Latest Posts
レビュー『ゼロ秒思考』
『ゼロ秒思考 ~頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング~ 』赤羽雄二 ダイヤモンド社
2013年に発売された書籍ですが、中田敦彦のYouTube大学でも取り上げられていて、読んでみました。
不思議と私自身もこの書籍に書かれたA4横書きメモと、少し似たようなメモを取ることがありました。
●思考の質とスピード双方の到達点がゼロ秒思考
多くの人が自分に自信を持てず物事が進まないことを悩んでいるが、適切な判断力を発揮するために、誰にでも驚くほどの効果があるのが、頭に浮かぶことを次々とA4の紙に1件1枚で手書きメモをするだけの方法である。
●メモ書きの効果
メモを書くと頭が整理される(もやもやした思い、懸案事項、考えも整理される。)
メモを書くと自信が出てポジティブになれる(目の前の課題が素早く可視化され、人間が生来持つ自信とポジティブが出てくる)
メモを書くと腹が立たなくなる(全部メモに書き出すとすごく楽になる)
メモを書くと急成長できる(色々な問題が同時に起きても、慌てず騒がず、重要なものから解決できる。)
●メモの書き方
1分以内で4~6行、各順番を気にせず各行を具体的に長めに書く。
思いついたことをとにかく何でも書く。
メモは、毎日10ページを思いついたときに計10分程度で書くこと。
●メモを使いこなす
人はみな自分の観点で善悪、好き嫌いを判断するが、多面的にメモをすることで相手の立場でものを考えることが出来る。
一つのタイトル(=テーマ)を深堀りすると、あっという間に難しい問題が小分けされ、分解して整理でき、同時に全体像が頭に入るという大きなメリットが出てくる。
●メモをクリアフォルダに分けて整理する
書き始めて4~5日したところで、5~10個程度のカテゴリーに分けてA4クリアフォルダにラベルを貼って整理する。
カテゴリーの例は「①やりたいこと、アイデア」「②コミュニケーション」「③チームマネジメント」「④考えたこと」「⑤情報収集」「⑥聞いた話」「⑦ミーティング」など。
メモは普段は見直さず、3ケ月に一度ざっと眺めて、6ケ月後にもう一度読み返し、その後は読み返す必要は無し。
-
内田
-
2021年10月16日
-
本
-
0
レビュー『資金繰りなるほどQ &A』
『資金繰りなるほどQ &A~4つのステップで社長の悩みを解消!~』中央経済社 増山 英和
決算書(財務諸表)が大切なのは言うまでもないですが、会社の血流である資金をいかにまわすか、という「資金繰り」も同じくらい大切です。
資金繰りのわかりやすい本なので読んでみました。
●第1章学ぶ編
・2020年版「中小企業白書」には新型コロナウイルス経営相談には何と2020年3月末までだけで30万件もの相談があり、ほぼ全て「資金繰り」関連で、中小企業の脆弱性が露呈した。
・資金は事業活動を維持するのに必要不可欠。資金のうごきが今後どのように変化するかを確認するために資金繰り表を作成して、打ち手(資産売却や新たな借入)を考え実行しましょう。
・以下の予兆が出たら資金繰りが悪化して倒産に繋がるので即改善。「販売不振」「放漫経営(だらしない経営姿勢)」「連鎖倒産」「過少資本」「設備投資過大」「在庫状態悪化」
●第2章気づく編
・短期的、長期的な視点から資金繰りの安全性をチェックしましょう。短期的には、一時点で支払いに必要な資金が確保されているか、売上収入で仕入等経費をまかなえるか。長期的には、財務構造が安定しているか、特に赤字続きと債務超過は危険極まりない。
・取引先への支払能力のチェック項目は、流動比率(=流動資産÷流動負債)が150%以上、当座比率(=当座資産÷流動負債)が100%以上。
・長期的な財務構造の安全性のチェック項目は、自己資本比率(=自己資本÷総資本)が40%以上、固定長期適合率(=固定資産÷自己資本と固定負債)が100%以下。
・自社の資金繰りのチェックポイントは手元資金の増減理由と、経常収支比率が100パーセントを下回っていないか。
●第3章動く編
・正常運転資金についての借入は手形貸付(約束手形1年以内返済)や当座貸越(当座融資枠)で調達し、短期継続融資として続けていけば、借入金の返済は不要となるので、苦しい時の資金繰りが改善できる。
・経営者保証に関するガイドラインでは次の5点のような会社には人的保証を求めないと書かれてあるので、それを目指す。①法人と経営者個人の資産、経理が明確に区分されている(中小企業会計指針等)②法人と経営者の間の資金のやりとりが社会通念上適切な範囲を超えない(役員貸付金等)③法人の資産・収益力で借入返済が可能と判断しうる(債務償還年数等)④法人から適時適切に財務情報等が提供されている(月次会計等)⑤経営者等から十分な物的担保の提供がある(個人資産も持っている等)
・金融機関には従来のような担保や保証に依存することなく、下記の4点のような事業性評価が求められてきているため、それを目指す。①経営者への着目(経営手腕・地域経済界での立場。経営理念や想い。後継者の有無。)②事業自体への着目(商流。技術力、販売力。取引先数、分散度。IT能力、イノベーション状況。)③環境・関係者への着目(顧客リピート率。従業員定着率、勤続年数、平均給与、年齢構成。金融機関との対話状況。)④内部管理体制への着目(同族企業ではないか。経営目標の有無と共有状況。人材育成方法、システム。社内会議の実施、コンプライアンス。)
・預貸率(=預金÷借入金)を100%超とし、また各金融機関ごとに実質金利(預金を差し引いた利率)をもとに金融機関と利率の交渉をするとよい。そして手元資金は月商の3か月分は置いておくべき。
●第4章続ける編
・資金繰りの改善は一朝一夕ではできませんので、日々、現場で小さな改善を積み重ね、PDCAサイクルを確実に回し「続ける」ことが大切です。また毎期、経営計画や利益計画、資金繰り予定表を作成し続け実行し、その結果を月次試算表と資金繰り表でチェックし、さらなる改善に取り組みましょう。
・社内を活性化させることも社長の仕事の1つです。目標を明確に設定し、経営理念を具現化するために全社目標を拠点別、そして各人別に細分化し浸透させ動機づける必要があります。目標達成に向けた一体感を会社内に作るために腹落ちするまでわかりやすく伝え、同時に社員満足度を高める工夫をしましょう。
・PDCAサイクルを徹底的にまわします(Plan計画、Do実行、Check評価検証、Action継続的改善)。計画を策定したことで安心しきって行動しないという会社がよくありますが、計画は目的ではなく手段にすぎません。計画し実践し、チェックし改善対策を打つ、この経営管理サイクルを徹底的に回せるように社内体制を整備する必要があります。
-
内田
-
2021年10月2日
-
本
-
0
レビュー『脱東京』
『脱東京』本田直之 毎日新聞出版
大都市東京よりも、北海道などの地方都市の方が住みやすく、自分の人生を豊かに出来る。
弊社とお付き合いのある社会保険労務士さんも、住宅を北海道十勝に置き、仕事だけ東京という方もいらっしゃいます。
脱・東京 でどういったことが実現できるのか、著者が各地域を旅しローカルで暮らす人や企業を見ております。
・テクノロジーの進化
近年、ビジネスの第一線でバリバリ活躍していた人たちが、自分のライフスタイルを実現するために、東京から他の地域に移住し始めている。
インターネットをはじめテクノロジーが劇的に進化し、SNSにより個人の力が強くなり情報発信できるようになった。
そもそも、世界的に見て首都に一極集中しているのは東京とソウルくらいで、日本はたった150年で急速に一極集中が進んでしまったので、今になって揺り戻しが来ている。
・移住先を選ぶための18のクライテリア(判断基準)
東京からの移住の際は、自分にとって18の判断基準から、ライフスタイル・バリューの高い場所にするとよい。
1.自分のライフスタイルを実現できる2.物価が安い3.気候がいい4.受け入れてくれる土壌がある5.人がいい6.アクセルがいい7.インターネット環境がある8.自然がある9.コンパクトシティ10.歴史が守られている11.文化の魅力12.食がいい13.仕事をおこしやすい14.若者を登用している15.医療面の安心16.教育レベル17.治安がいい18.デザインを大切にしている
・脱東京のメリット
東京にいると、みんなが忙しくて人が多くてストレスが多く人間的でなく、脱東京でそういったストレスの伝染が減る。仕事がどうなるだろうか、という不安も最初はマイナスになるが、自分のブランドが強くなるので後々多くの人がプラスになってくる。そして、住宅費が減るため、可処分所得も増える。
・福岡-中矢さんのケース
中矢さんは23年間東京で暮らしてきて、40歳が近づき、一つの区切りとして福岡に移住することを決意しました。
ただ、そのきっかけは、東京にいることの不安からだったと言います。「本を読める時間を持てたり、自分自身を考える時間を持てたりできるようになりました。」彼は、福岡に移住したことで”人間らしい生活”を手に入れたのでしょう。東京でもそれは可能かもしれませんが、彼が言っていたように、まわりに流されてしまいます。
・島根-三浦さんのケース
三浦さんは東京と島根を行き来する生活をしており、その分興味を持ってくる人がたくさんいます。「今、東京にいる人で、島根出身の人で不安に思っているのは、島根に行きっぱなしになることなんです。だから僕が東京と島根を行き来する生活をしていると興味を持ってくれます。」二つの拠点を行き来することでどちらの人間にとっても魅力的になれるわけです。
-
内田
-
2021年9月18日
-
本
-
0
レビュー『うまくいっている人の考え方』
『うまくいっている人の考え方 <発展編>』 ディスカヴァー・トゥエンティワン ジェリー・ミンチントン
アメリカの著述家 ジェリー・ミンチントンさんが、長年の経営の経験から研究した自尊心を大切にすることを記した著作。
・前向きに考える
過去の条件づけに関係なく、物事はできるだけポジティブに解釈するほうが得だ。いくつかの提案をしよう。
「やる気が出るようなことが書かれた本を読む。」「ポジティブな人と付き合い、ネガティブな人を避ける。」「自尊心を高めて、自分がもっと幸せになっていいと認識する。」「改善しようとする場合を除き、人生のネガティブな側面について考えない。」
・ものおじせずに質問する
学校の授業や会社の研修などで、多くの人は無知だと思われるのを恐れて質問しようとしない。
しかし、わからないときに謙虚な姿勢で質問をすると、どういうことが起こるだろうか、社会人なら仕事の技能が向上し、さらにほとんどの人と幸せな人間関係を築くことも可能になる。
そう考えれば、質問しない方がむしろ愚かだと思えてくるはずだ。
・仕事に打ち込む
仕事で成功する秘訣は何だろうか?最も重要なのは次の三つだ。
「仕事に打ち込む」「仕事に必要な技能の一つに習熟し、それができたら、さらにむずかしい技能に挑戦する」「仕事のあらゆる面をできるかぎりうまくおこなう」
もしあなたが以上のことをするなら、次の中の少なくとも一つが起こるだろう。
「仕事が楽しくなる」「より高い給料がもらえる責任のある地位に昇進する」「自分で事業を起こして経営者として成功する」
どんな仕事であれ、いい仕事をすれば満足感を得ることができる。
・人生は不公平だと考えない
あなたは今まで何回くらい「人生は不公平だ」とぼやいてきただろうか?
どうすれば人生はより公平になるだろうか?それには、よりよい未来を切り開くために努力することだ。
よく注意すれば「公平」と「不公平」の境界線は思っていたほど明確でないことに気づくはずだ。
公平とは普遍的な法則ではなく、自分がつくり出した概念であることに気づこう。
不公平についていくら考えたところで、あなた自身がポジティブな変化を起こさないかぎり、何も改善されない。
・些細な問題にとらわれない
些細な問題とは何か?それは自分専用の駐車スペースに他の車が停まっているような、本当は問題でないことを発見したら消えるような問題のことだ。
些細な問題は、非現実的な期待の表れである。それは心の中だけに存在するから、心の持ち方を変えることが唯一の解決策だ。
些細な問題を人生から排除する方法は二つある。
「自分の望みどおりに他人は振る舞ってくれないという事実を受け入れる」
「自分に危害が及ばないかぎり、他の人をあるがままに受け入れ、変えようとしない」
-
内田
-
2021年9月4日
-
本
-
0
レビュー『リーダーの心得』
『松下幸之助 特別講和 リーダーの心得』PHP 松下幸之助
松下幸之助氏は、早くから〝企業は人なり”という信念のもと、企業人としてはもちろんのこと、社会人としても立派に通用する人材を育て、かつ、活かすことに腐心し続けました。
・方針や目標を示す
会社の社員が、今、会社は、社長はどういうことを考えているんだろうか、どういうイメージを持っているかということを、社員は知りたいだろうし、そういうものを社員絶えず知らさないといかん。それを知らせないと、どうしても力が入らない、なにげに働いているというようになる。
・率先垂範する( 人より先に立って物事を行い、模範となる)
私の考えでは、経営者という者は、非常時の場合は率先垂範しないといかんと思いますね、やっぱり。平時にあっては、一番後方で采配を振っていたらいいわけですな。
・部下の提案を喜ぶ
みんながわが事のように、考えを述べる。それが取り入れられる。取り入れられない場合でも、提案をしたということを称賛される。それは今、無理であることがたくさんあるが、提案したことがいかに尊いことかをその人に植えつけないといけない。上に立つ者が部下の提案を喜ぶという雰囲気をつくり出さなければなりません。
・六十パーセントの可能性があれば
この人に何か仕事を、という時にこの人やったらちょっとまあ六十パーセントぐらいいけそうやな、と思うたらもうそれを適任者として決めてしまうんです、もうきみ大いにそれやってくれ、きみ十分いけるよ、というように感じるわけですね。そうするとたいていうまくいくんですな、早く言うとね。「任せて任せず」どんな場合でも、最後の責任は自分のところあると自覚して、頭の中で気になっている、脱線しないように介添えする。
・人間の機微に通じる
なんというても、人間というものは気分の問題である。非常にまあ人間の心というものほど妙なもんはないと思うんです、それだけ変化性が多いんですね。人の指導者に立つ人は、その職場の雰囲気というものを明るくするにはどうしたらいいかと。大部分は人間関係である、やはり言葉のもっていき方である。
・言うべきことを言う
やはり皆さんは部下をもっとんのやから、部下に対しても言うべきことを言い、導くべきことを導いて、褒めるべきは褒め、やっぱり人事を尽くすという誠意をもってもらわないといかんですね。言うたら文句言うからうるさい、というようなことでは、私はやはり具合が悪い。それをやらないから、むしろ部下が頼りながっている感じになる。
・困難が人を育てる
少々遅れても大きな問題やないという場合には、「それは君らで考えたまえ。」と言う持って行き方も、私はやはり養成する過程において、必要やないかと思うんですね。私は手段としてそういうことは用いなかったですけども、いくつも仕事を持っていましたし非常に忙しいから、その必要上「きみらで考えたまえ」というようなことが相当、私はあったと思うんです。
-
内田
-
2021年8月14日
-
本
-
0
レビュー『渋沢栄一 君は何のために「働く」のか』
『渋沢栄一 君は何のために「働く」のか』三笠書房 竹内均
今年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公-渋沢栄一の言葉として、昭和5年に出版された『渋沢栄一全集』を現代語訳にて出版されたもの。
第一章「何のために、どう働くのか」
・『論語』の中にあるように、「内に省みてやましからずんば、それ何をか憂い何をかおそれんや」との教訓に従い、責任を重んじ、誠心誠意をもってことに当たれば、たとえ失敗をしても良心が咎めたりせず、そのために信用を失うようなこともない。
・いつも社会の進歩に遅れないように智力を磨き、勤勉努力し、人格を高潔に保ち、修養の工夫を怠らず、それによって世の中の役に立つ人物となっていくという心がけが必要。
・中庸を得るとすべてが面白いほどスムーズにいく道が見える。何によらず偏るというのはいけない。悲観、楽観を超越したところに自分の進むべき道はあるはずである。
第二章「どんな仕事でも成功でできる7つの心得」
・入社一年目の心構え。そもそも社会人として仕事をするうえでは何事も実地の経験が第一であり、学校で学んだことはすぐには役立たない。したがって、この世界で重要な地位を占めるようになるまでには、多年の経験と忍耐を要するということを覚悟しなければならない。
・健康でなくてはならない。体が弱く元気の足りない人は、自然と勇気も乏しくなり、活動も鈍っていくからである。
・7つの心得①実直であること②勤勉精励であること③着実であること④スピーディーであること⑤温厚であること⑥規律を重んじること⑦忍耐力があること。
第三章「どんどん仕事が面白くなる 人間関係の育て方」
・部下や協力者にはどんな態度で接するか。広く愛し、厚く労をねぎらい、相手を自分の親戚や子弟のように遇し、道理を説いて心から自分の仕事に打ち込ませる。全員が力一杯働けるように心がけさせること。
・物事はあまり清くてもいけない。水清ければ魚が棲まないようなものであり、事に当たって自ら責任をもってやるのはいいが、それが厳格すぎてもまずいし、と言ってもあまり穏やかにすぎてもしまりがなくなるから、そのへんを良く考えなくてはいけない。
・世代の違いを超えて先輩後輩がうまくやっていくには、人道を重んじ年上と年下の序列を忘れず、自分の仕事を誠心誠意はたしてこそ、円満平和に暮らしていける。その結果、先輩はいくぶんかずつ後輩に劣るようになりたい(親より立派な子が育つ)ものである。
第四章「一流の仕事をする人の、創造的日常生活」
・生活はいかにも大切ではあるけれども、自分の生活のためにだけ働いてもいられない。どんな人でも自分一人dえ世渡りはできないので、自分の事を考えると共に、他人の身の上にも気を配らなければならない。
・相手と自分の間に壁と作らず、話すだけは十分に話し、聞くところも十分に聞いて、お互いの間に誤解の無いように努めている。
・儒教では、自分の身を修めることのできる者は家をととのえる力があり、家をととのえられる者は国家を治めるだけの知能があり、国家を治められる者はさらに天下も平らげられる、と説いている。
第五章「自分をランクアップさせるための修養」
・最後に必ず物を言うのは「忍耐」。孔子も「怒る心の生じるときは、艱難をもって(試練であると受けとめて)忍耐せよ」と言っているが、人間は己を捨て、我を通さないようにしなければならない。
・元来人間は裸で生まれてきたのだから、いつも無私を心がければけっして不満足のあるはずがない。私は絶えずこの心境を忘れないように修養を心がけた。
・自我に固執しないことを心がけていれば、つねに正しい道理のうえに立って物事を判断することができ、忍耐の習慣を身につけるられるようになる。
-
内田
-
2021年7月31日
-
本
-
0
レビュー『MBAマーケティング 必読書50冊を1冊にまとめてみた』後半
『MBAマーケティング 必読書50冊を1冊にまとめてみた』 永井孝尚 KADOKAWA
税理士法人TAPのスタッフに薦められて読んでみました。
50冊の後半から何冊か抜粋して書いていこうかと思います。(2週間前の前半の続きです。)
〇第4章 マーケティング・コミュニケーション
「「売る」広告』(海と月社)デヴィッド・オグルヴィ
「広告の父」と称されるオグルヴィが歯に衣を着せずに広告の本質を語る一冊。
「結果にコミットする、RIZAP」という広告は、効能を約束している。このような約束ができない広告ではモノは売れない。
広告の基本は商品サービスの良い点を、事実に基づき説得力のある形で説明し、違いをクッキリ際立たせること(=ポジショニング)
そして、ブランドイメージを与え続け、繰り返すことで、世間で認知され続けることが大切である。
広告では自画自賛ではなく誰かの推薦が良く、ヘッドラインで売り込み、イラストよりも写真が信頼性があり人を惹きつける。
『ブランドは広告ではつくれない』(翔泳社)アル・ライズ
最強の強いブランドは広告ではなく、PR(パブリックリレーション)という、新聞・テレビなどのメディアを通じて第三者情報により消費者を信頼させるケースが多い。
現代は広告に大金をかけても強いブランドをつくれなくなった。
ZARAは年2回のセールを除き広告を使わない。ファッション業界で初めてトヨタと同じJIT方式を導入し廃棄ロスも削減したことがマスコミに報道され、来店客を増やした。
ただメディアに紹介されて喜んではダメで、「この会社が1番」と認める内容であることが必要。
『費用対効果が23%アップする 刺さる広告』(ダイヤモンド社)レックス・ブリッグス
米国では年間広告費30兆円のうち11兆円が無駄と言われている。
本書はその無駄を撲滅し、消費者に刺さる広告をつくる方法を教えてくれる。
広告はアートではなく、カイゼンでなくてはならない。
トヨタ自動車の生産現場では、1円以下のムダも許さず、カイゼンを徹底する。広告でやるべきことも同じだ。
チームで目標を共有して、顧客を理解し、テストで広告効果を検証すべきである。
〇第5章 チャネルと販売
『カスタマーサクセス』(英治出版)ニック・メータ
顧客離反防止の具体的な方法が本書で紹介するカスタマーサクセス。
セールスフォース社は「顧客が成果をあげるのを全力で支援しない限り、自社の未来はない」と身をもって学び、カスタマーサクセスの仕組みを創り出した。
ユーザーにサービスをもっと使ってもらって成果が出るように、高級旅館の中居さんのようにあの手この手でこと細かに世話を焼き面倒を見る。
サービスを使い倒すユーザーが少しずつ増えていけば、売上も次第に増えていく。
ダメなサブスクは、販売後の顧客は放置し、その結果、顧客は解約する。まさにザルから水が漏れた状態で、顧客が次々解約していることも知らずに新規顧客獲得に没頭する。
カスタマーサクセスは売った時がはじまりで、徹底的に顧客の面倒を見て、使い続けてもらうことに集中する。
営業部門⇒「売って売って売りまくる」という考え方から、「長期的に成功できる顧客生涯価値が高い顧客に売る」という考え方へ進化する。
製造部門⇒「競合に勝つ製品を開発しよう」という考え方から、「相談しやすさを追求し、既存顧客の維持を最優先にしよう」という考え方へ進化する。
サービス部門⇒「顧客が契約したらサービスを提供する」という考え方から、「顧客の問題解決を迅速化し、次の契約更新を実現しよう」という考え方に進化すべき
『サブクリプション』(ダイヤモンド社)ティエン・ツォ
既存事業を、顧客と直接つながる「サブスク化」は企業経営を劇的に変える。
サブスクとは、顧客が購入し続ける長期的な関係をつくるビジネスモデルのことで、最近のITの進化で個々の顧客ごとに最適化できるようになった。
アップルは時間を掛けてサブスク化をしており、クラウドやアプリ販売のサブスク売上を8年間で4倍(2020年売上5兆円)にした。
サブスクを成功させるには、①顧客にどうしても使いたいと思わせる顧客体験・利便性・お得感を提供すること②顧客体験を高め続けること③収益化により継続できること にある。
『大型商談を成約に導く「SPIN」営業術』(海と月社)ニール・ラッカム
BtoB営業には、小型商談と大型商談があり、両社の売り方は、まったく違う。
小型商談は少額なので損しても許容範囲だが、大型商談は複数名が関り商談が何カ月も続き顧客の課題解決が必要で下手な押しは出禁につながる。
特に大型商談は、SPIN質問①状況質問(Situation)②問題質問(Problem)③示唆質問(Inplication)④解決質(Need-Payoff)のうち、③により潜在ニーズを顕在ニーズに育てることが大切である。
示唆質問により、潜在ニーズがもつ問題の深刻さに焦点を当てながら、価値の方程式で解決コストと問題の深刻さのバランスをイメージしながら、他の関連する質問が無いか考えながら質問していくとよい。
〇第6章 市場と顧客
『大本営参謀の情報戦記』(文藝春秋)堀栄三
旧日本軍の情報戦の実態を、大本営情報参謀だった著者が明かし、日本の敗因は決定的な情報力の差にあり、それは現代日本企業にも引き継がれている。
「大戦中」ドイツやアメリカに対する国力判断の誤り⇒「現代ビジネス」日本の技術者は顧客に会わない者が多く、顧客から貪欲に学ぶアジアの新興メーカーに負け続けている。
「大戦中」日本は制空権を軽んじ、アメリカは上を見上げ「あの空を取らなければこの海はとれない」と考えた。⇒「現代ビジネス」日本はIT戦略を軽んじ、ITを作業効率化や情報収集手段くらいにしか捉えておらず、仕組み連動テクノロジーとしてとらえたGAFAなどに負け続けている。
「大戦中」日本軍は国家全体で情報を分析する体制がなかった。⇒「現代ビジネス」不祥事でトップが知らなかったと謝罪会見を開くのは見慣れた光景。全社で情報共有する仕組みと企業文化が必要。
「大戦中」著者が現地からの情報は信用できないと電報を打ったが無視された⇒会社の中で数字が改ざんされていき、都合の悪い事実を無視し隠ぺいする姿勢が変わらない。事実から逃げず、事実に基づいて考え抜くべきだ。
『思考 日本企業再生のためのビジネス認識論』(学研プラス)井関利明
GAFAに見られるような、各単体技術をつないで連動させる仕組み連動テクノロジーが重要。
仕組み連動テクノロジーが未熟な日本はビジネス面でも大きく遅れている。
イーロン・マスク率いるテスラは、車をネット経由でアップデートでき、グーグルは検索・Gmail・マップ・カレンダーが相互連動し、アマゾンは買い物・電子書籍・ビデオを連動させている。
アメリカのアポロ計画のように「1つのミッション=月に人を立たせる」成功のために既存の仕組みを連動させ、全体最適を実現する発想が日本では欠落している。
イノベーションを起こしてくれる新しい時代に担い手は次の三者、
若者たち⇒デジタルネイティブ。関係づくりに長けている。
女性たち⇒右脳思考にすぐれ、男性を操るマネジメント能力にも高い。
外国人たち⇒彼らが組織にダイバーシティ(多様性)をもたらし、イノベーションの源泉になる。
『限界費用ゼロ社会』(NHK出版)ジェレミー・リフキン
限界費用とは、生産量を1単位増やした際の費用増加分のことだが、いまさまざまな世界で、この限界費用がゼロに近づいている。
例えば、ウェブサイトを立ち上げた場合、サイト制作と運営には費用が掛かるが、サイトのユーザー数が少々増えても費用はほとんど変わらない。
Youtubeは2005年にピザ販売店の2階にある小さなオフィスで創業したが回線コストが金食い虫で収益化のメドが立っていなかったが、翌年2006年にグーグルは1,700億円で買収。いまやグーグルの限界費用ゼロの収益源となっている。
今後、再生可能エネルギーや自動運転、テレワークフリーランスなども限界費用ゼロ社会を拡げていく可能性がある。
-
内田
-
2021年7月17日
-
本
-
0