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レビュー『アンダーグラウンド』

  • user 内田
  • time 2023年11月11日
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アンダーグラウンド』 村上春樹 講談社文庫

村上春樹さんの新刊が出たタイミングで一緒に買いましたが、新刊よりこちらを先に読むことになりました。

1999年に発売された、オウム真理教による地下鉄サリン事件の被害者の方へのインタビューを収めた一冊。

地下鉄サリン事件が起きたのは、1995年3月20日の朝。
何も罪のない人たちが亡くなられたり、後遺症を持ったり、トラウマに長い間苦しめられたりと、本当に恐ろしい事件でした。
その事件のことは忘れてはいけない、だけれども世の中には何か暗く後ろ向きな思想や集団がいつ何どき現れるかは誰もわからず、社会の屈折した面を思い知らされます。

62人の関係者にインタビューを重ねた、村上春樹さんが真相に迫ったノンフィクションでしたが、特に印象的だったのは当時52歳、営団地下鉄の車掌さんであった豊田利明さんの言葉でした。

「私はオウムが憎いとは思わないようにしています。それはもう当局の人に任せちゃってます。私の場合は、憎いとかそういう次元はとっくに通り過ぎてしまっているんです。彼らを憎んだところで、そんなものは役にも立ちません。」
「オウムの報道もまず見ません。そんなものは見たってしかたないんです。それくらい見なくてもわかります。」
「オウムみたいな人間たちが出てこざるを得なかった社会風土いうものを、私はすでに知っていたんです。日々の勤務でお客様と接しているうちに、そのくらいは自然にわかります。」
「それはモラルの問題です。駅にいると、人間の負の面、マイナスの面がほんとうによく見えるんです。例えば私たちがちりとりとほうきを持って駅の掃除をしていると、今は掃き終えたところにひょいとタバコやゴミを捨てる人がいるんです。」
自分に与えられた責任を果たすことより、他人の悪いところを見て自己主張する人が多すぎます
憎しみは何も生み出しません

非常に大切で深い言葉と感じます。このような事件は二度と起きてはいけません。
世の中の良い所に目を向けて、世の中が良い方向に進んでいく後押しをしたいものです。

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