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レビュー『スティーブ・ジョブズⅠ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スティーブ・ジョブズⅠ』ウォルター・アイザックソン 講談社

 

iPhoneなど数多くの革命的な製品を開発販売しているApple社創業者-スティーブ・ジョブズの伝記。

上下巻のIは、子ども時代からトイストーリー(ピクサー)まで。
ジョブズはパソコン・アニメーション映画・音楽・電話・タブレット・デジタルパブリッシング・小売という7つの分野で革命を起こした。

ジョブズは自分が養子だと小さい頃から知っていて傷となり残っている。近い友人は言う。「なにかを作る時、すべてをコントロールしようとするのは彼の個性そのもので、それは生まれた時に捨てられたという事実からくるものだと思う。」

Apple社の共同創業者ウォズニアックとはハイスクールの時に、シリコンバレーでのイベントで出会った。音楽の趣味もあい、違法であるがブルーボックスという無料電話をダイオードとトランジスタを自分達で作ってしまい、いたずらでローマ法王に電話を掛けたりもした。

ジョブズはリード大学に入学した頃から禅宗を中心とした東洋思想に傾倒した。友人の家の天井裏に瞑想室を作り、インドの絵に絨毯、ろうそく、お香、坐禅に使う座布団などを持ち込んだ。この時の友人の証言「ジョブズは禅と深くかかわり、大きな影響を受けました。ぎりぎりまでそぎ落としてミニマリスト的な美を追求するのも、厳しく絞り込んでゆく集中力も、皆、禅からくるものです。」
大学では面白そうな授業だけ出席した。その一つがカリグラフィー(美しい書体)だった。ジョブズはいつもユーザーにやさしいGUIを大事にするが、それはカリグラフィーにやるものだった。「リード大学時代にあの授業を取らなければ、マックに複数種類のフォントが搭載されることも無かった。」

スティーブ・ウォズニアックと創業したApple社が発売したアップルIIはその後16年間で600万台も販売され、パーソナルコンピュータ産業を興した立役者でたる。感動的な回路基盤とそれを動かすソフトウェアは、個人の手によるものとして20世紀有数の発明だが、この歴史的偉業はウォズニアックの業績である。しかし、ウォズニアックのボードをクールなケースと組み合わせ、フレンドリーなパッケージにまとめたのはジョブズである。
そして、ジョブズはここからゼロックスの技術も取り入れ、アイコンを押すGUIやマウスを発明した、本当に凄いことだ。

ジョブズにはスタートレックに出てくる現実歪曲フィールドがある。周りの人間は言う。「ジョブズの現実歪曲フィールドにとらえられるのは危険なのですが、でも、あの力があるから実際に現実を変えられるのです。」「カリスマ的な物言い、不屈な意志、目的ならどのような事実でもねじ曲げれる熱意が複雑に絡みあったもの。」「他人の弱点をピンポイントではあくできるのがすごいところ、どうすればかなわないと思わせられるのか、どうすれば相手がすくむのかがわかってしまうのです。」

 

  • user 内田
  • time 2024年2月24日
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レビュー「イーロン・マスク 下」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イーロン・マスク 下』 ウォルター・アイザックソン 文藝春秋

ここ数年、世界富豪ランキングの上位に入っているイーロン・マスクの初の伝記。
存命時に伝記が出ること自体が凄いことです。

「下」巻はスペースXやツイッターなどについて多く扱い、直近の所までの内容となります。

イーロンは宇宙ビジネスの中で、2014年に、お金を生み出す衛星優良インターネットサービスをまずは選んだ。スペースXはあらゆる判断を火星に行くことを目的に行い、2015年に新部門スターリンクを設置した。

2019年、毎日毎日イーロンは恋人グライムスの隣でベッドの端に腰を下ろし、まんじりとせず夜を明かした。テスラのことが心配なのだ。「資金を調達できなければ終わりだ」と空が白むころ、グライムスに泣き言をこぼす。そこから、自動運転を体験してもらうイベント-オートノミーデイを思いつき、実行していった。

イーロンは部下に厳しい。スペースXではそんなイーロンの下でグウィンショットウェルがみんなのことを本当によく考えて会社内で貴重な役割を担っていた。イーロンは自分の存在すべてを人類のミッションに投じて、自分がそうするんだから他の人もそうすべきだと考える。Twitter買収の時もそうで、快適な暮らしや遊びを優先したいやつは去れというわけだ。スペースXの別の部下は言う。「イーロンの下で働くのは、すごく刺激的ですばらしいのですが、ほかのことをする時間がなくなってしまいます。」

イーロンは2015年にチャットGPTを開発したOpen AIを立ち上げた。(後にMicrosoftが投資)
そして安全なAIを表現すべく、人工知能搭載の人型ロボットの作ることに注力し2021年8月にオプティマスをお披露目した。イーロンは言う「人間を観察してタスクのやり方を学べる汎用ロボットが作れれば、経済がめちゃくちゃ発展するはずなんだ。そうすれば、ユニバーサルベーシックインカムだって導入できるかもしれない。そのとき仕事は、したければするものになるんだ。」

2021年1月7日テスラの株価は上がり、イーロンはAmazonのジエフペゾスを飛び越え、1900億ドルの資産を持つ世界一の金持ちとなった。お金で幸せは買えないとよく言うが、お金を一番持つようになったときのイーロンを見るとたしかにそうかもしれないと思える。2021年秋、イーロンは不幸せだった。気分が乱高下し、気分の落ち込みがお腹に来ていた、吐き気と胸焼けに悩まされていた。

ロシアが2022年2月24日、ウクライナに侵攻したが直前にウクライナの通信やインターネットを無力化していた。ウクライナはイーロンにスターリンクのステーションを提供してくれないかと助けを求めた。イーロンは2日後に端末500台をウクライナに到着させ通信妨害回避を成功させ、停電と聞くやソーラーパネルも発送した。「スターリンクがなければこの戦争は負けていたでしょう」ウクライナの小隊長の言葉である。提供したアンテナやサービスにかかる費用の半分はスターリンク持ちだ。その後、攻撃に使われることには反対して制限を掛けている。

各社の売上、時価が順調であった2022年、株の売却で100億ドルが手元に残っていた。「そのまま銀行に放置するのも何ですしね、だから、自分が好きな製品はどれだろうと考えてみたんです。もう、答えはひとつしかありません。ツイッターです。」
ツイッターの100%買収を心に決めた時に友人がこう聞いた「時間と健康はどうなるんだい?テスラもスペースもまだまだ手がかかるじゃないか。ツイッターはどのくらいかかりそうなんだ」。イーロン「少なくとも5年、かな。スタッフの大半を切らなきゃいけない。真剣味が足りない。出社さえしなかったりするんだから。」 友人「そこまでの苦労をしょいこむと?テスラは工場の床で寝泊まりして、その上、スペースXもがんばってる。同じことをもうひとつやりたいなんて、本気で思ってるのかい?」 イーロン「うん、やりたいね。それでいいんだよ。」

 

 

  • user 内田
  • time 2024年2月17日
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レビュー『とにかく仕組み化』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とにかく仕組み化』安藤広大 ダイヤモンド社

 

最近一番売れていると言われるマネジメント本とのこと。
SNSでも広告がよく出ております識学社長の安藤さんによる執筆ということで読んでみました。

人の上に立つべき人にとって、いかなる時も「仕組み化」に目を向け、問題を解決していく姿勢は、必ずあなたを救ってくれます。
鳥の群れやアリの巣を見てください、一羽一羽が、見事に有機的に動き、大きな目的を果たしています。この仕組みを知り、大きなことを成し遂げたほうが自分にとっての利益につながること、それを受け入れてから成長は始まります。過去に作られて形骸化したルールを、もっと大きな仕組みの枠組みでによってアップデートしていく、その責任をとるべき人が、人の上に立つべき人なのです。

人の成長を信じ、入れ替わりが起こるのが「いい組織」で、エース級の人が抜けても残されたメンバーを信じピンチを乗り越えると組織は「脱皮」して強く大きくなります。「組織の中で替えが利くようにしておく」という人が逆説的に優秀であり、未来永劫その会社が続いていくことに資するのです。

放っておくと人はラクを求めます。
「なるべく早く」を「今日までに」と解釈します。「手が空いたら」を「完全にヒマになったら」と解釈して、自分にとって都合のいいように考えてしまいがちです。仕事をしない、その方が自然な状態だからです。例えば100人いればそのうちの10人くらいは放っておいても精神論だけで頑張ります。ではそれを基準に組織を運営すべきでしょうか。「あの10人を見習って頑張らないと」とその他の個人を責めた方がいいのでしょうか。違います、残り90人のできない人に合わせて仕組みを作りルールを責めて、全員を活かした方がいいのです。

「期限」を守ることが最低限できたうえで初めて仕組みは機能します。「忘れていました」が言える環境になっているのであれば、仕組みは機能しません、間に合わない事がわかったらその時点で必ず期限が来る前に知らせてください、いつだったら間に合うか報告してくださいと伝えます。

①責任と権限を守る(決めた事を守り切る)
人の上に立つなら、主語は絶対に私であるべきで、責任を取りましょう。リーダが部下に仕事を任せるとは、「何をしなければいけないのか」「そのために何をやっていいか」その線引きをするのです、そして責任を取りましょう。

②危機感を利用する(正しい恐怖感を感じ続けるようにする)
本質的に怖い人「仕事で求められる基準が高い」「中途半端な仕事では評価してくれない」「フィードバックが的確で反省する」、そんな理不尽な部分がない人になりましょう。部下はきちんとルールを守っている限り、何も言われることはありません。そして、いい仕事をして圧倒的な結果を出すと、正しく評価してくれます。
向かっているゴールがわかり、まわりがそれに向かって走り出している、それを見て感じる焦り、それが危機感になり、仕事の進め方を考え直したり、実際に行動が変わっていきます。

③比較と平等に気をつける(正しく人と比べられる環境を整える)
常に人は比較し、比較されている生き物です。その前提に立って、仕組みを作った方が良いです。暗黙知を無くし、人の上に立つ人が明文化して伝える。転職組も特別扱いをしてしまうと言ったもの勝ちの状況を生むので、新しい会社のルールに従わせる。
組織の利益を選び取るため、人ではなく仕組みを見て、頑張った人に報いるのが本当の「平等」です。成果をあげた人を会社が表彰(MVP)などで、評価することが効果的。評価されなかった人は負けたことを正しく認識し次こそ頑張るという意識に繋がります。

④企業理念を再認識する(向かっている方向を明確にする)
企業理念は、経営者にとっての「判断軸」です、企業理念に近づくことをやり、遠ざかることはしないという一貫性をうみだします。
自社の悪口を言う人がいます。他社や得意先にもそうやって言いふらします、その成れの果てが「ウチの会社の企業理念なんて知らない」という姿です。そんなに不満があるなら、早く成長して人の上に立ち自らの責任で「仕組み」を変えればよく、そのチャンスを全員に与えられています。

⑤進行感を感じる(他者と共に大きな事を成し遂げる)

 

  • user 内田
  • time 2024年2月10日
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レビュー『リーダーの仮面』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リーダーの仮面』安藤広大 ダイヤモンド社

最近一番売れていると言われるリーダーシップ本とのこと。
SNSでも広告がよく出ております識学社長の安藤さんによる執筆ということで読んでみました。

「自分はプレーヤーとして生きていくから別にいいんだ」と初めから宣言する若い人たちも増えています。しかし、想像力を働かせてください。ほとんどの仕事でプレーヤーとしての能力は、30代をピークに年をとるごとに落ちていきます。自己管理を徹底して健康な体を保ち、読書や習い事で自分磨きをして、結婚して子育てや親の老後のことを考えながら、20〜30代の若手と同じ位置でパフォーマンスを上げることができるのか。手足となる現場の力は若い方が良く、早く手足の機能を経て、神経の機能に上がっておかないと年をとってから大変なことになります

プレーヤーとして優秀だった人であればあるほど、リーダーとして失敗するリスクが大きく、手取り足取り教えるとメンバーが思考停止し成長せず、また背中を見て覚えろだとリーダとしての役割が果たせません。

リーダーは、つい、その場で「思いつき」で何かを言いたくなるものです。
しかし、チームの結果を最大化させるために、リーダーが見るべきは”たったの5つ“です。まずは5つのポイントにフォーカスし、それ以外のことは任せる。見守る、待つ、スルーする。それを囲む可能にするしこうほうとして、“リーダーの仮面“を与えましょう。

リーダーとメンバーの間には「いい緊張感」が生まれる事が大事で、ポイントを押さえた声がけやルール設定、評価をし、メンバーが最終的に成長する。優しい言葉をかけて、その場だけでいい人だ思ってもらっても、その言葉、頭に残りませんし、後から効いてもきません。
「尊敬されたい」「すごいと思われたい」そんな素顔を見せないのが「仮面(ペルソナ)」の力です。本音だけの一対一の人間としての付き合いを全員とすることは不可能です、ペルソナを使い分けて人間関係の問題を無くしていくのです。

ポイント①ルール(場の空気ではなく、言語化されたルールをつくる)
「全員、研修は必ず受けましょう」「会議の始まる3分前には着席しましょう」「日報は当日中に提出しましょう」など誰でも守る事ができるルールを、私が決めたので以後守ってくださいと徹底して守らせる事がリーダーの一丁目一番地で、これによりメンバーに「この会社の一員なんだ」という認識を持たせられます。
「誰がいつまでにやるか」を明確にするのが大事です。「オフィスはキレイにすべきだ。気づいた人が率先して掃除するようにしましょう」というルールでは誰もやらず、仮に一人がしても自分ばかりやって不公平だとなりチームがぐちゃぐちゃになる曖昧なダメなルールとなります。

ポイント②位置(対等ではなく、上下の立場からコミュニケーションする)
お願いでなく言い切りで指示する。期限を決める報連相を機械的に行う。相談は部下が決められない事のみ受ける。できていない事実を淡々と指摘する。業務中に指摘されてすべきことは業務中に指摘して飲みニケーションはしない。部下とは意識的に距離をあける。
リーダーは感情を入れず、「いい人」に思われたいという想いは捨てましょう。

ポイント③利益(人間的な魅力ではなく、利益の有無で人を動かす)
集団で大きな利益を獲得した利益を分配することで、個々の人間が1人ずつ取り組むよりも、結果的に多くの利益を得て、分配を獲得でき全員の取り分を増やせることを目指します。そのためには少し上を目指す緊張感を作り、言い訳に逃げて現状を変えようとしない部下には事実を淡々と確認して言い訳を無くせば(または言い訳はスルーすれば)改善行動をしていきます。テンションを一定に保つため、毎回指摘します。数字を見える化することで、健全な競争状態を作りましょう。

ポイント④結果(プロセスを評価するのではなく、結果だけを見る)
「うまくいっている?」「はい、順調です(本当は何も進んでいない)」「よし、期待してるぞ!」このやりとりは、事実上、何も成果がありません。日報による数値管理をしプロセスを褒めないようにしましょう。
リーダーはメンバー全員に対して目標設定を期限と状態を数字で設定します。期限が来たら目標達成か未達かを伝えて、できなかったことを指摘し、次の目標も数字で設定します。
最初に目標設定をして、ちゃんと仕事を任せる。最後に結果を報告してもらい評価する。その点と点の管理を身につけましょう。

ポイント⑤成長(目の前の成果ではなく、未来の成長を選ぶ)
チームが成長するとき、必ず健全な競争が起こっており、これを管理することがリーダの業務です。もし、競争したくなくて成長を諦めた人は辞めていくかもしれませんが、それを食い止める努力は、リーダーには必要ありません。競争の中で早く成長する部下が1人出てきたらそこにチームが引っ張られていく、これが理想のイメージです。伸びない組織では、リーダー自ら先頭の鳥となり、トッププレーヤーとしてチームを引っ張ろうとします。リーダはトップになってはいけません、あくまでマネジャーとしての仕事を優先させるべきだからです。
部下には常に不足を認識させて、成長してもらうために、とにかく一度行動させることが大切です。その際に、「まずは一度、やってみてください。やってみれば見えてくるものがあります。それは上司である私の責任になりますので。」と言い切りましょう。

 

 

  • user 内田
  • time 2024年2月3日
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