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レビュー『成功者の告白』
『成功者の告白』 講談社α文庫 神田昌典
サラリーマンをしていた主人公タクが、起業家として成功していく過程をマイナスの部分を包み隠さず書かれていて、
ストーリー仕立てで興味深い本でした。
仕事熱心な成功者のプライベートな部分に焦点を合わせれば、英雄像は色褪せて、親子断絶・家庭内離婚・愛人騒動・家庭内暴力・不登校・引きこもり・うつ病等、機能不全に陥っている家庭は珍しくない。
根底に流れるテーマは、ビジネスと家庭とのバランスを取りながら、いかに会社をスムーズに成長させるか、ということである。
起業をしてうまくいっていても、仕事のために家庭があるのではない、家庭が幸せになるために、仕事がある。
そこを履き違えてはいけない。
妻の方も夫の成功を喜ばなければいけないとわかってはいても、感情は複雑で、夫だけが社会で認められ置いていかれることの不安もある。
あなたが思う以上に、仕事と家庭は密接に関連をしている。
人間が集まると感情の場をつくる。それは家庭でも職場でも同じ。
ポジティブになるグループがあると、その動きとバランスを取るようにネガティブなグループができる。
社長がプラス思考で前向きになりすぎると、そのスピードの出しすぎを抑えるかのように、マイナス思考の人間が出てくる。
急成長企業は創業四年もすると八割方マネジメントの問題に直面し、社員が病欠しがち、遅刻しがち、社員が居つかない、配送上の問題、品質の低下、モラルダウン、社員が社長の悪口を言い出す、などなど。
この時期は会社の第二創業期で、家業から企業への生まれ変わる契機。
お客様のクレームの質が変ってきており、怒りを受けた社員がその怒りを家庭に持ち帰り、自分に向けてしまう社員は病欠や退職をすることになる。
経営では、そこに集う人間が感情の場を形成してその動きを推し進めるため、社員や顧客の感情を大切にできるようソフト面のシステム化の必要がある。
「働く場」自体を向上させていかないと問題が繰り返す。
能力がないからさっさとクビを切るという文化は、相手から奪うという文化でありそれは作らない方が良い。
これからの時代は、発想力を導く仏の経営が良いが、ただ優しさだけではだめで規律と厳しさも併せ持つべき。
子育てと同じで母親の愛という土台(相手を承認すること)の上に父親の規律(会社の憲法であるクレドを決めて繰り返し伝える)を持ってこないと、チーム体制の組み立てはできない。
クレドについては、自分の意見を言ってもらい価値観や行動様式を実際に応用するために、考える人間を作っていく。
会社で新しい試みを実行していくにあたって、反発が出た場合は、一対一で話し合う機会を持って、相手の怒っている理由に徹底的に耳を傾け、お互いにわだかまりを解消しておく必要がある。
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内田
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2022年10月22日
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本
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レビュー『働き方5.0』
『働き方5.0』 小学館新書 落合陽一
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内田
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2022年10月8日
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本
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レビュー『元彼の遺言状』
『元彼の遺言状』 新川帆立 宝島社文庫
2021年度の第19回『このミステリーがすごい! 』大賞受賞作。
作者の新川帆立(しんかわほたて)さんは東大法学部卒の弁護士で1991年生れ。
この若さでミステリー小説を書いて賞をもらうという点が凄いです。
作品にもその弁護士としての知識経験がふんだんに盛り込まれ、主人公の剣持麗子も大手法律事務所の20代弁護士です。
弁護士のお話は小説になりやすいですし、海外ドラマのSUITのようにドラマティックです。
大手法律事務所の内情もわかりますし、作品に出てくる村山弁護士のように町の小さな法律事務所の弁護士像もよく描かれています。
こちらの作品はミステリー作品で殺人事件も出てきますが、私が注目したのは経済小説の要素も入っていた点です。
作品では大手製薬会社-森川製薬の御曹司・森川栄治が亡くなるところから物語がはじまるのですが、その森川製薬の経営や株式について、詳細に書かれていきます。
株式の相続は現代の中小企業でも大きな課題となっておりますが、上場している大手企業の場合も同様に複雑な話になりがちです。
経営陣としてはあまり良からぬ人たちに株式がわたってほしくないですし、会社にある程度の影響を与えるには自分が株式を取得したいと考えます。
また、具体的なM&Aの話が出てくるあたりも経済小説チックなのですが、株式譲渡契約書や法務DD報告書の話も出てくる所も身近に感じました。
新川帆立さんは現在は弁護士業務は行わず、小説家業をメインで行われているようで、今後の活躍が楽しみです。
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内田
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2022年9月24日
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本
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レビュー『口腔ケアと酸素ルームで100歳まで健康に生きる』
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内田
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2022年9月10日
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本
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レビュー『若手育成の教科書』
『若手育成の教科書~サイバーエージェント式 人が育つ抜擢メソッド』 曽山哲人(サイバーエージェントCHO)
サイバーエージェントのCHO(最高人事責任者)の方が書いた著書ということで読んでみました。
一方で、「言わせて、やらせる。」であれば、若手は自分の頭で考えて話しますし、主体的に働きます。この「自分で考えて、自分で動く」という自走環境でサイクルを回していくことで、人はとてつもないスピードで成長します。
・育て上手と育て下手を決定的に分ける差
育て下手な人はダメ出しばかりで自信を削っていきます。「君はこれだけしていればいい」と自分のやり方を押し付ける人も同様。若手は委縮してしまい、これでは自信がつくことはありません。
では懇切丁寧に事細かにやり方を教えてくれたらどうでしょう、実はこれが最も多い育て下手、若手に教えすぎてしまう上司です。何もかも教わることで、思考停止になってしまい、若手は成長しません。「〇〇さんがいなければ、私はまだまだ何もできない」と劣等感を覚える若手は少なくありません。
「やっぱりAですよね。〇〇さんはどんなふうに解釈しましたか?」。部下にもう一度言ってもらう。ただこれだけですが、絶大な効果を発揮します。一回問いかけてあげるだけで、脳みそを使うアウトプット作業につながり、受け身だった人も、自然と自分の意見を言うようになり、そこから「こういうことをやってみたいです」といった、意思表明が生まれるのです。私がおすすめするのは「毎日5分の朝ミーティング」です、決まった時間に昨日やった仕事や今日やる仕事について話してもらい、それに対して「それはよかったね」「その動きはいいね」などと、ポジティブに反応すると「見てるよ」サインが伝わり、部下に安心感が生まれます。
日々のコミュニケーションを意識的にポジティブなものにしていくことがポイントです。最も大切なのは、いざ本人が「やりたいです」と申し出たら「いいね」とその勇気を称賛することです。失敗しても責しない、失敗で得たものは何か聞く、失敗後に成功した人のストーリーを聞かせる、チームの失敗談を共有する、特に上司が積極的に自分の失敗を話すことは心理的安全性の観点から、とても有効です。
・抜擢3原則
期待をかけ合うチームは自然と人が育ちます。「あなたはもっと成長できる」「君にこれができると思うから、お願いしたい」「あなたの力が必要だ」期待をかけていることは抜擢セリフで必ず相手に伝えます。
・仕事とは決断の連続
・失敗がなければ成長もない
・学習のための面談は「相手の話を9割聞く」でちょうどいい
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内田
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2022年9月3日
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本
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レビュー『メンタルが強い税理士にどうなればなれますか?』
『メンタルが強い税理士にどうなればなれますか?』 飯田真弓 中央経済社
第1章 税務調査がしんどい
第2章 事務所の人間関係がしんどい
・面倒な作業を押し付けるパートのおばさん
自分は税理士の官報合格をしているのに、同じ事務所のパートさんが領収書を張り付ける作業を振ってくる、という相談。
でも下積み仕事は心がけ次第で成果が大きく変わります。調理師免許を取って就職したが皿洗いばかりやらされて、いやいやお皿を洗いながら日々過ごすのか、それともお皿に少し残ったソースを舐めて料理長の秘伝の味を研究するのか、という違いに似ています。
相談にあった領収書貼りの領収書には、必ず何らかのストーリーがあるはずです、与えられた仕事を単に領収書を貼り付けるだけの仕事と思うのか、それとも経営者の人となりを想像するピースを組み立て再現していると思うのか、同じ作業でも、取り組む姿勢が違うと、その先に見えるものは全く違ってきます。
・事務所の合併で何となく雰囲気が悪い
二つの事務所を合併して税理士法人としたが、合併前別の職員同士の仲が悪くて、雰囲気が悪い、という相談。
何がいけないのか。職場の雰囲気をよくしたいと思う経営者は原因探しをしようとされるのですが、それは問題の解決にはなりません。まずは、それぞれの職員がどんな人なのか、お互いに知ることからはじめてみましょう。
所長などの上の人による面談は、あまり意味がありません。「今の仕事に特に不満はないですし、特に何も言う事はありません」と、当たり障りのないことを言って終わります。個別の面談は、傾聴力に長けたプロのカウンセラーに依頼するのが賢明です。
合併はトップ同士が合意し何も文句は無いだろうと思っていても、環境が変わることへのストレスがあります。言葉を交わさなくても、お互いのことがわかりあえるレクリエーションがおすすめです。
第3章 顧問先の経営者とのやりとりがしんどい
・ネット情報を鵜呑みにして、無理難題を言う
経営者の間では、いまだに、税務調査について、まことしやかに都市伝説のようなことが言われ続けているようです。そういったお客様には「ネットの上で、匿名のブログや、税理士の資格を持っていないのに、税務コンサルト名乗っているような人の話を鵜呑みにしてはいけませんよ」と忠告してあげることも必要かなと思います。
溢れすぎている情報を取捨選択して、適切な情報をお客様にお伝えすることも税理士の大切な仕事です。
お客様が求めているものは何なのか。そこのところを常に追求していけば、「無理」と思わず、今の状態で提供できるサービスを見つけることが出来ると思います。
・アドバイスをくれないから解約すると脅す
経営者は数字の組み立てを主な仕事とする税理士にアドバイスをしてほしいと本気で思っているのでしょうか。
アドバイスって何なん?ってことです。
私はカウンセリングをする際、「
いざお話を伺ってみると、私から具体的なアドバイスがなくとも、
すなわち、お客様は最初からご自身の中に答えを持っておられて、
話を聞くときに「聴かせていただく」というスタンスで、
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内田
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2022年8月20日
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本
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レビュー『How Google Works~私たちの働き方とマネジメント~』3/3
『How Google Works~私たちの働き方とマネジメント~』 日経ビジネス人文庫 エリック・シュミット
あのGoogleの元CEO エリック・シュミットの著作という事で興味深く読みました。(3回に分けての投稿の3回目)
●コミュニケーション(とびきり高性能のルータになれ)
・こんにち最も成功を収めている経営者は、情報を囲い込んだりせず共有し、デフォルト状態を「オープン」な形として、失敗を恐れず高い目標を設定し、疑問を感じたら周囲と話し合えばいい。
・Googleでは取締役会の資料も全従業員と共有し、個々の社員の目標(OKR)もイントラネットで公開し、経営者も率先して目標について語る。
・リーダーに一番重要なのは悪い知らせであり(悪い知らせは日を追うごとに悪くなるため)、部下が身の危険を感じること無くトップに厳しい質問をできる環境を作っておくことが大切なのだ。(Googleではドリーというシステムで経営者がスクリーンに表示される質問を上から順番に答えなければならない。)
・会話はいまでも最も重要かつ効果的な手段でありそのきっかけを作るべきであり、Google屈指のリーダー-マリッサ・メイヤーも週に数時間の枠を設け、自分に話がある人は自由に訪ねて来られるようにした。
・リーダーは常に「コミュニケーション過剰」であるべきだ。仕事に限った話ではないが、何かを人に伝えたいと思ったら、たいてい二十回は繰り返す必要があり、数回言うだけでは、みんな忙しすぎておそらく気づかないだろう。
・経営陣にはたいてい好奇心が足りない。目の前の仕事をこなすことだけに集中して、コミュニケーションもなるべくビジネスライクに済ませようとする。だが優秀な社員(スマート・クリエイティブ)というのは興味の幅が広いので、あなたが伝えようとしてきたテーマにかかわる興味深い記事があれば自身の考えを入れて、正直かつ謙虚にシェアをしよう。
・取締役会の目的は、調和、透明性、助言である。取締役にはすべてを包み隠さず伝えなければならない。また(たとえ無視するつもりでも)取締役の助言には真摯に耳を傾けよう。一番好ましいのは、とにかく正直に情報を伝えることだ。取締役会では事務連絡で時間をつぶしたほうが経営者としては気が楽だが、ガバナンスや訴訟問題より、戦略やプロダクトを議論すべきである。
・インターネットの世紀で成功するベンチャー企業の定常状態はカオスであり、事業は常に業務プロセスを上回るスピードで進化しなければならない。そしてカオスのなかで必要な業務を成し遂げる唯一の手段は「人間関係」だ。社員と知り合い、関係を深めるのに時間をかけ、配偶者や子供の名前、重要な家族の問題といった細かな情報を覚えておこう。周囲を笑顔にすることも忘れずに。
●イノベーション(原始スープを生み出せ)
・イノベーションとは新しく意外性があり、劇的に有用なものでなければならない。Googleは毎年、検索エンジンに500件もの改良を加えていて、一つ一つが劇的に有用でなくても全体としてはそうなるので、それ自体一つでとびきり斬新でなくてもイノベーションになるという考え方は大切である。
・イノベーティブであろうとする企業は、まず創造に必要な多様な要素が自由自在に、これまでにない面白い形で衝突しあう環境、つまり種の起源で言う原始スープを生み出そう。また、そこから誕生したものが進化して生き残る時間と自由を与えよう。そしてCEOがCIO(最高イノベーション責任者)になる必要がある。
・新たなムーブメントを起こそうとするとき、最も重要なのは最初のフォロワーを獲得することであり、業務や地域の壁を超えて、全体に浸透させなければならない。新しいアイデアを思いつくだけの頭の良さと、それがうまくいくはずだと考えるだけの楽観主義を持ち合わせた人材を採用しよう。
・発想は大きく。その明らかなメリットは、それによってスマート・クリエイティブがはるかに自由になりやる気を奮い立たせ、制約がなくなる。また大きな賭けをするほど、(会社として失敗が許されなくなるため)成功のチャンスが大きくなる。反対に、どれも命とりにならないような小さな賭けをたくさんすると、凡庸なモノしか生まれない。
・優れた目標の特徴は、測定できること、発想を大きくと密接なかかわりがあり、全員が実践し、自分のパフォーマンスを評価でき、特別力を入れるべき分野ついてチームとして書かれている。
・Googleにはリソースの70%をコアビジネスに、20%を成長プロダクトに、10%を新規プロジェクトに充てる「70対20対10のルール」がある。イノベーションを奨励するときに一番やってはいけないのは時間や資金を与えすぎることである。
・Googleの20%ルール、それはエンジニアが仕事の20%を好きなプロジェクトに使うことを認める制度であり、専制的なマネジャーに対する牽制であり、社員に本来の業務以外に取り組むことを認める手段である。スティーブ・ジョブズの名言「ヒエラルキーではなく、アイデアによって経営すべきだ」を実践するのに役立つ。またGoogleでこの制度を実施してわかったのは、社員を信頼して自由を与えると、贅沢で実現性のないプロジェクトに時間を浪費するような者はほとんど出てこないということ。そして、このルールの最も重要な成果は、そこから生まれる新プロジェクトや新機能ではなく新しい試みに挑戦する経験を通じて、社員が学ぶことだ。
●おわりに(想像を超えるものを想像しよう)
・私たちは大いなる希望に満ちた時代に生きているが、同時に大いなる不安の時代でもあり、それはテレビ会社の経営者に限った話ではない。従来型企業は、選択を迫られているようだ。
・従来型企業には一つの選択肢がある。プラットフォームを活用し、最高のプロダクトを生み出し続けるような戦略を立てるのだ。その戦略をテコにスマート・クリエイティブを集め、彼らがとほうもないスケールで成功できるような環境を生み出せばいい。
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内田
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2022年8月6日
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本
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