レビュー『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
- 内田
- 2013年5月18日
- 本
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『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』村上春樹 文藝春秋
好きな作家、村上春樹さんの最新作ということで読んでみました。
前作『1Q84』のどこか幻想的で動きのあるストーリーとは一風異なり、本作は日常の
なかの人間模様を描いています。
村上春樹さんの文章は本当に読みやすいです。自然と物語に引き込まれていきます。
題名の「色彩を持たない」多崎つくる、というのはどういう意味なんだろうと思いながら
読み始めましたが、彼の友人関係の中で色彩が大きな意味を持っていることに気づきます。
主人公、多崎つくる君の高校から大学にかけての友人関係がテーマになるのですが、
自分自身の高校・大学時代を思い出して、やっぱりその時代の記憶は鮮明に残っています。
その時代を思い返して、そこに向き合うための巡礼をおこなう。
なかなかできそうでできないことです。
終わり方といいもしかすると賛否が分かれる作品かもしれませんが、小説らしい小説、
村上春樹さんらしい良い作品だと思います。