【本】レビュー『プロフェッショナルマネジャー』
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内田
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2026年6月13日
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本
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『プロフェッショナルマネジャー』ハロルド・ジェニーン プレジデント社
ハロルド・ジェニーン(1910年 – 1997年)さんはアメリカの伝説的な経営者で、複合企業(コングロマリット)であるITT(国際電話電信会社)を世界的企業へと育て上げた人物であり、ビジネス界では「経営の神様」「M&Aの魔術師」と称され、こちらはその方の代表的な著書です。
1 三行の経営論 ①本を読む時は、はじめから終わりへと読む。②ビジネスの経営はそれとは逆だ。③終わりからはじめて、そこへ到達するためになさねばならぬあらゆることを実行するのだ。
2 どの会社にも二つの組織がある。そのひとつは組織図にい書きあらわすことができる公式のもの、そしてもうひとつは、会社に所属する男女の、日常の、血のかよった関係である。
3 ビジネスはもちろん、他のどんなものでもセオリーなんかで経営できるものではない。「既成の枠組みや理論に頼らず、事実に基づき、目標から逆算して自らの責任でやり遂げる」
トップの役割:最高経営者の第一の役割は、いわば経営チームのクォーターバックとして、ゴールポストはどこにあるか、そしてそこへ到達するにはどうするのが最善かをチームの全員に示し、しかるに率先してそのプレーへとチームを導くことだ。
良いセールスマン:何よりもまず、良い人間でなくてはならない。それは顧客の信頼を勝ち取るに足る人間性そのものである。肉体も頭脳も精神も清潔(クリーン)そのものでなくてはならない。正直で率直でなくてはならない。
マネジメントとは:経営を成功させるには会社の福利に影響するあらゆる状況に関する事実を完全に把握することだ。上と下からの要求のバランスをとり、両方の側を公平に満足させなければならない。いわゆる企業において、自由な情報の流れが必須とされる理由はそこにある。組織図に含まれるすべての人びとを、共同一致して機能させ、何よりも肝要な、緊密な人間関係によって結束させたときに、初めて真の経営は始まる。面と向かって話し合うことで、人の表情を見、声を聞き、ボディランゲージを読み取ることが、おこなおうとしている決定に差異をもたらす。
月次ゼネラルマネージャー会議:われわれは一堂に会して月次営業報告を順々に吟味した。本社スタッフは全員、検討されるすべての月次報告書にあらかじめ目を通していた。会議の出席者はだれでもそれらの報告書の内容に関係のあることなら何でも言い、質問し、提案してかまわない。問題があると、たくさんの人間の頭脳が集中的に動員され、いつでも困っている仲間を助けようと身構えていた。反復して起こる問題の共通点を見きわめ、時を追ってわれわれの解決法は洗練の度を高めていった。
チーム経営:われわれはしゃべり、議論し、問題を解決し、新しいアイデアにたどり着いた。肝心なのは誰もが発言することを恐れないことだった。そこには新しい事実、新しい発明、新しい選択を発見する事への熱意があった。われわれは互いに学び合い、助け合い、ひとつのチームとして働くために集合しているのであり、あらゆるビジネスの問題を競争相手の連中よりうまく解決する能力に誇りを持っていた。ITTはきわめて現実に即したやり方で、ひとつのチームとして組織図に無い人間的な生きた関係の中で、行動した。
リーダーシップ:リーダーシップは伝授することはできない。それは各自がみずから学ぶものだ。経営は人間相手の仕事である。共同の目的を遂げるために他の人びとをチームとして結束させ、自分のリードにしたがうように仕向ける能力である。だれもそれを一人でやることはできない。われわれは見つかる限り最優秀の人材の雇い入れにかかるべきである。われわれが欲しかったのは、熱意があり、物事を達成し、自分の人生をなにものかしめたいと欲求し、自分が求めるもののためには苦労することを恐れない有能で経験を積んだ人物だった。業界の平均より10%高い基本給を払い、気前のいい年末ボーナスと至当な昇給によって補った。エグゼクティブたちに、年齢にも過去の経験にも関係なく、彼らが求めかつ扱うことができる限り大きな責任を授け、それによって彼らは成長した。ITTは刺激に富む働き場所となった。人びとに前進と上昇への熱意を起こさせる最高経営者の態度は、その会社の成功の80%~90%の貢献度があると私は確信する。
会社の労働環境:企業の成否の最も重要な要素となるのは会社の労働環境である。環境管理は最高経営者の手中にある。楽しい繁栄の雰囲気をつくるのに最も重要な要素は、経営組織の上下を通じて、開放的で自由で率直なコミュニケーションを定着させることである。人びとは私(ジェニーン)でも、他のだれにでも反対することができた。批判をしてもだれもその結果として迫害されることはなかった。批判を歓迎しようと私も努力した。私は相手の言うことを聞き、見解を交換した。ほとんどいつでも、新しい事実や新しい考えが湧いて出て、両者の応酬からどちらにも思いがけない、より良い進路が現れた。われわれ全員はひとつの目標に向かって力漕している、同じ救命艇の乗り合い仲間なのだった。
解雇:いかなるマネジメントにおいても重要なポイントは、社内戦略というものは抑止しないと会社の「士気」と「前進力」を損なう不公正な自己権力拡大の一形態であるがゆえに、絶対に許すべきではないという事だ。だれが、いつ、どんなふうに、解雇されるかは、会社とそのマネジメントとリーダーシップの性格の核心につながる問題である。組織に貢献していない人間、怠惰、働きたがらない、自分のなすべき仕事をしない、他の全員の努力を妨害している人間を取り除くのは、明らかにリーダーの責任である。勤勉で生産的な他の人びとのすべての敬意を勝ち取るのだ。この意味で、人を解雇することもまた、マネジメントの建設的な役割のひとだといえ、それは会社の空気を浄化し、環境を改善する。
BeGentle:良いリーダーのやることは紳士的でなくてはならない。誰もが弱いリーダーについていきたいとは思わない。リーダーとして、弱いことは最低である。そんなリーダーの判断は頼りにできない。なぜなら、困難な状況にぶつかったら、どう変わるかわからないからだ。良い人間が窮地に陥っている時出来る限りその人物を支えて、助けてやるのはリーダーの責任であるリーダーはその人物に忠誠を尽くす義務がある。なぜなら忠誠心は双務的なものだからだ。この場合もまた、リーダーの言動は会社じゅうに反響を呼び起こすだろう。私たちは子会社のマネジャーを独立の起業家として扱い、きびしい要求をしたが、紳士的だった私は彼がやったことや、やるのを怠ったことを批判するかもしれないが、私の攻撃は決して個人的ではなく、皮肉は入れない紳士的な形であり、私が誰かを叱責する必要があると思った時は、他人のいないところでそうした。
本物のエグゼクティブの机:きれいな机の主は、ビジネスの現実から隔離されて、それを他の誰かに変わって運営してもらっているのだ。トップマネジメント、いやミドルマネジメントでも当然なすべき程度と水準の仕事をしながら、同時に机の上をきれいにしておくなど、実際からいって不可能である。電話は鳴るは、重要なメールや書類等は届くわ、非常事態は発生するわ、本当に仕事をしているエグゼクティブのスケジュールには、あらゆる種類の物事が割り込んでくる。8,9通もの書類が机の上に、さらに10通がすぐそばの床の上に、別にまた8通が後ろの戸棚に載っているといった状態を現出せざるえない。だから、それは机の上になくてはならない。ほかにしようが無いのだ。他の人に頼むなど悠長なことはしてられない。腕を伸ばせば届く、そこにあるようにしておきたいのだ。
経営者のエゴチズム(強い自己愛を含んだ自己中心的な態度):どんなアルコール依存症よりも悪いものであり、自分自身と虚栄心の中にのめりこんで、他人の感情への感受性を失い常識も客観性も失われ、会社全体がばらばらに分解していく。もう彼にはイエスマンしか我慢できないのだ。どれほど自分が賢いと思っていようとも、間違いを犯すことも、疑惑や不安に襲われることもあることを承知して、他人がアイデアや示唆や情報を提供してくれるのを歓迎すべきである。私の知っているたいていのエグゼクティブは、エゴチストにならないように、またそんなふうに見えないように努力をしている。良いエグゼクティブは自分の行動に個人的偏見や虚栄が少しでも交らないように注意を払う。軟弱なリーダーと見られないようにしなくてはならない事は確かだが、自分が間違っているとわかったら、人前でなり二人きりでなり、こちらから進んで非を認め、将来にかけてその誤りを訂正するべきである。人は失敗から物事を学ぶのだ、成功からなにかを学ぶことはめったにない。
財務数値のあらわすもの:数値は企業の健康状態を測る一種の体温計の役をする。企業経営において肝要なのは、そうした数字の背後で起こっていることを突きとめることだ。数字が示すあたりを掘り始めた時、その人は初めてビジネスの真髄に触れる。もし売上が不振なら、それは製品サービスの設計上の欠点だろうか?コスト高が原因か?問題はマーケティングにあるのか?流通にか?財務にか?水を張った浴槽に病人を押し込めば体温計の目盛りは下がるだろう。しかしそれでは病気は治らない。経営にておいても、経営し管理しなくてはならないのは損益計算書ではなく、企業そのものの諸要素である。ITTは毎月の予測と結果との格差に焦点をしぼっていき、数字による早期警報に重点を置き、早ければ早いほどそれだけ早く必要な処置がとれる。その数字はいわば会社の操縦装置であり、読んで読んで読み続けなくてはならない。目は数字を見ていても、頭は、「市場」や「コスト」や「競争」や「新サービス」を読んでいるのだ。
買収と成長:われわれは無からなにかを始めるより、すでにあるものを引き継ぎ、それを発展させるほうが良策だという認識があった。買収先のマネジメントの意見と、それが現在抱えている問題と、それらの問題を解決することがわれわれにできそうかどうかといったことを、はっきり表面に持ち出して吟味し、それから行動した。科学的なところはぜんぜんなく、買収は主として直観と経験と、買収先を前よりうまく経営するのを助けることができるという自信に基づくものだった。コングロマリットの規模の大きさが叩かれうることもあるが、世界市場で競争するためには大企業の力が必要なことを、時が証明した。買収・合併で会社の試算も多角化し、市場のより広い分野をカバーすることの利点をとり、良い経営が行われれば、コングロマリットは顧客のニーズに奉仕して反映し、成長する。
企業家精神を持った人間(企業内企業家):経営者は社内の企業家を探し出して、やりたいことをやらせ、彼らのベンチャーで利益を出せないか模索している。そういった人間はどこにいるのか、どこにもいないというのがその答えだ。問題はこうなる、どうしたら会社組織の中で、自発的な発明の才能ある従業員に、企業家としての報酬を与えることができるか?会社と従業員のあいだに企業家的熱情を掻き立てるために、どんなことができるか?スターセールスマンには企業のヒエラルキーの中でも、もっと多くの報酬が得られる他の会社へ移ってしまわないように、市場価値に匹敵する報酬を支払うべきと私には思われる。しかるべき昇進、昇給、ボーナス等。大きな家父長的な企業が与えてくれる安全と支持。豪華な執務室。年金・貯蓄制度。ボスが過度に厳格な態度をとらないこと。これに対して、企業の中で出会った企業家的マネジャーにとっては「もっと困難な仕事」が望みであった。
取締役会:取締役会は、若手の最高経営者に対して、いつでも歯止めをかける用意のある親としての自覚を持たなければならない。良い取締役会は良い親のように、ある程度の抑制力を行使して、最高経営者を”育成”しなくてはならない。会社をよく運営し自分の地位に自信のある最高経営者は、独立の取締役会を恐れるいわれはなく、かえって歓迎するかもしれない。私もまたITTで多くの若い人々の能力を買い、年功序列を無視して昇進させたことがあったが、そうした場合には慎重な監視を怠らないようにした。「社外」の人間を会長とする情報収集機能を備えた取締役会を設けることによって、取締役会をの会議の質と密度は、見たことがなかったレベルまで高まる。取締役会自分たちが勤務評定をおこなう立場にあるマネジメントから、十分に独立していなくてはならない。
結びとして:良い経営の要素は、情緒的な態度である。それ以外は機械的な要素ばかりだ。マネジメントは生きている力であり、それは物事をやりとげる力である。マネジメントの目的は献身的でなくてはならず、その献身は情緒的な自己投入でなくてはならない。

