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【本】レビュー『ユニクロの仕組み化』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユニクロの仕組み化』SBICreative 宇佐美潤祐

特定の人に頼らない仕組みをつくって、事業をまわす。それがユニクロの最大の強みであり、柳井さんが長年かけて取り組んできたらことなのです。
仕組みの柱①グローバルワン
世界で一番良い方法を全員で実行する、それを通じて世界一を目指す最強の集団になる。世界中の全店舗の販売在庫状況、お客様の声をいつでもどこでも確認できます。ひとりひとりが経営者マインドを持ち、ひとりひとりが自営業者のように主体的に自律して働く、自分で考えて結論を出し、自分で実行する。
仕組みの柱②全員経営
「現場の知恵を生かしながら、全員で最も良い方法を見つけて実行する」柳井さんは志を自らの言葉で語り続けることで、求心力を高め、リーダーシップを発揮し続けてきました。志を達成するために、ミッション=使命、ビジョン=どうありたいか、を明確に掲げることで、賛同する人々の集合体としてのなり会社をつくろうとしていました
経営理念とマニュアルの間にある(耳に残りやすい)原理原則をつくり浸透させていく、ローカルに根付き世界に広がる、whatだけでなくwhyを明示することで、働いている人は「自分の店舗を自分たちの手で最もお客様に喜んでもらえる地域の1番店を作り上げたい」という共通目的とそれに挑む覚悟が醸成されます。ユニクロは現状維持を良しとしない「CHANGE OR DIE」、現状にとどまるくらいならば、失敗してもいいからチャレンジしろと推奨する風土があります。
教育の原理原則では研修プログラムを作る座学に重きを置かず、上司や本部が現場と一緒になって現場の課題解決の役に立つ事こそが教育なのではないかという考えが浸透しています。上司は部下がどのような志を持っているか、そのためにどのような能力を備えさせてあげるべきか一緒に話合い、自分事にしてそれを上司の評価とします。ユニクロでは「キャリアは無限大」と働く人に言い続けています。
次世代のリーダー・後継者を育成する仕組みとしてFGL(futures global leader)プログラムがあり、30代のマネージャーを3年間で経営者に育成するため志をベースにした試練が与えられます。対象者個々人に役員クラスのメンターが指名され、成果を上げるための相談相手、時には成果が上がらない場合にいったんFGLを外れる事をアドバイスもします。3ヶ月に一度FGLセッションを実施して、柳井社長をはじめとした経営者との直接対話、現場の深い理解(中国生産工場訪問など)、ユニクロが抱える経営課題を見つけ解決案を柳井社長への提案し実践する事です。成果が出れば卒業のうえ昇格という成長を後押しする仕組みです。
人を育てたくなる仕組みとしてユニクロでは、人事評価のうちマネージャークラスだと30%、役員クラスだと50%が「どれだけ人を育てたか」で評価されるほど割合が高い点にあります。「スタッフの◯◯さんの評価グレードを上げる」「あるグレードのスタッフを◯人にする」など目標が具体的なため評価もしやすく、働いている人は部下を必死に育て自分の後継者作りをする方向に動きます。人材育成は共感と信頼関係を土台に置くため、上司から自分のことを開示することが有効です。自分の反省や弱い部分と会社で何を成し遂げたいかを部下にまず伝えてから、同じように部下に自己開示をしてもらい部下の価値観も知ることです。
柳井さんは「当社は結果としての終身雇用という言い方をたまにしますが、理念や価値観に共感してくれる人は、同じ船に乗りたいと思う人は乗り続けてくださいという考え方です。ユニクロでなくても「入社してみたら価値観が合わない」と感じる人は絶対にいます。
柳井さんは「人間25歳ピーク説」を唱えその年齢以降はどんなことに挑戦しても成果を出せるとして若手の抜擢をします。欧米企業も実際にそうでGEのジャック・ウェルチやジェフリー・イメルト等は45歳でCEOに就任して、20年スパンの経営が企業価値向上に有効という考え方もあります
ユニクロでは「大きい服を着せる」という今の能力よりかなり大きなチャレンジを与えられ飛躍的な成長につながりますそんな無謀なチャレンジを課してもユニクロには敗者復活の仕組みがあり、失敗した人をどう処遇するかで企業の士気は大きく変わります。かつて食品事業を大失敗した柚木治さんは辞表を忍ばせて柳井さんに報告に向かうと柳井さんは開口一番に「会社を辞めようなんて思わないで、損失分をちゃんと返してからにしてください」と言われ退職を思いとどまり、その後2010年にGU社長に就きGU中興の祖となりました。今のユニクロチャイナCEO潘寧さんも2001年からの中国事業責任者として撤退までなりましたが、2005年から再び声が掛かり中国事業を大成功させました。
成長を促す仕組みに数字をしっかり見る「週次PDCAがあります。どんなに遅くても週単位で、どのような部門や店舗でもPDCAサイクルを回しています。ユニクロがすごいのは、全社レベルで週次PDCAを回し毎週、徹底的な評価(Cチェック)とそれに基づくAアクションが行われている点です。ユニクロの重要事項は月曜日朝8時からの全役員が参加して重要トピック議論から始まります。その後9時から10時までの部長会議でPDCAサイクルが回され、前週の売上共有、部門ごとの対前年比実績、年度計画進捗率、お客様の声が共有され、10時に会議が終わると即実行です。このスピードで回しているので、当然、現場も非常に機動的に動けます。
月曜日の10時に会議が終わると、各本部からメールで、全店舗に月曜の部長会議の内容が通知され、ブロックごとに各店舗で実践できているかスーパーバイザーが店舗を巡ってチェックします。これにより会議に参加していない現場レベルのスタッフの動きも、機動的に修正と実行を繰り返す「仕組み」と機能します。成長しない人はいません、成長できる環境な身を置けるか、どのくらいのスピードで成長できるかが大切です。「何が重要か」を起点にすることで、過去や経験しがらみに縛られずに変わっていけますし、即断・即決・即実行できるのです。

 

 

  • user 内田
  • time 2025年3月1日
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