【本】レビュー『新・独学ではじめる税理士試験』
- 内田
- 2024年11月23日
- 本
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『新・独学ではじめる税理士試験』 会計人コース編集部 中央経済社
私(内田)自身が大学受験はほぼ全て、会計士試験も2年目以降は全て独学でしたので、こちらの本も読みスタッフが合格に近づけるにはどうすれば良いか考えながら読んでみました。
●勉強方法
どの受験生も自分に合う勉強法を模索し見つけています。
とくに独学の場合は、その情報がなかなか表に出てきません。
簿記論と財務諸表論は日商簿記の勉強受験から進めば独学で十分合格できると思います。
一方、税法科目は基礎力をつけられる検定試験がなく、独学が難しいかもしれません。
独学のメリットは初期投資の金額が少なくて済むことです。特に簿記論と財務諸表論のテキスト・問題集は市販のものがかなり充実しています。
一方、独学のデメリットは、わからない問題を自力で解決しないといけないこと、周りに受験生の姿が見えないこと、勉強を継続するモチベーションの維持が難しいことです。
独学に向いている人自分自身にあった勉強スタイルをたとえば大学受験などの際に確立できている方や、社会人でもある程度平日の勉強時間が確保できて、わからない問題の解決に時間を割ける方に向いていると思います。
筆者自身、社会人で簿記論と財務諸表論を独学で勉強した際には、平日に最低でも2、3時間の勉強を毎日続けていました。
●ペースメーカー
簿記論と財務諸表論に関して、独学合格するには勉強のペースメーカーを持つ事が大切です。
筆者は当時、月刊誌だった『会計人コース』の連載をペースメーカーにしていました。
特に、財務諸表論の理論暗記は各月ごとに取り上げられた論点を翌月までに覚えるようにして、理論暗記のペースメーカーとして活用していました。
そして、財務諸表論の理論暗記には『会計法規集』(中央経済社)を読み込んでいました。
パソコンで見るなら、企業会計基準委員会のサイトがオススメです。
●税法科目
税法科目について3つ必要な税法科目の合格をどれで狙うかという選択は、とても重要です。
9つある税法科目のうちボリュームが大きい所得税・法人税(学習時間の目安600〜650時間)、中くらいの相続税・消費税(400〜450時間)、小さい酒税法・国税徴収法・住民税・事業税・固定資産税(150〜250時間)から、試験傾向を考慮しましょう。
選択必須の所得or法人以外はボリュームが少ない科目や実務で扱う科目を選ぶ事が必要。
世の中の税理士で意外と多いのが「選択必須の科目の所得&法人の両方を合格している」というパターン。
ボリュームが多い「両方勉強するなんて無謀でしょ!」という人も多いかもしれませんが、実はこの2科目、共通している規定も多く、学習の親和性がとても高いのです。
●過去問分析と解法スピード
「過去問分析」が最短ルートの道しるべ合格の可能性を高めるためには、まず最初に近年の過去問を解いて試験傾向に沿った対策を行うのが合理的です。
ただし、「過去問が解ける」=合格、という等式は成立しません。
試験には、2時間という制限があります。
2時間以内に合格ラインを超える得点を獲得しなければならないのが試験なのです。
同じ知識量であれば解法スピードが速い方が有利です。最後に目指すものは「時間内解法力」、すなわち知識とは異なる受験テクニック(解法スピード)を身につけることです。
●知識の均等化
知識を均等化する努力受験勉強の第一ステップは、日増しに増加する個別論点を地道にこなしていくことです。
しかし、先に学んだ論点は忘れていきます。
受験勉強は、「現在学習している論点」と「過去に通り過ぎた論点」とを均等に詰め込む努力です。
すなわち、時の経過に伴って、過去の情報が増加し、「復習」を怠ると過去の記憶は薄らいでいくのです。
例えば、有価証券を学習する時点では、すでに貸倒引当金の計算を忘れている…、それが普通ですので、意識して各論点の知識を均等化する努力を怠らないようにしなければなりません。記憶量について勝手に限界を決めるべきではありません。
しかしながら「一度も覚えていないこと」を「忘れた」ということは矛盾しておりますので、まずは忘れることを恐れず覚える事が大切です。
●基本書の活かし方
基本書とは、税理士試験・財務諸表論を受験する予定の独学者が、この一冊を活用するだけで財務会計理論を体系的に理解し、当該科目において合格点以上を獲得できるようになる財務会計の教科書です。
最適な基本書は桜井久勝著『財務会計講義』(中央経済社)で、これは本当に読まなければなりません。
読み方は通読で毎日読む事です。とにかく立ち止まらずに最終ページまで読み進めていき、また先頭ページに戻ることを繰り返し、頭の中に財務理論の体系を構築させます。
大枝(大きい論点)をしっかりと支える太い幹(会計理論の根幹部分)を育てることに繋がり、これは予備校のテキストでこれは出来ません。
●間違いノート
筆者自身、間違いノートを作り弱点を減らすことで税理士試験を突破できました。
税理士試験では、受験生の多くが点を取れる箇所で自分自身が点を取れないと、合格が遠のいてしまいます。
今の時点で間違えている問題については、本番でも間違える可能性が高まります。
間違っている箇所=今の自分の弱点になり得るので、その間違いをつぶす作業が必要になります。
工程①間違えた部分の問題をノートに写します。
工程②間違えた自分の解答を写し見直せるようにしましょう。
工程③正解と解き方を写し正しい解答プロセスを理解できるようにしましょう。
工程④なぜ間違えたかを分析しましょう。理解不足?問題や数字読み間違え?時間不足?電卓打ち間違え?数字転記誤り?
工程⑤総合問題を解く前に見直し、勉強の合間にも気分転換に見直すしましょう。