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【本】レビュー『道は開ける』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

道は開ける』 デール・カーネギー 創元社

人生の困難を乗り越える時も、仕事で大変なことをクリアしていくときも、人間関係でも、人には悩みがつきものです。
その「悩み」をいかに克服して成長していくかを教えてくれる、書籍です。

●今日、一日の区切りで生きる
息絶えた昨日を閉め出し、まだ生まれていない明日を閉め出そう、そうすれば今日一日安泰です。昨日の重荷に加えて、明日の重荷まで今日のうちに背負うとしたら、どんな強い人でも体がもたないであろう。エネルギーの消耗、心痛、神経衰弱は、未来のことを気づかう人に合わせてつきまといます。あすのことを考えるな、あすのことはあす自身が考えるであろう、一日の苦労はその一日だけで十分だ。
人生を砂時計と考えてみるんだ。砂時計の上部には無数の砂が入っていて、ゆっくりと一定の速度で中央のくびれた部分を通過していく。この砂時計を壊さないためには余計な手出しをせずに、砂の一粒一粒が通過するままにしておくほうがいい。朝、仕事を始める時には、その日に片付けてないとように思われることが山ほどある、けれども一度に一つのことしかできないし、砂時計のように一定の速度で仕事を片付けるしか手はない。さもないと、肉体や精神の働きが狂ってしまうのだ。
ロバート・ルイス・スティーヴンソンの言葉
「自分の荷物がどんなに重くても、日暮れまでなら、だれでも運ぶことができる。自分の仕事がどんなにつらくても、一日なら、だれでもできる。太陽が没するまでなら、だれでも快活に、辛抱強く、親切に、貞淑に生きられる。そして、これこそが人生の秘訣そのものだ。」
著名なインドの劇作家カーリダーサの言葉
「夜明けへのあいさつ
今日という日に目を向けよう!これこそ生命、生命の中の生命なのだ。その短い工程の中には、君の存在の心理と現実とがすべて含まれる。生まれ育つ喜び、行動の栄光、美の輝き。昨日は夢にすぎず、明日は予感でしかない。精一杯に生きた今日はすべての昨日を幸せな思い出に変え、すべての明日を希望の見取図とする。だから目を開こう、明日に向かって。」

●悩みを解決するための魔術的公式
不安な気持ちを振り捨てて、目前の事態に対処する具体的な方法。
①「起こり得る最悪の事態とは何か」と自問すること。(逮捕されたり射殺されることはないか。それは確実。)
②やむをえない場合には、最悪の事態を受け入れる覚悟とすること。(覚悟ができれば怒りや妄想混乱が消え集中力決断力が増す。)
③それから落ち着いて最悪状態を好転させるように努力すること。(エネルギーが解放され行動ができる)

●悩みがもたらす副作用
悩みに対する戦略を知らないビジネスマンは早死にする。苦悩、不安、欲求不満、憎しみ、怨恨、反抗、恐怖などが心臓病・潰瘍・高血圧などで、どれほど私たちの肉体を破壊しているか。感情が自信、成功、勝利といった彩りを帯びると即座に全快する。緊張をゆるめ、英気をよみがえらせるものは健全な睡眠、音楽、笑いである。神を信頼せよ、よく眠れ。良い音楽を愛せよ。人生のおどけた面に目を向けよ。そうすれば健康と幸福が得られる。

●悩みの分析と解消法
混乱こそ悩みの第一理由。このようの悩みの大半は判断の根拠となる知識が十分でないのに判断を下そうとするから生じる。必要な時まで気をもんだりせず事実の把握のみに努め、それができれば問題はたいてい自然に解決している。ウィンストン・チャーチルは責任の重大さに頭を痛めることがないか質問されたとき「私は忙しすぎる。悩んだりする暇がない。」と答えた。将兵たちが戦場で衝撃的な体験を重ね神経症と呼ばれる状態で戻ってくると軍医は処方箋に「多忙にしておくこと」と書き込んでいた。悩みに対する治療法は、何か建設的な仕事に没頭することだ。

●小事にこだわらない
私たちが人生の大きな災難に雄々しく立ち向かう例は珍しくない。そのくせに、ささいな出来事、いわば「気分をいらつかせるもの」を気に病むのだ。シカゴの名判事が「不幸な結婚生活の根底には、ささいなことがらが存在する」「刑事裁判所の訴訟の過半数は、つまらぬことが原因である。酒場での空威張り、家庭内での口論、侮辱的な言葉遣い、罵詈雑言、無礼なふるまい―この種のつまらぬことが、暴力事件や殺人にまで発展する。世の中の傷心の半ばは、われわれの自尊心がちょっと攻撃を受けたり、侮辱されたり、虚栄心がチクリと刺激されるために生じるのである。」。イギリスの政治家ディズレーリは言う、「人生は短すぎる。小事にこだわってはいられない。」私たちがこの地球上に生きるのは、わずか数十年にすぎない。それなのに、一年もすれば皆から忘れられてしまう不平不満を悩みながら、かけがえのない多くの時間を無駄にする。もうごめんだ。私たちの人生を、価値ある活動、感覚、偉大な思想、真実の愛、永久の事業のために捧げよう。とにかく、小事にこだわるには人生はあまりにも短すぎる。

●非難を気にしない方法
相手が大物であればあるだけ人間はそれを非難して意地の悪い満足を求めるのであり、低俗な人々は偉人の欠点や愚行に非常な喜びを覚えるのである。そうである、不当な非難はしばしば擬装された賛辞であることを忘れてはならない。
私たちの多くは自分に向かって投げられる悪口をあまりにも気にしすぎるのである。実は皆が自分の事しか考えていない。だからバカにされ裏切られてもそのために自己憐憫に陥るのは愚の骨頂である。不公平な批判で傷つくかどうかは私しだいなのだ。食って掛かってくる相手には反論することに意味はなく「ただ笑う」だけで良い。だれかに悪口を言われても自己弁護をしないようにしよう。私たちはもっと独創的に、謙虚に、手際よくやろう、おそらく自分も少なくとも80%は誤っているかもしれない。そうとしたら、むしろ感謝すべきだ、そしてそれを有効に役立てるように努めるべきだ。

●疲労と悩みを予防し心身を充実させる方法
疲労が悩みを引き起こすので、たびたび休養すること、疲れる前に休息せよ、である。第二次世界大戦の際、ウィンストン・チャーチルは一日16時間働いて軍事行動を指揮していたが、昼食後に2時間眠り疲労を予防し何回も休息をとったおかげで、元気よく深夜まで働けた。5分間の昼寝でも効果がある。エジソンによれば、彼の驚くべきエネルギーと忍耐力は、寝たいときに眠る習慣のおかげだったという。もっとも重要な器官は目である、シカゴ大学のジェイコブソン博士は全身の神経エネルギーの4分の1を目が消費しているため、もし目の筋肉を完全にリラックスさせることができたら、人間はあらゆる悩みを忘れるだろうと言っている。

 

  • user 内田
  • time 2024年12月21日
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【本】レビュー『経営者になるためのノート』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

経営者になるためのノート』柳井正 PHP研究所

経営者とは、約束した成果をあげる人のこと。松下幸之助さんは「水道から流れる水のように廉価に大量に物を供給することで人々を幸福にする」と、本田宗一郎さんは「世界一の二輪メーカーになる」と、その使命を約束して成果として実現したからこそ、あらゆる人から尊敬され続けます。

●変革する力〜経営者はイノベーターであれ
経営者は「危機感」にもとづいて経営をすべきで、「不安」にもとづいて経営をやってはいけません。
確証のない思い込みが不安であり、具体的に書き出すと悩んでいても仕方がない事とわかるのですが、自分ではコントロールできないもの。考えても、もったいなく仕事をしているうちに入りません、大切な事ことはまずはやってみること。だめだったらまた頭をひねって次の施策をやる、具体的に実行し続ければ不安を感じている暇は無くなるはずです。社員に嫌われたくないという思いから、ものわかりがいい上司を装う人がいます。もの分かりのいい上司からイノベーションは生まれません部下も育たなくなります。自分基準、自分都合で仕事を完結させてしまいますから、本当の意味での達成感や成長実感を味わえません。その中で部下に「君だったらできる」と言うことが必要で、やらせる以上は最終責任は上司がとり「責任は全部上司にある。うまくいった時は全部部下の功績だ。」といったような気持ちで部下に接する事が大切です。危機感(=自社を評価しながら慢心せず努力し続けること)を持って、いつも断崖の上を歩いている、ちょっとでも油断したら真っ逆さまに落ちてしまうと考えてのぞむのが「正常な経営」なのです。

●儲ける力〜経営者は商売人であれ
お客様を喜ばせたいと腹の底から思うこと、お客様の声を聞こうとしなければいけないがその一枚上手をいこうとすることが大切です。お客様に教えていただけるのは、あくまで問題点やニーズでしかなく、プロである我々が、想像力と創造力を働かせて「それは、こういうことではないでしょうか」とお客様の期待を超えていく事に本当の付加価値が生まれるのです。地道なことを徹底的に行う事が大切です。経営をよく知らない人は儲ける力というと、何か派手なことをやったり、特別な方法があって、そこを突けば成功できると作家している人がいますがそんなことは全くなく、経営というのはあたり前のことを本当にあたり前に毎日実行する、そしてチェックをして次の方法を考える、計画を変える、このことの繰り返しです。経営にとって大切なことは、一日一日、一人ひとりのお客様を大切にすること。そして、日々無駄を省く努力をし、あらゆるプロセスをコツコツと工夫して改善していくことです。ユニクロのお店では毎日の当たり前のこととして例えば次のようなことがあります。「清掃が行き届いていて、常に清潔で気持ちのいい状態にする。バックヤードもきれいで、物を探しやすく、働きやすい環境にする。」「お客様から見て分かりやすく美しくきちんと整った状態にする。」「スタッフが元気で明るい接客ができるようにする。できていない人がいたら指導する。」「お客様からのクレームは適切に対応し二度と発生しないようにスタッフで共有して問題解決する。そうした情報やその他気づいた情報を本部にあげる。」「毎日毎日、偏執狂的なほど、商売の結果を見て、自分で問題を発見して、一つ一つ解決する。」これらは能力の問題ではなく、習慣の問題です。ですから、本来誰にでもできることです。逆に言うと本当の習慣になるまで、意識的に鍛えることが肝心です。また上の立場に立つものが率先して実践しない限り、部下はこうしたあたり前のことの実践を軽視してしまいます。もし、現場でこうしたことが出来ていなかった時は、部下の問題ではなく、上司である自分の問題だと思うべきです。

●チームを作る力~経営者は本物のリーダーであれ
部下との信頼関係を作り、100%全人格をかけて部下と向き合い、目標を共有して一人ひとりの責任を明確にする。任せ評価をして期待をして長所を活かす。人から信頼を得る絶対欠かせないことは言行一致=約束をしたのであればその約束を守る事、首尾一貫=方法や課題は変わっても最終的な目標や理念価値観は普遍性/真実性/誠実性があって人間の芯として感じられる事。そして部下の立場に立って相手の論理で相手の感情で話を聞き正面から受け止め、100%のエネルギーを使って部下の未来を明るくするための、一番よいアドバイスを違うとか甘いといった意見を含めて伝え、よい仕事をした時や成長したなと思った時はきちんと褒めて評価してあげる。目標実現のためメンバーが何のために仕事をやっているのか、本当にメンバーが分かるまで、何度も何度も同じことをしつこく伝え、メンバーが他の人にも熱く語る状態、メンバーの体が勝手に目標のために動く状態でないといけません。人に業務を任せる時は、ゴールイメージを最初に共有する、本質的に達成してほしいことやその基準をしっかりとすりあわせておく。これがずれていると本人は頑張ってやっているつもりだったのに、リーダーが求めているものとが違う成果になり、お互いが不幸になります。仕事をした結果をリーダーはよく見てあげ、日常会話や必要なタイミングで、その評価を伝えてあげる。その結果、モチベーションは高まり次はもっと頑張ろうという意欲がかきたてられます。人間は期待されているかどうかを感じる力を持っています。リーダーがメンバーと向き合った時の目、態度、日頃の接触の仕方や頻度、そういったものからメンバーはリーダーの自分に対する期待度を読み取ることができます。メンバーに高い成果を要求するのであれば、その分だけメンバーに対する期待の気持ちをセットで届けないと、モチベーションを高めるというリーダーの仕事は完成しないという事です。

●理想を追求する力〜経営者は使命と共に生きよ
会社というのは社会に貢献できてはじめて、社会から存在が許される、認められるものだと思います。会社は、生まれた瞬間から社会の公器です。お客様の生活の向上や幸せに役に立つことができず、社会に貢献できない会社は、いつの間にか社会から排除されて行ってしまうのです。会社にとって儲けることは重要なことです。しかし、それ自体は手段にすぎません。会社の最終目的は「人間を幸せにするために存在している」という使命の実現であるべきなのです。
  • user 内田
  • time 2024年12月14日
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【本】レビュー『働きがいのある会計事務所・税理士事務所 特選』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

働きがいのある会計事務所・税理士事務所 特選』ISTED Library  ㈱ミツカル

税理士事務所の業界が魅力的になるのはいくつか条件が挙げられます。自身を成長させ理想のキャリアを築ける、給与水準が高い、残業が少なくライフワークバランスがとれる、仕事が面白くやりがいがある、-これらを業界全体で実現することを目指しております。小学生に「将来就きたい職業」を訪ねた時、「税理士」と答える子どもが増えてほしいと思うのです。

税理士事務所の就職では労働条件だけでなく「カルチャーフィット」も重要であると実感しています。どんなに高い報酬を得ても、仕事にやりがいを感じていても、事務所のカルチャーに合っていなければ居心地の悪さを感じてしまうのものです。応募前の「カジュアル面談」をはじめ「職場見学」「食事会」など、時間をかけて理解を深める機会を設けて、入所後にギャップを感じないことも大切です。

本書籍では税理士事務所を選ぶ際に注目すべきポイント、風土・キャリアパスなど30の税理士事務所を紹介します。

●大手事務所で働くメリット
初任給から給与水準が高めで、福利厚生も充実している事務所が多いです。新卒・未経験者を採用するため、教育・研修カリキュラムが整備されており、スキルアップの度合いを評価する制度もあります。研修充実の中で上司とのコミュニケーションがスムーズで、配属先関係変更で人間関係の悩みを解消できる可能性があります。業務のラインナップが多いため幅広い業務を経験でき、成長やキャリアアップが期待できます。

●大手事務所のデメリット
顧問先数や対応業務が多い分、特に繁忙期は忙しく、統計的に残業がやや多めになります。「製販分離」の組織体制のた最初から最後まで一貫して手掛けられない事が多いです。一般企業と同様、大手事務所への就職希望者は多く競争率が高いです。

●個人事務所で働くメリット
仕事の全体像が把握しやすいです。所長との距離が近く「経営」についても直接学べ、独立開業を目指す方にとって事務所運営のノウハウが学べます。税理士業界の平均年齢が63歳と高齢化している中で、所長が引退する際に自分に承継してもらえる可能性があります。

●個人事務所のデメリット
所長の考えや価値観によって運営方針が決められ突然変わることもあり、所長に共感できないとストレスを抱えることになるでしょう。自身の利益だけを重視し職員を駒のように扱う所長が存在するのも事実ですので面接でしっかり目極めましょう。教育体制が整っていない事務所が多く、未経験で入所すると戸惑う可能性があります。

●ブラック事務所を見分けるポイント
採用HPなどに記載をされている募集要項、事務所名で検索した時に出てくるSNSの情報などをチェックしてください。応募後は、面接で確認したり職員と話をさせてもらったりと、様々な方法を駆使して見極めましょう。常に職員を募集している事務所は、職員の数が一定以上増えていない場合、「離職率が高い」と判断でき職員が定着しないということで、何かしらの問題を抱えている可能性があります。税理士事務所で働きながら、税理士資格取得を目指す方が多数いらっしゃいます。それを支援するため「通学できるよう残業時間を抑えている」「試験休暇を設けている」といった事務所もあり、中には専門学校の学費を事務所が負担してくれるケースもあります。創業から10年以上たっている事務所であれば平均年齢もチェックしてみて、20代~30代前半であれば創業メンバーやスペシャリストが離職してしまっており定着しない何らかの問題が潜んでいる可能性があります。

●税理士事務所特選
選定の基準。年収(高年収を狙える事務所)。残業時間(過度の負担が掛かって残業が多くならないか)。評価制度(全国38,000事務所中、400件程しか持ち運用していない。)。教育体制(研修動画ほか)。試験勉強のサポート(試験直前の残業の少なさや休みのとりやすさ)。働き方の柔軟性(フレックスタイム制度、リモートワーク制度)。福利厚生(決算賞与、扶養手当、引越料金、スポーツジム利用料)。

あいわ税理士法人(東京都港区)
税理士や公認会計士などの有資格者率が高いことが一番の特徴。一般的な税理士事務所の場合は、1名の有資格者に3~6名のアシスタントがついて仕事を進める構造にありますが、私たちの場合は約80名のうち80名以上が有資格者。IPOを得意とし、現在のクライアントのうち上場会社が305社、上場準備中の企業は200社、クライアントの7割は上場系です。世の中を見渡すと税理士の多くが代行業務に時間を取られておりもったいない。また代行業務は急速に進化をしているAIに仕事を奪われていくでしょう。現在、あいわ税理士法人では毎年10社前後のクライアントが上場を実現し国内IPOの1割程度を占める。また、M&Aや事業承継にもフォーカスして進化を模索している。

サン共同税理士法人(東京都港区)
グループ内に社会保険労務士法人と行政書士法人があり、それを多面的に支える財務支援や補助金支援のコンサルティング会社、DXやマーケティングを行う会社、さらには人材紹介会社、M&A、不動産関連会社もたずさえ、12のグループ会社がタッグを組んで幅広いニーズに応えている。DXは創業時から力を入れており、自社開発の基幹システムを構築、開発したのは税理士でありITエンジニアでもある稀有な人材。グループ内のシステムを最適化するだけでなく、クライアント企業のDX支援も行う。当初からリモートワークが標準で、業界に合って先駆的。出社日や朝礼などの縛りがなく、働き方の自由度が抜群に高い。

ネットワーク渡辺税理士法人(東京都新宿区)
経営者のパートナーになりたいという中で数字を追うわけでなく、どんな事業展開をしたいのかを深く理解し、家族構成などプライベートにも踏み込み、それら全てを把握してライフパートナーとして、売上目標や役員報酬についても提案していく。過去はチームで仕事をするというよりも、一人ひとりが自走してそれぞれ成果を出すいわば一匹狼の集団でその方がある意味楽だが「人ひとりで出来ることには限界があり」、それでは人も組織も育たずメンバーが辞めていけば何も無くなってしまう”砂の城”を作っているようなもの。そうではなく、入社した人がしっかりと育ち、活躍する組織、ほかに誇れるような組織を作りたいと考えている。

税理士法人シリウス(東京都千代田区)
当社のように社員30人ほどの規模の会計事務所の場合、どうしても事業の主軸となる領域が偏りがちで、社員のキャリアパスも固定されてしまう。その点は当社は異なる専門知識を持つスペシャリストが集まって運営しているため、専門性を追求しながら、多様な経験を積むことが可能です。経験が浅いスタッフには先輩社員が業務に関する相談から研修の進捗までサポートするメンター制度を導入し、社員同士のコミュニケーションの活性化により新人や若手社員の自立と成長を図っている。また月に1度の1on1ミーティングで、個々のスタッフが学びたい分野や達成したい目標、希望するポジションなどについて経営陣と共有し、スタッフ自らキャリアについて考える場としている。

T&T税理士法人(東京都港区)
寄せられる依頼の7割以上「相続」関係で4か所に拠点を展開。相続税申告の実績は年間300件以上、総スタッフ15人うち税理士7人で、年商4億円規模にまで成長を遂げた。40以上のITツールを相互に連携させて独自のシステムを作り上げ、業務の効率化と精度向上を実現し、午後6時までにはほとんどのスタッフが退社をするなど、働く人の負担を軽減したことに加え、人的ミスの削減により顧客からの信頼も増した。ITツールを導入し始めてから4年で、スタッフ数は同じままに、年商が倍増した。「最終的に到達したいのは、会計・税務業務を含めたすべての業務をITに任せられる状態で、そのために新しいツール導入や仕様変更など日々システムをアップデートしています。」

税理士法人中央会計(大阪府大阪市)
現在の代表社員-辛島は2004年に中央会計に入社してスタッフとマネージャーを経験し2021年に代表税理士に就任。「私のマネージャー時代は、担当業務をしながらスタッフの管理をし、忙しさを極めました。その中で強く感じたのは、働く人にとっては業務内容や給与も大事だけれど、それ以上に事務所の中で自分が成長していけるイメージを持てること、その結果、長く働き続けることが大切なのではないかという事です。自分の上司に憧れを持てる組織を作りたいという思いの中2022年から本格的な改革をスタートさせた。「大きな変化は、マネージャーの仕事を管理から成長支援へと改めたことです。スタッフとのコミュニケーションを増やして理解を深め、事務所が個人のやりたいこと、頑張りたいことを後押しする。週に一度の1on1では、働き方やキャリア、資格取得など、様々なことを話し合っています。」挑戦できる土壌を作ることで、お客様に向かう姿勢も前向きになり、提供するサービスの質全体が向上する好循環が生まれているという

 

  • user 内田
  • time 2024年12月7日
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【本】レビュー『謙虚なコンサルティング』

 

 

 

 

 

 

 

 

謙虚なコンサルティング』 エドガー・H・シャイン 英治出版

会計事務所はお客様(クライアント)の財産の内容を扱い、その内容をもとにコンサルティングを行っていきます。
コンサルティングは偉そうに行ってはいけません、謙虚(=人格主義)に行うことでお客様に通じ、良い方向に進んでいくと思い、こちらの書籍を読んでみました。

シャインにとって、積極的な気持ち、思いやり、好奇心を持って、クライアントの本当の思いを突き止めることが謙虚なコンサルティングの前提である。クライアント自身が、納得感のある解を自ら探っていけるよう支援することが最も大切であると説き、このプロセス・コンサルテーションという概念は、コンサルタントにとって新しい常識となった。
誰かに相談されたとき、どうすれば相手の役に立つことができるだろうか?人生やビジネスにおけるこの重大な問いに答えるのが、本書である。

根本的な文化や仕組み自体を変えたいと考えるクライアントもいるかもしれないが、そのクライアント自身の願望からどんな良くない状況が引き起こされるか、変えること自体が難しいかに気付くか、具体的な行動を思い浮かべて分析するような質問に促されたクライアントは、起こり得る結果とできることとできないことについて、熟考し始める。クライアントが文化や仕組みを根底から変えるのではなく、ちょっとしたアダプティブ・ムーブ(調整のための行動)をするという観点から考えることを余儀なくされ、本当に気がかりに重いっていることに気づく。

驚くほど多くのケースにおいて、コンサルタントは問題を自分のものとして捉えてしまい話そうとしないことがあるが、問題を組織に返し、自分は謙虚なコンサルタントの役割を引き受け、診断作業と提案された介入の実行との両方をみずから担うよう組織のメンバーをコーチした方が、効率的で効果も高まるのに、である。解決しようとしている問題に対してはっきりとした考えがあったとしても、解決の方法について明確なあるいは有効な計画をクライアントは必ずしも持っておらず、そのためプロセスに関しての支援を必要としていることが多い。例えば、会社の文化分析の最適な方法は独りずつのインタビューでなくグループを使うことであること。

謙虚なコンサルティングが最も役に立つのは、クライアントの「思考プロセス」を、次の一つ以上の方法によって再構築する場合である。①問題をもう一度、説明する。②クライアント自身の役割が何かを再考する。③コンサルタントがすべきことは何かを再考する。これらのプロセス領域でこそ、たとえ初めて会話をしているときであっても、驚くほどすぐに支援できる場合がある。再構築によって、自分が今何を知っているかということに、クライアントが気づくからである。コンサルタントは、クライアントが最初に考えた、あるいは提案したことを上回る、コンサルタントを活用するメリットを示して支援するのだ。

コンサルティングの場では仕事の域を出ないレベルでの関係が珍しくないが、心配を打ち明けられるくらいクライアントが十分に安心し、互いを信頼して率直に話をするためには、個人的な話のできるレベルの関係を築く必要がある。個人的な事に踏み込んだ質問をしたり、状況とそれについてのクライアントの気持ちとに共感的に耳を傾けたり、より個人的な考えや自然にわき起こる反応を伝えたりすることを通して生まれる。尊重され大切にされたいと願うクライアントを前にしてなお、クライアントが直面している状況の複雑さとやっかいさを前にしてなお、変わることのない謙虚な姿勢が必要である。また必要なのはどうすればいいかわからなくてもいいのだと受け入れられるようになることだ。

 

 

  • user 内田
  • time 2024年11月30日
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【本】レビュー『新・独学ではじめる税理士試験』

 

 

 

 

 

 

 

 

新・独学ではじめる税理士試験』 会計人コース編集部 中央経済社

私(内田)自身が大学受験はほぼ全て、会計士試験も2年目以降は全て独学でしたので、こちらの本も読みスタッフが合格に近づけるにはどうすれば良いか考えながら読んでみました。

●勉強方法
どの受験生も自分に合う勉強法を模索し見つけています。
とくに独学の場合は、その情報がなかなか表に出てきません。
簿記論と財務諸表論は日商簿記の勉強受験から進めば独学で十分合格できると思います。
一方、税法科目は基礎力をつけられる検定試験がなく、独学が難しいかもしれません。
独学のメリットは初期投資の金額が少なくて済むことです。特に簿記論と財務諸表論のテキスト・問題集は市販のものがかなり充実しています。
一方、独学のデメリットは、わからない問題を自力で解決しないといけないこと、周りに受験生の姿が見えないこと、勉強を継続するモチベーションの維持が難しいことです。
独学に向いている人自分自身にあった勉強スタイルをたとえば大学受験などの際に確立できている方や、社会人でもある程度平日の勉強時間が確保できて、わからない問題の解決に時間を割ける方に向いていると思います。
筆者自身、社会人で簿記論と財務諸表論を独学で勉強した際には、平日に最低でも2、3時間の勉強を毎日続けていました。

●ペースメーカー
簿記論と財務諸表論に関して、独学合格するには勉強のペースメーカーを持つ事が大切です。
筆者は当時、月刊誌だった『会計人コース』の連載をペースメーカーにしていました。
特に、財務諸表論の理論暗記は各月ごとに取り上げられた論点を翌月までに覚えるようにして、理論暗記のペースメーカーとして活用していました。
そして、財務諸表論の理論暗記には『会計法規集』(中央経済社)を読み込んでいました。
パソコンで見るなら、企業会計基準委員会のサイトがオススメです。

●税法科目
税法科目について3つ必要な税法科目の合格をどれで狙うかという選択は、とても重要です。
9つある税法科目のうちボリュームが大きい所得税・法人税(学習時間の目安600〜650時間)、中くらいの相続税・消費税(400〜450時間)、小さい酒税法・国税徴収法・住民税・事業税・固定資産税(150〜250時間)から、試験傾向を考慮しましょう。
選択必須の所得or法人以外はボリュームが少ない科目や実務で扱う科目を選ぶ事が必要。
世の中の税理士で意外と多いのが「選択必須の科目の所得&法人の両方を合格している」というパターン。
ボリュームが多い「両方勉強するなんて無謀でしょ!」という人も多いかもしれませんが、実はこの2科目、共通している規定も多く、学習の親和性がとても高いのです。

●過去問分析と解法スピード
過去問分析」が最短ルートの道しるべ合格の可能性を高めるためには、まず最初に近年の過去問を解いて試験傾向に沿った対策を行うのが合理的です。
ただし、「過去問が解ける」=合格、という等式は成立しません。
試験には、2時間という制限があります。
2時間以内に合格ラインを超える得点を獲得しなければならないのが試験なのです。
同じ知識量であれば解法スピードが速い方が有利です。最後に目指すものは「時間内解法力」、すなわち知識とは異なる受験テクニック(解法スピード)を身につけることです。

●知識の均等化
知識を均等化する努力受験勉強の第一ステップは、日増しに増加する個別論点を地道にこなしていくことです。
しかし、先に学んだ論点は忘れていきます
受験勉強は、「現在学習している論点」と「過去に通り過ぎた論点」とを均等に詰め込む努力です。
すなわち、時の経過に伴って、過去の情報が増加し、「復習」を怠ると過去の記憶は薄らいでいくのです。
例えば、有価証券を学習する時点では、すでに貸倒引当金の計算を忘れている…、それが普通ですので、意識して各論点の知識を均等化する努力を怠らないようにしなければなりません。記憶量について勝手に限界を決めるべきではありません。
しかしながら「一度も覚えていないこと」を「忘れた」ということは矛盾しておりますので、まずは忘れることを恐れず覚える事が大切です。

●基本書の活かし方
基本書とは、税理士試験・財務諸表論を受験する予定の独学者が、この一冊を活用するだけで財務会計理論を体系的に理解し、当該科目において合格点以上を獲得できるようになる財務会計の教科書です。
最適な基本書は桜井久勝著『財務会計講義』(中央経済社)で、これは本当に読まなければなりません
読み方は通読で毎日読む事です。とにかく立ち止まらずに最終ページまで読み進めていき、また先頭ページに戻ることを繰り返し、頭の中に財務理論の体系を構築させます。
大枝(大きい論点)をしっかりと支える太い幹(会計理論の根幹部分)を育てることに繋がり、これは予備校のテキストでこれは出来ません。

●間違いノート
筆者自身、間違いノートを作り弱点を減らすことで税理士試験を突破できました。
税理士試験では、受験生の多くが点を取れる箇所で自分自身が点を取れないと、合格が遠のいてしまいます。
今の時点で間違えている問題については、本番でも間違える可能性が高まります。
間違っている箇所=今の自分の弱点になり得るので、その間違いをつぶす作業が必要になります。
工程①間違えた部分の問題をノートに写します。
工程②間違えた自分の解答を写し見直せるようにしましょう。
工程③正解と解き方を写し正しい解答プロセスを理解できるようにしましょう。
工程④なぜ間違えたかを分析しましょう。理解不足?問題や数字読み間違え?時間不足?電卓打ち間違え?数字転記誤り?
工程⑤総合問題を解く前に見直し、勉強の合間にも気分転換に見直すしましょう

  • user 内田
  • time 2024年11月23日
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【本】レビュー『地方の小さな会社が入社したい企業全国9位になった理由』

 

 

 

 

 

 

 

 

地方の小さな会社が入社したい企業全国9位になった理由』 鈴木一輝 あさ出版

なぜテルズ&クイーンはここまで、学生に支持されるのか。
その理由は、会社で働いている社員の姿にあります。
一人ひとりが目標に向かって成長意欲を高める姿を見て、この人たちと一緒に働いて成長したいと思うのです。

テルズ&クイーンは毎年10名以上、東北北陸エリアの中小企業において、これだけ多くの新卒を採用するのは異例のことかもしれません。
私は「新卒採用に力を入れなければ、中小企業は生き残れない」「中小企業こそ、苦しいときこそ、新卒採用に力を入れるべき」と確信しています。
2021年の採用コストは4000万円でした。「新卒を採用してもどうせすぐに辞めていく」という前提ですも無駄なコストと感じるかもしれませんが、私は新卒採用費は投資と位置付けています。
「新卒社員が辞めずに頑張って、楽しんで、やりがいを持って仕事をしてくれたら、何倍にもなって返ってくる」からです。

既存の社員や中途採用だけでは業務改善が進みません。
組織にとって大切なのは、「社員の価値を揃える事」です。価値観が揃っているとは、「社員が社長(上司)の指示通り(会社の方針通り)に動く状態」「社長と社員が同じ判断基準で行動する状態」のことです。
価値観が揃っていると「社長や上司の決定、指示が即時に実行できる」「チームワークが強くなる」「誰が対応しても一定レベルのサービスを提供できる」ため組織力が高まります。このために必要なのが文化や改革を受け入れられる「新卒」なのです。

合同企業説明会は若手社員と内定者が担当しています。
なぜならば、ベテラン社員だけだと就活生が萎縮して話しにくく、若手社員だと具体的なアドバイスができるからです。
合同企業説明会は知名度の劣る中小企業が自社の存在に気づいてもらうために、学生を振り向かせる好機です。
当社の一次&二次面接では、責任者と就活生が1対1での面接で就活生の本音をあぶりだし、最終面接では10分間スピーチをしてもらい社長も参加してウソをついていないか=サービス業としての誠実さ、この会社に入りたい、自分をさらけだせるか、の整合性を見ます。

内定者段階での教育を充実させる事で、内定辞退を防げます。
内定者はときに不安を感じ、気持ちは揺れる。放っておくと、内定辞退に発展しかねません。
内定者研修を行うと、「内定辞退率」と「新卒離職率」を四つの理由から下げる事ができます。
①入社前と入社後のギャップがなくなる②基礎的なスキルが身につく③先輩社員や内定者同士のコミュニケーションが取れる④ストレス耐性を高める事ができる。
学生のストレス耐性は分析ツールからも明らかなように年々弱くなっています。
今の内定者は「命令されること」「失敗して恥をかくこと」「他人と競争すること」「他人にチェックされること」にストレスを感じやすい傾向にあります。
「ストレスに弱い人を採用して、少しずつストレス耐性を強くしていく」のが今の時代の新人教育です。

  • user 内田
  • time 2024年11月16日
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【本】レビュー『ビジョナリーカンパニー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビジョナリーカンパニー』 ジム・コリンズ 日経BP

1995年発刊。「マネジメント」で有名なドラッカーの教え子で後継者と言われる世界的経営学者の最も有名な著作。

●建築家のような方法-時計をつくる
ビジョナリーカンパニー(業界で卓越し尊敬されCEOが変わりながら長く続く企業)の経営者は当初は組織志向が強かったが、時を告げる人でなく時計をつくる人であった。会社を築き経営する仕事に携わっているのであれば、カリスマ的指導者になろうと考える時間を減らし、サービスや製品についてすばらしいビジョンを考えたり、組織についてのビジョンを考え、自分たちやすべての未来の指導者が従うべき憲法をつくる時間をつくるべきである。

●基本理念を維持し、進歩を促す
世界は変化している。この難題に組織が対応するには、企業として前進しながら信念以外の組織のすべて(ルール・製品ライン・目標・能力・業務方針・組織構造・報酬体系ほか)を変える覚悟で臨まなければならない。組織にとっての聖域は、その基礎となる基本理念だけだと考えるべきである。「顧客の期待以上のことをする」というウォルマートの基本理念(文化・戦略・戦術・計画)はずっと変わらないが、入り口に挨拶係が立っているのは理念ではなく「慣行」であり変わることもある。基本理念以外を変えるという進歩の意欲は、探求し、創造し、発見し、達成し、変化し、向上しようとする人間の奥深い衝動から生まれる。この意欲を持っていない人間は入社させるべきではない。

●社運を賭けた大胆な目標-進歩を促す強力な仕組み
本物の目標は明確説得力があり、集団の力を結集するものになっている(ex.1960年迄に月に人間を着陸させる)。退屈な経営理念は終始聞かされているが月旅行のような明快な目標、聞いただけでわくわくさせられるよう大胆な目標は持っていないだろうか。「業界で最も利益額の大きい会社となる」「日本の製品は品質は悪いという外国での評判を変える」のような大胆な目標に何度も取り組むことを検討すべきである。

●働く意欲を高め会社への忠誠心のある文化
ビジョナリーとは、やさしさではなく、自由奔放を許すことでもなく、全く逆でありビジョナリーカンパニーは自分たちの性格、存在意義、達成すべきことをはっきりさせているので、自社の厳しい基準に合わない社員や合わせようとしない社員が働ける余地が少なくなる傾向がある。カルト的な理念への熱狂、教化への努力同質性の追求、エリート主義を持っている。入社後には顧客サービスの英雄の物語が話され、壁には標語を貼り、宣言を何度も唱えるよう教え、拍手と喝采で英雄を讃え、徹底した強化を続けていく。同質性を追求しその会社の流儀に合った社員は、給料・資格・表彰などで次々に励ましを受け、合っていない社員は取り残され罰を受け減点され、次々に嫌な思いをする。

●生え抜きの経営陣
ビジョナリーカンパニーは、社内の人材を育成し、昇進させ、経営者としての資質を持った人材を注意深く選択している。後継者の育成を、基本理念を維持する努力の柱にしている。社外から経営者を招いていては、先見性が際立つ企業になることも、その座を守ることも、きわめて難しいと言える。経営幹部育成のための制度を設け、長期的な後継計画をつくって、ひとつの世代から次の世代への移行が円滑に進むようにすべきだ。企業内で先見的な事業部門、グループをつくっているのであれば、スケールは小さくなるが、やはり幹部の育成と後継計画を考えることができる。最後に、自分にぴったり合っているビジョナリーカンパニーに勤めているのであれば、転職よりも、その企業の中で自分の能力を伸ばすことを考えてみるべきではないだろうか。ビジョナリーカンパニーを築くという観点に立つならば、問題はいまの世代で会社をどこまですばらしいものにするかだけでなく、決定的な点は次の世代で会社がどうなるか、その次の世代でどうなるか、そのまた次の世代でどうなるかである。

 

  • user 内田
  • time 2024年11月9日
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