中小企業金融円滑化法の期限到来に向けた対応
- 内田
- 2013年3月9日
- 税務・会計・経営
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今、中小企業にとって非常に注目される、本年3月末に期限を迎える中小企業金融円滑化法
(以下、円滑化法)について、金融庁及び税理士会の資料をもとに書いてみたいと思います。
・円滑化法の概要
金融機関は中小企業から申し込みがあった場合には、貸付条件の変更等を行うよう努めること
が求められました。
また当初、平成23年3月31日までの時限法でありましたが、ニ回の延長があり、平成25年3月
31日までとなりました。
・金融機関等による貸付条件の変更等の対応状況
貸付条件の変更等の申込みに対する実行の割合は、9割を超える水準で推移し、貸付条件
の変更等の取り組みは定着しておりました。
円滑化法利用事業者は約30~40万先にものぼり、特に事業再生・転廃業が必要な事業者
は約5~6万社と言われております。
一方で、貸付条件の再変更等が増加し(実行の約8割)、貸付条件の変更等を受けながら
経営改善計画が策定できていない中小企業も増加いたしました。
・円滑化法期限到来後の検査監督の方針
疑問1:金融機関が貸付条件の変更等に応じなくなり、貸し渋りや貸しはがしによって倒産が
増加するのではないか?
⇒金融機関が貸付条件の変更や円滑な資金供給に努めるべきことは、円滑化法の期限到来後
も変わらず、上記事態が生じないよう金融機関に対し、それらに努めるよう促す。
疑問2:貸付条件の変更等を行った借り手は、25年3月までに経営課題を解決しなければならない
のか?
⇒全ての借り手に25年3月までに何らかの最終的な解決を求めるものではなく、金融機関が借り手の
立場に立って提案し、十分な時間をかけて実行支援するよう促す。
疑問3:貸付条件の変更等を行った借り手に対する金融検査が厳しくなるのではないか?
⇒金融庁検査・監督の目線やスタンスはこれまでと変わらず、個々の借り手の経営改善に具体的に
どのように取り組んでいるか、検査・監督で従来以上に光を当てていく。
そして金融検査マニュアルの不良債権の定義は不変であり、円滑化法の廃止が不良債権の増加
には直結しない。
<リンク>
・金融庁-中小企業等に対する金融円滑化対策について