【TAPの仕事】畑作決算コンサルティング(法人-会計編)
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内田
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2025年3月15日
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TAPの仕事
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毎年2月~3月は畑作決算を何十件か関与させていただく季節です。
畑作農業は12月決算が多く、農業法人は2月末まで、個人農家は3月15日までが申告期限となるからです。
他は3月決算などもたまにいらっしゃいます。
畑作農家さんでも現金取引をたくさん行っていただいている所もあり、現金出納帳を付けていただくようにしております。(数枚の領収書しかない場合は、それだけで入力をしていただくこともあります。)
北海道の畑作農家さんは多くの所で組合員勘定(クミカン)と言われる自由に使える貯金枠があり、そのデータを弊社では取り込んでおりますが、念のため決算の時にクミカン残高の資料を預かって照合もしております。
畑作農家さんの会計で難しいのは個人的には棚卸資産だと感じております。決算日にどれだけの肥料や種苗などの資産が数える棚卸をしていただくことはもちろん、北海道ですと春まき小麦など12月までにまいて次の年に収穫する作物もあり、この場合は種苗費/肥料費/外注費/人件費などを集計をして仕掛品として棚卸資産計上しないといけません。この仕掛品の計上がなかなか難しい内容です。
畑作農家さんは設備投資が大きく、減価償却資産も科目名や修繕をからめた資本的支出の有無、耐用年数の正否、無くなった資産があるかに注意します。
少し怖いのが多額の機械等は買ったけれども、支払が次年度以降となる場合です。畑作農業は売上が毎年秋以降になるため農機メーカーさんが支払を送らせてくれるのはありがたいことですが、納品資料が入手できなくて資産計上が漏れてしまうと困ります。この場合、消費税の仕入税額控除も出来なくなるのも怖い点です。しっかりヒアリングと、前もって発生主義で請求書等を頂けるように農家さんにしっかりお話をしておくことが肝要です。
畑作農業の共済は今まで通常のNosaiが多かったですが、数年前から収入保険の制度が出来て、こちらに加入している場合は資産に農業経営収入保険積立金が計上されますので、保険料等収入明細を入手して積立金の部分と照合する必要があります。
弊社に途中から来られた畑作農家さんの場合、受取配当金が計上されているのに対応する出資金が貸借対照表に載っていないこともあり、追加で計上することもあります。
畑作農家さんの場合、当然ながら農地の質を上げていく事が大切ですので農地改良工事等を随時行っていくのですが、その場合農地改良費用は基本的に繰延資産計上をしまして10年償却をしていきます。アスファルト舗装も構築物計上して償却をしていきますが、少しそれに似ていますね。
畑作農家さんでも法人の場合は社会保険の加入義務がありますから、決算月の社会保険料は資料を入手して未払計上すると良いでしょう。
法人化をした際に機械等を個人から法人に売却する場合が多く、その場合、役員借入金が多く残っている畑作農家さんもいらっしゃいます。時に、5千万円、1億円を超えている場合もあるのですが、貸し付けている方が万が一死亡した際には相続財産となり、相続税のリスクがありますので出来る限り毎年減らしていく事が望まれます。
固定資産税を法人で支払っている場合も、家事按分に要注意です。ご自宅の分、農業倉庫などの事業用をしっかりと把握しながら決算仕訳を入れていきます。(家事按分は燃料費や通信費、保険料でも同様に行います。)