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【本】レビュー『経営者になるためのノート』
『経営者になるためのノート』柳井正 PHP研究所
経営者とは、約束した成果をあげる人のこと。松下幸之助さんは「水道から流れる水のように廉価に大量に物を供給することで人々を幸福にする」と、本田宗一郎さんは「世界一の二輪メーカーになる」と、その使命を約束して成果として実現したからこそ、あらゆる人から尊敬され続けます。
︎●変革する力〜経営者はイノベーターであれ
経営者は「危機感」にもとづいて経営をすべきで、「不安」にもとづいて経営をやってはいけません。
確証のない思い込みが不安であり、具体的に書き出すと悩んでいても仕方がない事とわかるのですが、自分ではコントロールできないもの。考えても、もったいなく仕事をしているうちに入りません、大切な事ことはまずはやってみること。だめだったらまた頭をひねって次の施策をやる、具体的に実行し続ければ不安を感じている暇は無くなるはずです。社員に嫌われたくないという思いから、ものわかりがいい上司を装う人がいます。もの分かりのいい上司からイノベーションは生まれません。部下も育たなくなります。自分基準、自分都合で仕事を完結させてしまいますから、本当の意味での達成感や成長実感を味わえません。その中で部下に「君だったらできる」と言うことが必要で、やらせる以上は最終責任は上司がとり「責任は全部上司にある。うまくいった時は全部部下の功績だ。」といったような気持ちで部下に接する事が大切です。危機感(=自社を評価しながら慢心せず努力し続けること)を持って、いつも断崖の上を歩いている、ちょっとでも油断したら真っ逆さまに落ちてしまうと考えてのぞむのが「正常な経営」なのです。
●儲ける力〜経営者は商売人であれ
お客様を喜ばせたいと腹の底から思うこと、お客様の声を聞こうとしなければいけないがその一枚上手をいこうとすることが大切です。お客様に教えていただけるのは、あくまで問題点やニーズでしかなく、プロである我々が、想像力と創造力を働かせて「それは、こういうことではないでしょうか」とお客様の期待を超えていく事に本当の付加価値が生まれるのです。地道なことを徹底的に行う事が大切です。経営をよく知らない人は儲ける力というと、何か派手なことをやったり、特別な方法があって、そこを突けば成功できると作家している人がいますがそんなことは全くなく、経営というのはあたり前のことを本当にあたり前に毎日実行する、そしてチェックをして次の方法を考える、計画を変える、このことの繰り返しです。経営にとって大切なことは、一日一日、一人ひとりのお客様を大切にすること。そして、日々無駄を省く努力をし、あらゆるプロセスをコツコツと工夫して改善していくことです。ユニクロのお店では毎日の当たり前のこととして例えば次のようなことがあります。「清掃が行き届いていて、常に清潔で気持ちのいい状態にする。バックヤードもきれいで、物を探しやすく、働きやすい環境にする。」「お客様から見て分かりやすく、美しく、きちんと整った状態にする。」「スタッフが元気で明るい接客ができるようにする。できていない人がいたら指導する。」「お客様からのクレームは適切に対応し二度と発生しないようにスタッフで共有して問題解決する。そうした情報やその他気づいた情報を本部にあげる。」「毎日毎日、偏執狂的なほど、商売の結果を見て、自分で問題を発見して、一つ一つ解決する。」これらは能力の問題ではなく、習慣の問題です。ですから、本来誰にでもできることです。逆に言うと本当の習慣になるまで、意識的に鍛えることが肝心です。また上の立場に立つものが率先して実践しない限り、部下はこうしたあたり前のことの実践を軽視してしまいます。もし、現場でこうしたことが出来ていなかった時は、部下の問題ではなく、上司である自分の問題だと思うべきです。
●チームを作る力~経営者は本物のリーダーであれ
部下との信頼関係を作り、100%全人格をかけて部下と向き合い、目標を共有して一人ひとりの責任を明確にする。任せ評価をして期待をして長所を活かす。人から信頼を得る絶対欠かせないことは言行一致=約束をしたのであればその約束を守る事、首尾一貫=方法や課題は変わっても最終的な目標や理念価値観は普遍性/真実性/誠実性があって人間の芯として感じられる事。そして部下の立場に立って相手の論理で相手の感情で話を聞き正面から受け止め、100%のエネルギーを使って部下の未来を明るくするための、一番よいアドバイスを違うとか甘いといった意見を含めて伝え、よい仕事をした時や成長したなと思った時はきちんと褒めて評価してあげる。目標実現のためメンバーが何のために仕事をやっているのか、本当にメンバーが分かるまで、何度も何度も同じことをしつこく伝え、メンバーが他の人にも熱く語る状態、メンバーの体が勝手に目標のために動く状態でないといけません。人に業務を任せる時は、ゴールイメージを最初に共有する、本質的に達成してほしいことやその基準をしっかりとすりあわせておく。これがずれていると本人は頑張ってやっているつもりだったのに、リーダーが求めているものとが違う成果になり、お互いが不幸になります。仕事をした結果をリーダーはよく見てあげ、日常会話や必要なタイミングで、その評価を伝えてあげる。その結果、モチベーションは高まり次はもっと頑張ろうという意欲がかきたてられます。人間は期待されているかどうかを感じる力を持っています。
会社というのは社会に貢献できてはじめて、社会から存在が許される、認められるものだと思います。会社は、生まれた瞬間から社会の公器です。お客様の生活の向上や幸せに役に立つことができず、社会に貢献できない会社は、いつの間にか社会から排除されて行ってしまうのです。会社にとって儲けることは重要なことです。しかし、それ自体は手段にすぎません。会社の最終目的は「人間を幸せにするために存在している」という使命の実現であるべきなのです。
- 内田
- 2024年12月14日
- 本
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