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【本】レビュー『税理士の業務におけるクライアント対応のポイント』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

税理士の業務におけるクライアント対応のポイント』坂部達夫 新日本法規

税理士事務所の業務は、いつも納税者(お客様)と国税当局との「思惑(法律解釈)の違い」のはざまで波風にさらされています。私たちは債権者に対して無限責任という重責を負っています。また、本来業務の周辺にある、経営や相続に関するもの、個別には資金調達・補助金確保、遺言作成支援や相続税の試算、不動産の活用に関する相談など、持ち込まれる相談は多岐にわたります。これらの周辺業務は税務リスク、契約の在り方、収入化への工夫など、業務として依頼を受けるための処方箋も必要になります。

・【契約】Q:HPを見て新たな契約依頼がありました。新規契約自体はうれしいのですが、どのような顧客か分からず、正直なところ不安です。このような場合、どのような点に注意して契約をすればよいでしょうか。
A:契約締結前に、なぜ前の税理士との顧問契約を解除したのかその原因、先方の人間性は確認したいものです。しかし難しいこともあり、顧問先からの紹介でない今回は、総勘定元帳、過去3年分の決算申告書、定款、登記簿謄本、面談により、判断するしかないと思います。また、事業年度途中ではなく、年度を締め切っての乗換え・移行手続を検討すべきでしょう(期中交代の場合、前税理士の業務内容に責任を負わないことを契約明示。)。必要資料が直前まで提供されないなど誠実さに欠ける場合は断る勇気も必要です。

・【契約】Q:長い付き合いの顧問先であるホテル運営会社から顧問料の値下げを求められました。コロナ禍で社員をやむなく解雇したため、宿泊需要が回復しても、人手不足で宿泊客への対応ができず、業績が回復できていないという理由です。どんな点に注意して契約を見直せばよいでしょうか。
A:人手不足が解消したら元どおりの業績が見込まれる顧問先。今後も付き合っていきたい顧問先なので、契約書の報酬額や他の条項で、値下げをどう盛り込むか、工夫をしましょう。しかし、1年後に業績回復が出来ない場合は、提供している業務内容の見直し(削減)又は事業再生や廃業支援、契約打ち切りも視野に入れましょう。金融支援、補助金申請などの業務で収益が望めないか、業績回復のためのコンサル業務、M&Aなどの受託可能性も検討します。役務提供内容を変更せず値引きを行う場合は、毎月の請求書に値引き金額を記載し、正規料金から期間限定で減額していることを依頼先に明確になるよう心がけましょう。

・【契約】Q:飲食店を経営している顧問先は、コロナ禍以降経営が思わしくなく、顧問料を直近6か月滞納しており、ついに支払の猶予を求められました。長い付き合いなので、当面やむを得ないと思いますが、どんな点に注意して契約を結び直せばよいでしょうか。
A:顧問先が再建可能か検討し、可能と思えれば覚書で6か月分の支払期日を明確にした上で、滞納分の分割・上乗せ返済などを検討します。再建困難であればその旨を伝えて清算等の中で滞留債権回収を可能な範囲で織り込みます。顧問料を下げるのであれば、業務範囲の限定(定期訪問面談回数を減らすなど)を併せて協議しましょう。顧問料滞納は契約解除原因である債務不履行(民541条)が発生しており、契約解除を検討すべきです。契約終了後も関係維持に努め、個別の依頼を受けて対応します。紹介を受けることの可能性や新事業チャレンジに関わることもあると思います。

・【契約】Q:顧問先から事業承継に当たっての株価のシミュレーションを依頼されました。顧問先からは、別途契約を結びたいという申し出がありましたが、どのような契約を結べばよいでしょうか。
A:顧問先には、税務の知識を活用し、経営や個人生活の課題解決を求める要望が潜在的に存在します。その課題は環境や時間で変化し把握しにくくなっており、仮に気が付いても相談する人はごくわずかです。税理士事務所側も課題抽出のうえ、解決策の提示を実行支援するノウハウにバラつきがあり、その結果「あの事務所は相談に乗ってくれない」などという不満が募ります。最近では金融機関を中心に「事業承継」「事業再生」「不動産有効活用」などを特定の税理士法人と提携提案する事案が増え、自分たちの税理士事務所が有償で対応できれば信頼性向上と収益性の向上につながります。以上を踏まえて、事業承継に当たっての御提案書では、現経営者の退職金の適正額の算定とそれに伴う株価シミュレーション及び株式譲渡適正額の算定、株式移転の方法・時期が課題となり、担当者が顧問先へ始動する建付けとします。

・【税理士業務】Q:否認リスクを承知で申告してほしいと言われました。どのように対処するとよいでしょうか。
A:「節税(合法的減税)」「租税回避(法律には則るが通常ではありえない不自然不合理な取引形態を採用した減税)」「脱税(課税される要件があるにも関わらずこれを故意に隠した減税)」の違いを説明し、相談を受けたケースがいずれに当てはまるかを顧問先に説明します。脱税や租税回避の否認規定に該当する場合は、法の定めを説明し、否認を承知して申告が出来ないことを伝えます。判断に迷うグレーゾーンの場合は、書面にて説明をして、クライアントに判断し記録します。その場合には、税理士の説明義務違反が問われないように注意をします。

・【税理士業務】Q:担当職員がクライアントに証拠資料の提供を依頼したが拒否された。
A:クライアントが適正に資料を提供されず要請が不適切な時は、不適正の理由を説明し、法令に適合した申告となるよう適切な助言指導をするとともに、重加算税などを招くリスクを十分に理解させクライアントが法令不知により損害を被ることがないよう配慮する義務が税理士事務所にあります。職員の債務不履行は=税理士の債務不履行と同視されますので、クライアントが脱税を志向する兆候がある場合、事務所内で情報共有できる体制と環境を整えることが重要です。

・【周辺業務】Q:顧問先より銀行から融資を受けたいので支援してほしいと依頼されました。通常の顧問業務以外の業務のチャンスですが、契約のやり方からどのように対応すべきでしょうか。
A:融資を受けるためには創業以外決算申告書と共に、月次試算表の提出も求められることがあります。実際に融資支援を行う場合には、通常の顧問契約とは別に契約を結び①業務内容の範囲②対応する期間③報酬金額④報酬の支払時期・方法⑤融資が受けられるとは限らない事、を契約で明記します。

・【周辺業務】Q:顧問先よりクラウド型の会計ソフトを導入したいと相談を受けました。どのように対応をしたらよいか悩んでいます。その活用方法と導入支援として何をするべきかを教えてください。
A:顧問先は導入で経理業務を効率化したいと考えていると思いますが、導入だけで効率化はされませんので、決済に関係する業務をクラウド型会計ソフトへ生かすよう設計し直す必要があります。再設計が必要な業務は①経費の決済方法②物品の購入方法③インターネットバンキングの活用、です。その他、管理業務、請求業務、給与計算業務、立替経費精算業務などを自動化することで作業効率を高められます。

 

 

 

  • user 内田
  • time 2024年10月5日
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【本】レビュー『小さな会社の社長の戦い方』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小さな会社の社長の戦い方』井上達也 明日香出版社

・社員にあなたの考えを伝える
社員を育てる時に重要なのは、自分の考え方を正確に伝えることです。社長が評価することとしないことを明確にしないといけません。「こういう行為は評価する」「こういうものは頑張ったとしても評価しない」これをきちんと社員に伝えます。何も社員マニュアルとかぐごいものではなく、簡単なものでいいのです。

・未来の仕事を準備する
小さな会社の社長は、今のお金を稼ぐために何でもするのが必須です。しかし、それだけではダメです。社長がすべき仕事にはもうひとつあるのです。それは未来の準備です。社長はこの2つを同時並行して行う事が必要です。「未来に売れるビジネスを今、つくること」

・強力なエンジンを積んでいる人を雇う
経営も昔のように、みんなの力を結集して頑張れば勝てるという時代ではなくなってきました。ですから人を雇うときには頭のよい人を採用すべきです。頭の良い人とは有名大学の人ではなく「様々なものに興味を持ち、常に自己変革しなければと、もがき苦しんでいるような人」です。こういう人は指示待ちではなく、自発的に素晴らしい方法を考えて、会社をぐんぐん伸ばしていく可能性があります。人間は鍛えれば伸びるのではなく、そもそもの素質がありますので、ダメな奴は何をやってもダメなのであり、普通よりちょっとだけ頭のよい人を採用できるようにしましょう。

・一人前の社員に育てる
会社がある程度の規模になったら、次に社長がするべきことは、個々のお客さんを担当することではなく、部下を育てる、やる気にさせるための仕事なのです。社長が大きな売上を上げると社員は「なんだ、じゃあ私たちが頑張らなくても社長に任せておけば大丈夫」と考えるようになります。このような事にならないように、社員を育てるという事を常に頭に入れて会社経営を行っていただきたいと思います。

・成功をするための「信用」の貯金
昔から言われている経営者の格言-「信用第一」。これを守れない経営者は枚挙にいとまがありません。「信用を失ってでもお金を選んでしまう」「自分が得することを選択する」こういう経営者はまず成功はしません。いつも約束を破る人がある日「お金を貸してください」と来てもお金を貸さないですよね。一方で、いつもきちんと仕事をしている人がたまたまミスをして謝りに来た時、あなたは怒りませんよね。

・クレーマーから社員を守る
もう昔のように「クレームは宝物、お客様は神様です」なんていうことを言っていると、社員がどんどん疲弊してしまいます。社員を助けるためにも変なクレームを言うお客様、常識が違うお客様、やばそうなお客様は毅然とした態度でスパッと切るべきです。社員ではなく社長に直接クレームを言ってくるお客様は私は即座に切っています。社長に言えば何とかしてくれるだろうという姑息な考えも気に食わないですし、今後も何か何か問題があったら社長に直接言えばいいんだなという感覚を持たれるのも嫌だからです。

・成功に終わりはない
利益もある程度発生し預金もそれなりに増えてきたという社長はある日ふとこう思います。「もう自分は成功したと言えるんじゃないか」「うちの会社もなかなかいい会社になってきた」「最近は、社員も喜んで仕事をしているようだ」こんなふうに思ったらもう社長としては終わりかなと感じます。自画自賛したりこれからは社会貢献したいなどとおごり高ぶったときに、会社はどんどん下降していきます。社長とは常に様々なことを心配したり、周りの出来事にビクビクしながら、それでも死ぬまで走り続ける人です。もしも少しでも心の平安を求めるならばすぐに社長を辞めるべきです。「もっとお客様に喜んでもらえることはないか」「今のサービスをどう改良したらいいか」「社員が働きやすい環境とはどういうものなのか」考えなければならないことはいくらでもあります。

  • user 内田
  • time 2024年9月28日
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【本】レビュー『イーロン・ショック』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イーロン・ショック』笹本裕 文藝春秋

元Twitterジャパン社長が書いた、イーロンマスクによるTwitter買収における「破壊と創造」の215日について書かれた書籍。

●私が見たイーロンという男
イーロンの表と裏を見てきた私からすると、彼はすごく複雑。表に見ている彼のドラえもんに出てくる「ジャイアン」のような豪胆さ。そしての裏にある「のび太」。どちらも本物のイーロンなのです。イーロンの守護は常に「人類」、本当は何世代もかかることを生涯の中でやり遂げようとしていて、ものすごく時間に敏感、「なぜこの人はこんなに生き急いでいるのだろう」とよく思います。Twitterの社員を7800人から3000人に減らすのも通常半年ほどかかる所を、あっという間に3、4日で決断して執行してしまった。イーロンがつねに言っているのは「とにかく俺は、強いやつしか残したくないんだ」ということで、それはつまり「棚を壊しても、それをまた作っていこうとする人」を彼は望んでいるという事です。イーロンがTwitterの買収を完了したのが2022年10月28日、それ以降は毎週土曜日になんらかの指令があり、彼からまたは誰かを経由して来ることもありましたが、たいていは「明日からやろう」「今からやろう」「3時間後までにこれをやってくれ」という指示もよくあり、決断の早さには妥協を許さず、矢継ぎ早に指示が飛んできました。一方で解決方法について説明がついても、イーロンは自分で回答を出さず、「じゃあどうしたらいいんだ?」とまわりに意見を求めます、細かいところまで指示するトップダウンのイメージがありますが、大きな流れではそうなのですが、細かいところについては人の話を聞いてくれてけっこう任せてくれるのです。

●破壊-Twitter買収の一部始終
買収後イーロンから「すべての経費をいったん止めろ」という指示があり、立替経費精算が済んでも振り込まれない未払い状況となりました。責任者がプライベートジェット使ったり、キャリアと組んでショートメッセージを打ちTwitterに月8千万円を請求させていた事が発覚し500億円コスト削減しろという短期目標の中、コスト削減が実現しました。イーロンとは買収後週2回ぐらいビデオ会議をやりましたが、Slackで突拍子もない内容とタイミングで連絡が飛び交いカオス状況ではありましたが、直接ボンと質問が来るので自然と組織の壁が取り払われていっている良い面がありました。日本法人のボーナスや報酬内容も相当変わってしまい、そこに対してイーロンは「未来に期待してね。今は耐えてね。」と社員に言い続けるのですが、それは都合が良すぎると思い日本でのリストラや戦略に反対したところ、私は退職となりました。もし私がイーロンなら「横串」で組織を見ることのできるCOO(最高執行責任者)を入れます、ビジネスモデルがわかっていながら、イーロンの価値観に共感できる人を参謀として置かないと、組織が分断されて有機的に機能せず失敗すると思います。私はそのようなイーロンのビジョンに共感する参謀になりたい気持ちがありましたが、あまりにも破壊的で折り合いをつけられず2023年5月末という7か月で退職することになりました。

●イーロン・ショックは他人事ではない~AI時代に生き残る働き方
2年ほどシンガポールに住んで感じたこと、それはグローバルな激しい動きの中で、日本は経済が停滞しているわりに「平和」だということ、これはとても危険なことだと思っています。日本では「現状維持」や「前例踏襲」が重んじられる傾向にありますが、いまのような変革が求められる時代においては足かせになりますので、ぶち破るためには日本にも「イーロン的な存在」が必要なのかもしれません。リミットを外していけるような人物です。アメリカにはもともと「イーロン的な存在」が期待されている空気感があります。これまでイーロンがやってきたことは、それも「破壊と創造」です。スペースXではロケットを4機も5機も破壊して、結果的にその次のロケットで成功させました。テスラでは2019年くらいにお披露目したサイバートラックが壊れてしまいましたが、2023年に発表した時は壊れませんでした。破壊する一方で、創造していく力もその何倍もある。彼の場合は、そこでまわりの人間や世間を敵に回してでも戦って、そこから何かを作り上げていきます。但し、日本人に「出る杭になろう」と言っても、DNA的なところで合わないかもしれない。であれば日本人の「エコシステムを大切にする」「和を重んじる」とい部分をむしろ強みにしていくのもひとつの答えです。ドラスティック的な破壊と創造ではなく、その中間的な「破壊する部分は破壊しつつも、根本的な和は維持しつつ創造していく」。そのほうがサステナブルで、日本に合っているかもしれません。

 

 

  • user 内田
  • time 2024年9月21日
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レビュー『覚悟の論理』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

覚悟の論理』石丸伸二 ディスカヴァー

前・安芸高田市長、2024年7月の東京都知事選に出馬した石丸伸二さんの、選挙前に発刊された著書。

私(石丸さん)は安芸高田市を何とかしたい、自分のなりたい政治家像は「良いことは良い、悪いことは悪いをちゃんと貫けること。市長選では勝機のある戦略とともに覚悟を決め勝つ事ができました
自分の願いを叶えていくために必要なもの、それは「感情に支配されない理性」です。
覚悟を決め「こうなりたい」という目標が決まったら、そこからは徹底的にロジカルに考え、(時間や使えるお金、体力などの条件下で)何をやるか、やらないか、優先順位をつけていく
この優先順位が明確であればあるほど、目標を達成できる可能性が高まります。

本当ならば大人の役割とは子どもたちの手本になることです。
そこまでいかなくても、せめて一緒に問題解決に取り組んでいきたいし、最悪でも子どもたちの邪魔だけはしてはいけない。
「恥を知れ」という発言、議会の場で居眠りをしている議員がいること、ちゃんと仕事をするべきだということを市民に対して知らしめるべきだと思い、発しました。

2005年までの平成の大合併をして15年間特別なお小遣いをもらった安芸高田市をはじめ、人口減高齢化で財政維持ができなくなり消滅する可能性があります
人口戦略会議・地方自治体「持続可能性レポートでは全国1729自治体中744が消滅可能性
入ってくるお金を増やすのは基本的に無理全体最適を考えながら事業や建物を減らし歳出を減らしていくしかありません。
少しでもふるさと納税やYoutubeで収入を増やし、財政難の状況を市民に伝えてきました。

安芸高田市では2015年時点で公共施設の30%以上を削減しなければ厳しい事がわかり5年以内に取り組めるものは削減すると言っていましたが、5年後2020年時にはほぼ進んでおりませんでした。
理由は住民に反対されるからですが、嫌われ役をやる覚悟がなければ、この問題の解決には着手できません
自分のまちが20年後どうなるのか。自分たちのまちの政治家は、こうした問題に正しく対処しているのか。現実を知り、選択することが住民一人ひとりに求められています

安芸高田市を、世界で一番住みたいと思えるまちへ」という私がよく使う言葉。この内容について質問を受けましたがあえて説明はせず、まずは皆さんに考えてほしいと思って説明をしません。
住みたい」であって住みやすいではありません。快適さや便利さを求められば、多くの人は都会に向かいます。そうではない価値観を重視したい。
そして「と思える」という部分が一番重要で、住みたい理由は住民の数だけ存在し、SNSのいいねの仕組みのように、主観的な評価を客観的に捉えていけばそこに経済的な価値が生まれます
「この町に住みたいと思える理由」を分かち合うことは、市民としての意識や市に対する誇りの醸成につながります。
安芸高田市でも毛利元就・神楽・サンフレッチェ広島という熱中できる「地域に対する住民の誇り」=シビックプライドを引き出してきました。

出たとこ勝負はしない。運には任せない。勝算があると見込めたことを、戦略的に進めていく。組織も個人も同じように考えます。
もし新しい挑戦をする覚悟が決まらない、勇気が出ないというのなら、それは損失と利得の分析がまだできていないということ。だったらやらないほうがいい。
新しい挑戦ができない自分を卑下するのではなく、「危ない、危ない。思い付きで飛び込むところだった。」と前向きに捉えればよいはずです。
うまくいかないことが山ほどある人生だからこそ、こうありたいと思う理想を持ち続けてください。何かを願い心を燃やすことが、楽しく生きるコツだと思います。

本書の印税の著者分は、すべて安芸高田市の収入となります。これも「安芸高田市を何とかしたい」と願い、考えた結果です。
目指す地点がどれほど遠く、高く見えたとしても、落ち着いて戦略に落とし込んで考える。その道のりを描いた先で、静かに覚悟は決まっていきます。このプロセスが「覚悟の論理」です。願い考えるという「人を人たらしめる行い」とも言えます。
今、変化が速く大きい時代だからこそ、覚悟は必要です。みなさん、覚悟はいいですか?私はできています。自分の信じられる道を歩いていきましょう。

 

 

 

 

  • user 内田
  • time 2024年8月31日
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レビュー『もう明日が待っている』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう明日が待っている』鈴木おさむ 文藝春秋

大ヒット番組「SMAP×SMAP」の放送作家として20 年以上SMAPと仕事をしてきた鈴木おさむさんの書いた『小説SMAP』。

 

全体を読みまして、いくつか感じたことを書きたいと思います。

・森且行君がSMAPを脱退するときのこと
1996年4月15日、SMAP×SMAPが開始し、22.4%の高視聴率。SMAP6人が時代を変え、テレビの歴史が変わり、アイドルが芸人さんや司会者と並んで、冠番組を持つ時代になったにも関わらず、メインコーナーのビストロSMAPは料理が得意な森且行君がいるからこそ成り立つ中、その森且行君が5月で脱退することが決まった。森君の会見にはリーダーの中居君が最初に現れて「あいにく森君はスケジュールがつかず欠席となります」という冗談を言って柔らかい空気を作る、素晴らしい。SMAP×SMAPで森君を送り出す回を作り、6人で涙を流しながらベストフレンドの曲を歌う、劇的な送り出し。森君の脱退後、パワーダウンすることを心配する人がたくさんいたが、ネガティブな期待を5人は振り切り、より強く肩を組み力強く進んだ。

・SMAP×SMAPにマイケルジャクソンやマドンナに出演してもらったこと
アイドルがバラエティー番組を初めて持ったこと、視聴率も上げていき大人気番組にしていったことだけでも凄いのに、世界のスーパースターであるマイケルジャクソンやマドンナなども番組出演してもらうために、ADや放送作家などみんなで働きかけまくった姿が素晴らしい。極限の緊張や、実現するためのとてつもない努力、才能ある人を集めて大変でもやっていこうという森上がり、どれをとっても物事を成功させるために必要な要素だと感じます。

・木村拓哉さんが結婚を決めた時
2000年の秋、鈴木おさむさんが木村拓哉さんのラジオ番組に立ち会った後、「俺、結婚するんだ」という言葉を直接言われ、人気絶頂時に結婚すること。この事はSMAP単独コンサートの最終日終了後にファンに発表する予定であったが、その前に突然新聞にすっぱかぬかれてしまいマネージャーの飯島さんより「今日、ライブ終わったあと、会見するから」という話。日本一抱かれたい男である木村拓哉も弱気となっていたが「男らしくない!」といいその日のコンサートの最初に木村拓哉さんが発表することに。緊急時の対応をみんなで協力「ピンチはチャンス」として助け合って乗り切った。

・2011年3月11日東日本大震災の時の話
大地震の発生時、東京の在住の多くの方が、放射能被害などの様々な噂に不安を抱き、西日本の方に逃げたりしていた中で、鈴木おさむさんも沖縄への飛行機チケットを予約まではしたそうです。そのような中でもSMAPの5名は3月21日に生放送で自分たちは東京お台場から全国民を元気づける言葉を発信していった。確かに、災害時は不安に押しつぶされそうになるけれども、そのような中で、勇気を振り絞って生放送を行った姿は素晴らしい。被災地にもSMAPのメンバーが行き27時間テレビの放送が行われ、福島に行った香取慎吾君と草彅剛君は控室に戻った、慎吾君は剛君を見て言った「本当にこの仕事をしてきて良かった」と。心からそう思ったのだろう、自分たちがこの仕事を続けている意味を感じたのだろう。

・2016年SMAP解散に向けてのこと
1996年4月から放送開始したSMAP×SMAP。2016年1月18日の放送が初めて当日に生放送になることがジャニーズ事務所からの要望で決まった。長年一緒に頑張ってきたチームも、脆く壊れていく事がある。信頼をしていたマネージャーが事務所を退職するときに5人でついていく話もあったが、ファンを守りたくて家族も持っているメンバーはそれもできず。なぜ一人だけ結婚出来て自分はできないのか。それを留まらせるために慰めるリーダー。鈴木おさむさんは生放送を観た人を安心させるために、言葉をつくりましたが、結果としてこの生放送は観た人の笑顔を奪うものになったと書いております。解散するかもしれないという事で世間に迷惑をかけたことの謝罪の言葉を22時の放送4時間前にジャニーズ事務所に投げる、放送45分前に事務所の創業家の人間より怒りのダメ出しの手紙が届く。必ずこの言葉を言わせろ「今まで25年以上一緒にやってきたメンバーの1人(木村拓哉さん)がジャニー社長に謝る機会を作ってくれたおかげで今僕らはここに立ててます」という言葉。思ってもいない言葉を、残酷な言葉を誰に言ってもらうのか、僕らが出した答えは草彅剛君だった、彼に頼んでみようと、彼の部屋をノックして入りお願いをし、そして彼は言った「分かった」と、一言だけ。そして、、、彼らの解散が発表になったということ。経営の中で創業家はどこかで引いた方が良い、それがわかる話でした。

  • user 内田
  • time 2024年8月17日
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レビュー『心を壊さない生き方』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心を壊さない生き方』 Testosterone  文嚮社

X(旧Twitterフォロワー)100万人超えのインフルエンサーTestosteroneさんと、精神科医-岡琢哉さんによるメンタルヘルスについての共著。
睡眠不足、栄養不足、運動不足、が世の中の三大害悪であり、超ストレス社会を生き抜くメンタルの教科書として刊行。

★予防-心と体を守る最強の生活習慣

・永遠に生きると思って食事を管理しろ
うつ病患者の中には肥満傾向または痩せすぎの人が多い。精神的な不調と生活の乱れ、体重の変動は同時に現れやすく適正体重を知り自分のライフスタイルを維持することが大切。食事の中では、フルーツや野菜を積極的に食べた方が幸福感が高まる。インドのデリーので行った調査では、朝食をとると栄養状態がよく、運動/活動量も多く、勉強時間が増え、うつ症状も少なかったそうだ。また、東北大学の研究調査では、緑茶を1日4杯以上飲むと1杯以下の人に比べてうつ病のリスクが半分程度に減るそうだ。

・メンタルがブレやすい人は睡眠時間を死ぬ気で確保しろ
日本人の睡眠時間は先進国の中でワースト1位の短さであり、仕事の生産性の低さ/自殺問題/医療費増問題など日本の社会問題が解決に向かう。寝だめではなく同じ時間に寝て同じ時間に起き7~9時間は寝るべき。朝に日光を浴びると約14時間後に睡眠を促すメラトニンが生成されるため、6時に起きて日光を浴び夜8時頃から眠くなっていく(夜は強い光を避ける)などは良い。またカフェインは睡眠を妨げ8時間程残るため午後はコーヒーなどを控えるべき。

運動はハッピーな人生の基盤になる
アメリカの研究調査では、運動を行っていない人より、行っている人たちの方が、精神状態が良い日の割合が40%多かった。できる範囲で運動を始め、最終的には週3回、30分ほどの運動習慣を身につけましょう。一方で、運動がストレスになったら本末転倒であるので、楽しむことを忘れずに。

発達障害の人の周囲にいる人が気を付けること
まず下記のような発達障害があってもなくても「自分が見ている世界」は「他人が見ている世界」とは異なることを皆が理解すること。そして、特に発達障害ある人の「自分の世界の構築方法」に独特のパターンがあるこを考慮してコミュニケーションをとる事。
発達障害は生まれ持った特徴/特性
ASD(自閉症スペクトラム障害):自閉症、アスペルガー症候群。対人関係に問題を抱えがち、コミュニケーションが多数の人と異なる、興味や行動の偏り(こだわり)。無表情のまま早口&大声で話し驚かれる。
ADHD(注意欠如・多動性障害):前頭葉の実行機能障害による不注意の問題、衝動制御の問題、多動衝動性の問題。仕事でケアレスミスが多く集中力が続かない。

・独りぼっちじゃないことを知る
一番大切なことは、自分は独りじゃないって気付くこと。自分がこの症状を体験する最初の一人じゃないし、最後の一人でもない。みんなが心の健康に対する知識を持って、健やかに、強く、しなやかに今後の人生を思いっきり楽しんで生きていることを心から願っている。

 

  • user 内田
  • time 2024年8月3日
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レビュー『チームレジリエンス 困難と不確実性に強いチームのつくり方』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チームレジリエンス 困難と不確実性に強いチームのつくり方』池田めぐみ・安斎勇樹 日本能率協会マネジメントセンター

レジリエンス=逆境や困難に直面した時に、それを乗り越えて適応していく力 について、最近聞くことが増えております。

チームとしてこの力が高まっていけば、自ずと結果が出やすくなるでしょう。

一寸先も見えない現代において、これまでのような「個人プレイ」ではなく「チームで成果を出す」ことが、あらゆる職種で求められるようになってきています。しかし現実には多くの「困難」が降りかかり、チームの目標や基盤を脅かします。
大口得意先の突然の離脱
人手不足に業績不安
・取引先の無茶な要求
・理不尽なクレーム
・SNSの炎上や評判を脅かす噂
・ギスギスした人間関係
コミュニケーション不全
エースの離脱

一つの「困難」を解決できぬうちに、また次の「困難」が立ち現れる。まさにストレスフルな状態です。このような時、「根本原因」を取り除くよりも一時的な「逃避的行動」をとり続ける限り、困難は解消されません。

ステップ1:課題を定めて対処する
困難に対処できない3つの要因
①困難を解決可能な課題に落とし込めていない
まずは問題を整理してどのような課題に取り組むべきか明確に定義しましょう。
②プロジェクトとして取り組むことができていない
課題を明確にした後に、その「期限」や「役割分担」を決めましょう。
③チーム内でストレスが高まっている
疲れてパフォーマンスが発揮できなくならないように、いつも以上にストレスケアを推進しましょう。
課題具体化のための5つの要因
①問題と課題を切り分ける
外的要因等でどうにもならない問題もあるが、その中でチームが対処すべき「課題」を見極めましょう。
②チームの目標を3段階で整理する
成果の目標、プロセスの目標、その先に目指す長期的な展望(ビジョン)をチーム内で合意しましょう。
③解決に必要なのは専門性かチームの変化かを吟味する
やり方がわからないので何らかの知識や技術が必要なのか、あるいは物の見方や関係性が固まっているだけなのか見極めましょう。
④問題を緩和課題と根治課題に分解する
ストレスを多少軽減し大きなリスクとならないようケアする「緩和課題」への対応と、問題の本質を見抜き困難を根本的に解消する「根治課題」に分解しましょう。
⑤目標そのものを変えてみる
偶然や時の流れを活かして、柔軟に目標を変えたほうがうまくいく場合もあるかもしれません。

ステップ2:困難から学ぶ
①振り返りの冒頭で目的を提示する
方向性を示し、過度に感情的にならずに「何を改善すべきか」を冷静に話し合いましょう。
②よかった点を振り返る
チームのパフォーマンスを下げないためにも、個人の優れたノウハウの共有もしましょう。
③別のアプローチをしていたらどうなったかを考える
複数の戦略を組み合わせて、困難な状況に対処しましょう。
④前提を疑う―対処ではなく仕組みから変える
時にはやり方だけではなく、チームの構造やしきたりを変えていきましょう。
⑤振り返りを習慣化する
話し合う習慣を意識的に増やし、ネガティブ感情による学習の妨げを防ぎましょう。
~今後に活きる教訓をつくる~
教訓を日々の行動ルールに落とし込み、「痛み」とセットで語り継ぎ、役割分担を見直しましょう。

ステップ3:被害を最小化する
①流行り病から学ぶ
チームに1人、環境変化やリスクのリサーチ係を設け情報集を任せ、1か月に1回程度、困難の予兆を共有する機会を設けましょう。
②チーム内部の困難のサインを察知する
スケジュールの遅れ、従業員満足度の値は内部の困難が発露しやすい部分ですので、注意しましょう。
③すべての困難を避けるべきか
リスクの中にはある角度から見ると困難の兆しであるものの、別の角度から見ると成長のチャンスにもなりえます。

  • user 内田
  • time 2024年7月27日
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