mv-icon
税理士法人
TAPブログ

mv

Latest Posts

【本】レビュー『不動産×相続の教科書』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不動産×相続の教科書』ダンコンサルティング株式会社 塩見 哲

いつも弊社の新人研修でお世話になっている社会保険労務士先生から頂いた本で、相続に力を入れている弊社にとっても大切な内容という事で読ませていただきました。上記リンク先は2019年版の書籍ですが、私の方では2024年10月発行の新版を読ませていただきました。

〇不動産相続の事前対策が必要な理由
相続の中でも不動産所有の占める割合が多い高齢者は事前の対応が必須になります。なぜならば、相続税負担のために相続人ファミリーの生活権の侵害につながる可能性があるからです。ただ、争続になると感情が先に立ち、相続税より目先の自分の利益を優先しがちになりますので、節税を考える前に必ず相続人らと本音の想いを語り合っておかなければなりません。節税戦略は仲間意識の高いファミリー間でこそ役割を果たせるという事です。

〇不動産相続の5つのポイント
1.不動産や企業は原則として継続していく宿命を帯びているが、その所有者又は経営者には寿命がある。
2.不動産事業や企業経営は継承後の新しい所有者が意思決定を持つため、相続においてはより戦略性が要求される。
3.いずれのケースも利害関係者全員の未来の幸せがベースとなり、その結果として社会に役立たなければならない。
4.どんな未来ビジョンがあるかを事前に示しておくべき姿勢が要求される。
5.目先の損得より優先させるべきものを考えておかなくてはならない。

〇実質2つだけの節税戦略
相続税の節税戦略は①資産(特に土地など不動産)の評価減②資産の移転(贈与・寄付・消費)③法定相続人(相続税法上の法定相続人)の数 の3つしかないが、このうち③は節税のためというより感情面に配慮した結果が節税につながったという程度のことです。したがって、実質的には①と②しかありません。

〇評価減の基本は本来の不動産価値を下げないこと
1.立地的要素:見える欠陥(不整形地、無道路地、傾斜地・・・)見えない欠陥(土壌内の汚染、埋蔵物、上下水道など)
2.環境的要素:隣地が墓地、工場やゴミ処理施設の臭気が強い、高速道路等高架があり日照や騒音障害など。
3.心理的要素:自殺マンション、境界争い、暴力団事務所入居ビルなど。
4.法律的要素:税法上の貸宅地や貸家建付地、相続人による小規模宅地特例やセットバック、震災特例法など。

〇相続不動産の会社への遺贈と生前贈与
相続不動産等を同族会社へ遺贈(遺言による贈与)すれば相続財産が減少するとともに、会社には相続税が課税されないため、(赤字会社は受贈益でも法人税が掛からない可能性があり)相続税の軽減対策には有利ではないかと言われています。ただこうした場合には、いくつかの問題が発生します。所得税法59条みなし譲渡の決まりにより「時価で譲渡したものとみなし」簿価より時価が高い場合にその差額に所得税が課税されます。(但し、当該課税は相続人の債務になるため、相続税法上の債務控除となる。)

〇所有者不明土地への対応法
2024年度に所有者不明土地に対しての新しい制度が誕生しました。所有者不明土地がすでに日本全土の22%にも達しています。その原因の多くは相続発生によるもので、今後年間に160万人~180万人の相続が毎年発生するだけに緊急を要し、対応法として民法や不動産登記法が改正されました。
1.土地建物の相続当期の義務化:相続開始から3年以内に誰がどれだけ相続するか登記し、登記しなければ10万円以下の過料。
2.相続人申告登記制度の新設:登記期限に間に合わない場合、相続人の氏名、住所などを登記
3.不動産所有者の住所、氏名変更登記を義務化:住所変更などを2年以内に登記、登記しなければ5万円以下の過料。
4.遺産分割協議の期間を設定:相続開始から10年を過ぎると原則法定相続分の割合で分ける。
5.土地所有権の国庫帰属制度を新設:国が一定の条件を満たす土地を引き取り、相続人が10年分の管理費を負担する。

 

  • user 内田
  • time 2025年3月29日
  • tag
  • comment 0

【TAPの仕事】令和6年所得税確定申告を振り返って

 

 

 

 

 

 

 

令和7年3月17日に、令和6年度所得税確定申告が終わりました。(今年は15日が土曜日だったため、期限が15日でなく17日でした。)

会計事務所にとって、この日は感慨深いものがあります。同じ週に振り返りを行いました。

・後から控除証明書や固定資産税納税通知書などが不足していることがわかり、その分時間が掛かってしまうため、資料の回収時又は届いたときに不足が無いか確認すべき。

・法人12月決算(申告期限2月末)が遅れてしまい所得税確定申告の業務が遅れてしまった。

・資料督促をしても資料が出てこないことがあり、また、資料督促をせずに資料回収が遅れた。

・医業/歯科医業概算経費特例(社会保険診療報酬について概算経費を必要経費として算入できる特例)が使えると予想していたが売上が5,000万円を超え使えず、そこから仕訳処理も行う事になった。

などなど反省点が多々ありましたが、ぜひとも次の時に活かしてまいります。

件数の総括をします。

本別事務所
所得税確定申告数 153件 (12月法人決算は別に39件)
帯広事務所
所得税確定申告数 176件 (12月法人決算は別に27件)
札幌事務所
所得税確定申告数 120件 (12月法人決算は別に6件)

本当にTAPの皆さん、よく頑張りました。大変ご苦労様でございました。
お疲れもあるでしょうから、しばらくの間御身体を休めてもらいたいと思います。

  • user 内田
  • time 2025年3月22日
  • tag TAPの仕事
  • comment 0

【TAPの仕事】畑作決算コンサルティング(法人-会計編)

 

 

 

 

 

 

 

毎年2月~3月は畑作決算を何十件か関与させていただく季節です。
畑作農業は12月決算が多く、農業法人は2月末まで、個人農家は3月15日までが申告期限となるからです。
他は3月決算などもたまにいらっしゃいます。

畑作農家さんでも現金取引をたくさん行っていただいている所もあり、現金出納帳を付けていただくようにしております。(数枚の領収書しかない場合は、それだけで入力をしていただくこともあります。)

北海道の畑作農家さんは多くの所で組合員勘定(クミカン)と言われる自由に使える貯金枠があり、そのデータを弊社では取り込んでおりますが、念のため決算の時にクミカン残高の資料を預かって照合もしております。

畑作農家さんの会計で難しいのは個人的には棚卸資産だと感じております。決算日にどれだけの肥料や種苗などの資産が数える棚卸をしていただくことはもちろん、北海道ですと春まき小麦など12月までにまいて次の年に収穫する作物もあり、この場合は種苗費/肥料費/外注費/人件費などを集計をして仕掛品として棚卸資産計上しないといけません。この仕掛品の計上がなかなか難しい内容です。

畑作農家さんは設備投資が大きく、減価償却資産も科目名や修繕をからめた資本的支出の有無、耐用年数の正否、無くなった資産があるかに注意します。
少し怖いのが多額の機械等は買ったけれども、支払が次年度以降となる場合です。畑作農業は売上が毎年秋以降になるため農機メーカーさんが支払を送らせてくれるのはありがたいことですが、納品資料が入手できなくて資産計上が漏れてしまうと困ります。この場合、消費税の仕入税額控除も出来なくなるのも怖い点です。しっかりヒアリングと、前もって発生主義で請求書等を頂けるように農家さんにしっかりお話をしておくことが肝要です。

畑作農業の共済は今まで通常のNosaiが多かったですが、数年前から収入保険の制度が出来て、こちらに加入している場合は資産に農業経営収入保険積立金が計上されますので、保険料等収入明細を入手して積立金の部分と照合する必要があります。

弊社に途中から来られた畑作農家さんの場合、受取配当金が計上されているのに対応する出資金が貸借対照表に載っていないこともあり、追加で計上することもあります。

畑作農家さんの場合、当然ながら農地の質を上げていく事が大切ですので農地改良工事等を随時行っていくのですが、その場合農地改良費用は基本的に繰延資産計上をしまして10年償却をしていきます。アスファルト舗装も構築物計上して償却をしていきますが、少しそれに似ていますね。

畑作農家さんでも法人の場合は社会保険の加入義務がありますから、決算月の社会保険料は資料を入手して未払計上すると良いでしょう。

法人化をした際に機械等を個人から法人に売却する場合が多く、その場合、役員借入金が多く残っている畑作農家さんもいらっしゃいます。時に、5千万円、1億円を超えている場合もあるのですが、貸し付けている方が万が一死亡した際には相続財産となり、相続税のリスクがありますので出来る限り毎年減らしていく事が望まれます。

固定資産税を法人で支払っている場合も、家事按分に要注意です。ご自宅の分、農業倉庫などの事業用をしっかりと把握しながら決算仕訳を入れていきます。(家事按分は燃料費や通信費、保険料でも同様に行います。)

  • user 内田
  • time 2025年3月15日
  • tag TAPの仕事
  • comment 2

【TAPの仕事】畑作決算コンサルティング(法人-税務編)

 

 

 

 

 

 

 

 

毎年2月~3月は畑作決算を何十件か関与させていただく季節です。
畑作農業は12月決算が多く、農業法人は2月末まで、個人農家は3月15日までが申告期限となるからです。
他は3月決算などもたまにいらっしゃいます。

農業法人も家族経営が多く、株主が動くことはあまりありません。
農業法人も他の事業会社と同じく、法人税申告書の別表1など多くは共通しておりますが、農業経営基盤強化準備金がある場合は別表12-14の作成が必要になってきます。

法人税について、
別表6(所得税額控除)、別表8(受取配当等の益金不算入)には農協からの出資配当金、配当源泉税を入力することが多いです。
別表6-15(機械特別控除)は160万円以上の新品農業機械を購入した場合には、必ず検討し入力したい所です。こちらは一年間の繰越も認められている点に注意です。
別表10-7(社会保険報酬等)は倒産防止共済を記載することが多いですが、農業法人では加入していない所が多く、節税のために今後加入するところも増えてくるかもしれません。
別表15(交際費等)は畑作農家の場合、多額に出てくることは多くないので、規模に比して多額になる場合には、家計費が入っていないかを注意する必要があります。

消費税については、最近の畑作農家さんでは還付されることもけっこう多いです。なぜならば売上の多くが食品で軽減税率8%が適用され、仕入の多くが肥料や種苗など標準税率10%が適用されるからです。さらに機械などを買っていれば消費税が還付される可能性は高まります。消費税還付の時は申告書の還付明細の入力をしつつ、100万円以上資産取得のインボイスと支払証憑は添付すべきですね。
たまに畑作農家さんが土地を貸して賃借料を受け取っている時がありますので、そのような時は消費税-課税売上割合が95%を下回る時があり、共通仕入もしっかりと区分する必要があります。

  • user 内田
  • time 2025年3月8日
  • tag TAPの仕事
  • comment 4

【本】レビュー『ユニクロの仕組み化』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユニクロの仕組み化』SBICreative 宇佐美潤祐

特定の人に頼らない仕組みをつくって、事業をまわす。それがユニクロの最大の強みであり、柳井さんが長年かけて取り組んできたらことなのです。
仕組みの柱①グローバルワン
世界で一番良い方法を全員で実行する、それを通じて世界一を目指す最強の集団になる。世界中の全店舗の販売在庫状況、お客様の声をいつでもどこでも確認できます。ひとりひとりが経営者マインドを持ち、ひとりひとりが自営業者のように主体的に自律して働く、自分で考えて結論を出し、自分で実行する。
仕組みの柱②全員経営
「現場の知恵を生かしながら、全員で最も良い方法を見つけて実行する」柳井さんは志を自らの言葉で語り続けることで、求心力を高め、リーダーシップを発揮し続けてきました。志を達成するために、ミッション=使命、ビジョン=どうありたいか、を明確に掲げることで、賛同する人々の集合体としてのなり会社をつくろうとしていました
経営理念とマニュアルの間にある(耳に残りやすい)原理原則をつくり浸透させていく、ローカルに根付き世界に広がる、whatだけでなくwhyを明示することで、働いている人は「自分の店舗を自分たちの手で最もお客様に喜んでもらえる地域の1番店を作り上げたい」という共通目的とそれに挑む覚悟が醸成されます。ユニクロは現状維持を良しとしない「CHANGE OR DIE」、現状にとどまるくらいならば、失敗してもいいからチャレンジしろと推奨する風土があります。
教育の原理原則では研修プログラムを作る座学に重きを置かず、上司や本部が現場と一緒になって現場の課題解決の役に立つ事こそが教育なのではないかという考えが浸透しています。上司は部下がどのような志を持っているか、そのためにどのような能力を備えさせてあげるべきか一緒に話合い、自分事にしてそれを上司の評価とします。ユニクロでは「キャリアは無限大」と働く人に言い続けています。
次世代のリーダー・後継者を育成する仕組みとしてFGL(futures global leader)プログラムがあり、30代のマネージャーを3年間で経営者に育成するため志をベースにした試練が与えられます。対象者個々人に役員クラスのメンターが指名され、成果を上げるための相談相手、時には成果が上がらない場合にいったんFGLを外れる事をアドバイスもします。3ヶ月に一度FGLセッションを実施して、柳井社長をはじめとした経営者との直接対話、現場の深い理解(中国生産工場訪問など)、ユニクロが抱える経営課題を見つけ解決案を柳井社長への提案し実践する事です。成果が出れば卒業のうえ昇格という成長を後押しする仕組みです。
人を育てたくなる仕組みとしてユニクロでは、人事評価のうちマネージャークラスだと30%、役員クラスだと50%が「どれだけ人を育てたか」で評価されるほど割合が高い点にあります。「スタッフの◯◯さんの評価グレードを上げる」「あるグレードのスタッフを◯人にする」など目標が具体的なため評価もしやすく、働いている人は部下を必死に育て自分の後継者作りをする方向に動きます。人材育成は共感と信頼関係を土台に置くため、上司から自分のことを開示することが有効です。自分の反省や弱い部分と会社で何を成し遂げたいかを部下にまず伝えてから、同じように部下に自己開示をしてもらい部下の価値観も知ることです。
柳井さんは「当社は結果としての終身雇用という言い方をたまにしますが、理念や価値観に共感してくれる人は、同じ船に乗りたいと思う人は乗り続けてくださいという考え方です。ユニクロでなくても「入社してみたら価値観が合わない」と感じる人は絶対にいます。
柳井さんは「人間25歳ピーク説」を唱えその年齢以降はどんなことに挑戦しても成果を出せるとして若手の抜擢をします。欧米企業も実際にそうでGEのジャック・ウェルチやジェフリー・イメルト等は45歳でCEOに就任して、20年スパンの経営が企業価値向上に有効という考え方もあります
ユニクロでは「大きい服を着せる」という今の能力よりかなり大きなチャレンジを与えられ飛躍的な成長につながりますそんな無謀なチャレンジを課してもユニクロには敗者復活の仕組みがあり、失敗した人をどう処遇するかで企業の士気は大きく変わります。かつて食品事業を大失敗した柚木治さんは辞表を忍ばせて柳井さんに報告に向かうと柳井さんは開口一番に「会社を辞めようなんて思わないで、損失分をちゃんと返してからにしてください」と言われ退職を思いとどまり、その後2010年にGU社長に就きGU中興の祖となりました。今のユニクロチャイナCEO潘寧さんも2001年からの中国事業責任者として撤退までなりましたが、2005年から再び声が掛かり中国事業を大成功させました。
成長を促す仕組みに数字をしっかり見る「週次PDCAがあります。どんなに遅くても週単位で、どのような部門や店舗でもPDCAサイクルを回しています。ユニクロがすごいのは、全社レベルで週次PDCAを回し毎週、徹底的な評価(Cチェック)とそれに基づくAアクションが行われている点です。ユニクロの重要事項は月曜日朝8時からの全役員が参加して重要トピック議論から始まります。その後9時から10時までの部長会議でPDCAサイクルが回され、前週の売上共有、部門ごとの対前年比実績、年度計画進捗率、お客様の声が共有され、10時に会議が終わると即実行です。このスピードで回しているので、当然、現場も非常に機動的に動けます。
月曜日の10時に会議が終わると、各本部からメールで、全店舗に月曜の部長会議の内容が通知され、ブロックごとに各店舗で実践できているかスーパーバイザーが店舗を巡ってチェックします。これにより会議に参加していない現場レベルのスタッフの動きも、機動的に修正と実行を繰り返す「仕組み」と機能します。成長しない人はいません、成長できる環境な身を置けるか、どのくらいのスピードで成長できるかが大切です。「何が重要か」を起点にすることで、過去や経験しがらみに縛られずに変わっていけますし、即断・即決・即実行できるのです。

 

 

  • user 内田
  • time 2025年3月1日
  • tag
  • comment 1

【本】レビュー『経営中毒~社長はつらい、だから楽しい~』

 

 

 

 

 

 

 

 

経営中毒~社長はつらい、だから楽しい~』PHP 徳谷智史

社長や経営者視点はとても孤独で大変でツラいが、サラリーマン視点だと得がたい「やりがい」、表現しがたいほどの「充実感」を享受できるのは紛れもない事実です。絶対ムリと思われていた大きな山を必死で乗り越えて、目指し続けていた絶景を共有する経験は何事にも代えられません。
最初は一人もいなかったお客様が増え、「なくてはならない」と心から感謝されることもあります。苦難をともにして喜びを分かち合った仲間たちの笑顔を見て頑張ってきてよかったな」と自分自身を全肯定したくなる気持ちに浸れる機会もたくさんあります。

●人徳が問われる「カネのマネジメント」
最悪なのは、目先のお金をかき集めることばかりに忙殺されて、本来社長がしなければいけないことに時間を割けなくなることです。創業時に掲げたビジョンも明日のご飯に困ってくるとどこかに行ってしまい、ビジョンもうやむやになり人も離反します。
経営の中で会社のカネを正確に把握するには、P/L・B/S・C/Sすべてをチェックしないといけず、上手くいかないと資金ショートを起こすこともあります。カネがあってこそ会社が成り立ちますから、人を雇えて給料を払えること、自分や自社への未来を信じてくれる金融機関等の存在、支払いができることへの感謝をしましょう。

●会社の未来を左右する「ヒトのマネジメント」
会社99.9%、「人の問題」で崩壊します。筆者の体感では、二人で共同創業すると、十中八九ケンカ別れします。社長は自分と同じぐらいコミットすることを社員に求めてしまいがちで、それゆえ社員が社長とのギャップが開きついてこれなくなり離職するケースもよく見られます。だから、社長は「この会社は何のためにやっているのか」「そのために我々はどういうことを大事にするのか」という価値基準をメンバー同士がお互い人生のバックグラウンドを開示して、腹を割って話しておくことは大切です。
会社の規模が大きくなり始めたら(どのようなスキルを持ったメンバーで会社を構成するか」計画を立て、それに沿って今いるメンバーとは異なるスキルを持った人を意識的に採用すると環境変化に強い組織となります。マインドは共通、スキルは異質がポイントです。
社長やエースをどこに配置するかは組織として悩ましい所ですが中長期的な事業や組織の柱を育てるため、社長のリソースは少なくとも常に2〜3割は「次の手」に割き、それでも事業が回る仕組みを確立したいものです。

●文明の衝突を起こさない「組織のマネジメント」
100人の壁」が見えてくると社長が現場マネジメントをできず中間管理職が業務指示をするようになり、営業vsエンジニア、中途vs古参、、、など組織の崩壊がとつぜん起きます。
組織崩壊を防ぐ方法は2つ。1つ目の方法は人事担当者だけに任せず社長一人がすべてを見ることを諦め、他の経営陣が本気になって組織運営にリソースを割くことです。CHRO(最高人事責任者)とも言われますが肩書にこだわらず、求心力と組織運営の知見がある役員であれば、その人にCHRO的な役割を兼務してもらうと良いでしょう。
2つ目の方法は、給料のものさしをつくるなどして組織運営の構造を整えることです。中長期的に組織を強くしたいなら、短期的な成果を出している人は賞与で還元し、価値基準や行動規範をしっかり体現している人を昇格させる構造が良いでしょう。まず役職や等級に応じたある程度の給与レンジを明確にし評価のやり方を定め、そのうえで基本給か賞与どちらで払うのかなどを設計していきます。
業務を社長以外に任せていくには、社長が「会社として絶対譲ってはいけないこと」「譲ってもいいこと」を仕分けてルール化すると良いでしょう。
また組織は社長の想い以上に大きく、良くなりません。目標は絶えず口に出し社長の想いの大きさ、思想の深さによって、組織の形はまったく変わるという意識を持ちましょう。

●会社の未来を左右する「社長の意思決定」
社長が意思決定をいたずらに先延ばしにしても良いことはほとんどありません。例えば事業のテコ入れのために、幹部候補の中途採用を検討したものの「他にも良い人がいるかもしれない」と思って決断を先延ばしにしていたら他社に取られてしまったら、後悔しても時すでに遅しなのです。そう考えると、失敗を恐れず、速やかに意思決定をすることが鉄則と言えるでしょう。
社長の意思決定は誰かに頼らず、社長自身で行うのが大原則です。しかし、誰もが自分の事は客観的に見れないものですので、意思決定の拠り所を取り戻すうえでもフラットな目を持つ第三者と話すことには大きな意味があります。社外に信用できる方がいるのなから、その方に「壁打ち役」をしてもらえば良いでしょう。
会社としての目標は社長や経営陣が「何のために会社を経営しているのか」「どんな規模感で、どんな価値をつくりたいのか」「どれくらいのペースで成長したいのか」を明確にして、皆が腹落ちする共感できる言葉で「目標を達成できた先に、いかに素晴らしい世界が待っているのか」を魅力的に伝えることが求められます。

 

  • user 内田
  • time 2025年2月22日
  • tag
  • comment 0

【本】レビュー『生成AIで世界はこう変わる』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生成AIで世界はこう変わる』 今井翔太

生成AIは、人間が行うような新たなアイデアやコンテンツを作り出す能力を持人工知能で、文章の作成から音楽、絵画、デザイン、ゲームのレベル設計、科学的な仮説の設定まで人間の創造性が求められるほとんど全ての分野に及びます。(大量のデータから本質的な構造や表現を学習し、それをもとに新たな出力を作り出します。)
生成AI革命で、史上最速で社会変化がもたらされています。ChatGPTの発表直後、Google社は社内は厳戒警報を発令し、対抗するMicrosoft社はすぐに自社検索エンジンBingに ChatGPTを搭載しExcel・Word等にも生成AIを搭載すると発表、一つの技術が世界一の企業の地位を脅かすスピードです。
2023年にOpen AI社とペンシルベニア大学が発表した論文では、 AIの受けにくい職業はほとんど手足を動かす肉体労働を行うもの(ブルーカラー)、影響を受けにくい職業はエンジニアや研究者、税理士・会計士、デザイナーなど、高度な判断力や思考が必要とされるホワイトカラーの職種です。生成AIの影響が労働置換型でなく労働補完型であるならば、仕事を奪われるのではなくむしろ労働が効率化され、賃金が上昇する可能性があります。
将来的にはGoogle検索やChatGPTがパワーアップする形で「AIに聞けば何でもなり解決する」世界がやってくると思われます。これにより人間は「人間にしかできないこと」に集中する、ことになります。業務であれば、ルーチン的な事務作業や資料作成ではなく、根本的な事業改革のアイデアを生み出すことや、社会や人類の未来に対してどう貢献すべきかを考え直すことなどです。生活レベルで言えば、人付き合いに割く時間や、個人が「楽しめる」時間を増やすことでしょう。
これからAIと人間はどのように関わる世界となるのか。「人間の知能の相対化」が起こる。「人間の知能とはこういうものだ」とか「人間とはこういう存在だ」ということが、AI技術の発展により相対的に理解されるようになってくるはずです。その時に私たちは、「社会はどうあるべきか」という高次の問いと対峙することになります。そうして人間の感情や精神活動の仕組みがすべて相対化されたとき、人間は何を望むべきなのか。きっとそのさきには、もっと高次な、メタな問いが待っています。
これからの仕事に対する筆者の意見としては、今の労働者やビジネスパーソンは、基本的には上からの指示を忠実に実行する人がほとんどです。その中で、これから仕事の場にAIがどんどん入ってくるようになると、多くの人はいわばAIを雇用する立場になると予想します。そこで必要なのは、AIに対してうまく指示できるスキルではないでしょうか。
  • user 内田
  • time 2025年2月15日
  • tag
  • comment 1