向けから中小企業へと明確にシフトし、SalesforceやSAPのようなグローバル企業でさえ中小企業向けへ注力しています。
中小企業の社長は自分に意思決定権があり「良い話であれば即断即決する」意思決定のスピード感がある。だからこそ、中小企業経営者に対しては「結論から伝える」「シンプルに伝える」「余計な手間をかけさせない」ことが鉄則なります。社長には3つの口癖があります。「要は何なの?」「いくらかかるの?」「いつ成果が出るの?」彼らのニーズ、何を悩み、何に困っているのかを徹底して考える。そして社長が人間性を重んじ、わかりやすい言葉を求めていることを知り、伝わる表現で丁寧に説明する意識を持つ。地方の中小企業では、長い付き合いに基づき構築した人間関係をベースにした商流が強く残っている世界であり、「何を売るか」よりも「誰が売るか」という人間性や礼儀が問われます。礼儀、相手の作法に合わせた態度、時間帯への配慮、業界慣習への理解など、人として信頼できる対応が何よりも重視されるのです。経営者は「相談できる相手」を探していて、外部の支援者に対しても「本音を話せる相手」「自分の考えを整理で出来る場」としての役割が求められております。
中小企業市場の営業を成功させるためには、最初の一歩である「リード獲得」の段階から、大企業向けセールスとは全く異なる設計思想が求められ、今の困りごとにすぐ効きそうなメッセージでなければ、反応は得られません。そして中小企業においては「自社の課題が明確になっていない」「顕在化していないニーズ」が多くあるため、課題認識を喚起する情報発信や今この瞬間の経営課題を解決するストーリー設計かつ営業側があらかじめ用意したパターンオーダー型のソリューションが必要です。そして、「(商品サービスではなく)この課題ならこのサービス」と伝わる単品特化型の価値訴求が効果的です。例えば「売上を上げる」「LTV(ライフタイムバリュー)が上がる」「コストを下げる」「離職率が下がる」「事業承継を含めた人材育成が進む」「代行サービス(ストレスが減る)」など。
中小企業向け営業においては、受注目標から逆算して「必要な行動数」と「必要な母集団数」を導き出す発想が欠かせません。例えば、1件の受注につながるまでのプロセスを「経営相談1件の受注に必要な商談数:20件」「商談20件を得るために必要な接触数200件」など。このように200件の接触のために今週〇件〇〇をする、などの具体的行動KPIまで落とし込みます。このプロセスをタスク管理ソフト等で管理し、相手先のレスポンス率、セミナー集客数、受注率などを元に営業活動をPDCAで四半期ごとに検証改善していきます。成功事例や成果の高いコンテンツの共有も、再現性のある営業活動の確立につながるのです。特にサービス開始から1~3年目の拡大フェーズではランニングコスト比で赤字にならない範囲で拡大費用を行うことが基本方針です。
売上目標=①既存売上見込み+②新規契約数×③契約単価
①既存売上見込み=既存契約数×継続率(見込み)×ランニング売上
②新規契約数=商談数×契約誘導率(商談数=接触数×商談誘導率)
③契約単価=導入費用+ランニング売上×平均継続月数(期末まで)
大企業依存では立ち行かない時代。企業が”持続的な成長”を実現するには、この広大な中小企業市場とどう向き合うかが決定的に重要になっているのです。今後の中小企業市場は、単一商材で勝負する時代から、「複数の価値提供を束ねてLTV(顧客生涯価値)」を最大化する時代」へ移行していきます。例えば、集客支援×業務効率化ツール×人材定着支援、あるいは、補助金活用×クラウド会計×伴奏による導入支援体制。選ばれるソリューションになるためには、まず1点突破の強みを持つこと。そしてのその後、掛け算でラインナップを拡張し、「選ばれ続けるパートナー」になることが重要です。
DX、業務自動化、採用力強化、価格転嫁、サブスクモデルの導入など、これまで保守的と思われていた中小企業が、時代に応じて自ら変化しようとする動きが急速に広がっています。その中心にあるのが、「自分たちにもできるんだ」と気づかせてくれる成功事例の存在です。中小企業市場は”伴走力”が問われる市場です。だからこそ、「誰のどんな悩みに寄り添うのか」を明確にし、ひとつずつ信頼を積み重ねていってください。その積み重ねが、やがて多くの企業の未来を、そして日本経済そのものを支える力になると信じています。
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										内田 
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										2025年11月1日 
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										本 
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