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北海道経済の本


北海道経済の本を何冊か読んでみました。

















『拓銀破綻後の北海道経済』 平澤享輔ほか 日本経済評論社



★概要

日本経済の重心が大都心へ移りつつあり、地域経済は困難に直面している。

北海道は拓銀破綻後、地銀3行が集めた10兆円のうち7兆しか貸し出されず、

商材の発掘が乏しいことが伺える。

道内経済は90年~96年良好であったが、97年~2000年に拓銀破綻で低下し、

それ以後公共工事の減少によりさらに下がっている。

これからの金融機関には、地域の特性を生かし企業・自治体が自立できる商品

の提供による、持続的な収益獲得が求められる。

道内地域は首都圏に比べて直接金融などの手段が乏しく、目利き能力を備えた

創業時の投資機能が足りない。

近年のリレバン(地域密着型金融)行政は、信用金庫の財務体質の強化をもたら

したが、地域間格差の緩和は進んでいない。

地方自治体と連携した信用保証制度、担保に依存しないノンリコースローン、ベン

チャーキャピタル、プライベートエクイティ、などの手法に学ぶことが重要である。



★感想

1997年の拓銀破綻後の北海道経済を分析しつつ、地域再生のための金融(銀行・

信金等)の役割について書かれた共・著書。

大学の先生、公務員の方々が書かれているので堅い内容ですが、ここ10年ほどの

北海道経済を見るにはいい本だと思います。

私も金融の役割・手段についてよく考えます。

首都圏だと金融市場があり、VCがあり、私募債の発行も盛んに行われています。

それと比べると地方は金融手段が限られているのはやむをえません。

だからこそ地銀や信金等の金融機関の役割が重要ですし、新しい資金調達方法を創設

できればそれに越したことはありません。

しかし、本の中にも書かれていますが、事業の「目利き」が難しく、そのリスクを補える資金力

も潤沢でない。

そんな中でいかに資金調達できる環境をつくっていくか、それが北海道経済にとって大きな

課題となります。


















『北海道 2030年の未来像』日本経済新聞社


★概要

北海道は今、かつてない危機に直面している。

製造業が少なく、流通サービス業に依存し、公共投資減少による建設業の疲弊など。

日本経済新聞の調査によると、2030年の道内人口は2000年より104万人減少の464万人

という推計結果。

社会保障負担は倍増し超高齢化社会となり、赤字市町村が増える。

少子高齢化に挑む企業は、雇用延長と賃金引き下げを実施し、シニア市場への参入を進め

ている。

シンポジウム提言

・海外から北海道を人が訪れる仕組み(ex.農業国際機関、北方シンクタンク)

・風力などクリーンエネルギーの実用化

・北海道への内外からの移住促進

・一人当り戸数の少ない住宅産業の成長へ

・インターネット使って働ける環境整備

ほか


★感想

前向きな言葉が印象的な本でした。

北海道経済は確かに今厳しいといわれています。

ですが、ピンチはチャンスの宝庫となることが多いはずです。

日本経済全体が少子高齢化で低迷するといわれる中、これを克服する「北海道モデル」が

構築できれば日本のフロントランナーになれると書かれていました。

シンポジウムの提言には様々な意見がありましたが、道民みんなが意見を出し合って

それで北海道を活性化できれば一番よいです。




このほかにも『検証 拓銀破たん10年』『北海道を動かす!』なども読んでみましたが、

どれも興味深いものでした。

  • user 内田
  • time 2010年3月14日
  • tag 北海道・十勝・札幌
  • comment 0