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【本】レビュー『謙虚なコンサルティング』

  • user 内田
  • time 2024年11月30日
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謙虚なコンサルティング』 エドガー・H・シャイン 英治出版

会計事務所はお客様(クライアント)の財産の内容を扱い、その内容をもとにコンサルティングを行っていきます。
コンサルティングは偉そうに行ってはいけません、謙虚(=人格主義)に行うことでお客様に通じ、良い方向に進んでいくと思い、こちらの書籍を読んでみました。

シャインにとって、積極的な気持ち、思いやり、好奇心を持って、クライアントの本当の思いを突き止めることが謙虚なコンサルティングの前提である。クライアント自身が、納得感のある解を自ら探っていけるよう支援することが最も大切であると説き、このプロセス・コンサルテーションという概念は、コンサルタントにとって新しい常識となった。
誰かに相談されたとき、どうすれば相手の役に立つことができるだろうか?人生やビジネスにおけるこの重大な問いに答えるのが、本書である。

根本的な文化や仕組み自体を変えたいと考えるクライアントもいるかもしれないが、そのクライアント自身の願望からどんな良くない状況が引き起こされるか、変えること自体が難しいかに気付くか、具体的な行動を思い浮かべて分析するような質問に促されたクライアントは、起こり得る結果とできることとできないことについて、熟考し始める。クライアントが文化や仕組みを根底から変えるのではなく、ちょっとしたアダプティブ・ムーブ(調整のための行動)をするという観点から考えることを余儀なくされ、本当に気がかりに重いっていることに気づく。

驚くほど多くのケースにおいて、コンサルタントは問題を自分のものとして捉えてしまい話そうとしないことがあるが、問題を組織に返し、自分は謙虚なコンサルタントの役割を引き受け、診断作業と提案された介入の実行との両方をみずから担うよう組織のメンバーをコーチした方が、効率的で効果も高まるのに、である。解決しようとしている問題に対してはっきりとした考えがあったとしても、解決の方法について明確なあるいは有効な計画をクライアントは必ずしも持っておらず、そのためプロセスに関しての支援を必要としていることが多い。例えば、会社の文化分析の最適な方法は独りずつのインタビューでなくグループを使うことであること。

謙虚なコンサルティングが最も役に立つのは、クライアントの「思考プロセス」を、次の一つ以上の方法によって再構築する場合である。①問題をもう一度、説明する。②クライアント自身の役割が何かを再考する。③コンサルタントがすべきことは何かを再考する。これらのプロセス領域でこそ、たとえ初めて会話をしているときであっても、驚くほどすぐに支援できる場合がある。再構築によって、自分が今何を知っているかということに、クライアントが気づくからである。コンサルタントは、クライアントが最初に考えた、あるいは提案したことを上回る、コンサルタントを活用するメリットを示して支援するのだ。

コンサルティングの場では仕事の域を出ないレベルでの関係が珍しくないが、心配を打ち明けられるくらいクライアントが十分に安心し、互いを信頼して率直に話をするためには、個人的な話のできるレベルの関係を築く必要がある。個人的な事に踏み込んだ質問をしたり、状況とそれについてのクライアントの気持ちとに共感的に耳を傾けたり、より個人的な考えや自然にわき起こる反応を伝えたりすることを通して生まれる。尊重され大切にされたいと願うクライアントを前にしてなお、クライアントが直面している状況の複雑さとやっかいさを前にしてなお、変わることのない謙虚な姿勢が必要である。また必要なのはどうすればいいかわからなくてもいいのだと受け入れられるようになることだ。

 

 

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