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【本】レビュー『TKC会計人 業務の未来設計』
『TKC会計人 業務の未来設計』TKC全国会 TKC出版
2025年7月発刊、TKCから届きましたので読んでみました。(一部、TAPの用語への変更があります。)
〇巡回監査での大きな負担を避けるための10の心得
1.業務上の境界線を引く
営業担当者は関与先への親切心から、先方がやるべき業務を、そうであると知りつつも受けてしまう傾向にあります。これが営業担当者を追い込み疲弊させてしまうのです。この業務上の限界線を、関与する最初の段階で、相手方に良く理解してもらう必要があります。オーバーサービスをやっている営業担当者から業務を引き継ぐスタッフは、全くやりきれない思いでため息をつくことになります。既存のお客様については、根気よく、時間をかけて説得しなければなりません。
2.FXクラウドシリーズによる自計化
お客様の経理担当者を一定の枠の中にがっちり入れてしまうこと。TKCのFXクラウドシリーズで自計化し、お客様の経理を徹底的に合理化してしまい営業担当者の負担が減ります。お客様は、期せずして従業員の教育訓練が実施されるのですから、内心喜ぶでしょうし、そのために経営者にしっかりと説明し、自計化に対する理解を得なければなりません。システム導入をためらう経営者は、FXクラウドシリーズによる自計化がもたらす経営改善の価値をいまだ十分に理解しておりません。費用増加よりも導入による経営改善の効果の方がはるかに大きいのは間違いないので、顧問契約には導入を条件としましょう。
3.関与先の内部けん制により不正を起きないようにする
例えば、同一人が起票し現預金出納するというのをやめさせて出納責任者と起票者を別人にする、現金売上はその日のうちに銀行に預ける、小口現金を廃止してクレカ決済とする、などITを有効活用しながら複数の眼が入るように、関与先に内部けん制の仕組みを導入します。これによって関与先は、従業員の着服行為を防ぐことができますし、不明金を防ぐことにより営業担当者の悩みも減少されます。
4.証憑保存機能の積極活用
TKC会計人は監査の容易性を確保するため、関与先に対して証憑書類と伝票に共通の一連番号を入れるよう積極的に指導してきましたが、直近では電子帳簿保存法の施行に伴いクラウド会計システムの導入により証憑書類と伝票の対応を実現するよう指導して、関与先内部の自己監査の効果を上げ、営業担当者の手続省略の大きな手助けとなります。
5.経理の初期指導/継続指導を実施して関与先の経理担当者を育てる
関与先の経理担当者に正規の簿記の原則を叩き込むこと。いまだ関与先の簿記会計の無知に付け込んだ会計事務所による起票(入力)代行業務は大きなマーケットのようです。しかし、この業務が関与先の会計帳簿の記帳力を低減させ、会計で会社を強くする機会を関与先から奪うことになっていることは間違いありません。関与先の経理担当者を育てながら、営業担当者の過重労働を避ける工夫をして、TKC会計人の本来業務を実践するための知識とスキルを身につけていきましょう。
6.事前確認・巡回監査のための所要時間の標準化
標準時間で終わらせるため関与先を指導し改革していくこと。3時間で完結する会社、1日みっちりやる会社など、標準時間を決めてその範囲内で終わるよう段取りを立て、関与先をそれに順応させます。この点で、私たちは自己の勇気と信念とを磨くべきです。関与先との接触の中で、密かに自分の指導力や説得力に磨きをかける楽しさを知りましょう。改善点を伝えた時に「いや、そのためにおたくを頼んでいるのだ」と答える経営者には、税務会計の専門的サービスを頼むことと、初歩的な単純事務を頼むこととは別であることを、分かりやすく理解させなければなりません。
7.補助管理・部門別管理を積極的に導入
売上や仕入その他あらゆる勘定科目について、その関与先の業種・規模等に応じた有用な経営情報を引き出すために得意先別管理・口座別管理・部門別管理を検討し、設定次第で推移グラフ、前年比較などさまざまな経営情報を提供することができます。経営者はこうした情報を求めており、FXクラウドシリーズを手放せなくなるのです。こうしたシステム設計の工夫が、巡回監査における異常点の効率的な発見に有効な手段となり、業務品質を維持しながら過重労働を防ぐことになります。
8.関与先ごとの正しい監査手続きを選び異常点監査を行う
仕訳全部、証憑全部などすべて漏れなく監査することは時間も人手もかかりすぎて過重労働になりうるので、関与先の内部けん制制度の活用と、経理担当者の能力、FXクラウドシリーズによるレベルによって適切な巡回監査の手続きを選択しましょう。①事前確認などによる全体把握・証憑突合・異常点の抽出②重点項目を効率よく監査するための準備③現場に赴いて最終的な事実確認④必要に応じた関与先の指導、を行っていきましょう。
9.経理の自動化(訂正加除仕訳の低減)
FXクラウドシリーズの銀行信販データ受信機能、仕訳辞書、仕訳連動、証憑保存機能等さまざまな経理の自動化を推進する機能を使いこなしましょう。「1日数分間ですから、この手順でやってみてください」と経理の仕組化・自動化を推し進めていきましょう。こうしたことの積み重ねが訂正加除仕訳の低減を実現しましょう。
10.タイムマネジメント(時間管理)の実践
計画実施の不断の吟味。そもそも時間分析と計画立案が、世界的水準の会計事務所では、各監査担当者の重要業務となっています。日報作成と時間分析。不断の工夫を行う事で自身の成長を実現できます。具体的には①個別の関与先の状況を十分に分析して巡回監査計画を立てる。②スケジュールに監査日を登録する。③業務日報で日報を作成する。④時間管理システムで時間分析を行う。という4つです。
私たちはこれから、人口減少経済の中で、専門家にふさわしいスタッフの熟練とそれに見合う高い給与を実現し、新しい働き方にも挑戦することになります。ときに不良関与先の契約解除も必要になるでしょう。世界第一級の会計事務所をつくり、スタッフが世界水準の営業担当者に育つため、今まさに、過重労働に対しての本音の改革を実施するときなのです。
〇事務所方針の決定と周知、具体的実践まで
1.事務所代表の決意
事務所の命運を決めるのはスタッフでもなければお客様でもなく、代表者自身です。自ら熟慮を重ねて事務所の方針を決定して、計画の徹底実施を決意する。そしてスタッフが共鳴するよう説得してお客様にも周知を図るのです。所内での脱落者が出ないように、一つ一つの項目を数カ月ずつの期間に分けて計画、実施します。導入するお客様の優先順位を決めて、誰でも実施できるようスタッフの意見も聞きながら手順を決めていきます。
2.スタッフの理解を得る
全てを代表者一人で独断するのは危険ですが、事務所の命運を分けるような事の決断は代表者しかできませんし、スタッフの理解がないと空回りするばかりです。スタッフとの協議はガッチリやらねばなりませんし、方向を決定したら断固としてやるという決意で臨みます。
一方で具体的なやり方についてはスタッフの意見を大いに取り入れて実施します。目標・目的は代表が決定し、実現するための具体的な手法はスタッフの意見を考慮して計画するのです。この際、口頭による指示だけでは失敗します。理屈よりも過去の習慣に人は縛られる傾向があるからです。ぶれない運動・行動にしていくためには、事務所の方針/方向性は文書化して、全員に共有配布します。また思考省略や手抜きを防止するためにも監査計画書やチェックリストを作成して活用し、巡回監査で月次決算が完結する仕組みを習慣化しましょう。
3.お客様への導入
お客様への指導ですが、御用聞きスタイルを取ると上手くいきません。お客様の意向は現状維持だったり、想定外の要望だったりします。お客様の健全な成長発展を望み、税務会計の分野で最良の選択を提案できるのは、我われ会計事務所であるとの信念を持ち、間髪入れずに指導しましょう。お客様を不安にさせないように「新しい仕組みを導入しますがご安心ください。便利になりますよ。社長、奥様、部長様、いつでも業績が分かるようになりますよ」と声をかけ、具体的な導入は、無理なく、分かりやすく、便利になったなぁ、と実感できるよう工夫しましょう。
〇所内の体制づくり
1.職員研修・OJT
時代変化に対応した情報やさまざまな知識の習得を目的とした体系的・継続的な研修を、職員に受講してもらうための環境整備は、事務所にとって最も重要であるものの一つです。体系的・継続的な研修として「職員研修プログラム」を開発し提供しましょう。事務所の付加価値業務を行うためには、職員の養成が必然です。
また監査担当職員の巡回監査の現場実践力強化の手段としてOJTが有効で、ロールプレイングなど、現場実践力を強化できることが期待できます。
2.所内会議の進め方
所内会議を月初に行っている事務所は多いかと思います。今月の決算申告予定の確認、システムバージョンアップ、企業防衛推進会議(生命保険加入推進)、研修予定の確認などさまざまありますが、クラウド推進、Peppol推進、巡回監査率、継続MASや書面添付の推進状況なを会議に入れることで、経営革新の進捗状況と今後の対策を練ることができます。成功例や失敗例を話し合えば工夫が生まれるでしょう。また、会議の進行や書記などをスタッフが行えば、ファシリテーション(会議進行力)の技術も身につけることができます。
3.人事評価制度
時代に対応した巡回監査を基礎に、税理士の4大業務を実践し、高付加価値が達成できれば、1社1社の報酬単価を上げることも可能になり、スタッフの待遇改善につながりますし、そこで人事評価制度の整備が求められます。給与・手当や賞与、昇給とどう関連付けるかは事務所によって異なりますが、人事評価の指標に事務所方針を落とし込めば、組織とスタッフに方向性を与えることができます。「事務所方針」⇒「具体的な行動と目標」⇒「人事評価の指標」⇒「自己評価・客観評価」⇒「処遇」の連動が、組織とスタッフの行動と事務所の未来を具体的につなぐことにもなるのです。
事務所の現状と経営方針に合致した人事評価シートを作成して、定期的にスタッフと個別面談することで、自己評価と客観的評価の差異を確認すると同時に、各自が抱える課題や悩みなども共有して、今後の業務に活かします。人事評価の指標は、人材育成や組織の方針をよく吟味し、普遍的な指標と短期的な戦略的指標をバランスよく選びましょう。
〇経営者と「顔の見える関係」を築くこと
「TKC会報」2024年1月号で、坂本TKC全国会会長は、10年後の巡回監査や中小企業支援の在り方を、以下のように示されています。
「これから1~3年くらいだとあまり違いを感じないかもしれませんが、10年のスパンで考えたら、業務形態が劇的に変わっているはずです。たぶん巡回監査日の前日までにはAI等で形式的なチェックは終わっていて、今まで3時間掛かっていたものが1時間で終わる。そうなると残りの2時間をどう有意義に活用できるかという話になってくるわけです。デジタル化で人との関りがどんどん希薄になっていく中で、経営計画策定会議や金融機関との決算報告会などを含めて、経営者との対面に多くの時間をかけることによって生じる”顔の見える関係”がここでも非常に大事になってきます。そうなのであれば、TKCシステムを完全導入しながら、できるだけ早くそのような業務形態に舵を切るべきなのではないでしょうか。」
経営助言の本質は、税理士事務所が経営者と適時・正確な記帳により作成された会計帳簿、月次試算表、決算書等の数字に基づき、対話をする事です。経営者の言葉に傾聴し、課題や戦略を整理する。親身の相談相手となり、時には説得をする。AIには決してできない、人間だけができる仕事なのです。
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内田
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2025年9月27日
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本
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【本】『傲慢と善良』
『傲慢と善良』辻村深月 朝日文庫
日本で結婚をする年齢は以前に比べて上がっているそうです
1980年:男性28歳女性25歳 ⇒ 2000年:男性29歳女性28歳⇒ 2020年男性31歳女性29歳
主人公の架(かける)は20代はまで女性にもてて30代まで付き合っていた元彼女から結婚を求められても引いてしまい、面倒くさがって、結局は振られてしまう。
その後、30代後半に入り周りが結婚をしていく中で一人で生きていく事が怖くなり、マッチングアプリで出会った真実と婚約をし、結婚式の準備をしてる中で、真実が突然失踪してしまう。
真実とは、彼女が群馬から東京に出てきた直後に出会っていたが、真美の親から群馬時代に結婚相談所で婚活をしていて10人以上の相手と会っていて、何度も断っていたという話を聞く。
架(かける)は結婚相談所の社長-小野里に会いに行った時に、このような言葉を聞く。
P134小野里「現代において結婚がうまくできない理由は傲慢さと善良さにあるような気がするんです」「現代の日本は、目に見える身分差別はないですけれど、一人一人が自分の価値観に重きを置きすぎていて、皆さん傲慢です。その一方で、善良に生きている人ほど、親の言いつけを守り、誰かに決めてもらう事が多すぎて”自分がない”ということになってしまう。傲慢さと善良さが、矛盾なく同じ人の中に沿存在してしまう、不思議な時代なのだと思います。」
P136小野里「婚活の中にあるピンとこない、というのの正体はその人が自分につけている値段です。言い方が悪ければ点数と言い換えてもいいかもしれません。その人が無意識に自分はいくら、何点とつけた点数に見合う相手が来なければ、人はピンとこないと言います。私の価値はこんなに低くない。もっと高い相手でなければ私の値段とは釣り合わない。」
500ページほどある長編小説ですが、人の心の模写が卓越していて、1日で読み切りました。
善良の中で生きてきた中で、親のエゴや思い込みを心配という言葉で押し付けられ、それでも人にはどこか傲慢さがあり、それでも人は生きていく。
特に後半の場面が変わった所での物語がまた印象的でした。
このドラマは2024年9月27日に映画として公開され、藤ヶ谷太輔さん主演だったのですね、いつか観てみたいと思います
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内田
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2025年9月20日
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本
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【TAPの仕事】業務管理体制
『TAX CONNECTION』業務管理体制とその強化戦略 TAX CONNECTION㈱
業務管理体制こそが会計事務所の要、以前に視察に行かせていただきましたベンチャー税理士法人様の業務管理体制を学ばせていただきました。
事務所としての管理業務は、コストではなく、品質・信頼・成長を生む投資である。
決算以外の申告業務で問題なのが「届出関係」。これを担当者のみに任せる事務所もあるが、たとえば紙一枚を「出した、出していない」といった違いで、事務所としては大きな損害につながることがあるため、担当者だけで完結させず、他のメンバーもきちんと目視で確認できる体制が必要なのです。
業務内容の品質向上のため、誤りを見つけるため、正しい試算表・決算書を提供するために、「検算制度」があります。
これは単にチェック者欄に押印する事でなく、「疑似税務踏査」を強く意識したもので実際の税務調査では申告書だけでなく、会計資料や総勘定元帳が確認されることがほとんどですから、検算制度でも申告書の表面的な整合性だけでなく、会計ソフトの仕訳単位で確認し、実務に即した検算を行います。
すなわち、税務調査で「ここを見られたらどう答えるか」といった論点を先回りして潰していくイメージで、理論武装を含めた準備をします。例えば、総勘定元帳の摘要欄についても、調査官が注視するポイントのひとつですから、空欄や曖昧な記載がある仕訳には、裏付けとなる証憑資料の確認を促したり、取引内容が一目でわかるような記載を指導したりします。
確かにひと手間はかかりますが、最近ではAPI連携やAI機能のある自動仕訳ツールを使えば、一度入力した摘要内容を学習してくれるので、繰り返しの手間はそれほど重くありません。また、必要な記載があれば調査もスムーズに進みますし、調査官とのやり取りが煩雑になるリスクを減らすことができます。
そして(他の税理士事務所ではあまりやらないと思いますが)会計ソフトの中身だけでなく、原資証憑を閉じた請求書・領収書・売上伝票など会計ファイル類実物をチェックして違和感のある書類がないかを目視で探していきます。
この点、最近では証憑は会計ソフト上にアップロードしてあり、紙に印刷してファイリングすることは減りました。数年前までは全て紙で管理していたので、クラウド会計の進化が影響しています。
1次検算(入力担当者:会計・税額の一次チェック)、2次検算(チェック担当者:申告書内容・整合性の確認)までで2人の目を通して、最後の3人目が送信エラーが無いかをチェックする形で3次検算をして終えていきます。複数人の検算体制によって、多角的な視点からミスや抜け漏れを防ぎ、品質を担保します。そして申告のタイミングでキャッシュフローや今後の事業展開に関する自然と出てくるため、事業承継・保険などのキャッシュポイントに繋がっていきます。
次に、顧客対応の記録について。
ベンチャーサポート税理士法人では毎月のお客様との面談記録を「関与記録」として残しています。面談前に話すテーマを洗い出し、面談後に、その内容を記録として肉付けしながら反映していくことで、月次の面談内容がすべて履歴として残るようにしています。さらに、期末に決算書を作成する際は、社内で3段階の検算プロセスを踏んで、最終的な書類の正確性をチェックし、検算の中で出てきた指摘事項や留意点については、税務調査を想定した上でのリスク分析や懸念事項を含めて、お客様に対してフィードバックする「税務監査報告書」としてお渡しします。
この「関与記録」には業務の正確性を高めるだけでなく、顧客満足度を向上させるための大きな役割があり、平均担当先数36件の中で過去のやり取りや個別のエピソードまですべてを記憶しておくのは難しく、関与記録に日々の面談ややり取りを記録蓄積して「この社長はこう言う事を大事にしているな」とか、「前回こういう話題で盛り上がったな」といった人間関係や背景情報も含めた文脈を、次回面談に活かすことができるようになります。
これはいわば「税務版カルテ」のようなもので、単なる税務処理の履歴ではなく、顧問先のパーソナリティやニーズを把握するための基盤資料としても活用されています。また、税理士法の観点からも、適切な報・連・相を行っている証拠としての役割を果たしており、万が一のリスク対応や品質保証の面でも重要な記録です。特に中小企業の経営者である社長は多忙を極めており、発言した内容を忘れてしまう事もよくあります。そうした中で、こちらが関与記録を見返しながら、「前回このような話がありましたが、その後いかがでしょうか?」といった具合に会話の文脈を接続できると、お客様からの信頼感は非常に高まります。次回の監査報告や訪問時に事前に読み返してから臨むことで、前回の話の続きを自然にできるようになり、「よく覚えてくれているな」と感じてもらえます。
話の流れを把握できることで、お客様にとってのリマインダー機能にもなっており「そういえばまだ手を付けていなかったな」と思い出してもらえる場面も少なくありません。実務面だけでなく、経営者のタスク管理を支援する効果もあります。関与記録は、顧客対応の質を高めるだけでなく、万が一クレームやトラブルに発展した場合にも、大きな役割をはたします。過去の面談記録を確認することで、トラブルが起きた経緯や背景を正確に把握でき、当時の会話ややり取りを明確なエビデンスとして機能します。社内で活用している各種ツールのログと照らし合わせながら、相手方の主張の裏付けにもつながるため、迅速かつ的確な対応が可能になります。
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内田
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2025年9月13日
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TAPの仕事
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【本】「治る」歯科医療と「治らない」歯科医療
『「治る」歯科医療と「治らない」歯科医療』高橋浩司 万代宝書房
友人の歯医者さんが書籍を令和7年7月7日に出して拝受しましたので読ませていただきました。
(かつて毎月一緒に焼肉を食べに行きましたが、その時に聞いたお話も盛りだくさんの書籍でした。)
・むし歯も歯周病も身体の病気
口腔と全身の関係は密接で、全国を見ると何十年も前からそこに気づき、全身を歯科診療をしている先生たちが多くいるという事実がある。過去の私(高橋浩司歯科医師)は病気を何も治していなかった、やっていたのは歯の修理でした、「医師」とは程遠い、「修理士」だったのです。虫歯は身体の中で一番硬い組織である歯が溶けるほど身体の異常がある状態、歯周病とは歯茎の中の骨が破壊される病気。特に歯周病は一生懸命歯磨きをして表面的な炎症を抑えるだけでは治りませんし、むし歯も含めて全身の病気の一つの症状が口の中に現れたに過ぎないのです。
・歯を残すための予防歯科は家で行うもの
むし歯や歯周病は「生活習慣病」の一つです。まず第一に、その生活習慣を気を付けましょうという事自体、生物として崩壊していると気づかなくてはいけません。歯科医師があなたと生活を共にするわけではなりません。お家に行って監視するわけでもありません。ですから、普段からあなたが何を食べてどんな風に身体を動かして、ちゃんと休息をとっているか。歯の神経は治癒力を持ち重要であるため、神経を残す「歯髄保存処置」ができる歯科医に見てもらい、生活習慣を伝えなくてはいけません。それを行うためには土台の身体の状態がポイントでむし歯になるような身体は歯髄保存療法がうまくいかないため同時に身体の改善が必要なのです。
・むし歯のメカニズム
歯の血流と滲み出る液体がむし歯に影響し、そのため歯磨きをしなくてもむし歯にならない。歯の表面に出てくる液体が歯を防御する役割を果たしています。この防御には健全な血流があるというのが前提で、血流が不良な状態ではその歯表面には液体が出てこれず、表面や細い管を通して酸や異物が内部の侵入を許しむし歯や知覚過敏を起こす事になります。このため全身の血管、血液、自律神経、心臓が健全でなくてはいけないということになります。このような慢性的な血流障害だけでなく瞬間的な血糖スパイクとストレス(過度の緊張)にも注意で、むし歯に甘いものが影響するのは細菌が酸を産みだすだけなく、血糖値の乱高下がとても影響するのです。
・砂糖を避ければ健康でむし歯も防げるのか
健康志向の人で「白いものが悪いから白砂糖を避けている」と聞くことがあります。このような精製物は血糖値を上げる代表格なので避けることには賛成です。しかし白砂糖の代用としてはちまつ、オリゴ糖、合成甘味料などでも血糖値に関係なく、薬物中毒者のように甘味を求める行動が脳に作用する危険な行動なのです。私は「健康」は「健幸」であるべきと考え、身体が穏やかなだけでなく、心が康らかで幸せを感じていなくては真の健康と言えないと考えます。脅迫的な観念で自分を納得させて不自由な生活を送るような志向では到底健康にはなれませんし、「健幸」とは程遠いと思います。
・生活習慣の改善の考え方
一般的に、「食事、運動、睡眠」が生活習慣改善につながると思います、3つとも大切なのは間違いないと思います。ただ、あなたの身体は食べたものからできていますので、どんな身体が出来上がるかは食事がやはり基本といえます。運動については気を付けるべきで、私の場合は「運動をしましょう」ではなく「生活動作増やしましょう」「全自動の洗濯機を2層式に換えましょう」などと言い換えて指導します。また健康のために運動をする事も多いと思いますが、ジムのように室内の汚れた空気の人工的空間ではなく、外で新鮮な空気、自然界の音に包まれた中で、身体を動かす方がはるかに意味があります。
・FOOD-LIFE セラピー&内海式精神構造分析
私のクリニックの根本療法として提案をしている3か月間の実践プログラムをご紹介します。FOOD-LIFEセラピーはその名のとおり、食事を中心とした生活習慣改善をするプラグラムで、SKY10-Ⅲ(宇宙飛行も使った全世界の医療機関で使われて機械)などによる全身状態の確認を行ったとあとに、偏らない食事のニュートラルを3か月かけて学び実践してマスターし、「こーじーのおすすめオンラインショップ」でも販売する健康補助食品も使いながら、好きなものを好きなだけ食べる食事指導で生活習慣病を改善します。内海式精神構造分析では問題や悩みは自分自身に原因がありダメな自分が望んで起こしたの視点のもと、変わるきっかけ掴めるかが鍵になります。
・治すのは自分です
歯を削れば良い、金属を詰めれば良いような「対症療法」で応急処置をしてもらったら自分で治しましょう。重要なのは原因ですからそこへの「根本療法」を理解をしながら自分で決断して行いましょう。せっかく口の中からサインを出している程度の軽傷なのに、自分は身体全体健康だと言い張って、聞く耳持たず動かず、学びも実践せず、そのサインを重症になるまで無視続けるのは良くない事です。私の経験上「素直」で「前向き」な人は圧倒的に治ります。歯ブラシを持たない身体も強い先住民族にほとんどむし歯がありません。虫歯は口の中にいる細菌(この塊がプラーク=歯垢)が食べ物の残りかす(特に砂糖や炭水化物)をエサにして酸を作り出し、その酸によって歯が溶かされることで発生します。現代は、砂糖や精製された穀物を多く含む食事をとるためプラークが形成されやすく、その結果として虫歯になりやすい環境にあるのです。
<参考:高橋浩司先生が院長を務める おびひろ清流歯科クリニックさんのHP>
⇒おびひろ清流歯科クリニック
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内田
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2025年9月6日
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本
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【TAPの仕事】資料回収と分析
会計資料をお預かりしたあとに気を付けることを3つほど。
①しっかり漏れなく入手出来ているか気を付ける
お客様ご訪問時に全部を漏れなく入手出来ているか、全体を確認をして、もしも漏れがあればその場で丁寧にお願いしましょう。
お客様からEメールやChatで届いた際も同様ですので、足りなければ依頼をしますし、あとは調書に漏れが無いようにすぐに共有フォルダに選別して保存するとともに、紙で印刷して綴じましょう。(決算時に全て秩序性をもって電子化)
そして入手後は必ずすぐに穴をあけてファイルに綴じましょう。またホチキスも万が一、付いていたら外して綴じましょう。決算後に簡単に電子化できるようにです。
②資料内容を完ぺきには読み取れなさそうであればお客様と話す
けっこうな割合でお客様オリジナルの資料というものがあり、こちら側で理解ができなかったり、根拠資料として整理できなったり、内容を誤ってしまったら最悪です。一生懸命見て考えてわからなければ、その資料を見ながらお客様と話をさせていただき、「どの内容が会計数値に直結するのか」を理解をし根拠資料としていくことが一番です。
Excelなどで見方やマクロが入り抽出の仕方が分からない場合も、しっかりとお聞きしないと後で困ることになります。
③分析的手続をして概ね正しく理解してから数字の事をお客様に伝える
会計事務所のスタッフがプロだとしても、詳細な点まで完全に把握してお客様に数字を伝えるには、少し時間が掛かります。お客様は最大限に早くの概要数字を知りたがっております。そのような時は資料回収が完璧でなくても、分析的手続がしっかりできていれば速報としてお伝えをしても良いかと思います。逆に分析的手続をしないままお伝えをしてしまうことは危険です。
分析的手続:財務データや非財務データを用いて、財務情報の傾向や変動、またそれらのデータ間の関係性を分析するチェック手続き。異常な変動や予期せぬ関係性を特定し、その原因を調査する。
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内田
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2025年8月30日
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TAPの仕事
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【本】『パーフェクトな意思決定』
『パーフェクトな意思決定』ダイヤモンド社 安藤広大
経営者・代表者は、会社全体を牽引していくためにいつ(When)何を(What)理由を全体で納得し(Why)誰が(Who)を決定して、行動していかなければいけません
会社内全体を見て、会社外全体を見て、かじ取りをしていくための方向性を決めなければいけません。
意思決定には失敗もたくさんあると思うのですが、題名に惹かれ読んでみました。
このスキルを使い成果を出し続ける人の特徴は「自分の責任に応じて、意思決定ができること。決めたことに対して100%実行すること。つねにいい結果を出そうとするのはもちろん、もしいい結果が出ない時は「最初の意思決定を疑い、次なる意思決定をできること。」がゴールです。
個人の惰性によって気持ちいい「同じことをやっていたい」「現状維持をしたい」「誰かにすべてを決めてほしい」という気持ちに、どれだけ抗えるかどうか。絵を描くときの「下書き」のように仮の線を書き消しゴムで何度も線を消しながら、徐々に本線を見つけ、しなやかに堂々と前に進む。一発で本番を描かないといけないと思い込む人は白紙の前に立ち尽くします。
「今すぐ1億円がもらえます。ただし、明日には死んでもらいます。さあ、それでは1億円を受け取りますか?おそらく、誰一人として受け取りませんよね。ということは、あなたの明日には1億円以上の価値があるということです。この話から、次の日に何をすべきか、1日1日をいかに大切に生きるべきかを説いてくれます。
意思決定の「3つの箱」を用意しましょう。「1.即決」という箱に出来れば入れて早く完了させる。ただ、そうではない場合もあります。決めるための情報が足りていない時も、それが「2.情報不足」という箱です。また時間が必要な場合もあるでしょう、その場合は「3.期限を設定する」という箱に入れます。
1.即決:情報が揃っていれば意思を「変更します」と決定するようにしましょう。小さな問題でも「全員の理解を得ないといけない」と思い込んで全員にヒアリングするような人がいますが、それをやってしまうと「これまで紙でやってきたから、そのままでいい」などの意見に左右されてしまいます。
2.情報不足:難易度が高めの問題に取り組むとき、必要な情報を特定して、部下にあげさせるといいでしょう。その情報を受けて、「やるかどうか」を決めるのです。
3.期限を設定する:ある程度、ビジネスを実行してみて「もう少し経過が見たい」というケースで、期限を定めて検討する材料を集めるのです。「1週間後に決める」「1か月後に決める」という期限を最初に設定することが大事です。
前に進めている人は、物事をプラスに捉えます。自分にとって、何がコントロールできて、何がコントロールできないのかの線引きがハッキリとできているのです。あらためてデメリットに向き合いリスクを受け入れる。そのうえで、メリットの方を選ぶ。そういった意思決定を続けるのです。そして、デメリットが思い浮かばない時のほうが、リスクを考えていないのだから逆に危ない。論理的にそう考えるようにしましょう。
何が正しくて何が正しくないのか、意思決定は限られた情報をもとにおこないます。自分が知らないことを他者は知っているという事です。だから、他者からの情報は重要です。一方で「みんな言っている」という言葉は、疑ってかかる必要があります。また声の大きい人の存在や多数決を認めないことも大事です。
人の感じ方はそれぞれです。どんな人でも何かに対して感想を持つものです。ただ、それを「ノイズ」と捉えてみる。いちいちノイズに反応しているとストレスを生み出します。「相手を説得しようとしない」というスタンスでいることのほうがメリットは大きいです。そして、自分が変えられることに取り組み、自分が向き合うべき「事実」だけを見て、時間と労力をどう配分するか考える。
感想レベルのノイズは、スルーする。決定的な事実があるものは、意思決定者が責任を持って対処する。その2つでしか問題解決はしないのです。
相手の言っていることが納得できないなら、ワンクッション「この人は、どの立場にいるのか?」を想像することは可能です。その一呼吸により「感情」を切り離すことができます。
意思決定は、ある程度までは「理論」で考えることができます。しかし、最後の最後は「勇気」の部分が残ってしまうのです。「やってみないとわからないところがある」という諦めの気持ちを認めないといけない。情報を見極めることは必要です。意思決定についてはタイミングがあり、環境や条件が変わることで、判断が変わる可能性もあり、変えたことについて不毛な議論はしないことであり、そこは「考えが変わった」ということを堂々と言えばいい。その柔軟性があるからこそ「パーフェクトな意思決定」たりうるのです。私たちは、つねに「不確実性」の中を生きているわけです意見が変わることは十分にあり得ます。そのことを覚えておきましょう。
5回勝負して4回勝つ人と、100回勝負して60回勝つ人。ビジネスにおいて優秀な人はどちらでしょう。ここで言いたいのは「確率」よりも「行動量」が大事ということ。意思決定において重要なのが、「スピード」だということです。「じっくり考える=仕事をしている」と捉えがちですが、そうしている間にも、ライバルには先を越されてしまいます。情報は限られている。時間も迫っている。だから、「いまある情報でどう決めるか」。それが大事という事。不確実性のない100%の状態でなければ判断できないというのであれば、それはもうAIに任せて十分なのかもしれません。そうではなく、スピードを重視し、不確実性のある中で、最後の最後に勘に頼り勇気を出す。それが人間の出来る最後の事なのではないでしょうか。
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内田
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2025年8月23日
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本
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【本】コロンブス2025年7月号-地域で稼ぐ年商100億円の中核企業を育てる
2025年春に中小企業庁が地方創生のために制度を打ち出し、補助金も用意されている年商100億円の達成を目指す「100億円宣言」を行った企業が注目されております。
宣言のメリット①中小企業成長加速化補助金(工場や物流拠点の新設・増築といった建物費、イノベーション創出に向けた設備導入などの費用を支援。限度額5億円、補助率2分の1)②経営者ネットワークへの参加(宣言を行った企業の経営者同士が地域業種を超えてつながる)③宣言の公式ロゴマーク活用による自社PR
100億円企業は1万5千社ほどで帝国データバンクの保有データ149万社のわずか1%にとどまる。100億円企業は、10億円規模の企業と比べて経常利益率が1.6倍(4.6%⇔7.6%)、給料水準が1.3倍(480万円⇔660万円)という高い経済性を誇り、資金調達力・雇用力・信用力により「地域に根差す産業のコア」として、地方創生の要として期待される。
100億円企業となるためには、将来的に実現したいビジョンを明確化し、役職者の役割を明確にし、各部署の担当業務や責任範囲を定義して業務重複や責任の空白領域を排除したり、先を見据えた採用戦略を実践できる人事体制を整備する必要がある。将来の売上金額から逆算(バックキャスト)して、いつ何を行うべきかを「10年ロードマップ」にしてみることが重要。そうでないと創業者が持ち前の企画力や事業力で20億円~30億円にまで会社を大きくした後、利益率や生産性の低下、離職や不正増加などの壁にぶつかり、成長が停滞してしまう。
そして、100億円企業を目指すには「地域コングロマリット経営」による規模拡大の視点が不可欠。統計的に見て、全国を商圏としない場合、不動産事業、商社、自動車販売事業のような業種を除けば、単一の事業で年商100億円にまで成長できるケースは少ない。まして労働力不足・マーケット縮小のなかで単一業種で地域でトップを取っても意味が無く、地域で複数事業を展開するコングロマリット(複合企業体)となるべきだ。事実、ホールディングス化で複数事業シナジーを生み地域経済をけん引する企業が多い。
例えば、愛知県知多半島の㈱エネチタは石炭販売からガソリンスタンド・ガス事業、リフォーム・不動産、コインランドリー、フード事業などに進出、知多半島で8事業41拠点を置く年商135億円超の地域コングロマリット企業となっている。まもなく100億円企業になる㈱ミールケア(長野県長野市)給食委託事業からレストランやベーカリー事業を立て直しつつ地域の社会問題解決にも取り組む。
このように地域コングロマリット経営はむやみに多角化したり全国展開するのではなく、特定の商圏で複数事業を展開し、従来の本業の弱点を補ったり、時流に応じて各事業への投資を調整したりしながら着実に成長をしていく経営手法。地域内で存在感を高められれば事業承継やM&Aの相談を優先的に得られる可能性も高まる。高い給与水準の雇用を地元に増やすのはもちろん、地域限定で収益性の高いビジネスを展開しているので確実に大きな経済効果を地域にもたらす。さらに儲けは税収となって地域に還元され、公共サービスの充実や高齢者、子育て支援など暮らしやすく働きやすい地域づくり、まちの魅力化につながる。
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内田
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2025年8月16日
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本
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