レビュー『MBAマーケティング 必読書50冊を1冊にまとめてみた』前半
- 内田
- 2021年7月3日
- 本
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『MBAマーケティング 必読書50冊を1冊にまとめてみた』 永井孝尚 KADOKAWA
税理士法人TAPのスタッフに薦められて読んでみました。
50冊の前半から何冊か抜粋して書いていこうかと思います。(2週間後に後半のレビューも書かせて頂きます。)
〇第1章戦略
『T・レビット マーケティング論』(ダイヤモンド社)セオドア・レビット
あらゆる商品は必ず陳腐化する。
現在低迷する百貨店・アパレル・家電も、登場時は成長産業だった。
実は30年前から「コンビニ市場は、飽和した」と言われ続けてきたが、小売業に甘んじずに、公共料金支払・宅配便・ATM設置・おでん、など顧客ニーズを考え続けて、顧客を創り出し満足させてきたことで努力で成長し続けてきている。
『ポジショニング戦略』(海と月社)アル・ライズ
スターバックスは消費者の脳内に「自宅でも仕事場でもない、第三の場所」というポジションを築いて成功した。
相手の脳内に一番乗りすれば、ポジションは確保できる。
二番手企業は「リーダー企業よりも高品質の類似品を出せばいい」と考えるが、失敗する。
ルンバは過半のシェア。消費者は「お掃除ロボット=ルンバ」と刷り込まれており、他者は勝てないのだ。
『両利きの経営』(東洋経済新報社)チャールズ・Aオライリー
長い歴史の中で、新規事業に転身し続けて成長してきた老舗企業は多く、明治初期創業の任天堂は花札を製造していたし、1911年創業のIBMは肉秤を製造していた。
しかし新規事業と既存事業ではやり方が異なる。イノベーションのための新規事業では未知の分野への「探索」が必要で、既存事業では効率を追求して組織能力を活用する「深化」が必要だ。
老舗企業には、探索と深化を両立する「両利きの経営」ができるリーダーがいたのだ。
組織の理解⇒探索と深化が必要と意図を明確にし、新規事業を保護し、共通のビジョン文化を創る。
リーダーシップ⇒感情に訴え情熱的に語り還付も巻き込む。誰が緊張関係に臨み、二枚舌的に動く。
〇第2章ブランドと価格
『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)ジョン・ムーア
スタバはコーヒー豆の品質を追求し、「どこにでもある一杯のコーヒー」を「他にないもの」にした。
スタバはブランドマネジメント=評判管理と考え、「口コミが最大の広告」と考え、誠実にお客さんに接し続け、約束したことを常に実行し続けいい評判を作り続けた。
スタバは値下げしない、だからこそ顧客体験に注力できる。
『戦略的ブランド・マネジメント』(東急エージェンシー)ケビン・レーン・ケラー
ブランド・エクイティー(=消費者に与える目には見えない価値)を生み出すには、顧客の脳内にブランドに対する良い感情を時間と労力をかけてつくり、顧客の理性と感情の両方に働きかけることだ。
消費者が他ブランドと異なることと分かるための特徴を携え、性能や機能で消費者ニーズを満たしながら差別化し、一流のものだと印象付けることが大切である。
『ザ・プロフィット』(ダイヤモンド社)エイドリアン・スライウォツキー
経営に関する世界の6賢人に選出されたスライウォツキーの著書でいくつかの利益モデルを紹介している。
スイッチボード利益モデル⇒あたかも電話交換機(スイッチボード)が電話を掛ける人と受ける人をつなげるように、ニーズがある人と仕事を求める人をつなげるモデル。
取引規模利益モデル⇒いったん関わった顧客との関係を絶やさず継続的に価値のある情報を提供し続け、顧客の要望に応え続け、徐々に顧客の信頼を獲得し、新しい案件を任されるようになる。
〇第3章サービス・マーケティング
『真実の瞬間』(ダイヤモンド社)ヤン・カールソン
価値(顧客が心を射止められる瞬間=真実の瞬間)を創り出すのは最前線の従業員であり、従業員が楽しくレベルアップできなくてはならない。
従業員に満足した顧客を生み出すためのビジョンを伝えた上で、責任と権限を徹底的に委譲する。
そして、中間管理職には現場の管理ではなく、現場のサポート(指導・情報伝達・教育)というミッションと情報を与え、能力を最大限発揮してもらう。
『ラブロック&ウィルツのサービス・マーケティング』(ピアソンエデュケーション)ラブロック&ウィルツ
サービス業は形を持たないため、製造業のマーケティングミックス4Pに、4つのPを追加して8Pで考える。
①サービス・プロダクト;競争が激化するとコアサービスが似てくるため、接客などの補完的サービスで差別化を図る。
②場所と時間:Place&Time。顧客の利便性を考えた場所。
③価格とコスト:Price&outlays。サービス提供のための間接費を集計したABC原価計算。
④プロモーションと教育:口コミで顧客に紹介してもらうのが効果的。
⑤サービス・プロセス:Process。申込書記入など顧客に付加価値がない作業は削減し、一部は自動化する。
⑥物理的環境:Physical service environment。スタバが居心地の良い空間を提供しているようにサービス環境も大切。インスタ・音楽・HP・アロマなども重要。
⑦人:People。ライバルも他は真似できても優秀な人材は模倣できないため、高い報酬と研修・権限移譲で従業員の高い満足度から顧客の高い満足度へつなげる。
⑧生産性とサービス品質。Proceutivity&Quality。サービス品質と生産性の両立は難しいものだが、それに取り組み相乗効果を生み出すべきだ。
『顧客体験の教科書』(東洋経済新報社)ジョン・グッドマン
著者は「トラブルを体験し苦情を言わない顧客よりも、苦情を言って解決した顧客の方が再購入率は高い」というグッドマンの法則を提唱した。
顧客からのクレームやトラブルを把握・対応し、顧客に当たり前の解決体験を生む仕組みを作るべきである。
またそのために、グッドマンは次の4つに継続的に取り組むべきだと提唱する。
①顧客に対して誠実で、顧客との最初の接点から最後まで顧客を不快にさせることなく、すぐれた顧客体験を提供する。
②顧客の苦情がないことは良い事ではないため、顧客に「私たちはトラブルについて真剣に知りたい」と伝え続け、苦情を伝えやすい環境を作り、謙虚に学ぶ。
③顧客をさりげなく教育する。例えば、いまは世の中にあるクラウドサービスを使えば、情報を共有することが簡単だということを教育する。
④社内に顧客体験生み出す組織文化を築くため、事例を挙げて従業員に具体的なトレーニングをする。