【本】『農業与信の基本』
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内田
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2025年8月2日
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本
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『これ1冊で丸わかり 農業与信の基本』経済法令研究会 森下治ほか
与信、つまりお金を貸すにあたっての審査について、融資審査の手法ついて、審査の目的はずばり「貸したお金が確実に返ってくるか」を判断する事であり、返ってくる見込みがないと判断すればお金は貸せない、つまり「与信不可」という判断になります。
どんなに経営実績が良好な事業者でも、倒産確率がゼロという事はありません。大切なのは、倒産確率が高いか低いかという事だけに一喜一憂せずに、きちんと備え(対策)をすることです。この備えにも色々あります。事業計画を立てて事業成功の確実性を高めることも重要な対策ですし、担保・保証人の追加を交渉することも対策の一つです。
農業の場合、据置期間を設定して融資することが多い傾向にあります。その理由は、例えば、畑作や稲作でトラクター購入のための設備資金を借りたとします。トラクターは春から農作業で使用しますが、返済原資である収益収穫物の販売は秋以降になります。返済をすぐに始めようとしても、投資の効果である収益(返済原資)はすぐには生じないため、収益のタイミングまで待って、元金返済を始める必要が生じます。畜産経営でも同様に、収益化までに必要な育成期間などを勘案して、据置期間を設定することがあります。
農地担保として、田や畑などの農地に担保権を設定することがあります。農地への担保権の設定は債権者と債務者、物件の所有者の合意があれば可能ですが、売却するときに農業委員会の許可が必要です。(売却先が農地所有適格法人でないと許可されない)。用悪水路や雑種地と言った地目であっても、農地と一体で管理されている場合には、農業委員会の管理の対象となっている場合もありますので注意が必要です。どこまでが農地として管理されているかは、各市町村に届出をしている農地台帳でわかります。
動産担保は、在庫や機械などの動産設備を担保にする手法で、譲渡担保といわれる手法で担保権を設定する場合がほとんどです。なお、動産担保にも「動産譲渡登記」を法務局に申請して登記する方法があり、登記をすると第三者対抗要件が担保されるというメリットがありますが、不動産登記と異なり在庫などの動産はその内容が頻繁に変化する可能性があり、登記内容との相違が生じるリスクもあります。
与信審査の入り口で非常に重要なのが、返済意思、反社会的勢力の該当有無、行政処分の有無、地域住民や取引先との訴訟の有無、税金の滞納・差押えの有無など、そもそも融資先として妥当か否かという点の判断です。与信審査においては、あらゆる面から総合的に与信可否を検討し、判断します。具体的には、業歴、業績、取引履歴、返済履歴などの実績面、経営者の人物像、地域貢献などの定性評価、事業計画の内容、成長性などの将来性といった内容を審査の一環として確認していきます。」
資産(不動産・株式)の税務上の評価は、次のような基準になります。
農地の評価は次のようになります。
純農地及び中間農地の評価:倍率方式により評価する。
市街地周辺農地の評価:その農地が市街地農地であるとした場合の価額の80%に相当する金額によって評価する。
市街地農地の評価:宅地比準方式(造成地を考慮)または倍率方式により評価する。