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レビュー『気にしない習慣』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気にしない習慣』 内藤誼人 著  明日香出版社

ネガティブな感情を手放すために、意味のない後ろ向きな反応をしないために書かれた、61のヒントが書かれた心理学者による書籍。

昔と比べて成長している自分を認めよう
他人との比較はよくありませんが、昔の自分と比べるのならばまったく問題ないです。なぜなら、たいていの場合、過去の自分と比べたら、現在の自分のほうが、学力でも仕事でも上になることが多いです。
何かよくなった点を実感できれば、そんな自分のことを好きになれます。

もろい心も自己暗示でいくらでも強くなれる
私は〇〇だ、と何度も自分に言い聞かせ、暗示をかけてしまいましょう。そうすればメンタルの強いモデルと同じようにメンタルが強くなれますから。
自己暗示をかけるコツは、疑わないこと。せっかう自己暗示を試してみるのなら、絶対に効くと信じることがポイントです。

人の意見を変えようなんて考えないこと
ハーバード大学の実験では気候変動は人間が引き起こしたと信じている人は、そうでない記事を受け入れないことがわかり、人間は自分の意見は信念を変えない傾向があることがわかりました。
したがって、「あっ、議論になりそうだな」と感じたら、さっさと議論の土俵から降りてしまうことです。

自分の持ち物は何でも気持ちよく貸してしまおう
自分の持ち物については、「どうぞどうぞ、いつでも好きなように使ってください」と公言し、みんなにつかってもらうようにすれば、何についても腹も立ちません。そのほうが精神的な安定性を保つのには役立ちます。

いっそ、住む場所を田舎に変えるのもひとつの考え
ウェストフロリダ大学の研究では、町のいろいろなところに切手付き封筒を落としておいたところ、ポストに投函してくれて戻ってきた割合は都市部では39%、田舎の小さな町では93%と圧倒的な差がありました。
田舎の人は、心根がやさしくて、封筒が落ちていれば慈善の心を見せてくれますし、自然も一杯ありますし住みやすいのです。

不平不満が多いとお金がどんどん逃げていく
カナダにあるケーブレトン大学でTwitterのつぶやきを分析したところ、つぶやきがネガティブであればあるほど、その人の社会的経済的な地位が低いことがわかりました。
お金持ちはネガティブなつぶやきをしません。むしろ、ポジティブなことばかりをつぶやきます。

「厳しい指導ができるようになる気の持ち方
人の上に立つ人は、ときとして心を鬼にする必要があります。もし性格がやさしすぎて、厳しい指導をするたびに心が痛んでしまうのだとしたら「厳しくするのは当然。やるべきことをやっているだけだ。」と自分に言い聞かせてください。
おすすめは『上司が鬼とならねば部下は動かず(染谷和巳著・プレジデント社)』という本を読むことで、性格がやさしくて厳しい指導ができない人にとっては、まさに目からウロコの本です。

  • user 内田
  • time 2023年4月15日
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レビュー『週刊ダイヤモンド ~人気資格「豹変」の舞台裏~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

週刊ダイヤモンド 2022/12/3号』株式会社ダイヤモンド社

以前から読みたいと思っていた雑誌記事でしたで、購入のうえ読んでみました。

公認会計士や社会保険労務士の記事も興味深かったですが、直接自分たちに関わる税理士のページを熟読しました。

・使い方次第で利益増にも貢献プロ士業&ダメ士業の見抜き方
経営者は士業を積極的に活用するべきで、それにより利益を生み出せる。士業の選び方次第で、あなたの会社の経営は確実に変わる。
まず頭に入れておきたいのが、士業に支払う報酬は「コスト」ではないということだ。コストと認識すれば、当然それは少なければ少ないほど良いという事になる。士業に支払う報酬は「投資」だ。わかりやすく言えば、士業に支払う年間報酬に対し、もたらされる利益がその報酬を超えているかどうかがポイントだ。何か相談をしたときに、提携先士業との連携チームを組成して、問題解決に向けた提案をしてくれたら、その士業は今後も付き合うべきプロ士業である可能性が高い。

・融資(資金調達=ファイナンス)への反応
融資業務に必要な資格はないが、取り扱うのは主に税理士と行政書士だ。潤沢な融資を受けられるかどうかは会社の決算書によるが、まずは赤字決算の場合、どれだけの対応ができるかに、その士業の実力が表れる。「赤字決算では融資不可能」と回答するようなら論外だ。
そして、できるだけ金融情勢に詳しい税理士を選ぶべきだ。例えば、自治体や金融機関が連携して提供できる制度があるが、こうした動きに詳しいのが付き合うべきプロ士業だとみていいだろう。
他にも、金融機関は貸し付けに積極的なタイミングかどうかなど、金融機関の内部事情も踏まえながら業務にあたることができるのであれば、なお良いといえる。

・クラウド化
クラウド会計ソフトのfreeeやMFが登場したのは2,013年、その後他の会計ソフトもクラウド化の波が押し寄せた。
クラウド化は、中小企業をサポートする税理士にも波及。税理士が複数のクラウド型ソフトを使いこなすことが当たり前の時代になり、今では顧問先企業の要望や規模、業種を聞いて、弥生やfreee、MFなどの会計ソフトを勧め分けすることが当たり前になっている。

・税理士事務所の経営課題
スタッフ退職により顧問先との業務履歴やノウハウが喪失し、属人化から脱却できずに新たに従業員を雇ってもベテラン従業員や代表税理士が新入り従業員の教育に手を取られ、最も重要な顧問先企業への会計や税務のコンサルティングなど、付加価値業務に専念できない状況になる。
そのため、デジタル化によりタスク管理やノウハウ共有ができていれば、会計知識のないパート従業員でも、日々発生する顧問先企業とのやりとりをすぐに担う事ができるようにしていく必要がある。
例えば、顧問先企業から、決算書作成のための資料が必要で、それがまだ顧問先から届いていない場合などは、アラートが出るなどの仕組みを作っていく。

・生き残りへ税目/業務/業種 三つの特化戦略
「税理士が税務会計の業務ができるのは当たり前」であり、プラスアルファがなければ、求められなくなる。
一つ目の「税目」特化の代表例は相続税・贈与税。不動産を多く所有しているような富裕層のお客様に向けたサービスは、不動産実務と土地評価に精通していることが必須で、難易度が高い。
二つ目の「業務」特化は例えば税務調査や資金調達業務などがある。資金調達業務では、顧客企業の状況の合わせて、最適なタイミングで制度融資による資金調達の提案が出来る税理士は、意外に少なく、それだけ税理士としての競争力が上がる可能性がある。
三つ目の「業界」特化は、外食や芸能、風俗業界などに特化することだが、この戦略で成功するには、業界に関する深い知識と愛着、顧問としてかかわってきた経験が欠かせない。さらに、その業界内の人脈も必須。普段の税理士業務をこなしながら、これらを獲得するのは相当な時間と努力が必要だ。ただし、それを得た時の果実はとてつもなく大きく、顧客から顧客へと芋づる式に顧問先紹介を見込めるのだ。

 

  • user 内田
  • time 2023年4月1日
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レビュー『夜に星を放つ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜に星を放つ』 窪美澄 著  文藝春秋

第167回(2022年上期)直木賞、受賞作品。

直木賞作品は昔から好きで、読むことが多いです。

この作品は5つの作品が入った短編集で、家族にかかわる&星にかかわる良作が詰まっております。

特にコロナ禍で作られた作品だからこそ、人に会えない中で関係性を作っていくこと、家族を大切にすることを考えさせられます。

どの作品もオススメかと思いますが、最後5つ目の作品『星の随に』は印象的でした。

主人公の小学4年生の男の子は、昼-カフェ・夜-居酒屋をやっているお父さんがコロナ禍で夜営業を出来なくて経営が厳しく、お父さんとお母さんは離婚。
新しく来たお母さんは赤ちゃんを産んだばかりで気持ちが不安定。
とても複雑な家庭環境ですが、このような家族・環境にいる人は世の中にも多いと思います。
最後の場面、主人公が塾の帰りに、お父さんが改札前で待っていてくれて、家まで肩車をしてくれて帰る途中、夜空に輝くベガが輝いている。とても綺麗な描写です。

北海道は星が綺麗で、晴れた日は夜空の星が輝いて見えます。
ぜひまた近くの天文台に行ってみたいなと思います。

 

 

  • user 内田
  • time 2023年3月11日
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レビュー『赤と青のエスキース』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤と青のエスキース』 青山美智子 著  PHP研究所

少し前に2022年本屋大賞 第1位の『同志少女よ敵を撃て』を載せまして、とても読み応えのある作品でしたが、
ストーリーの意外性/感動という意味ではこちらが良いかと感じる良作でした。

赤と青という誰もが見る色に意味があり、そこには絵画と額装に壮大なストーリーが隠れておりました。
第一章から第四章、そしてエピローグとあるのですが、各章の題名が素敵ですし、特に第四章の『赤鬼と青鬼』という章での内容に驚かされます。

第一章を読み始めるとオーストラリアにおける日本人男女のラブストーリーで、
「あぁ、たまにラブストーリーを読むのも良いなぁ」
という感じで読んでおりましたが、話に非常に引き込まれますし、絵画とラブストーリーの関係性が絶妙なのです。

「画廊」という世界にも興味が惹かれる内容で、確かに独立開業をして画廊というものを開くことの難しさにも納得させられます。
このデジタル・DX・NFTの現代に「絵画」というものがどのような価値があるのか、絵画や漫画で身を立てる人の人生観に触れられることも醍醐味です。

絵画は確かに生活に豊かさを与えてくれます。
エスキース=絵を描くときの下絵のことらしいのですが、絵画を題材にした小説は新鮮でありましたし、驚くような展開もありますので、絵画好きな人にはお勧めの小説です。

 

 

  • user 内田
  • time 2023年2月25日
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レビュー『謙虚なリーダーシップ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

謙虚なリーダーシップ 1人のリーダーに依存しない組織をつくる』 エドガー・H・シャイン 英治出版

真に成功しているリーダーシップは、単なる業務上の人間味に欠けるものではなく、きわめて率直に話をし、心から信頼し合うグループの文化のなかで成果をあげ、このモデルを私たちは「謙虚なリーダーシップとして提案している。
問題解決をしたり、高い価値をめざしたり、世界を変えたりする責任は、あなた1人が負うべきものではない。
だが、学習する環境をつくり出して、あなたとあなたのグループが協力し、問題を解決するプロセスを突きとめ、決定し、そのあと世界を変えられるようにするのは、あなたの責任である。
世界中の組織が、ますます加速する変化のスピード、地球規模での相互のつながり、多文化主義、技術の進歩のペースに、懸命に対応しようとしている。製品特化も加速している。
このような世界で後れをとらずにいるためには、いっそう打ち解けた関係になって、リーダーは絶対的に謙虚にならざるをえない。
よい関係とは、過去のやりとりに基づき、未来の互いの行動を、互いに予想できることである。
相手の反応について想像がつくために安心感を覚えることができる
仕事仲間との関係をつくっていくパーセニゼーションは、一方が、もしくは両方が、相当な覚悟をもって会話に臨み無視されたり拒絶されたり軽蔑されたりする危険を冒すことであり、相互依存する仕事環境に適う信頼を築くことである。
マネジャーとして「パーソナイズする(相手を一個人として見る)」場合は、部下をできるかぎり「下に見ない」ようにしよう。
協力」や「共同責任」を強調し、部下の成功をあなたが積極的に支援するつもりであることを際立たせ、互いに信頼しあっていっそうよい仕事をするために、あなたについてもっとよく知りたいと思っていることを、言葉と行動で表すことだ。
この関係は、上司や部下がそうありたいと望んだからといって、それだけで自動的に生まれるわけではない。
「パーソナイズする」努力をしながら交流を重ね、加減を測り、反応し、やがてそのつながりをつくれたり、あるいはつくれなかったりするのである。
このリーダーシップによる関係には、より深いレベルの信頼と率直さが必然的に含まれる。
それは互いに約束を守り②相手を貶めたり合意したことに害をもたらしたりせず、③嘘をついたり、仕事に関わる情報を隠したりしないことによって築かれる信頼と率直さである。
プライバシーや礼儀に配慮しつつ、職場で、もっと近しく率直に話し、信頼し合う関係を築くことは可能だと、私たちは思っている。
謙虚なリーダーシップでは、レベル2の関係「個人としての全人格を認め合う関係」とし、レベル3の関係「家族のような親密さと愛着」にならないようなバランスが大切だ。
ほどほどの距離感を保って型苦しくなることも、レベル3の親密さと捉えられないほどプライベートに踏み込むのは、避けてその間で巧みにバランスを取るようにすべきである。
シンガポールという国はリークアンユーを中心に、建国時の組織(経済開発庁)で協力を確実にする一つの仕組みとして、最高幹部が複数の仕事を担当し、絶えず持ちまわり組織のあらゆる要素に精通する方法をとり全メンバーがレベル2の率直さと信頼と協力を生み出した。
選ばれたチームメンバーがなんらかの役割に延々と就くと、自然に生まれるリーダーの新たな、よりよい考えを採用しないばかりか、彼らを遠ざける結果ともなり、もとは謙虚だったリーダーが、権力欲や自己中心的な姿勢を持ってしまう。
  • user 内田
  • time 2023年2月11日
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レビュー『 跡継ぎがいなくても会社は残せる!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

跡継ぎがいなくても会社は残せる!』吉川正明 アチーブメント出版

会計事務所の事業承継で、税理士資格を持たない32歳の親族でない従業員が、ある日突然経営方針発表会で後継者に指名されました。
その後継者が著者の吉川正明さんです。
静岡県の会計事務所で資産税(相続税ほか)しか携わらなかった吉川さんが、後継者に指名されてからはとてつもなく大変だったということでした。
昨今の中小企業は「子どもや親族に後継者がいない」「子どもがいても、継ぐ意志がないといった跡継ぎ不在に悩んでおります。
この吉川さんのような従業員承継がもうひとつの事業承継の選択肢です。
吉川さんも後継指名を受けてからの2年間苦しんだそうです。
もう後継指名を受けた会計事務祖y(イワサキ経営)には未来が無いと見限られ、社員の退職や転籍が続き、吉川さんは夜も眠れなくなり、夜中に涙が止まらないこともありました。
先代に「もう無理です。辞めさせてください。」と伝えても、先代からは「ぼくは吉川くんに決めてから。吉川くんをよう思わない奴がいれば、そんなの辞めればいいんだ。事務所の人数が半分になっても構わない。」と言われて、もう少し我慢することにしたそうです。
後継者として社内での人間関係に悩んでいる時に外部の人に相談したところ
その人は、きっと鬼の仮面を被ったあなたの応援者ですね。足りないものを教えてくれているんです。だから、逃げちゃダメですよ。逃げていたら、いつまで経っても状況が変わりません。」
と言われて、ハッとしました。
吉川さんの心に刺さる言葉でした。
これをきっかけに、自分に批判的な相手とも、自分からコミュニケーションを取るように努め、すると不思議なことに関係が良くなっていきました。相手を変えるのではなく、自分が変わらなければならない、そう気づいた時、ようやく経営者になる道筋が見えてきました。
会計事務所業界では、顧客を連れて退職することがよくありますが、それ事務所が阻止する図式が昔からありました。
しかし、吉川さんはその人が辞めてもトコトン応援しようと考えて辞める人に「起業するのだったら、協力するよ」と声をかけて、その社員を誘って顧客周りをし、
今度、独立をすることになったので、これからもぜひ彼に協力してください。当社は相続や保険もやっているので、そうした案件については引き続きサポートさせていただきます。」と言って回りました、すると「イワサキ経営は2代目も器が大きい」と株が上昇して、独立した人も「前の職場にはすごく感謝しているって言っていたよ」という話も聞きました。
従業員承継では、個人保証をいかに引き継ぐかが、課題です。
吉川さんの場合も、しばらく先代と2人で保証をしていて、社長に就任して4年後に先代の個人保証が全て抜けました。
銀行との関係を大切にするため、先代が何度も銀行の支店長との飲み会を開いてくれました。
事業承継がスムーズに進まない原因は2つあり、「先代と同じになろうとする」「先代を否定して新しいものを生み出そうとする」パターンです。先代と二代目のどちらが正しいという視点は捨てましょう。先代の想いを引き継ぐのも大事、新しいことに挑戦するのも大事、後継者にはこの両方のバランスが問われます。つまり、変えてはいけないものと、変えるべきもの、「不易と流行を意識すべきなのです。
アチーブメント株式会社の「水槽理論」。
水槽内の水質を職場環境、魚を社員に例えたもので、社員のパフォーマンスを引き出すためには環境を良くする必要があるという考え方です。
この水槽理論を知って以来、物事のひとつひとつに対処するより、水質そのものを良くすることを大事にしています。
社員に問題があると、経営者や幹部は原因をその社員に求めがちですが、社員個人の言動ではなくて、社員にそうした言動をさせてしまった組織風土に問題があるという考え方を持つようにしています。
  • user 内田
  • time 2023年1月28日
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レビュー『このビジネスモデルがすごい!』

 

 

 

 

 

 

 

 

このビジネスモデルがすごい!』船井総合研究所 あさ出版

2019年の著書ですが、冒頭が全国で農業会計No1のオーレンス会計事務所(北海道中標津町)の事例が載っておりましたので、読んでみました。

㈱オーレンスオーレンス税務会計
業務内容:農業経営コンサルティング・財務コンサルティング・各種システム開発/保守/運営
所在地:北海道標津郡中標津町
創業:1989年(前身である福田紀二税理士事務所は1971年創業)
代表者:福田直紀 資本金4,000万円
従業員数:134名(グループ全体 2018年5月時点)

オーレンスグループが属する業界は、2つの側面がある。1つは、事業の核である税理士会計業界で、もう1つは酪農を中心とした農業界。前者は税務申告や税務書類作成の代行などを含めた法人個人事務所で構成される業界。国内にはおよそ3万もの事務所があり、事務所数もマーケットも拡大しているため見通しが明るいように見える反面、先行きは楽観的でなくもともと平均年齢の高い業界でさらに高齢化が加速し、今後IT化が進むことを考え合わせれば生き残りが厳しいといわれれている。これに対しオーレンスは、現在のインターネットが普及する前から、農家の経営支援の一環としてインターネットプロバイダーを担ってきた。北海道の酪農家が位置するエリアに、大手プロバイダーの通信電波が届かないため、自社で受信アンテナ用の鉄塔を建て通信インフラが不十分な地域をカバーし、ゼロからIT化の基盤を作ったのである。さらに、自社独自の会計ソフトやクラウド型会計システムに早くから着手し、1996年には金融機関取引の情報を会計仕訳に自動変換するシステムを開発し、生産性を飛躍的に向上させている。

オーレンスグループのビジネスモデルにおける独自性は、提供するサービスが「低単価」であるにもかかわらず、「高い収益性」を実現しているという点である。税理士会計事務所の一般的な平は、年間800~1000万円/人であるところ、オーレンスグループは、一人当り売上の目安を約2000万円/人に置いている。1人が約80件の顧問先を担当し、平均顧問料単価25万円に設定していることになる。担当件数を増やせるのは、業種特化し、顧客を農業・酪農に絞ることによって専門性が高まり、業務の標準化と分業化がなされるからだ。また、顧客の属性と提供するサービスが明確なため、顧客と関係性が深い団体(農協等)にアプローチして一気に多数の顧客を獲得できるという、営業面でのメリットもある。

オーレンスグループの営業利益率は、ここ10年で見ると平均20%を超えている。2016年以降は積極的な人材への投資(人件費・教育研修費)を進めているため20%を切っているが、それでも高い収益性を維持している。一人当たりの担当件数を最大化するために、3つの方法を取り入れている。①顧客担当と業務担当を分ける分業体制を敷いた②業務の標準化(システム化)を進めた③自社開発のシステムにより顧問契約が継続する仕組みを作った

オーレンスグループは北海道内で圧倒的なシェアを誇っているが、高いシェアを維持している要因は、毎年200~300件の新規案件を獲得していることと、顧問契約の解約率が著しく低いことにある。いわゆる顧問契約の解約件数は年間10件未満であり、廃業による顧問先数の減少を加えても、年間20~30件の契約終了しか発生していない。廃業を除く解約率はここ数年0.2%未満である。もちろん、圧倒的なブランド力で競合他社の追随を許さないからこその解約率の低さ、という側面もあるがそれだけではない。顧客が離脱したくならないだけの高いサービスレベルを維持している。つまり顧客満足度が常に高いという証左でもある。

最初に船井総研が面談をし「目標とする事務所はどこになりますか?」という質問に対し、当時の福田経営センター代表の高橋さんは「ここだよ!」と後ろの窓を指さしました。その先にあったのは、茶色い大きなビル、ホクレンの本社ビルでした。高橋さんに、同業他社の名前を出していただく事を期待して自分を恥じるともに、とてつもない大きな目標を心に秘めているのだということを直感しました。この企業から学ぶこととして、引き継がれる内に秘めたる熱き想いにあります。何事にも真摯に対応し、偉ぶることなく、ある意味淡々と物事を進めていくという、静かで穏やかに映りながらも、心の奥底では強い責任感と意思を持って経営に取り組む姿勢。これこそがオーレンスグループの強みとすごさなのです。

 

〇船井総研が50年間のグレートカンパニー研究からわかった優秀企業の条件
制高温3条件、3つの企業の使命、正しい努力。船井総研-創業者船井幸雄が言っていた経営で最も重要なことは、経営者及び社員が「素直」「プラス発想」「勉強好き」であると結論付けました。そして企業には3つの使命があると提供し続けました。その3つとは「収益性の追求」「社会性の追求」「教育性の追求」です。これら成功の3条件、3つの使命を知ってバランスよく実践しながら経営に取り組むことは現代社会においても優秀企業化を目指すためには不可欠なようです。

 

  • user 内田
  • time 2023年1月21日
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