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レビュー『赤と青のエスキース』
『赤と青のエスキース』 青山美智子 著 PHP研究所
少し前に2022年本屋大賞 第1位の『同志少女よ敵を撃て』を載せまして、とても読み応えのある作品でしたが、
ストーリーの意外性/感動という意味ではこちらが良いかと感じる良作でした。
赤と青という誰もが見る色に意味があり、そこには絵画と額装に壮大なストーリーが隠れておりました。
第一章から第四章、そしてエピローグとあるのですが、各章の題名が素敵ですし、特に第四章の『赤鬼と青鬼』という章での内容に驚かされます。
第一章を読み始めるとオーストラリアにおける日本人男女のラブストーリーで、
「あぁ、たまにラブストーリーを読むのも良いなぁ」
という感じで読んでおりましたが、話に非常に引き込まれますし、絵画とラブストーリーの関係性が絶妙なのです。
「画廊」という世界にも興味が惹かれる内容で、確かに独立開業をして画廊というものを開くことの難しさにも納得させられます。
このデジタル・DX・NFTの現代に「絵画」というものがどのような価値があるのか、絵画や漫画で身を立てる人の人生観に触れられることも醍醐味です。
絵画は確かに生活に豊かさを与えてくれます。
エスキース=絵を描くときの下絵のことらしいのですが、絵画を題材にした小説は新鮮でありましたし、驚くような展開もありますので、絵画好きな人にはお勧めの小説です。
- 内田
- 2023年2月25日
- 本
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レビュー『謙虚なリーダーシップ』
『謙虚なリーダーシップ 1人のリーダーに依存しない組織をつくる』 エドガー・H・シャイン 英治出版
真に成功しているリーダーシップは、 単なる業務上の人間味に欠けるものではなく、 きわめて率直に話をし、 心から信頼し合うグループの文化のなかで成果をあげ、 このモデルを私たちは「謙虚なリーダーシップ」 として提案している。
問題解決をしたり、高い価値をめざしたり、 世界を変えたりする責任は、あなた1人が負うべきものではない。
世界中の組織が、ますます加速する変化のスピード、 地球規模での相互のつながり、多文化主義、 技術の進歩のペースに、懸命に対応しようとしている。 製品特化も加速している。
よい関係とは、過去のやりとりに基づき、未来の互いの行動を、 互いに予想できることである。
仕事仲間との関係をつくっていくパーセニゼーションは、 一方が、もしくは両方が、相当な覚悟をもって会話に臨み、 無視されたり拒絶されたり軽蔑されたりする危険を冒すことであり 、相互依存する仕事環境に適う信頼を築くことである。
マネジャーとして「パーソナイズする(相手を一個人として見る) 」場合は、部下をできるかぎり「下に見ない」ようにしよう。
「 協力」や「共同責任」を強調し、 部下の成功をあなたが積極的に支援するつもりであることを際立た せ、互いに信頼しあっていっそうよい仕事をするために、 あなたについてもっとよく知りたいと思っていることを、 言葉と行動で表すことだ。
この関係は、 上司や部下がそうありたいと望んだからといって、 それだけで自動的に生まれるわけではない。
「パーソナイズする」 努力をしながら交流を重ね、加減を測り、反応し、 やがてそのつながりをつくれたり、 あるいはつくれなかったりするのである。
このリーダーシップによる関係には、 より深いレベルの信頼と率直さが必然的に含まれる。
それは① 互いに約束を守り、②相手を貶めたり、 合意したことに害をもたらしたりせず、③嘘をついたり、 仕事に関わる情報を隠したりしない、 ことによって築かれる信頼と率直さである。
謙虚なリーダーシップでは、レベル2の関係「 個人としての全人格を認め合う関係」とし、レベル3の関係「 家族のような親密さと愛着」にならないようなバランスが大切だ。
シンガポールという国はリークアンユーを中心に、建国時の組織( 経済開発庁)で協力を確実にする一つの仕組みとして、 最高幹部が複数の仕事を担当し、絶えず持ちまわり、 組織のあらゆる要素に精通する方法をとり、 全メンバーがレベル2の率直さと信頼と協力を生み出した。
選ばれたチームメンバーがなんらかの役割に延々と就くと、 自然に生まれるリーダーの新たな、 よりよい考えを採用しないばかりか、 彼らを遠ざける結果ともなり、もとは謙虚だったリーダーが、 権力欲や自己中心的な姿勢を持ってしまう。
- 内田
- 2023年2月11日
- 本
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