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【本】レビュー『会社をつぶさない社長の選択』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会社をつぶさない社長の選択』松岡靖浩 かんき出版

弊社-税理士法人TAPのスタッフは、社長様から経営での選択についての相談を受けることが多く、こちらの書籍の著者も税理士として多くの相談を受けるそうです。
社長様からは「右に行こうか左に行こうか・・・私は右に行こうと思っているけど松岡さんはどちらがいいと思いますか」というどちらが自分会社にとってメリットがあるのか、会計事務所の目から判断を仰ぎたいというものです。

経営者はあらゆる局面で「どちらにするか」という「選択」を迫られます。ほとんどの方は、心の中でどちらを選ぶか決めていますが、それが本当に正しいのか、背中を押してほしいのです。もし私が反対の事をすすめるのであればその理由を知り、自社にとってメリットの多い選択をしたいのです。本書は多くの経営者とお話をしてきた中から、ご相談の多かった53の「選択」をピックアップしております。

●会計事務所に丸投げするvs会計ソフトを使う
最近は様々なクラウド会計ソフトが出てきていて、非常に使いやすくなってきているので、会計事務所に丸投げするのではなく会社が自ら行うケースも増えてきています。但し、事業規模が大きくなれば経理は必要になりますが、現状そこまででなければ経理人材を雇うより会計事務所へ丸投げした方がメリットが大きいです。なぜなら融資相談にも必要な試算表を定期的に作成してくれて、今はほとんどオンラインでデータを送れますので、経営者としての時間が制限され利益が下がってしまっては本末転倒ですので、経理が雇えるまでは、会計事務所に丸投げしましょう。

●客単価を上げるvs客数を増やす
お店が広くない場合、限られたキャパの中でお客様が増えてもそれほど売上は上がりません。したがって、客数よりもまずは客単価を上げていくところから手をつけるべきなのです。値上げ以外で客単価を上げる方法も3つあります。松竹梅の3つの価格帯を作り真ん中を選んでいただく「松竹梅戦法」。お客様が購入する際に、おすすめ商品・上級商品を組合せて買ってもらう「クロスセル、アップセル」。滞在時間延長時やカラオケ使用時に課金をする「掛け算思考」。

●高利益率高単価vs薄利多売
お客様から相談される際、私は「高単価でしっかりと利益を取っていきましょう」とアドバイスするケースが多いです。なぜなら、薄利多売で商売をする場合、資本力がないと厳しいからです。一般的に仕入が先に出る事が多くある程度資金に余裕がないと商売として回すことがかなり厳しくなります。また薄利多売になると、単純に取引の数が増えることになります。つまり、取引の手間が増えるということです薄利多売をするとしても一つの入り口ステップとすることが良く、最初は無料だったり安くして、次から高利益率とすると効果的です。

●既存顧客を大事にするvs新規顧客を取りにいく
近年、企業はLTV(LifeTimeValue)といく新規顧客が取引終了までどれだけの利益をもたらすかを大切にするようになってきていますが、このとき既存顧客への注力が必要です。ではどの位の割合で新規顧客とのバランスを考えるかですが、私の顧問先ではおおよそ8割程度のリソースを既存顧客に注ぐのがいいというのが印象です。広告を打ちながら8割を新規に注ぐ会社もありますが、(新規獲得は既存引き止めより圧倒的に労力が掛かるため)コストパフォーマンスが非常に悪いです。既存顧客とは接触回数が増えれば増えるほど印象や好感度が高まるため(=ザイオンス効果)、接触回数を増やして提案を行う準備をしていくことは必要です。

●グレー経費をのせるvsグレー経費をのせる
税務調査をやると如実にわかるのですが、税務署は完全に黒と判断できるものしか指摘しません。黒でなくグレーな部分があれば裁判をやると勝てないので否認が出来ません。ただ、だからと言ってなんでも大丈夫というわけではありません。例えばハワイ旅行に行って経費には簡単には出来ず、特に1番ダメな例として挙げられるのは明細に「子ども1」などと書いてあるケースです。(夫婦両方役員でも子ども分は外しておくべき)。税務調査官も訓練をされているので嘘はつかない方が良く、費用計上するのであればしっかり事業使用の写真を撮るなど対策はとっておく必要があるのです。

●借入金を一括で繰上げ返済するvs借入金を残しておく
会社を経営するうえで借入金の一括繰上げ返済は、禁じ手に近い愚行です。何がマズいのかと言うと、銀行の売上がなくなってしまうことが問題なのです。銀行は会社に融資をする際に返済期間を設けて、利息と共に返済してもらうことで利益を出すビジネスモデルになっているのです。ですから、繰上げ返済をするということは、銀行の売上をすべて消してしまうということ。「この会社はいきなり何をしてくれるんだ」となるのです。もし仮に銀行に一括返済をして、その後業績が悪くなって銀行に改めて「融資をお願いします」と言っても、下手をすると貸してもらえないかもしれません。借入金の一括返済はNGなのです。

●税金を支払うvs家賃を支払う
まず大前提として知っておくべきなのは、税金を滞納すると融資は確実に断れるということです。そのため、資金繰りが厳しくなっているものの銀行から少しでも借りられる可能性がある場合には、税金の支払いはどの支払いよりも優先するようにしてください。

●税金を分納するvs税金を滞納する
分納も滞納も納税証明書を取りに行けば「未納」と記載されるので、会社の状況はあまり変わりません。しかし、税務署と話し合い換価の猶予申請をして計画書通りに分納とすれば、税務署が差し押さえ手続きをしてこない点が大きく異なります。業績が回復した場合の話ですが、税務署からこの分納の許可が出ていると、銀行がプロパー融資の対応をしてくれることもあります。これは融資したお金が税務署に差し押さえられないという前提があるため、銀行も融資ができるわけです。もし計画書通りに支払えなくなった場合には、すぐに税務署に連絡し「今月は支払えないので5万円だけ支払います」と事情を説明して、一部でも支払いをするようにしてください。必ずではないですが「誠意をもって対応する」ことで、払う意思があるとみなしてもらい、多めに見てくれることが多いです。

●ポテンシャルの高い人間を採用vsヘッドハンティング
これは私見も入ってしまうのですが、私の経験上、ヘッドハンティングされてやってきた人の中で、会社にとって本当に有益になる人を一度も見たことがありません。基本的に、ヘッドハンティングで来る方のほとんどはお金が目当てです。もちろん、普通の転職でもそういう方はいますが、ヘッドハンティング経由だと、これが非常に顕著です。お金目当ての人はお金で動きますので、もっと条件のいいところを紹介されると、居着くことなく次の職場へすぐに移ってしまうのです。ヘッドハンターは年収の一定割合の報酬形態のため、年収が高い人が優先的に紹介され退職リスクの高い人が持って来られます。最近はSNSを利用した採用などもありますから、ヘッドハンターからの照会一辺倒になるのではなく、自社でしっかりと力を発揮する人材を育てるということも意識しながら人材採用をしていってください。

 

 

 

  • user 内田
  • time 2024年11月2日
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【本】レビュー『90日で業績アップを実現する「ローコードDX」』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

90日で業績アップを実現する「ローコードDX」』 船井総合研究所 クロスメディアパブリッシング

弊社-税理士法人TAPはタスク管理ソフト(jooto)、RPAロボット(BizRobo)、クラウド業務ソフト(マネーフォワードfreee)、スケジューリングソフト(ACELINK 事務所管理smart)などのローコードDXを進めておりますが、まだまだです。
今後、さらに良い形で進めていくために読んでみました。

ローコードプラットフォーム:従来のようにプログラミング言語によるソースコードを記述するのではなく、予めプラットフォームに具備されている画面部品・ロジック部品などをGUI操作による組みあわせと最小限のコーディングで、高品質なシステムを少ない工数で短期開発を可能にするソフト

いまDXに取り組むことが、これから10年の命運を分ける。
今後は少子高齢化による人手不足が進み、中小木野それは深刻な話です。従来はIT開発専門業者に外注せざるを得なかったが、ローコードでは開発が容易で、企業内におけるシステム内製化促進ができます

中小企業がローコードDXに成功するための5つのポイント
社長が覚悟を決め、自らも関与すると同時に、社内のエース級の人材をDXの中核人材として投入している。
②人海戦術や、少々の頑張りでは達成できないような、ストレッチした高い目標設定をし、また挑戦しようとしている。
③現場が成果を体感出来て生産性が上がるなど、当初の段階で明らかに成果の上がる絵を描いた状態で臨んでいる。
④短期間で成果を上げ、まずは小さな成功事例をつくり、現場の意見を聞きながら次々と新たな挑戦目標に挑むスタンスで取り組んでいる。
⑤5~10年後の経営体制をイメージし、デジタル人材が経営トップと営業部門をサポートする組織体制を組み上げている。

システム内製における外部パートナー活用のポイント
チェックポイント①:現場主義-経営者と現場に寄り添ってくれるか
チェックポイント②:全体最適の提案-横展開が可能か。変更可能か。手作業がしっかり減るか。
チェックポイント③:成果へのコミット姿勢-実現したいビジネスの目的を理解してコミットしてくれる所は意外と少ない
チェックポイント④:同規模・同業種での実績-自社の業界の商習慣を理解してくれるかどうか。
チェックポイント⑤:投資対効果の算出-同業種での業務効率化事例など情報収集してくれるか。
チェックポイント⑥:不要な開発の提案-必要と思えない開発提案が含まれていないか。
チェックポイント⑦:業績の推移-ベンダー自身の業績が伸びており組織力が高いか。

実際に開発されたシステムの運用に必要なこと。
①システムの操作マニュアルや運用マニュアルの準備
②利用する人たちへの操作説明会の実施
③問い合わせ窓口の設置や運用保守体制(担当・副担当、ドキュメント)の確立
④改善要望や質問事項の対応

<書籍内で紹介されているローコードツール>
kintone(キントーン):サイボウズが提供する、国産のツール。SoR(System of Record)領域が中心となり、使いやすく現場主体のシステム内製を目的として導入されているケースが多いと言えます。業種別のサンプルアプリが用意されているため、すぐに使う事がき、各種パーツをドラッグ&ドロップなど直感的な操作で開発ができます。

  • user 内田
  • time 2024年10月26日
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【本】レビュー『パーカーを着た税理士たちが、DXで世界を変える!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パーカーを着た税理士たちが、DXで世界を変える!』青春出版社 朝倉歩

サン共同税理士法人の代表-朝倉歩さんによる著書。

10年後、税理士という仕事は無くなるのか。いま変われば最高にカッコイイ仕事になる。私たちの事務所では、机の並べて電卓をはじき、紙の書類を扱うといったような従来の税理士事務所のイメージとはかけ離れた仕事の仕方をしています。そのキーワードは「DX」。僕たちは、従来の税理士事務所ではあり得ない新しい仕事の在り方の実現に挑戦しています。

パートスタッフも含めた総数約120名のうち、約半数が在宅スタッフで構成されています。既存の業界慣習にとらわれず、朝礼なし、服装自由、成果重視の仕組みを導入し、それでいて残業ゼロへの取り組みを徹底。テレワーク、フレックスタイム制、時短勤務など、柔軟な働き方を推進しています。

税理士資格の受験者数は近年、減少の一途をたどっていました(2021年からわずかに増加に転じています。)僕たちの事務所だけでなく、税理士業界全体が永続的に成長していくためには、若い優秀な人材にとって、魅力的な職業に見えることが必要不可欠です。この仕事のやりがい、未来、可能性をどれだけ感じてもらえるか?だからこそ、競争相手は同業の税理士事務所ではありません。ライバルは一般企業です。今現在の僕は「すべての企業がIT企業のようになっていく」と考えています。それまでアナログで提供されていたサービスがデジタル化されていくことを意味していますが、それ以上に、集客や採用、教育などがデジタル化されていくことを意味しています。だからこそ僕は「デジタルの力を最大限に活用すればするほど、強い組織になれる」と考えています。

サン共同税理士法人では、システムエンジニアなどITに強い技術者を積極的に採用し、自社独自のシステムを開発しています。また、自動入力の分野では業界に先駆けてRPAやAPI連携などの技術を活用しています。2023年には、ChatGPTやメタバースなどの最新のテクノロジの活用をすでに始めています。こうした変化と進化を支えているものは、企業文化にほかなりません。「新しいものは、取り入れて当たり前」だという考えは、僕だけでなく、サン共同税理士法人全体のカルチャーとなっています。税理士事務所は、ほかにはない多くの顧客情報などの情報資産を有しています。お客様の売上、従業員数、業種などはもちろん、社長のキャリア・趣味嗜好・思考法などは税理士事務所しか有していない情報だと思います。こうした情報資産をどのように活用していくか。僕たちが社内で独自システムを開発している狙いの一つには、そうした独自の情報を活用していこうという考えがあります。税理士事務所のビジネスの弱点、課題、手の届いていないところ。そうしたものを全部ひも解いて分析し、解決策を生み出しながら、お客様に提案をしていく。そうした試行錯誤を繰り返すことで、新しい税理士事務所のビジネスモデルが見つかるのではないかと僕は考えております。

僕たちがやるべきことは仕事の「生産性の向上」と「付加価値の向上」の2つです。テクノロジーを駆使して業務を効率化し生産性を向上させ、顧客の期待を超える付加価値の付いたサービスを提供すること。一方でどうやって付加価値を上げるのか?そのカギとなるものは、コンサルティング能力だと僕は考えています。税理士事務所という仕事は、形のある商品を提供する仕事ではありません。付加価値は、クライアントの期待を超える仕事をしたときに生まれるものです。僕は将来的に、サン共同税理士法人を税務会計の知識をバックボーンにしたコンサルティング集団にしていきたいと考えています。具体的には、税務や経営に直結するITの知識を持ち、クラウド会計の導入などクライアントに有益なITツールの導入提案を行えること。また経理業務の自計化など、クライアントの業務改善提案までできる事務所になることです。

サン共同税理士法人ではテレワークを活用した事務所運営に力を入れています。IT業界などではテレワークを中心にした働き方が進んでいます。にもかかわらず税理士事務所ではテレワークができないとなれば、新卒採用などにも影響し、業界の魅力が失われてしまいます。僕たちはフルリモートでも仕事ができる環境を構築しておくことが重要で、そのうえでリアルで出社した時は、リアルでしかできないことを行う事が重要だと思っています。徹底しているのは業務効率化であり、目指しているのは生産性の高い働き方の実現です。「残業ゼロ」「有給未消化ゼロ」「離職率ゼロ」、僕はこの3つのゼロを本気で達成したいと思っています。働いている様子を見ていても、閑散期であれば18時過ぎには、ほとんどのスタッフが仕事を終えています。繁忙期でも19時頃には仕事を終えています。遅くまで仕事をしている日でも20時を過ぎる日は年間で数日程度です。

安くて高品質なサービスが提供出来たら、顧客満足度は上がっていくと思うので、それを目標に企業努力をしていこうと考えています。例えば年間50~80万円で提供されている税務顧問サービスを、DXでコストカットし、相場の半値程度で提供できるようにするイメージです。私がイメージしているのは「ユニクロ」です。ユニクロは「高品質で低価格」だから売れていて、お客様に愛されるブランドになっています。僕たち買い手からすれば、安い上に品質が良いから購入しているのではなく、品質が良い上に安いから購入しているのだと思います。その意味で、優先すべきは低価格ではなく、品質です。

税理士事務所のスタッフには、勉強好きな性格を持った人が多くなっています。僕は税理士事務所という組織を率いているからこそ、スタッフに対して学びの機械や成長の機会を提供し続けることを大事にしなくてはならないと思っています。事務所規模が大きくなり、そろそろ限界に近づいてきてはいますが、僕は全員の日報を毎日目を通すことにしており、気になった内容のスタッフにはチャットを送ったりしています。日報の書き方からは、各スタッフの性格や仕事のやり方が垣間見えますので、そこからたくさんの情報を得ています。サン共同税理士法人の評価制度は、インセンティブ重視(手当)ではなく、プロモーション重視(昇格)になっています。仕事ができる人に手当で還元するのではなく、昇格で還元し、高い職位となってやりがいをもって仕事をしてもらいたい。管理職を育てるうえで、僕はこうした考え方を重視しています。

 

 

  • user 内田
  • time 2024年10月19日
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【本】レビュー『成功者がしている100の習慣』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

成功者がしている100の習慣』ナイジェル・カンバーランド ダイヤモンド社

本書に紹介されている100の習慣は、関連する古今東西の名言も織り交ぜながら簡潔に紹介し、成功しない人が陥りやすい思考・行動のパターンも指摘します。
著者は成功を、仕事や経済的豊かさといった尺度のみでとらえているのではありません。家族や大切な人たちと愛情豊かで良好な関係を築き、他人に親切にし、心身の健康を維持して充実した人生を送ることを真の成功とみなすべきと主張しています。

習慣4:心の知能指数(EQ)を高く保っている
成功する人は相手の立場で物事を考え、成功しない人は自分の立場で物事を考える。高いEQは、バランスのとれた、充実した人生を送るために不可欠です。それは恋愛や家庭、職場での人間関係を良好に保つために欠かせません。たった一度、感情を抑えきれなかったことで、仕事や結婚を台無しにすることは十分にありえます。

習慣9:十分な休養をとっている
成功する人は上手に休んで、リフレッシュし成功しない人はズルズルと働き続ける。「誰でも、日頃抱えている様々な問題を忘れ、一切から解放される時間をつくるべきだ」(マヤ・アンジェロウ アメリカの詩人)。これは、十分に休まないと、生産性が低下するからです。7つの習慣のコヴィー博士も木を切るにはのこぎりの刃を研がなければならないと言っています。細かい/長い休暇をとれば、自分にとって何が重要か、本当にやりたいことは何かを、じっくりと考えれますし、日常から離れて自分を客観視すれば、新しいアイデアも湧きやすくなります。

習慣12:ストレスにうまく対処している
ストレスにより夢や幸福が奪われ、健康が失われ、家庭崩壊し、あなたの人生を壊しかねません。ストレスの原因は人によって様々ですが、症状には次のような共通点があります。元気が出ない、抑鬱、食欲がない、疲れやすい、腰痛、過敏症、不眠症、怒りやすくなる、目のかすみ、だるさ、無気力、頭痛。私の父はよくこう言っていました。「今日ストレスを感じていても、一年後には何があったかすら覚えていないさ。だから、気にすることなんてない。」

習慣23:健康に気を配っている
成功する人は「健康第一」の価値を知っていて、成功しない人は「健康を後回し」にすることのリスクを知らない。「健康なら、たぶん幸せになれる。健康で幸せなら、それだけであなたは人生に必要な宝物をすべて手に入れたことになる」(エルバート・ハバート アメリカの作家)。身体を壊してまで働いても、誰の得にもなりません。あなたは本当に健康や寿命を犠牲にしてまで、お金を少しでも多く稼ぐ必要はありますか?

習慣40:身近な人に感謝している
成功する人は「ありがとう」が口癖で、成功しない人は周りに何かをしてもらうのは当然だと思っている。私たちはつい誰かに何かをしてもらうのを当然だとみなしてしまいがちです。それが日常的に繰り返されている行為ならなおさらです。それは相手の行動だけではなく、感情を無視することにもつながってしまいます。「今日、誰かに感謝を示しただろうか?」と自問しましょう。

習慣45:思考をコントロールしている
自分は成功すると考えるか、自分なんてどうせ成功しないと考えるかは、現実に大きな違いをもたらします。思考は、人生に計り知れないほど大きな影響を与えます。たとえば、幸せだ、悲しい、自信がある、この人が好きだ、と考えれば、実際にその通りの感情になります。

習慣55:今、実行する
「人生は綱渡り。慢心が一番危ない。何かをやろうとしているのなら、今すぐすべきだ。明日では遅すぎる。(ピート・ゴス・イギリスの冒険家)」。重要な話を先延ばしにすると人間関係が壊れることがある、謝るのを避けていないか?先延ばしは「今さえ楽しければいい」という発想に基づいています。先延ばしの問題に苦しむ人は「今すぐ始めないのはなぜか?」「今すぐに始めないことで支払わなければならない代償は何か?」を考えるべきです。

習慣59:簡単に腹を立てない
「被害妄想はやめよう。誰もあなたのことなど気にしていない。人はそれぞれ自分の夢や現実に従って行動しているだけだ。他人が何を言おうと、何をしようと平気でいればいい。そうすれば。不要な苦しみから解放される。(ミゲル・ルイス メキシコの作家)」。簡単ではありませんが、いちいち他人の言動にイラついてやり返していたら、あなたの周りから人がいなくなってしまいます。穏やかな気持ちで生きていると、それは他人との関係の中にも反映されます。もし他人の言動が気になったら、腹を立てるのではなく、「つらい毎日を送っているのだな」と相手を哀れむ気持ちを持つようにしましょう。他人の発言や行動をコントロールすることはできないのですから、失礼な相手とは関係を絶ちましょう。

習慣69:約束を守る
約束は守るべきです。約束したことを実行すれば、信頼が高まります。信頼は重要です。成功する人はできない約束はしない、成功しない人は安請け合いをしてしまう。しかし、信頼は築くのには時間が掛かり、たった一度の過ちですべてが失われてしまう事もあります。例えば、不倫をする、仕事の納期を破る、といった行為をすれば、パートナーや取引先の信頼を一挙に失ってしまいます。

習慣70:恐怖とうまく付き合っている
恐怖に押しつぶされてはいけない。恐怖は精神を破壊する。それはすべてを消滅させる小さな死だ。私は恐怖と対峙する。恐怖が自分を突き抜くことを、私は恐れない。(フランク・ハーバート アメリカの作家)」恐怖は私たちを衰弱させます。失敗するのを恐れてリスクを冒さなくなり、笑われぬを恐れて積極的に行動しなくなるのです。私たちを成功から遠ざけているのは、能力が足りないかもしれないという恐怖だけではありません。成功した自分を想像するのが怖い、という恐怖もあります。私たちは、闇ではなく光を恐れることもあるのです。「怖くなんかない」というふりをして目をそむけてはいけません、向き合い、そのうえで笑い飛ばしましょう。恐怖を外に連れ出して、少しずつ付き合い方を学んでいきます。

習慣77:努力を継続できる
「私たちの最大の弱点は、すぐにあきらめてしまうことだ。成功を引き寄せるために必要なのは、あと一回挑戦することなのに(トーマス・エジソン)」言い訳をするのは簡単です。他の人がやめてしまうような場面でも、もう一度挑戦を続ける、忍耐力のある人になりましょう継続する力こそが、私たちをゴールに導いてくれるのです。あなたを応援している家族や友人の力も借りましょう、きっと、夢や目標の重要性をあらためて思い出させてくれるはずです。残念ながら、あなたが大きな目標に向かっているとき、そのことを嫉む人はいます。人が忍耐強く努力を重ね、自分よりも優れた何かをすることに嫉妬しているのです。外野の声に惑わされて、夢の達成をあきらめないようにしましょう。

習慣82:有害な人間関係は断ち切る
危険なのは、あなたの周りにいる有害な人たちです。常にネガティブで、懐疑的で、嫉妬心に満ち、不満を言い、あなたに求めてばかりで、自分から与えようとしない人たち。このような人たちと接すると、いやな気分になります。しかし最大の問題は、このような有害な人間関係から生じる悪影響が、あなたの他の人間関係や人生全般にも及んでしまう事なのです。有害な人からの誘いを断ったり、有害な人がいる集まりを避けたりするときに、罪悪感を覚えたりする必要はありません。完全に関係を断ち切ることができない相手は、出来る限り接触を避けましょう。どうしても会わなければならないときは、短時間で切り上げましょう

習慣89:呼吸を大切にしている
呼吸は命だ。良く呼吸をすれば、長生きできる。(サンスクリットのことわざ)」私たちは、めったに自分の呼吸に注意を向けたりはしません。しかし、呼吸は人間が生きているためには不可欠なものです。呼吸は、あなたの思考や行動、体験に応じて変化します。多くの研究が、良い呼吸が心身の健康を向上させることを示しています。鼻からゆっくりと5秒ほどかけて肺だけでなく胃を満たしていると想像し、息を吐く前に3~4秒息を止めます。緊張を和らげ、神経化学物質の分泌を促して気分を良くし、幸福感を上げる。心臓の機能を高め、免疫システムを強化し、毒素を取り除き、豊富な酸素を体内に取り込むことでエネルギーレベルを上げます。私が普段、無意識に行っている呼吸に注意を向けるだけで、これほど多くのメリットがもたらされます。

習慣100:悔いのない人生を送ろうとしている。
地球上には、実に様々な人間が生きています。にもかかわらず、死ぬときには、私たちはみな同じように後悔をします。あるオーストラリアの看護師は5つのことを言っております。1.他人に期待された人生ではなく、自分が本当に望む生き方をする勇気を持ちたかった。2.働きすぎなければよかった。3.周りに合わせるために自分の感情を抑えたりせず、感じたことをもっと表現すればよかった。4.もっと友人と多くの時間を過ごしたかった。昔の友人ともっと連絡をとればよかった。5.もっと幸福感を味わい、笑えばよかった。人生を真剣に受け止めすぎなければよかった

追加の習慣1:常に犠牲を払う準備をしている
「優秀な人と偉大な人を分けているのは、何かを犠牲にすることの意志があるかどうかだ(カリ―ム・アブドゥル・ジャバー 元NBA選手)」二兎を追う者は一兎をも得ずです。

追加の習慣2:何が起ころうと、人生は続くと心得ている
この本の執筆をしている間、私は何度も人生の苦しみや悲しみを味わいました。最近、息子の友人が死亡した。親の友人が闘病後に亡くなった。私の弟が離婚した。・・・あなたもこの先、このような体験をすることがあるでしょう。そのような苦しく、悲しい瞬間は、目標や夢を達成するための計画が、100万光年先の遠くにあるように感じられます。痛みや驚き、恐れ、涙への対処、他人の支援のために時は流れていきます。しかし、人生は続きます。どれだけ悲しい出来事があっても、時間が経てば、私たちはまた夢や目標を追い求め、成功への道を歩むことができるようになるのです。そして、味わった痛みや悲しみ、苦しみは、深い知恵となって再び知恵となって再び道を進み始めたあなたの力になってくれるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • user 内田
  • time 2024年10月12日
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【本】レビュー『税理士の業務におけるクライアント対応のポイント』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

税理士の業務におけるクライアント対応のポイント』坂部達夫 新日本法規

税理士事務所の業務は、いつも納税者(お客様)と国税当局との「思惑(法律解釈)の違い」のはざまで波風にさらされています。私たちは債権者に対して無限責任という重責を負っています。また、本来業務の周辺にある、経営や相続に関するもの、個別には資金調達・補助金確保、遺言作成支援や相続税の試算、不動産の活用に関する相談など、持ち込まれる相談は多岐にわたります。これらの周辺業務は税務リスク、契約の在り方、収入化への工夫など、業務として依頼を受けるための処方箋も必要になります。

・【契約】Q:HPを見て新たな契約依頼がありました。新規契約自体はうれしいのですが、どのような顧客か分からず、正直なところ不安です。このような場合、どのような点に注意して契約をすればよいでしょうか。
A:契約締結前に、なぜ前の税理士との顧問契約を解除したのかその原因、先方の人間性は確認したいものです。しかし難しいこともあり、顧問先からの紹介でない今回は、総勘定元帳、過去3年分の決算申告書、定款、登記簿謄本、面談により、判断するしかないと思います。また、事業年度途中ではなく、年度を締め切っての乗換え・移行手続を検討すべきでしょう(期中交代の場合、前税理士の業務内容に責任を負わないことを契約明示。)。必要資料が直前まで提供されないなど誠実さに欠ける場合は断る勇気も必要です。

・【契約】Q:長い付き合いの顧問先であるホテル運営会社から顧問料の値下げを求められました。コロナ禍で社員をやむなく解雇したため、宿泊需要が回復しても、人手不足で宿泊客への対応ができず、業績が回復できていないという理由です。どんな点に注意して契約を見直せばよいでしょうか。
A:人手不足が解消したら元どおりの業績が見込まれる顧問先。今後も付き合っていきたい顧問先なので、契約書の報酬額や他の条項で、値下げをどう盛り込むか、工夫をしましょう。しかし、1年後に業績回復が出来ない場合は、提供している業務内容の見直し(削減)又は事業再生や廃業支援、契約打ち切りも視野に入れましょう。金融支援、補助金申請などの業務で収益が望めないか、業績回復のためのコンサル業務、M&Aなどの受託可能性も検討します。役務提供内容を変更せず値引きを行う場合は、毎月の請求書に値引き金額を記載し、正規料金から期間限定で減額していることを依頼先に明確になるよう心がけましょう。

・【契約】Q:飲食店を経営している顧問先は、コロナ禍以降経営が思わしくなく、顧問料を直近6か月滞納しており、ついに支払の猶予を求められました。長い付き合いなので、当面やむを得ないと思いますが、どんな点に注意して契約を結び直せばよいでしょうか。
A:顧問先が再建可能か検討し、可能と思えれば覚書で6か月分の支払期日を明確にした上で、滞納分の分割・上乗せ返済などを検討します。再建困難であればその旨を伝えて清算等の中で滞留債権回収を可能な範囲で織り込みます。顧問料を下げるのであれば、業務範囲の限定(定期訪問面談回数を減らすなど)を併せて協議しましょう。顧問料滞納は契約解除原因である債務不履行(民541条)が発生しており、契約解除を検討すべきです。契約終了後も関係維持に努め、個別の依頼を受けて対応します。紹介を受けることの可能性や新事業チャレンジに関わることもあると思います。

・【契約】Q:顧問先から事業承継に当たっての株価のシミュレーションを依頼されました。顧問先からは、別途契約を結びたいという申し出がありましたが、どのような契約を結べばよいでしょうか。
A:顧問先には、税務の知識を活用し、経営や個人生活の課題解決を求める要望が潜在的に存在します。その課題は環境や時間で変化し把握しにくくなっており、仮に気が付いても相談する人はごくわずかです。税理士事務所側も課題抽出のうえ、解決策の提示を実行支援するノウハウにバラつきがあり、その結果「あの事務所は相談に乗ってくれない」などという不満が募ります。最近では金融機関を中心に「事業承継」「事業再生」「不動産有効活用」などを特定の税理士法人と提携提案する事案が増え、自分たちの税理士事務所が有償で対応できれば信頼性向上と収益性の向上につながります。以上を踏まえて、事業承継に当たっての御提案書では、現経営者の退職金の適正額の算定とそれに伴う株価シミュレーション及び株式譲渡適正額の算定、株式移転の方法・時期が課題となり、担当者が顧問先へ始動する建付けとします。

・【税理士業務】Q:否認リスクを承知で申告してほしいと言われました。どのように対処するとよいでしょうか。
A:「節税(合法的減税)」「租税回避(法律には則るが通常ではありえない不自然不合理な取引形態を採用した減税)」「脱税(課税される要件があるにも関わらずこれを故意に隠した減税)」の違いを説明し、相談を受けたケースがいずれに当てはまるかを顧問先に説明します。脱税や租税回避の否認規定に該当する場合は、法の定めを説明し、否認を承知して申告が出来ないことを伝えます。判断に迷うグレーゾーンの場合は、書面にて説明をして、クライアントに判断し記録します。その場合には、税理士の説明義務違反が問われないように注意をします。

・【税理士業務】Q:担当職員がクライアントに証拠資料の提供を依頼したが拒否された。
A:クライアントが適正に資料を提供されず要請が不適切な時は、不適正の理由を説明し、法令に適合した申告となるよう適切な助言指導をするとともに、重加算税などを招くリスクを十分に理解させクライアントが法令不知により損害を被ることがないよう配慮する義務が税理士事務所にあります。職員の債務不履行は=税理士の債務不履行と同視されますので、クライアントが脱税を志向する兆候がある場合、事務所内で情報共有できる体制と環境を整えることが重要です。

・【周辺業務】Q:顧問先より銀行から融資を受けたいので支援してほしいと依頼されました。通常の顧問業務以外の業務のチャンスですが、契約のやり方からどのように対応すべきでしょうか。
A:融資を受けるためには創業以外決算申告書と共に、月次試算表の提出も求められることがあります。実際に融資支援を行う場合には、通常の顧問契約とは別に契約を結び①業務内容の範囲②対応する期間③報酬金額④報酬の支払時期・方法⑤融資が受けられるとは限らない事、を契約で明記します。

・【周辺業務】Q:顧問先よりクラウド型の会計ソフトを導入したいと相談を受けました。どのように対応をしたらよいか悩んでいます。その活用方法と導入支援として何をするべきかを教えてください。
A:顧問先は導入で経理業務を効率化したいと考えていると思いますが、導入だけで効率化はされませんので、決済に関係する業務をクラウド型会計ソフトへ生かすよう設計し直す必要があります。再設計が必要な業務は①経費の決済方法②物品の購入方法③インターネットバンキングの活用、です。その他、管理業務、請求業務、給与計算業務、立替経費精算業務などを自動化することで作業効率を高められます。

 

 

 

  • user 内田
  • time 2024年10月5日
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【本】レビュー『小さな会社の社長の戦い方』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小さな会社の社長の戦い方』井上達也 明日香出版社

・社員にあなたの考えを伝える
社員を育てる時に重要なのは、自分の考え方を正確に伝えることです。社長が評価することとしないことを明確にしないといけません。「こういう行為は評価する」「こういうものは頑張ったとしても評価しない」これをきちんと社員に伝えます。何も社員マニュアルとかぐごいものではなく、簡単なものでいいのです。

・未来の仕事を準備する
小さな会社の社長は、今のお金を稼ぐために何でもするのが必須です。しかし、それだけではダメです。社長がすべき仕事にはもうひとつあるのです。それは未来の準備です。社長はこの2つを同時並行して行う事が必要です。「未来に売れるビジネスを今、つくること」

・強力なエンジンを積んでいる人を雇う
経営も昔のように、みんなの力を結集して頑張れば勝てるという時代ではなくなってきました。ですから人を雇うときには頭のよい人を採用すべきです。頭の良い人とは有名大学の人ではなく「様々なものに興味を持ち、常に自己変革しなければと、もがき苦しんでいるような人」です。こういう人は指示待ちではなく、自発的に素晴らしい方法を考えて、会社をぐんぐん伸ばしていく可能性があります。人間は鍛えれば伸びるのではなく、そもそもの素質がありますので、ダメな奴は何をやってもダメなのであり、普通よりちょっとだけ頭のよい人を採用できるようにしましょう。

・一人前の社員に育てる
会社がある程度の規模になったら、次に社長がするべきことは、個々のお客さんを担当することではなく、部下を育てる、やる気にさせるための仕事なのです。社長が大きな売上を上げると社員は「なんだ、じゃあ私たちが頑張らなくても社長に任せておけば大丈夫」と考えるようになります。このような事にならないように、社員を育てるという事を常に頭に入れて会社経営を行っていただきたいと思います。

・成功をするための「信用」の貯金
昔から言われている経営者の格言-「信用第一」。これを守れない経営者は枚挙にいとまがありません。「信用を失ってでもお金を選んでしまう」「自分が得することを選択する」こういう経営者はまず成功はしません。いつも約束を破る人がある日「お金を貸してください」と来てもお金を貸さないですよね。一方で、いつもきちんと仕事をしている人がたまたまミスをして謝りに来た時、あなたは怒りませんよね。

・クレーマーから社員を守る
もう昔のように「クレームは宝物、お客様は神様です」なんていうことを言っていると、社員がどんどん疲弊してしまいます。社員を助けるためにも変なクレームを言うお客様、常識が違うお客様、やばそうなお客様は毅然とした態度でスパッと切るべきです。社員ではなく社長に直接クレームを言ってくるお客様は私は即座に切っています。社長に言えば何とかしてくれるだろうという姑息な考えも気に食わないですし、今後も何か何か問題があったら社長に直接言えばいいんだなという感覚を持たれるのも嫌だからです。

・成功に終わりはない
利益もある程度発生し預金もそれなりに増えてきたという社長はある日ふとこう思います。「もう自分は成功したと言えるんじゃないか」「うちの会社もなかなかいい会社になってきた」「最近は、社員も喜んで仕事をしているようだ」こんなふうに思ったらもう社長としては終わりかなと感じます。自画自賛したりこれからは社会貢献したいなどとおごり高ぶったときに、会社はどんどん下降していきます。社長とは常に様々なことを心配したり、周りの出来事にビクビクしながら、それでも死ぬまで走り続ける人です。もしも少しでも心の平安を求めるならばすぐに社長を辞めるべきです。「もっとお客様に喜んでもらえることはないか」「今のサービスをどう改良したらいいか」「社員が働きやすい環境とはどういうものなのか」考えなければならないことはいくらでもあります。

  • user 内田
  • time 2024年9月28日
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【本】レビュー『イーロン・ショック』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イーロン・ショック』笹本裕 文藝春秋

元Twitterジャパン社長が書いた、イーロンマスクによるTwitter買収における「破壊と創造」の215日について書かれた書籍。

●私が見たイーロンという男
イーロンの表と裏を見てきた私からすると、彼はすごく複雑。表に見ている彼のドラえもんに出てくる「ジャイアン」のような豪胆さ。そしての裏にある「のび太」。どちらも本物のイーロンなのです。イーロンの守護は常に「人類」、本当は何世代もかかることを生涯の中でやり遂げようとしていて、ものすごく時間に敏感、「なぜこの人はこんなに生き急いでいるのだろう」とよく思います。Twitterの社員を7800人から3000人に減らすのも通常半年ほどかかる所を、あっという間に3、4日で決断して執行してしまった。イーロンがつねに言っているのは「とにかく俺は、強いやつしか残したくないんだ」ということで、それはつまり「棚を壊しても、それをまた作っていこうとする人」を彼は望んでいるという事です。イーロンがTwitterの買収を完了したのが2022年10月28日、それ以降は毎週土曜日になんらかの指令があり、彼からまたは誰かを経由して来ることもありましたが、たいていは「明日からやろう」「今からやろう」「3時間後までにこれをやってくれ」という指示もよくあり、決断の早さには妥協を許さず、矢継ぎ早に指示が飛んできました。一方で解決方法について説明がついても、イーロンは自分で回答を出さず、「じゃあどうしたらいいんだ?」とまわりに意見を求めます、細かいところまで指示するトップダウンのイメージがありますが、大きな流れではそうなのですが、細かいところについては人の話を聞いてくれてけっこう任せてくれるのです。

●破壊-Twitter買収の一部始終
買収後イーロンから「すべての経費をいったん止めろ」という指示があり、立替経費精算が済んでも振り込まれない未払い状況となりました。責任者がプライベートジェット使ったり、キャリアと組んでショートメッセージを打ちTwitterに月8千万円を請求させていた事が発覚し500億円コスト削減しろという短期目標の中、コスト削減が実現しました。イーロンとは買収後週2回ぐらいビデオ会議をやりましたが、Slackで突拍子もない内容とタイミングで連絡が飛び交いカオス状況ではありましたが、直接ボンと質問が来るので自然と組織の壁が取り払われていっている良い面がありました。日本法人のボーナスや報酬内容も相当変わってしまい、そこに対してイーロンは「未来に期待してね。今は耐えてね。」と社員に言い続けるのですが、それは都合が良すぎると思い日本でのリストラや戦略に反対したところ、私は退職となりました。もし私がイーロンなら「横串」で組織を見ることのできるCOO(最高執行責任者)を入れます、ビジネスモデルがわかっていながら、イーロンの価値観に共感できる人を参謀として置かないと、組織が分断されて有機的に機能せず失敗すると思います。私はそのようなイーロンのビジョンに共感する参謀になりたい気持ちがありましたが、あまりにも破壊的で折り合いをつけられず2023年5月末という7か月で退職することになりました。

●イーロン・ショックは他人事ではない~AI時代に生き残る働き方
2年ほどシンガポールに住んで感じたこと、それはグローバルな激しい動きの中で、日本は経済が停滞しているわりに「平和」だということ、これはとても危険なことだと思っています。日本では「現状維持」や「前例踏襲」が重んじられる傾向にありますが、いまのような変革が求められる時代においては足かせになりますので、ぶち破るためには日本にも「イーロン的な存在」が必要なのかもしれません。リミットを外していけるような人物です。アメリカにはもともと「イーロン的な存在」が期待されている空気感があります。これまでイーロンがやってきたことは、それも「破壊と創造」です。スペースXではロケットを4機も5機も破壊して、結果的にその次のロケットで成功させました。テスラでは2019年くらいにお披露目したサイバートラックが壊れてしまいましたが、2023年に発表した時は壊れませんでした。破壊する一方で、創造していく力もその何倍もある。彼の場合は、そこでまわりの人間や世間を敵に回してでも戦って、そこから何かを作り上げていきます。但し、日本人に「出る杭になろう」と言っても、DNA的なところで合わないかもしれない。であれば日本人の「エコシステムを大切にする」「和を重んじる」とい部分をむしろ強みにしていくのもひとつの答えです。ドラスティック的な破壊と創造ではなく、その中間的な「破壊する部分は破壊しつつも、根本的な和は維持しつつ創造していく」。そのほうがサステナブルで、日本に合っているかもしれません。

 

 

  • user 内田
  • time 2024年9月21日
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