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レビュー『日本のM&Aの歴史と未来』

  • user 内田
  • time 2022年2月5日
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日本のM&Aの歴史と未来』(一社)金融財政事情研究会 きんざい

日本のM&Aの歴史を、中小企業M&Aを支えてきた人たちの言葉をもとに描いた書籍。

昨年まで、M&Aを行おうとする中小企業が安心して取引に参加できるよう、2020年には、中小企業M&Aガイドラインが策定され、2021年8月にM&A支援機関に係る登録制度が創設された。
民間のM&A支援機関では、2021年10月に自主規制団体が設立され、国は2021年4月に策定した「中小M&A推進計画」に沿って、官民で連携した各種の取り組みを進めていっている。

日本企業には、大企業に重くのしかかる生産性の低さという問題がある。
経済産業省が報告しているとおり、日本の大企業はコングロマリット化するほど生産性が低下する傾向がある。
その主な原因は、事業や子会社・関連会社の選択と集中が進んでいないためであり、日本経済と国民の生活を守っていくためには、事業承継によって中小企業の経営資源を残すとともに、生産性を上げる努力が必要である。

2005年の世界に占める日本のGDP(名目)の割合は10.1%、2019年には5.9%となった。
大企業ではなかなか収益性が上がらず、その大きな要因は「イノベーション」が起きていないことと考えられている。
アメリカやヨーロッパは年々付加価値の高いモノやサービスにシフトし、価格を引き上げておりイノベーションを起こし、価格競争から離脱した付加価値の高いサービスを生み出している。
日本でイノベーションが生み出せないのは「デジタル競争力」「設備投資と研究開発」「人材育成」の3つが弱い点にある。
営業利益が出ても設備投資と研究開発にまわさず、修士課程への入学を含めて個人が学ぼうとする意欲で遅れている。

M&Aによる生産性向上には次のようなものがある。
経営資源の統廃合、仕入れ交渉力の強化等によるコスト削減、販売チャネルの相互活用、製品ラインナップの補完。
自社にない人材、スキルノウハウの獲得。新たな企業文化の確保生成。不連続かつスピーディーな変革の実現。

M&Aアドバイザー先駆者-野村グループ後藤氏の話
大企業の論理、大企業の行動原理は、M&Aビジネスではまったくそぐわず、中小企業の行動原理、中小企業経営者の当事者意識のみがビジネスを生む。
和気あいあいの仲良しクラブでは、M&Aビジネスはできず、ハードネゴシエーションの世界だ。
ノンリスクを求めることは避けてほしい、徹底的にリスクテーキングを行っていただきたい。哲学的な表現になってしまうが、リスクを数多く持てばリスクは少なくなる。
情報の素早い処理と情報に対する素早い反応がこのビジネスのポイントとなるため、情報と案件は1日抱え込んこんだら腐ってしまう、需要対応では遅すぎるため需要創造が仕事となる。

M&Aが成立するためのポイントはいくつかある。
なぜ譲渡するのか、その理念と理由を明確にし、財務諸表をはじめ必要資料を十分に提供すること。
譲渡条件の決定に際しては、その対象会社が将来にわたって幸福になることを第1順位に置いて検討すること。
取引金融機関の全面的な理解と協力を得ながら、経営の継続の原則を大切にすること。
顧客に「やめたほうがいい」と言える胆力も必要となる。

地方創生とM&A
生活の質、クオリティ・オブ・ライフという意味では、大都市よりも地方の方がおそらく圧倒的に高い
地方の活性化のためには必要な最大要素の一つは人材ですから、優秀な人が地元に来ないと地方はさらに疲弊していくのが目に見えている。
地方は企業の存続という視点だけではなく、成長戦略を展開しなければ、優秀な人材が戻ってくる可能性は上がらず、その戦略のためにもM&Aが有効である。
地方には大都会と同じ数だけ優秀な人がいるわけではないので、地方の中堅企業をバリバリ優秀な企業家に買収してもらい、企業価値を高め、周辺の経営者たちが刺激を受けて全体レベルが上がっていく
「あれが経営か」「あれが成長戦略か」「俺たちも頑張らないと、一度勉強会やろうぜ」

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