レビュー『一番やさしいピケティ超入門』
- 内田
- 2015年5月9日
- 本
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『一番やさしいピケティ超入門』 中野明 学研マーケティング
何かと話題のフランスの経済学者ピケティさんの入門書ということで読んでみました。
「経済格差はなぜ起きるのか」「富の不平等を解消できるのか」というテーマについて
『21世紀の資本』という本を書いて話題になっているのがトマ・ピケティさんです。
そして「資本収益率r > 経済成長率g」という公式も独り歩きしておりますが、これは
「資本主義経済では経済成長率が低くなると、蓄積された富から得られる所得は
労働所得よりも急速に増大し、そのまま放置すると格差が自動的に拡大する。」
ということを意味しています。
1910年からの100年は戦争によって有形資産が破壊され一時は「r<g」となりましたが、
戦後復興で資本蓄積が進み経済成長も鈍化して「r>g」へ逆転しました。
19世紀初頭のヨーロッパは勤勉が割に合わない時代、労働よりも遺産相続を重視する
「ラスティニャックのジレンマ」があり、昨今もそのような世襲資本主義社会の到来が
近づいているようです。
より良い社会の実現のために格差の進行を食い止めるために、やはり労働所得は減税し、
資産に対して世界的に増税することが大切とピケティは言っております。