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レビュー『キーエンス解剖』

  • user 内田
  • time 2023年8月19日
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キーエンス解剖 最強企業のメカニズム

色々なところで聞く最強企業-キーエンス。
制御機器大手のキーエンスは、粗利益率は80%、営業利益率も50%、時価総額も日本で五本の指に入る、国内屈指の高収益体質です。
このような業績を生み出す競合企業との大きな違いは、「当たり前のことを徹底的に行うこと」「スピード」「止まらないこと」
興味がありこちらの本を読んでみました。

キーエンスの社員は「とにかくめちゃくちゃ働く」といわれる。その激務ぶりは「30代で家が建ち、40代で墓が建つ」と表現されることもある。あるOBは「あそこは仕組みと、それをやり切る風土がすごいんです。後輩の指導もしっかりする。人が育たないわけがない」と言う。

「待ち」の姿勢ではなく先へ先へとさまざまな想定をして顧客に伴走し、顧客の仕事のサイクルを回す。顧客の潜在ニーズを具現化して顧客の仕事のスピードを上げ、質を高める。いずれもキーエンスの社員への取材で出てきた話だ。

「自分はカリスマではない」。キーエンスOBたちは、創業者の滝崎武光氏が1980年代にこう口にしていたことを覚えている。モチベーションを高く保てる社風などは「属人化を極力排除したい」という考え方が根底にある。
滝崎は2003年のインタビューでこう語っている。「カリスマというと、全て自分で決裁するというイメージがありますよね。そうではなくて、権限を委譲して、考え方を伝えて現場と一緒に考えていかないと、いいアイデアは生まれない」。そのため滝崎は「創業当時から自分がいなくても会社が回るように、ずっと考えてきました」という。

キーエンスの仕事の仕方や仕組み
外報」:外出報告書にその日の行動を詳細に描き込み、その日のうちに上司と反省会を開く。誰とどんなやりとりをしたのか。訪問前日に練った戦略をもとに、どういった展開になったのかを報告する。その報告を元に、上司からどうすれば良かったか、アドバイスを受ける。こうした動作を毎日繰り返す。成約に至るまでに何回プレゼンテーションをしたか。プレゼンまでに納入先の担当者に何回会い、電話は何回かけたかーー。営業担当者がなすべき行動は徹底的に数値化される。過去の社員たちの実績がすべてデータベース化されているので、売れない人に何が足りないのかは数値でわかる。
ロープレ」:上司や部下、同僚と2人1組で実施する、顧客との商談シミュレーション。ロープレを実施するのは、新製品発表前などの特別なタイミングだけではない。10~15 分ほどで手短に、だが毎日のように繰り返すのがキーエンス流。まるで歯を磨くように、当たり前にやる。短時間であっても、毎日のように繰り返せば「筋トレ」のように効いてくる。それが、どんな顧客とも当たり前のように高い水準で商談をこなす足腰となる。新人の訓練としてだけではなく、ベテランであっても、週に何回もやっている》し、しかも、ロープレには販売促進部門がつくる細かい「台本」も用意されている。
内部監査」:「予告なしで突然うわーっと人が入ってくる。マルサみたいに。完全に抜き打ちですよ。」あるOBがこう話すのが社内の風紀委員ともいえるチームが実施する内部監査の事。キーエンスの社風には「嘘をついた人が得をすることをものすごく嫌う」というものがあり、嘘が無いかを厳しくチェックすることは、正直にやっている人を正しく評価することの裏返しでもある。

これらの仕組みは作ったら、その仕組みが役立つように本気で運用を徹底するという、「最後の数センチメートル」に差がある。一言でいえば手を抜かない。そして、全員がそれをやる。「当たり前のことを当たり前にやる」ーキーエンスの社員やOBはよくこう表現するが、この当たり前の設定値と徹底度が高い。

なぜ徹底できるのか。キーエンスの仕組みは「人は油断することもあるし、楽をしたいと考えるものだ」という”性弱説”に基づいている。だから、社員が何をしているのかをガラス張りにして、いい数字も悪い数字も見せる。やるべきことを、手を抜かずにやり切ってもらうためだ。それをキーエンスの人たちは明るく、楽しそうに仕事をしていた。それは、なぜそうしなければならないかという理屈を、透明性納得感のあるものにしているからだろう。いい結果につながると納得すれば、多くの人はそのための行動を自然に増やすはずだ。

キーエンスで学んだ哲学や経営手法を広げていくのは、キーエンスOBたちも同じだ。「製販一体で動くことの重要さをキーエンスで学んだ」。製造業向けの動画やECのオンラインプラットフォームを手掛けるアペルザ(横浜市)の石原誠社長は、こう力を籠める。特に重視しているのが、キーエンスが直接販売で実現していた「製販一体」の価値だ。商品のことをよく知っている営業が顧客のコンサルティングをしながら、ニーズの裏にあるニーズを探る。企画や開発はその情報を活かしつつ、顧客に提供する付加価値も最も大きくすることを追求した商品を開発していく。それが高い利益率の源泉になっていた。

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