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【本】レビュー『「ひとり社長」の賢い節税』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『〈図解〉「ひとり社長」の賢い節税 元国税が教えるお金の残し方 』明日香出版社 杉田健吾

●ひとり法人のメリット
個人事業で経費に認められるためには①事業活動に「直接」関連している事と②事業活動に必要である という点で経費に認められる範囲は法人よりかなり狭いのです。法人は基本的に法律上、法人の活動には事業活動しかないとみなされています。もちろん法人でも、実際に仕事で使用している証拠が必要ですが、個人事業主では考えられない範囲の経費計上が可能になるのです。「旅費規程」「役員報酬バランス」「役員賞与による社会保険料減額」「社宅」「福利厚生規程」

●法人化のポイント(税理士依頼を中心に)
「売上がまだ安定していない」「覚悟が決まっていない」場合には法人化をおすすめできない。税理士に頼むデメリットは「費用がかかる」「厳しいチェックが入る」「打ち合わせに時間を取られる」ことがある。税理士に頼むメリットは「税金に関するわかりやすい解説」「税務調査への立ち会い」「節税アドバイス」「資金繰りの把握」「正確な財務資料の作成」「銀行や親会社、行政向けの書類作成」などがある。

●節税の基本原則
実践のためのポイントは5つ①手元に資金を残さないと意味が無い②無駄な支出は避ける③事業成長につなげる④脱税は成長を妨げる⑤一時的節税でなく長期的事業成長を考える。大事なのは経営者自身の絶税を4つのポイントで鍛える事①経営者も税法や会計の基礎知識を身につける②日々の支出を細かくチェックし、「経費化の可能性」を検討する③他の起業家との情報交換を積極的に行う④税理士との対話を通じて、専門的な知識を吸収する。

●社長の手元にお金を残す6選
1.住居費(家賃や住宅ローン):住居に関する支出は、社宅制度の活用で大幅に減税する事ができます。
2.自動車関連費用:車両も会社名義で購入すれば、購入費用全額を経費として計上できうるものです。
3.旅行費用:旅費規程を導入し旅行と仕事を組み合わせることでほぼすべての旅行で大幅に節税できます。
4.服飾費・装飾品:「この服は会社の事業の〇〇として使用するために購入したもので、その根拠と証拠はこれです」
5.飲食費:外食費の経費化には適切な理由付けが必要で、SNSなどを活用して事業関連性を示す。
6.自己投資:セミナー参加費など事業に必要な学びとして説明できれば経費化が可能です

 

  • user 内田
  • time 2026年9月26日
  • tag 本
  • comment 0

【本】レビュー『心配性な人はうまくいく』

 

 

 

 

 

 

 

 

『心配性な人はうまくいく』菅原道仁 三笠書房

エヌビディア創業者のジェンスン・フアン氏が自らを動かす最大の原動力を「成功への野心ではなく、失敗への恐怖(心配性)」であると語るエピソードは、ビジネス界でも有名。
過去に3度も破産寸前の危機を乗り越えてきた経験から、毎朝「あと30日で我が社は倒産するかもしれない」という感覚で目覚めると公言しています。そして現在も週7日、1日15時間働くという鉄血のスケジュールをこなしています。 周囲から「なぜそこまで働くのか」と問われた際、彼は率直にこう答えています。「エヌビディアが倒産することを心配するあまり、常に不安状態が続いているからだ。警戒を怠らないための簡単な方法などない。常に注意を払い続けるしかないんだ。この「心配だからこそ、自分の目で全てを把握していないと気が済まない」という性質は組織運営にも表れており、彼は中間管理職のフィルターを嫌い、今でも50人以上の直属の部下を持って直接状況を把握しています。

ただジェンスン・ファンのように、心配や不安がよい結果ばかりをもたらすわけではありません。心配で何も手につかない、不安で一歩を踏み出せないという「停滞」を引き起こすからです。だから、本書ではその心配や不安が引き起こす「停滞」から、自分を上手に開放し、心配や不安がもたらすポジティブな部分だけを上手に活用するコツを提示しております。不安なときこそ情報に触れない。不安なときは不安なことしか目につかず、情報というのはそういうふうに集まってくるものなので心配性で悩んでいる人が調べれば調べるほど、不安が雪だるま式に膨らむのは当然です。

「チャレンジしてもうまくいないだろう」という考え方が習慣化してしまっている人は、不安なときほど、いつも同じ行動・思考パターンで停滞します。行動がワンパターン化しているのです。停滞を脱するための行動を変えるといっても難しく考える必要はなく、例えば、こんなことで日常の習慣化している行動を変えてみましょう。
・普段は見ないテレビ番組やネット動画を観てみる
・いつもとは違う道を使って帰宅してみる
・利き手と逆の手で歯を磨いてみる
・スマホの待ち受けを変えてみる
・コンビニでいつも買うものとは違うお菓子や飲み物を選んでみる

パニックに陥らない方法の一つが「回答をいったん保留する」ことです。相手には「スケジュールを確認するので、ちょっと待って」と伝えて、余裕があれば一晩以上、余裕がなければ1時間程度でも構わないので、回答をもらい、とにかく即レスをやめるのです。「すぐに返事をしなければ」というプレッシャーから自由になれば、冷静に自分の状況を見つめなおすことができます。その場では「これはいいかも」と思える提案でも、あとになって冷静に考えてみると「あれ、こちらに不利だな」という場合もあります。ですからどんなお話でも時間が許すなら、ひとまず回答を保留するようにしましょう。

色々な方法を試してみても、不安な気持ちがなかなか消えない場合は体調に問題がある可能性があり、こういうときはとにかく無理をせず、できるだけ休憩をとる、これに尽きます。ゆっくりと湯船につかってリラックスする、運動をして筋肉のコリをほぐす、専門機関を受診して痛みの原因に対処するなど、体のケアをしてみましょう。慢性的なストレスを抱え続けると、無意識のうちに「こんなにつらいのはなぜだろう。誰のせいだ」と原因を他人の中に探してしまうことがあります。必要以上に誰かを攻めたくなっている自分に気づいたら「体の不調のせいかもしれない」と考えることも必要です。

「自分はいつかは死ぬことを覚えておくこと。それが、自分には失うものがあるという思考の罠に陥らないようにするための最良の方法である」こう語ったのは、アップル社の創業者であるスティーブ・ジョブズです。心配性な面を持っていた彼は、常に死を意識していました。「いつかは死ぬんだから、些末なことに囚われて迷っている時間はない」といつも感じていたからこそ、迷いのない決断ができのたでしょう。私の知人の会社経営者の方が言っていたのですが、その方は残りの人生であと何回夕食を食べられるかを計算したうえで、誰と一緒に夕食を食べられるかを決めているそうです。限りある時間を、自分にとって大切な人と過ごしたい。そのことを日々念頭に置くだけで、人生に対する感じ方がずいぶんと変わるのではないでしょうか。

心配性とは、決して克服すべき欠点ではありません。それは、未来をまっすぐに見つめようとする者だけが持つ、世界で最も繊細なセンサーです。これからの時代、求められるのはもはや、問題を楽観という名の蓋で覆い隠す力ではありません。気候、テクノロジー、人間関係、私たちが直面する課題は、明るく笑い飛ばせば済むほど単純なものではなくなりました。今、真に必要とされているのは、かすかなほころびに気づき、問題を定義し、解きほぐしていく力です。ポジティブシンキングは、ときに庭に咲いた雑草だを花だと言い張ります。けれど、雑草を認め、それを取り除かなければ、本当に咲かせたい花が根を張る場所はありません。心配性の人は、誰よりも早くその雑草に気づき、土を耕せる人です。だから私は、確信を持って伝えたい。心配性とは、これからの世界を生き抜くための最高の才能なのだと。

ただし、心配だけでは、人生という船は港から出られません。リスクを丁寧に数え上げ、緻密な地図を握りしめたまま、震えながら一歩を刻む、それが「アグレッシブ・ネガティブ」怯えながら、それでも進む人。震えながら、それでも筆を握る人。彼らこそが、歴史を、そして自らの運命を推し進めてきた本当の主人公なのです。

  • user 内田
  • time 2026年9月12日
  • tag 本
  • comment 1

【本】レビュー『反知性主義』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『反知性主義』森本あんり 新潮選書

経済的にも防衛力的にも世界一の国-アメリカ。その国の一部

思想の根底にあるもの。
「反知性主義(アンチ・インテレクチュアリズム)」は、「専門知識や学歴をタテにして、上から目線で社会を支配しようとする『エリートの権威』に対する反発」のことですが、現在のドナルド・トランプの政治スタイル、および彼を熱狂的に支持する人々のマインド(精神構造)に直結しています。

アメリカは、キリスト教ピューリタン(清教徒)が作った国であり、彼らの信仰の根底には「神との契約(契約神学)」があります。
すなわち、シンプルなギブ・アンド・テイク:「人間が正しく信仰を尽くせば(義務)、神は現世での成功や救済を与える(祝福)」という、非常に明快なビジネス的な契約関係とエリート(教会や学者)の排除:「神と自分」が直接契約しているため、間に挟まる小難しい神学者や教会組織の権威(=知性)は不要であり、むしろ邪魔な存在とされました。

ドナルド・トランプはこの「契約(ディール)」の権化として支持を集めていき、下記の2つの特徴があります。
「難解な言葉」ではなく「契約」で話す: トランプ氏は、ワシントンの政治エリートや学者たちが使う難解な政策論理(=インテレクチュアリズム)を徹底的に嫌い、「壁を作る」「アメリカを再び偉大にする」といった、誰でもわかる明確な言葉を使います。これは支持者にとって「不透明な理屈ではなく、わかりやすい契約の提示」に映ります。
支持者との「直接契約」: トランプ氏は自身の著書『トランプ自伝(The Art of the Deal:取引の芸術)』が示す通り、自身を「最高の交渉人」と位置づけました。支持者に対し、「俺に投票すれば、お前たちに利益(雇用や国境の安全)を引っ張ってくる」という極めてシンプルなギブ・アンド・テイクの『契約』を持ちかけました。

アメリカや世界で言われる「知性」とは何なのでしょうか。「インテリゲンチア」という言葉がロシア語系の由来であることからもわかるように、それは社会の改良や革命に関心をもつ左翼知識人を指す言葉として登場しました。「インテリ」と略して今日使われるこの用法は、しばしばエリート主義への揶揄を伴っております。知識人として生きることは、どうしてもある種の矛盾が伴い、彼らは自分自身はエリートでありながら、民主的な大義を信じていることが多いからです。自分が大衆を教育し啓蒙する立場にある事を自覚しながら、あまりにもそれが進みすぎると、自分たちとの差が無くなってしまうことを危惧もしております。

反知性主義が、なぜアメリカのキリスト教を背景にして生まれ、先鋭化していったのでしょうか。アメリカは中世なき近代であり、宗教改革なきプロテスタンティズムであり、王や貴族の時代を飛び越えていきなり共和制になった国です。こうした伝統的な権威構造が欠落した社会では、知識人の果たす役割も突出しており、反知性主義はそれと同時に生まれた双子の片割れなのです。双子は、相手のふるまいを常にチェックしながら成長しまして、他の国で知識人が果たしてきた役割を、アメリカではこの反知性主義が果たしてきたということです。

アメリカは、一方では欲望全開で何でもありのフロンティア社会であり、かつ同時に禁欲的で厳格な法律をもったお上品の国である。都会には売春と飲酒と賭博が蔓延する一方で、プロテスタント的・中流階級的な倫理観(真面目に働き、無駄遣いをせず、自分の力で成功を目指すのが正しい生き方)は他のどの国よりも強いのです。そしてアメリカでは、敬虔が道徳主義に道をゆずり、アメリカ社会が「宗教の国」から「世俗的なサクセスストーリーの国」へと変化していったのです。

 

 

  • user 内田
  • time 2026年9月5日
  • tag 本
  • comment 0