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書評 『格差是正の地方財源論』
●要約
地方-市町村会計は、公務員給与・生活保護給付・地方債などの増加で行き詰まりを見せている。
2002年からの三位一体改革により、地方への税源移譲がすすんだが、国庫支出金・地方交付税の削減額は大きかった。
人口増減の格差により、地方ごとの税収にも格差が出てきている。
地方財政に国からの交付税が必要にもかかわらず、国の財源や中央からの声によりその維持が難しくなってきている。
また、地方債の額も他国に例を見ない増加を見せている。
これらの問題への対応策は、まず地方税体系の変革である。
筆者は地方税のバラツキを抑えるために国税との税交換を提案する。
また、道路特定財源を環境付加税として地方財源化することも提案している。
●感想
本別町の平成19年度決算状況(市区町村)を見ますと、歳入73億円のうち、地方交付税が31億円と約43%を占めています。
近隣の町を見ましても、池田町-歳入61億円のうち28億円(約46%)、足寄町-歳入101億円のうち41億円(約41%)、
陸別町-歳入52億円のうち22億円(約43%) と地方交付税は比較的高い水準にあります。
これらの地方交付税の維持が難しくなってきている、という本著の内容には驚かされます。
税源交換という考えた方も斬新です。
本書では「法人地方税を国税化して、消費税等を地方税化する。」ことで地方財源のバラツキを無くすことが提言されています。
この不況のせいで豊田市の法人地方税9割減と聞くと、確かにこの提言にもうなずけます。
また、「道路特定財源を地方財源にあてる」という提言も面白いものです。
形骸化した道路特定財源を一般財源化するのは既に国会で決まりましたが、それを年金や社会保障などに持っていくのか、
それとも本書にあるように地方財源に持っていくのか、これからの動向が注目されます。
- 内田
- 2009年4月12日
- 本
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