【本】レビュー『東大生はなぜコンサルを目指すのか』
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内田
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2026年5月1日
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本
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『東大生はなぜコンサルを目指すのか』レジ― 集英社新書
東大生やコンサルだけを扱った書籍ではなく、今の時代において働くこと・成長する事とは何なのかを徹底的に問いている名著。
アクセンチュア(東大生が最も多く入社する民間企業の一つ)、野村総合研究所(NRI)、PwCコンサルティングなど、とにかく東大生の就職にコンサルが人気がある。
今の時代のビジネスパーソンは「成長を強いられている」とすら言える。「終身雇用の時代は終わった」というムードにさらされながら、日常生活のあらゆる場面で自己啓発コンテンツに包囲され、SNSを通じて常に他者との比較に接続される。なぜい成長したいのか、どうなったら成長なのか、正直よくわからない。成長を追い立てる何かが、今の時代の根底に横たわっているのではないか。
個人のあり方にフォーカスするスタンスは、特に若いビジネスパーソンの間で一般的になりつつある。パーソル総合研究所の調査によると、20代の若手社員は会社選びの際に入社後の成長機会の有無を重視する傾向が高まっているという。「仕事を通じた成長=キャリアの明確化」と捉える向きが強まっていて、会社に成長機会を期待しながら会社に囚われない自身のキャリア形成を求めていることも読み取れる。成長できる会社を探し、しかしその会社に深くコミットするわけでもないというある種おいしいところどりの姿勢が顕在化している。成長させてほしい、だけどそこへの忠誠心はない、というのはだいぶ都合が良い話にも聞こえるが、会社が個人の人生を守ってくれない前提に立てば、合理的な考え方でもある。
パーソル総合研究所「働く10000人の就業・成長定点踏査2024」によると『働くことを通じた成長は重要』だと感じる割合は76%(2021年は82%)。調査内では働くことによる成長のイメージのトップは「報酬の上昇」。いつの間にか成長を目指す層がマジョリティになりつつあるが、その本音は「お金が欲しい」「スキルを身につけて頭がよくなりたい」という身も蓋もないもの。しかしそんなことは言いづらいので、「成長したい」という今となっては無難な言葉を使って波風を立てないようにしている。終身雇用を信じられない世界で自分だけ取り残されてしまうかもしれない、だから「成長したい」と言いながら頑張る事で、スキルや経済力を身につけていくしかない、それこそ、こんな時代に安定して生きているために必要な事ではないか・・・

