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レビュー『アンガーマネジメント』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンガーマネジメント』 日経文庫 戸田久美

何らかの出来事を体験したとき、その出来事に対して、わたしたちは自分の「〇〇であるべき」というコアビリーフで意味づけをします。
その意味づけによって、怒りを感じる人もいれば、まったく怒りを感じない人もいます。また、同じように怒りを感じたとしても、その程度が違うこともあります。
自分の持っているコアビリーフとうまく付き合えるようになることは、アンガーマネジメントではとても重要な取り組みです。

・対処法-6秒間をやり過ごす
カーッとなった時に、怒りにまかせて行動するのではなく、6秒間を何事もなく過ごせたら、売り言葉に買い言葉のような状況を回避することができます。6秒間をやり過ごすために数を数える方法であるカウントバックします。
・対処法-コーピングマントラ
心が落ち着く言葉を言い聞かせます。たとえば「なんとかなるさ」「大丈夫」という言葉はよく聞くフレーズですね。「死ぬこと以外はかすり傷」などでもなんでもいいのです。
・対処法-思考を止める
怒りを感じた瞬間に、頭の中に真っ白な用紙を思い浮かべて、頭の中を真っ白にします。
・対処法-深呼吸をする
怒りを感じたら、まず深呼吸してみるのも、とても有効な方法です。深呼吸することで、副交感神経が優位になり、心が安定します。

変えられること、変えられないことを分類してみましょう。コントロールできないけれども重要だと感じる場合は、悩ましいところなのですが、「変えられない現実を受け入れる」という判断をします。そして、現実を受け入れたうえで、この状況にこれ以上の怒りを抱えないため、自分が出来ることは何なのかを考えてみるのです。

怒りに巻き込まれたときは、相手の主観に惑わされないことが大切です。
相手の「べき」を否定して感情的に返してしまうと、相手の怒りが倍増します。ひどくなると、本来の議論から外れた感情のもつれまでに発展してしまうので注意が必要です。
相手の主観に巻き込まれないように「この人のいままでのキャリアのなかでは、これが正しかったんだ」と受け止めてから、俯瞰し相手の怒りを心の中で実況中継してみるといいでしょう。

相手が怒りをぶつけてきた場合、「申し訳ありません」「恐れ入りますが」という言葉で寄り添い、「この人はわたしの気持ちをわかってくれた」と納得していただけて、解決に進むケースが多いです。クレーム対応では個人批判されたと思わずに、「わたしはお客様と組織の橋渡し役」という意識で対応しましょう。自己受容・自己肯定感や自尊感情を育むことは、卑屈な怒りを防ぐには有効だと思います。防衛的な怒り、卑屈な怒りを生み出さなくてすむようになるのです。

「スルー力」を鍛えることも有効です。まともに受け止めずに聞き流す力も必要です。
怒りの感情を、半日や1日くらい引きずる人がいますが、これは本当に時間の無駄です。アンガーマネジメントで目指すのは、自分や周囲の人が、長期的に心身ともに健康である選択ができることです。例えば会社の重役の期限が悪い時には、「奥さんにいろいろ説教されたんだな」「異国から来た人だな」などと思うようにしてみましょう。

相手の感情をコントロールしようとしてはいけません。「怒っている人をどうにかしたい」という人も多いのですが、そもそも怒っている人をどうにかすることはできません。ですから大切なのは、怒っている人に巻き込まれず、惑わされないことです。怒っている人を「なんとかしよう」と思うと余計に自分が不毛な怒りの渦中に身を置くことになるので、ときには割り切ることも重要なのです。上司などが不条理に怒っている時も「またあんな怒り方をしているけれどどうしたもんかなぁ」というような軽い感じで受け止めましょう。コントロールすることを諦めたほうが、気持ちも楽になると思います。

マネジメント層の方は、日ごろから穏やかな雰囲気でいること、ほがらかな佇まいでいることを心がけましょう。例えば、「今日は穏やかな自分を演じよう」と決めて過ごします、疲れてしまうので毎日行う必要はありません。1週間に一度でも「今日1日は穏やかな自分を「自分を演じよう」という日をつくるのがいいでしょう。表情を穏やかにし口角を上げて作り笑いをするだけでも自律神経が整いリラックスしてきます。もしも部下を叱るときも、要望と理由をセットで具体的な言葉で、相手の背景や心からの改善を思い浮かべながら伝えていきましょう。

 

 

  • user 内田
  • time 2022年11月5日
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【TAPの仕事】財務デューデリジェンス(買収監査)(DD)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最近、M&Aでのデューデリジェンスについて、ご依頼を受けることがあります。

デューデリジェンス(DD)は上記の図の中では基本合意の後に実施される「買収監査」のことです。

主に決算書やその元資料を監査することで、買収をする際の問題点/留意点をレポートにして買い手に報告をしてきます。

公認会計士は決算書のプロフェッショナルでありますので、売り手側の決算書をしっかり見る際に財務DDのご依頼が来るわけです。
他にも弁護士さんが法務DD、社労士さんが人事DDを行うケースもあります。

財務DDのポイントを資産だけですが書いてまいります。

・現預金
残高の実在性を現金を数えたり(実査)、通帳実査をしたり、銀行からの残高証明書を確認したりします。

・営業関連(売掛債権、棚卸資産)
ビジネスモデルの理解から実在性や評価の妥当性を検証。但し、悪意を持って隠ぺい工作をされると限界あり。回収可能性も検討する。
棚卸資産は、実地棚卸の記録を閲覧、在庫管理体制を把握する。

・有形固定資産
除却資産や遊休資産(減損会計)、減価償却不足の把握、時として現物確認のために工場などに赴く。(例えば、コアな設備が正常に稼働するかどうかが買収のキーポイントになる場合)

・無形固定資産
ソフトウェアに重要性がある場合に重点調査。電話加入権は減損する。

・有価証券等金融商品
有価証券は市場価格/金融機関算定価額/純資産等から出来るかぎり時価評価をしていく。
貸付金は滞留期間から回収可能性を検証する。
前払費用は費用の繰延が行われていないか、保険積立金は返戻金額を評価する。

<参考>
M&Aコンサルタントの履歴書

 

  • user 内田
  • time 2022年10月29日
  • tag TAPの仕事
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レビュー『成功者の告白』

 

 

 

 

 

 

 

 

成功者の告白』 講談社α文庫 神田昌典

サラリーマンをしていた主人公タクが、起業家として成功していく過程をマイナスの部分を包み隠さず書かれていて、
ストーリー仕立てで興味深い本でした。

仕事熱心な成功者のプライベートな部分に焦点を合わせれば、英雄像は色褪せて、親子断絶・家庭内離婚・愛人騒動・家庭内暴力・不登校・引きこもり・うつ病等、機能不全に陥っている家庭は珍しくない。
根底に流れるテーマは、ビジネスと家庭とのバランスを取りながら、いかに会社をスムーズに成長させるか、ということである。

起業をしてうまくいっていても、仕事のために家庭があるのではない、家庭が幸せになるために、仕事がある
そこを履き違えてはいけない。
妻の方も夫の成功を喜ばなければいけないとわかってはいても、感情は複雑で、夫だけが社会で認められ置いていかれることの不安もある。
あなたが思う以上に、仕事と家庭は密接に関連をしている
人間が集まると感情の場をつくる。それは家庭でも職場でも同じ。
ポジティブになるグループがあると、その動きとバランスを取るようにネガティブなグループができる。
社長がプラス思考で前向きになりすぎると、そのスピードの出しすぎを抑えるかのように、マイナス思考の人間が出てくる。

急成長企業は創業四年もすると八割方マネジメントの問題に直面し、社員が病欠しがち、遅刻しがち、社員が居つかない、配送上の問題、品質の低下、モラルダウン、社員が社長の悪口を言い出す、などなど。
この時期は会社の第二創業期で、家業から企業への生まれ変わる契機。
お客様のクレームの質が変ってきており、怒りを受けた社員がその怒りを家庭に持ち帰り、自分に向けてしまう社員は病欠や退職をすることになる。
経営では、そこに集う人間が感情の場を形成してその動きを推し進めるため、社員や顧客の感情を大切にできるようソフト面のシステム化の必要がある。

働く場」自体を向上させていかないと問題が繰り返す。
能力がないからさっさとクビを切るという文化は、相手から奪うという文化でありそれは作らない方が良い。
これからの時代は、発想力を導く仏の経営が良いが、ただ優しさだけではだめで規律と厳しさも併せ持つべき。
子育てと同じで母親の愛という土台(相手を承認すること)の上に父親の規律(会社の憲法であるクレドを決めて繰り返し伝える)を持ってこないと、チーム体制の組み立てはできない。
クレドについては、自分の意見を言ってもらい価値観や行動様式を実際に応用するために、考える人間を作っていく。
会社で新しい試みを実行していくにあたって、反発が出た場合は、一対一で話し合う機会を持って、相手の怒っている理由に徹底的に耳を傾け、お互いにわだかまりを解消しておく必要がある。

 

  • user 内田
  • time 2022年10月22日
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【TAPの仕事】情報発信(Youtube編)

 

 

 

 

 

 

 

今年2022年に入りましてから事務所のYoutubeを始めました。
といっても、まだ数本しかアップが出来ておりませんが、まずはこちらからチャンネル登録をしていただけるとありがたいです。
Youtubeという媒体は本当に優れていると思います。
過去はテレビ局やラジオ局でないと作れなかった番組が、個人でも作れるようになりました。
様々な個人のチャンネルを観て聞いて勉強が出来ることはありがたいことです。
とある税務署職員さんがこのようなお話をされておりました。
「税務署で導入したスマホ申告ソフトについて、税務署側ではうまく使い方を説明できないのです。
国ではIT化を進めようとしてシステムを導入しても、税務署側では使える人・説明できる人がいなくて、聞きに来た人に大阪の税理士先生のYoutubeチャンネルを案内したりしてしまいます。」
そう、民間の税理士事務所のチャンネルが重宝されているのです。
個々の税理士事務所の発信するYoutubeチャンネルが役に立つ時代、TAPも少しずつですがYoutubeで情報発信をしていきたいと思います。

 

  • user 内田
  • time 2022年10月15日
  • tag TAPの仕事
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レビュー『働き方5.0』

 

 

 

 

 

 

 

 

働き方5.0』 小学館新書 落合陽一

 

もはや、デジタル情報があふれ、人工物と自然物が垣根なく存在する環境が人間にとっての「新しい自然」です。
AIやロボットなどの進化もめざましいものがあります。
2017年頃からは、日本国内でもRPAがブームになりました。
ホワイトカラーの典型的なデスクワークをプログラムによって自動化して代行していくRPAは、工場で産業用ロボットがブルーカラーの仕事を代行するように、オフィスでホワイトカラーがやってきた仕事をこなしてくれますので、人間は努力の仕方を変えることを求められています
一方で、機械では代替されにくく、付加価値の高い能力を持つ人材もますます求められ、人材としての価値が高まっています。
AIやロボットが幅広い分野で進化し人間と共に働いていく時代イコール「働き方5.0」の時代は、人間がやるべきことの本質を考えこれからの世界を作るための考え方を提示する必要があります。
適切な課題設定を社会に創造するのが、機械に代替されない付加価値の高い人材=クリエイティブクラス の役割です。
シンギュラリティ(AIによる生活革命)と言えるほどの変化はまだ訪れていませんが、ウーバーイーツのようにシステムが人間の上司のように振る舞う場面は増えております。
そのような世界で、つぎの時代に向けてどんなことを学ぶべきか考えるのは本当に難しいことですが、「コンピュータには不得意で、人間がやるべきことは何か」を模索することが大事です。
いまの世界でホワイトカラーが担っている仕事は、ほとんどシステムが担うことになるかもしれませんが、システムになくて人間にある「モチベーション」に注目して、コンピュータを使いこなし「魔法をかけられる人」(システムを作る側)になれるかで大きな違いが生まれるでしょう。
いまでも多くの親は、我が子が「大企業の社員」になることを望んでいますし、学校教育も専門性を深めるよりも処理能力が高いジェネラリストを育てることを目指しているように思えます。しかし、いまの小中学生が将来「コンピュータに駆逐されない自立的な仕事」をできるようになるには、何でも水準以上にこなせるジェネラリストではなく、専門性を持つスペシャリストになることが必要です。
現代のリソースは脳の中だけにあります。もはや栄養のない情報だけでは満足できない世界になっており、自分にとって価値のある、美味しい肉や野菜のような情報を与え続けなければ、人々が満足しない世界になっています。誰にでも作り出せる情報の中には、価値のあるリソースはない。その人にしかわからない「暗黙知」や「専門知識にこそリソースとしての値打ちがあります。
  • user 内田
  • time 2022年10月8日
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【TAPの仕事】経営方針の浸透と実行 その③

 

 

 

 

 

 

 

経営方針」とは、
経営理念の考え方を実現するための具体的な行動の基本方針・判断基準という位置づけになります。
税理士法人TAPにも3つの経営方針がありまして、こちらもいつも職員の皆さまには胸に刻んでいただきたいものです。

税理士法人TAPの経営方針の最後、3つ目は、仕事の秩序を公平性と人格主義に置く、という内容です。

公平性」を常に保つということはなかなか大変なことです。個人ごとに公正性の基準が違う部分も多々あります。
それでも、対お客様に対して、対所内に対して、対地域(金融機関や税務署などすべての関係者)に対して、絶えず公平性を意識するべきです。

なぜ、「公平性」が大切なのか。
それは、TAPの仕事が対外的にも対内的にも公平でない場合、経営理念にもある社会的使命を果たせなくなり、働く人の喜びが生み出せなくなるためです。
対外的に特定のお客様だけを特別に大事にし他のお客様を大事にしないようでは、社会に良い存在とはいえず、また対内的に特定のスタッフをえこひいきしたり仲間外れを作ったりすることで働く人の喜びは生まれません。
より多くの人が納得できる形にすることが公平性を担保することにつながります。

「人格主義」という言葉は聞いたことが無い方もいらっしゃるかと思います。
ソクラテスやカントなどの哲学者が使ってきた言葉でもありますが、ビジネス書のバイブル『7つの習慣』でも一貫して使われている言葉です。

小手先のテクニックでどうにかしようとする個性主義ではなく、誠実さなどの人格を磨いていくことが良いサービス・良い組織を作り、良い仕事につながっていきます。
すなわち、誠意・誠実・謙虚・勇気・忍耐・節制・勤勉などの、人間の内面にある人格的なものを重視することが、人財育成となります。
事務所として地域やお客様のために行動するときには、これからのことを意識していかなければなりません。

絶えずこちらのことを意識してお客様に接していると「あぁ、この人(この事務所)は信頼できる」と信頼感が増していきます。
もしも「誠意」や「誠実さ」を持っていないとそもそもお客様や地域の人は話すら聞いてくれないと思います。
もしも「謙虚」さが無いと、傲慢な人だと思われ、社外社内の人から好かれません。
もしも「勇気」を持って行動しないと、仕事が進まず滞り、問題が大きくなっていくばかりです。
もしも「忍耐」や「節制」を持っていないと、継続した努力が出来なくなり成長も成功もできないことになります。
もしも「勤勉」さが無いと、勉強をせず税理士法人の仕事など出来るわけがありません。

まるで子供や学生の時に言われたような当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、
これらを大切にすることで物事は最終的にうまく進んでいくと思います。

この経営方針の最後に「個人の技能を最大限度に発揮させます」という言葉があります。
人には得意なこと苦手なことがあります。私たちは、苦手なことを保管していくことよりも、得意なことを伸ばして、その力を発揮していくことをより重視してまいります。
「長所進展」の考え方=職場の同僚・先輩や家族など自分を取り巻く人に対しても良きところ、持っているもの、出来る事を見ていくべきです。

  • user 内田
  • time 2022年10月1日
  • tag TAPの仕事
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レビュー『元彼の遺言状』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元彼の遺言状』 新川帆立 宝島社文庫

2021年度の第19回『このミステリーがすごい! 』大賞受賞作。
作者の新川帆立(しんかわほたて)さんは東大法学部卒の弁護士で1991年生れ。
この若さでミステリー小説を書いて賞をもらうという点が凄いです。

作品にもその弁護士としての知識経験がふんだんに盛り込まれ、主人公の剣持麗子も大手法律事務所の20代弁護士です。
弁護士のお話は小説になりやすいですし、海外ドラマのSUITのようにドラマティックです。
大手法律事務所の内情もわかりますし、作品に出てくる村山弁護士のように町の小さな法律事務所の弁護士像もよく描かれています。

こちらの作品はミステリー作品で殺人事件も出てきますが、私が注目したのは経済小説の要素も入っていた点です。
作品では大手製薬会社-森川製薬の御曹司・森川栄治が亡くなるところから物語がはじまるのですが、その森川製薬の経営や株式について、詳細に書かれていきます。
株式の相続は現代の中小企業でも大きな課題となっておりますが、上場している大手企業の場合も同様に複雑な話になりがちです。

経営陣としてはあまり良からぬ人たちに株式がわたってほしくないですし、会社にある程度の影響を与えるには自分が株式を取得したいと考えます。
また、具体的なM&Aの話が出てくるあたりも経済小説チックなのですが、株式譲渡契約書や法務DD報告書の話も出てくる所も身近に感じました。

新川帆立さんは現在は弁護士業務は行わず、小説家業をメインで行われているようで、今後の活躍が楽しみです。

 

 

  • user 内田
  • time 2022年9月24日
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