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レビュー『How Google Works~私たちの働き方とマネジメント~』3/3
『How Google Works~私たちの働き方とマネジメント~』 日経ビジネス人文庫 エリック・シュミット
あのGoogleの元CEO エリック・シュミットの著作という事で興味深く読みました。(3回に分けての投稿の3回目)
●コミュニケーション(とびきり高性能のルータになれ)
・こんにち最も成功を収めている経営者は、情報を囲い込んだりせず共有し、デフォルト状態を「オープン」な形として、失敗を恐れず高い目標を設定し、疑問を感じたら周囲と話し合えばいい。
・Googleでは取締役会の資料も全従業員と共有し、個々の社員の目標(OKR)もイントラネットで公開し、経営者も率先して目標について語る。
・リーダーに一番重要なのは悪い知らせであり(悪い知らせは日を追うごとに悪くなるため)、部下が身の危険を感じること無くトップに厳しい質問をできる環境を作っておくことが大切なのだ。(Googleではドリーというシステムで経営者がスクリーンに表示される質問を上から順番に答えなければならない。)
・会話はいまでも最も重要かつ効果的な手段でありそのきっかけを作るべきであり、Google屈指のリーダー-マリッサ・メイヤーも週に数時間の枠を設け、自分に話がある人は自由に訪ねて来られるようにした。
・リーダーは常に「コミュニケーション過剰」であるべきだ。仕事に限った話ではないが、何かを人に伝えたいと思ったら、たいてい二十回は繰り返す必要があり、数回言うだけでは、みんな忙しすぎておそらく気づかないだろう。
・経営陣にはたいてい好奇心が足りない。目の前の仕事をこなすことだけに集中して、コミュニケーションもなるべくビジネスライクに済ませようとする。だが優秀な社員(スマート・クリエイティブ)というのは興味の幅が広いので、あなたが伝えようとしてきたテーマにかかわる興味深い記事があれば自身の考えを入れて、正直かつ謙虚にシェアをしよう。
・取締役会の目的は、調和、透明性、助言である。取締役にはすべてを包み隠さず伝えなければならない。また(たとえ無視するつもりでも)取締役の助言には真摯に耳を傾けよう。一番好ましいのは、とにかく正直に情報を伝えることだ。取締役会では事務連絡で時間をつぶしたほうが経営者としては気が楽だが、ガバナンスや訴訟問題より、戦略やプロダクトを議論すべきである。
・インターネットの世紀で成功するベンチャー企業の定常状態はカオスであり、事業は常に業務プロセスを上回るスピードで進化しなければならない。そしてカオスのなかで必要な業務を成し遂げる唯一の手段は「人間関係」だ。社員と知り合い、関係を深めるのに時間をかけ、配偶者や子供の名前、重要な家族の問題といった細かな情報を覚えておこう。周囲を笑顔にすることも忘れずに。
●イノベーション(原始スープを生み出せ)
・イノベーションとは新しく意外性があり、劇的に有用なものでなければならない。Googleは毎年、検索エンジンに500件もの改良を加えていて、一つ一つが劇的に有用でなくても全体としてはそうなるので、それ自体一つでとびきり斬新でなくてもイノベーションになるという考え方は大切である。
・イノベーティブであろうとする企業は、まず創造に必要な多様な要素が自由自在に、これまでにない面白い形で衝突しあう環境、つまり種の起源で言う原始スープを生み出そう。また、そこから誕生したものが進化して生き残る時間と自由を与えよう。そしてCEOがCIO(最高イノベーション責任者)になる必要がある。
・新たなムーブメントを起こそうとするとき、最も重要なのは最初のフォロワーを獲得することであり、業務や地域の壁を超えて、全体に浸透させなければならない。新しいアイデアを思いつくだけの頭の良さと、それがうまくいくはずだと考えるだけの楽観主義を持ち合わせた人材を採用しよう。
・発想は大きく。その明らかなメリットは、それによってスマート・クリエイティブがはるかに自由になりやる気を奮い立たせ、制約がなくなる。また大きな賭けをするほど、(会社として失敗が許されなくなるため)成功のチャンスが大きくなる。反対に、どれも命とりにならないような小さな賭けをたくさんすると、凡庸なモノしか生まれない。
・優れた目標の特徴は、測定できること、発想を大きくと密接なかかわりがあり、全員が実践し、自分のパフォーマンスを評価でき、特別力を入れるべき分野ついてチームとして書かれている。
・Googleにはリソースの70%をコアビジネスに、20%を成長プロダクトに、10%を新規プロジェクトに充てる「70対20対10のルール」がある。イノベーションを奨励するときに一番やってはいけないのは時間や資金を与えすぎることである。
・Googleの20%ルール、それはエンジニアが仕事の20%を好きなプロジェクトに使うことを認める制度であり、専制的なマネジャーに対する牽制であり、社員に本来の業務以外に取り組むことを認める手段である。スティーブ・ジョブズの名言「ヒエラルキーではなく、アイデアによって経営すべきだ」を実践するのに役立つ。またGoogleでこの制度を実施してわかったのは、社員を信頼して自由を与えると、贅沢で実現性のないプロジェクトに時間を浪費するような者はほとんど出てこないということ。そして、このルールの最も重要な成果は、そこから生まれる新プロジェクトや新機能ではなく新しい試みに挑戦する経験を通じて、社員が学ぶことだ。
●おわりに(想像を超えるものを想像しよう)
・私たちは大いなる希望に満ちた時代に生きているが、同時に大いなる不安の時代でもあり、それはテレビ会社の経営者に限った話ではない。従来型企業は、選択を迫られているようだ。
・従来型企業には一つの選択肢がある。プラットフォームを活用し、最高のプロダクトを生み出し続けるような戦略を立てるのだ。その戦略をテコにスマート・クリエイティブを集め、彼らがとほうもないスケールで成功できるような環境を生み出せばいい。
- 内田
- 2022年8月6日
- 本
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